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クラウド利用ソフトも登場したコンピュータ将棋選手権

[2011年5月17日更新] Ponanzaの最高レーティング獲得のニュースを追記

毎年行われている世界コンピュータ将棋選手権、今年の第21回選手権37チームが参加し、5月3日から5日に早稲田大学で開催された。コンピュータ将棋同士がサーバを介してLAN経由で対戦する。基本的には対戦するコンピュータは会場に持ち込むが、多数のマシンを使用するチームは、インターネット経由でリモートで参加する。

5月3日の1次予選、5月4日の2次予選を経て、5月5日に8つのプログラムが総当たりでコンピュータ将棋最強の座を争い、伊藤英紀さんが開発したボンクラーズが優勝を飾った。

将棋のプログラムは、深く読むため高い性能が要求される。最近のプロセッサは複数のコアを搭載しているので、強豪プログラムはほとんど並列処理に対応している。更に、ここ数年で、複数のマシンをクラスタで使うプログラムが増えてきた。

優勝したボンクラーズは個人での参加ということもあって3台合計16コアと比較的小規模だが、準優勝のBonanzaは17台132コア、最大構成のGPS将棋は、東大駒場のセンタのiMac208台、Amazon EC2(クラウド)の40台など263台832コアとかなり大規模な構成。

将棋のプログラムはツリー状に局面が増加するため、単純な並列化はできず、どのように処理を分割するか、開発者の腕の見せ所である。同一マシン内の並列化、クラスタでの並列化、詰将棋

専用マシン、複数プログラムを同時走行させ多数決で手を決める合議法など、いろいろな技術が取り入れられている。

クラスタで動作する合議法採用の将棋ソフトが女流王将に勝利でお伝えしたように、コンピュータ将棋の実力がプロ棋士レベルになっていることから、その最強を決めるこの選手権は注目を集めた。

今年初めて決勝の模様がニコニコ生放送でインターネットで放送され、プロ棋士の解説を10万人近くの人が楽しんだ。対局の内容や対局会場の様子も、棋譜中継USTREAM中継中継ブログなど、多彩な情報が発信され、ネット経由でも臨場感が味わえる選手権となった。

選手権の情報は下記にまとめているので、興味のある方は参照されたい。

===> 第21回世界コンピュータ将棋選手権 (詰将棋メモ

5月10日追記

準優勝のBonanzaの最新版(6.0)のソースコードとバイナリが開発者のホームページで公開された。Bonanzaはオープンソースの将棋プログラムで、評価関数の自動学習(ボナンザメソッド)などの技術は他の将棋プログラムにも多大な影響を与え、コンピュータ将棋の進歩に大きく貢献している。

5月17日追記

選手権5位のPonanzaがインターネットの将棋道場、将棋倶楽部24に参戦、アマチュア強豪を相手に9割以上の勝率で、レーティングは3211に達し、これまでの人間による最高レーティングを超えた。

毎日新聞の報道 ===> 将棋:コンピューターソフト、5日で頂点 対局サイトで、アマに勝率9割
反響など詳細は ===> ponanzaが将棋倶楽部24で最高レーティング更新

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