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コンピュータによる詰将棋創作

[2016年7月25日最終更新]
コンピュータ(将棋ソフト)による詰将棋解答は研究が進み、現在では人間を凌ぐ解答能力を持つに至っている。一方、コンピュータによる詰将棋の創作は、かなり前から試みられていて、市販の将棋ソフトでも詰将棋創作機能を搭載したものも出てきているが、いまだに人間をびっくりさせるような作品を生み出せていない。コンピュータ創作の詰将棋が看寿賞を受賞するのはいつの日になるのだろうか。

関連情報: コンピュータ将棋2017  2016  将棋ソフト・コンピュータ将棋
  コンピュータで詰将棋  コンピュータ詰将棋の課題  詰将棋創作プログラミング


詰将棋の価値の数値化
2016年7月25日、詰将棋作家のひとり言で、詰将棋の価値の数値化
「・・・ 人口知能創作の最大の難しさは、評価の数値化だろう。これが出来ないならコンピューターに創作させる意味がない。☆コンピューターに価値を数値化させる。これはどうプログラムするかが難しいが、むしろコンピューターが得意とする事になろう。詰将棋 は人によって評価がまちまちである。それは重視する評価項目が違うからだ。そこで、評価項目の比重割合は人間がその都度決める形になる。将棋の場合は比重割合もコンピューターがしていたが、ここが詰将棋と違うところである。 ・・・」

TETSU: 将棋の場合も評価項目や比重は最初の頃は人間が自分の知識で与えていたが、プロ棋士の棋譜を教師データとして機械学習によって決定するようになり、更に現在ではコンピュータ将棋同士の対局から学習するようになってきた。詰将棋も似たような道をたどりそうだ。評価の研究も初期の頃から行われているが、ネックになっているのが、詰将棋データベースに各詰将棋の評価値が入ってないこと(将棋の棋譜は勝ち、負けという評価が必ずついている)。詰パラの学校の分だけでも点数を入力すれば、自動評価するプログラムを作ることは可能だろう。現在のデータベースでも、受賞作とそれ以外で評価の差ができるように調整すれば、大雑把な評価はできるようになるかもしれない。

詰将棋創作プログラミング
2013年12月25日、詰将棋メモで、詰将棋創作プログラミング
「・・・ 人間の脳とコンピュータは、処理方式が全く異なり、それぞれ違う得意分野がある。詰将棋の解答で人間を凌駕しているソフトウェアが、詰将棋の創作では人間に遠く及ばない。ならば、人間とコンピュータが協調して、おもしろい詰将棋を創作することを考えればよいのではないか。 ・・・」

ソフトによる煙詰やあぶり出し曲詰の自動生成
2013年8月18日、おもちゃ箱掲示板で、anonimousさん コンピュータソフトによる煙詰やあぶり出し曲詰の自動生成は将来的に可能か?

馬屋原剛さんが攻方完全限定の豆腐煙を全件、51手が最長と証明分
2012年3月?、馬屋原剛さんの上智大学卒業論文
詰将棋の自動生成:最長手数豆腐図式への挑戦(概要本文発表資料
「・・・ 該当する224局面を試した結果,ある2局面以外は10手台で逆算が途切れてしまった.残りの2局面からは1手逆算後,同一の1手詰(図2)が生成された.その1手詰から最終的に51手詰が76局創られた.さらに,盤面に全ての駒が配置してあるものを抽出すると,58局面となった.また,51手詰は全てこれ以上逆算できなかった.このことから,攻方完全限定豆腐煙の最長手数は51手だと初めて証明された. ・・・」

ソフトは詰将棋を作れるか
2006年12月1日、おおた葉一郎のしょーと・しょーと・えっせいで、ソフトは詰将棋を作れるか
「・・・ 詰将棋の駒の配置や詰めに至る手筋に対して、人間が感じる感情を数値的に捉えていないことになる。それでは優れた詰将棋をつくることはできない。そのため、この詰将棋を点数で評価しようということを企てている人たちがいるようだ。例えば、ソフトはまず、ランダムに10題作成して、それらを採点して、もっとも点数の高い作品を完成作とする、とかいうのだろう。一方、私は「徒労だろう」と思うと同時に、そういうことを真剣にやろうとする人たちの神経を疑うしかない。 ・・・ さらに、その詰将棋に点数をつけようという考え方の、採点基準なるものが重要になるのだが、ちょっと聞いたところでは、
1.大駒(飛車、角)の使用が評価が高い。
2.5五の地点(盤の中央)に近いところで詰む方が難しいので評価が高い。
3.詰め上り図で、王様に接する駒が少ない方がいい。
というような条件が付けられているようだ。そのためのみの作品を作ってみたのが、前々週の出題。 ・・・」

詰将棋評価プログラム
2006年7月6日、おもちゃ箱掲示板で、門脇芳雄さん
「7月8日(土)午後3時からのコンピュータ将棋協会(CSA)の例会で、「コンピュータによる詰将棋の評価」(自作プログラム)について発表します。関心のある方は御来聴ください。来聴は自由です。 会場=早稲田大学(本部)キャンパス1号館3階303教室」

金銀煙
2006年2月27日、おもちゃ箱掲示板で、橋本孝治さん
「昨日の詰工房で話題になった金銀煙の例です。
例)23銀 34銀 41金 43銀 / 12金 21玉 31金 32銀 33金 / なし
「金銀桂」の煙や「金銀桂歩」の煙は、これより遥かに難しそうなのであまり考えていません。
乞う挑戦者!」
2006年2月27日、TETSU
「煙詰のコンピュータ創作が話題になったとき、全駒は大変だからまずは小駒煙から・・・
香も省いて「金銀桂歩煙」では・・・いや香がないと3枚は不可能では・・・
「金銀煙」なら簡単にできそう・・・と盛り上がりました。 ・・・」

TETSU: 人間が高度な詰将棋を創作する過程を考えると、解答とは異質の知識ベースやアルゴリズムが存在することが推察できる。この分野はあまり研究されてなく、コンピュータで看寿賞クラスの作品を創作するには、超えなければならないハードルは多い。まずは、人間と協調して高度な作品を創作する創作支援システムでノウハウを蓄積するところから始めるのがよいかもしれない。コンピュータ単独での創作では、現在の時点で短期的に可能性がありそうなのは、煙詰である。といっても、これもグランドチャレンジであり、5年ぐらいかかると予想。最初は金銀煙や七色煙あたりで、逆算の基礎的理論を構築したい。

逆算法に基く詰め将棋の列挙
2005年9月12日、組合せゲーム・パズル ミニプロジェクト 2005年度 第1回ミニ研究集会
 ・逆算法に基づく詰め将棋の列挙 [発表資料(ppt)]
  堀山貴史、中塚裕之、岩間一雄(京都大学       情報学研究科)
「・・・逆算法により詰め手数の少ないものから順に詰将棋を列挙することで、詰将棋解答プログラムを用いることなく、与えられた条件下で可能な詰将棋を高速に列挙することができる。」

コンピュータは詰将棋を作れるか
2005年11月11日、勝手に将棋トピックスで、コンピュータは詰将棋を作れるか
「・・・この話題は2段階にわけて考えるのがいいと思います。
  1. コンピュータに(ルールにのっとった)完全な詰将棋を作らせるにはどうするのか。
  2. コンピュータに人間の鑑賞に堪えうる詰将棋を作らせるにはどうするのか。
前者に関しては、ランダムに配置した詰将棋の中から完全性をチェックして抽出するという方法で、すでに商品化されたものもあります。後者については人間がどのような判断基準で詰将棋の良し悪しを決めているかをある程度数値的に判断することはまだ課題が多く、初形一色図式などの条件を人間が指定して検索するというようなアプローチなどがあるようです。」

コンピュータによる詰将棋創作の歴史

2005年11月9日、TETSU
詰将棋創作関連のトピックスをまとめてみた。詰将棋関連全般についてはコンピュータで詰将棋を参照されたい(情報処理学会関連の論文は電子図書館の移行により、以前のURLではアクセスできなくなっているので注意)。

  1. 解答プログラムの進歩
    初めて詰将棋を解くプログラムが書かれたのは1967年、日立の越智さん。大型計算機のプログラムだったが、短編しか解けず、解くスピードは人間といい勝負だった。
    これからしばらくは停滞し、再び取り組みが始まったのは1980年代に入ってから。田中さん、柿木さん、森田さんなど、アルゴリズムは手数による反復深化だったが、柿木さんの無駄合検出などでだんだん実用になっていく。
    1990年代に入ると、野下先生のハッシュの活用で飛躍的に高速化、更に伊藤さんの最良優先探索、河野さんの類似局面の利用、脊尾さんの共謀数による多重反復深化と研究が進み、超長編も解けるようになった。この流れはdf-pnに進化し、2000年には長井さんのプログラムが300手以上の全ての超長編詰将棋を解くまでに至った。

  2. 感性評価
    1993年頃から小山さん、河野さんの詰将棋の感性評価の研究。詰将棋の創作では、人間から好感、高い評価を得ることが目標になるので、人間は何を基準に評価しているのかの研究は重要。ただ、評価には個人差も大きく、短編と長編ではまた違う。初めて発表されたとき高い評価でも同じような作品が次に出ると類似作で低評価になるなど、難しい面が多く、人間に近い実用的な評価アルゴリズムを得るにはまだ課題が多い。

  3. 詰将棋問題生成アルゴリズム (電通大 川上)
    解答プログラムが進歩し、超長編詰将棋も解けるようになったことで、研究者の関心は詰将棋の創作に移っていった。
    1995年3月のCSA例会で、電通大の野下先生より報告。
    「卒業研究でコンピュータによる詰将棋の創作を行った。ランダムに駒を配置し、完全作を探索した。不要駒の除去を工夫した。2題の完全作を得た」
    2題とも7手詰で、妙手もほとんどないが、余詰はない。

  4. 逆算法による詰め将棋問題の生成 (電総研・松原、東工大・広瀬)
    1996年3月のCSA例会で松原先生より紹介。
    ・詰め上がり局面を人間が作ってから、逆算して問題を作成する。
    ・問題を選ぶ評価には松原、小山氏らが考案した項目を使用。

  5. 順算法による詰め将棋問題の作成 (電通大・野下、石崎、渥美)
    同じく1996年3月のCSA例会で野下先生より紹介。
    ・駒の配置に制限を設けてからランダムに問題を作る方法。
    ・問題を選ぶ評価基準として、野下氏の詰め将棋プログラムT2が解くために探索したノード数の多いものを選んだ。

  6. 人間の詰将棋創作法
    上記の例会で、加藤より人間が詰将棋を創作するときの方法を説明
    ・順算法(正算法):初形曲詰、実戦型などに向く
    ・逆算法:あぶり出し曲詰、煙詰などに向く
    ・手順法:中心となる詰手順を先に作り、それを成立させる配置を作る。趣向詰、構想作、手筋問題に向く

  7. 詰め将棋問題の自動生成について (電通大・野下)
    1996年9月GPWで発表。5の研究の展開。駒を置く範囲、駒数、先手後手の確率など、生成条件を指定して詰将棋を自動生成する。生成した15手から19手の詰将棋12題を紹介。単にランダムに生成するだけではなく、いったん生成した問題を少し変更して改良する方式で、長い手数の問題を生成する効率をアップしている。
    ちなみに、このTsume-Shogi Makerで生成した詰将棋の作品集が作成されている。これはおそらく唯一のコンピュータ創作詰将棋作品集だろう。

  8. 逆算法による詰め将棋の自動創作 (東工大・広瀬、NTT・伊藤、電総研・松原)
    同じく1996年9月GPWで発表。4の研究の展開。単純に逆算すると探索空間が爆発的に大きくなるが、不詰・余詰の検査でかなり削減でき、評価を考慮することで更に削減できる。例えば、短編では評価を落とす可能性が高い駒取りを生成しないなど。9手までの詰将棋百数十題を創作。あぶり出し曲詰も創作した。

  9. 裸玉詰め将棋問題の体系的評価 (NTT・小山)
    1997年10月のGPWで発表。1八玉の裸玉を体系的に評価、新たな完全作を発見した。当時のプログラムの解答能力の限界と、無理に詰・不詰を結論付けてしまったため、現在ではいくつか誤りも見つかっている。「コンピュータ将棋の進歩5」で岡村さんによる最近の裸玉研究が解説されている。

  10. 詰将棋の3×3金銀図式の数え上げ (電通大・野下、飯田)
    同じく1997年10月のGPWで発表。全検して完全作567題(7手以上)を生成した。15手と17手の17題と、19手以上で軽微な余詰のある7題を紹介。

  11. 逆算法での詰将棋創作
    1998年1月、3月のCSA例会で松原先生より紹介。
    ・村瀬さんと逆算による創作の研究を行っている。23桂24桂33桂34桂/11玉の詰め上がりとなる17手詰が17題あった。
    ・長手数を狙っている。
    純四桂詰の(飛角香を使わないで)16手逆算、と金図式の(歩ととのみで)14手逆算の図を紹介。

  12. 逆算式創作支援システムについて
    1999年3月のCSA例会で、山田剛さんより紹介。
    ・詰将棋創作支援システム。
    ・逆算と検討を自動的に行い、出力された候補から人が選択する。
    ・検討には証明数と反証数による反復深化法を利用。
    ・1手逆算すると、数十~200局面出現するが、検討は10分以内に終わる。
    ・29手の作品ができた。
    6月の第1回ゲーム情報学研究会で発表されている。

ソフトが作品を創作する時代
2005年11月7日~、2ちゃんねるの【詰将棋】これが神局だ!!! その2で、コンピュータによる詰将棋創作の話題
「指し将棋の世界では、コンピュータソフトの進化が注目を集めていますが、詰将棋の世界でソフトが作品を創作する時代は将来やってくるのでしょうか? 現在でも作図家が自作の完全検討にソフトの力を借りることはあると思いますが、創作の助手ではなく、主役の座に就くことができるか、興味深いところです。以前、ゲームセンターで詰将棋をランダムに生成、出題するゲームがありましたが、飾り駒あり、妙手なし、余詰、不詰ありで、とても「作品」と呼べるレベルではありませんでした。  」
「完全に人間の手を離れて、という段階に行くかはさておき、ほとんどをPCの力に頼っての作図であればすでにそれに近いことをしている人は多いかと。底の知れた作品になりますけどね。」
「10年ほど前に自動創作の作品が詰パラのヤン詰で3題出題され、どれも割と好評だった。
↓はそのうちの一題。 ・・・」

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コメント

掲示板に上記「コンピュータソフトによる煙詰やあぶり出し曲詰の自動生成は将来的に可能か?」という内容を投稿していたのですが、公開後、誤字を発見したため編集したところ、非表示となってしまいました。
消滅してしまったのでしょうか。

投稿: anonimous | 2013.08.20 22:41

おもちゃ箱掲示板は承認制になっていて、私が承認処理をしないと表示されません。
修正した場合も再承認が必要なのですが、すみません、修正されたことを見逃していました。
承認しましたので、現在は表示されていると思います。

投稿: TETSU | 2013.08.21 01:14

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