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クラスタのGPS将棋がA級プロ棋士を破る

[2013年4月23日更新]
2012年1月に行われた第1回将棋電王戦でクラスタ並列の将棋ソフトボンクラーズが米長永世棋聖に勝利したことを受け、第2回将棋電王戦は世界コンピュータ将棋選手権の上位5ソフトが5人の現役プロ棋士と対戦することとなった。3月23日から4月20日にかけ、毎週1局ずつ対局が行われ、その結果、コンピュータ将棋側が3勝1敗1分で勝利した。対局はニコニコ生放送で全局中継され、5局合計の視聴者数が200万人を超える注目を集めた(第2回将棋電王戦 特設サイト)。

現役のプロ棋士がコンピュータ将棋に負けたのは今回が初めて。特に最終戦ではGPS将棋がA級プロ棋士の三浦弘行八段を破り、コンピュータ将棋が名人に迫る力を持っていることを示した。GPS将棋は、東大駒場の教育用PCなど679台のPCをクラスタで動作させ、1秒に約2億5千万局面を読むことができる。対局中には読み筋をビジュアルに表示したり、Twitterで読み筋をリアルタイムでつぶやくなど、観戦者を楽しませるための工夫も効果的だった。

679台のPCのうち1台が司令塔になり、675台で先読みを分散処理、3台は詰み専門に読む。大規模クラスタで怖いのがハードウェア障害やネットワーク障害であるが、対局中に一部のPCがダウンしたり応答がなかった場合にも対局が続けられるように制御しており、当日も最後まで無事対局することができた。

大規模クラスタで並列に読むことにより、1台だけで読むのと比較して平均で約4手多く読むことができ、これによりレーティングも数百上がると推測されている。しかし、GPS将棋の強さはハードウェアの量によるものだけではなく、1台のPCだけで動作させてもかなり強い。第二回将棋電王戦のプレイベントとして、1台のPCでのGPS将棋に挑戦して、勝ったら100万円もらえるというイベントが行われた。プロ以外ならだれでも参加できるということで、全国から挑戦者が殺到、トップレベルのアマも含め100人以上が挑戦した。結果はGPS将棋104勝、人間3勝と、1台でも圧倒的な強さを見せつけた。なお、人間の3勝のうち2勝は運営側のミスで旧バージョンのGPS将棋で対局したもので、最新バージョンでは1回しか負けていない。

今回は人間とコンピュータの対決、という観点から注目された面が強いが、ソフトの実力がプロ棋士レベルにあることが示されたことで、今後は単に対局するということだけでなく、研究、トレーニング、観戦などソフトをどのように活用していくかという点に観点が移っていくと思われる。そのための機能にフォーカスした将棋ソフトも登場してくるだろう。

第2回将棋電王戦の棋譜や報道記事は下記にまとめているので、興味のある方は参照されたい。

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