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IT時代のコンピュータ将棋選手権

[2006年5月7日最終更新]
今年のコンピュータ将棋選手権ではインターネットでのライブ中継、実況中継が行われ、ネット上でも大きな反響を呼んだ。IT時代の選手権はどうなっていくのか、今年の選手権を振り返ってみた。

  ・第16回世界コンピュータ将棋選手権 大会後 (詰将棋メモ
  ・第16回世界コンピュータ将棋選手権 ライブ中継 ネット中継 (コンピュータ将棋協会
  ・「世界コンピュータ将棋選手権2006」を10倍楽しむHP
  ・第16回世界コンピュータ将棋選手権にて、Bonanzaが優勝 (マグノリア

関連情報: コンピュータ将棋2017  2016  将棋ソフト・コンピュータ将棋


2005年までのコンピュータ将棋選手権では、対戦するコンピュータ同士をケーブルでつないで行う方式だった。そのため対戦状況は、実際に対戦しているコンピュータの画面を見ないとわからない。選手権の会場ではコンピュータの画面をプロジェクタで大きく映してプロ棋士が解説するのだが、コンピュータとプロジェクタを接続し直さなければならないので、注目の対戦だけしか表示できなかった。また、会場に参加できなかった人は、将棋の内容を見るには、棋譜ファイルがあとからホームページに掲載されるのを待たなければならなかった。

2006年5月3日から5日に行われた第16回世界コンピュータ将棋選手権は、かってないほどの刺激的な大会だった。初めてLAN対戦が導入され、試験的にインターネットでのライブ中継が行われたこと、コンピュータ将棋のレベルがあがり、見て十分楽しめる将棋になってきたこと、そして、初出場のボナンザが強豪をなぎ倒して優勝という予想外の展開に、会場での熱気はもちろん、インターネット上でも祭りが起こった。

LAN対戦とは、対戦するコンピュータを直接つなぐのではなく、対局を管理するサーバを介して対戦する方式である。この方式では、それぞれのコンピュータはLANやインターネットでサーバに接続すれば対戦できるので、物理的に近くにある必要はない。

この方式のよいところは、サーバが全対局の状況を把握しているので、プロジェクターに複数の対局の盤面を同時に、または切り替えて表示したりできること、そして全対局のインターネットでのライブ中継ができることである。

今回は、ライブ中継と合わせて、ネット中継のブログも開設され、対局内容と同時にプロ棋士の解説や会場の状況もレポートされた。更に、公式ページ以外にも伊藤さんの「世界コンピュータ将棋選手権2006」を10倍楽しむHPでの実況中継、詰将棋メモの第16回世界コンピュータ将棋選手権の対戦結果の速報も行われ、会場に行けなかった人もネット上でリアルタイムに選手権を楽しめるようになった。

ライブ中継のアクセス数はまだ集計できていないが、ネット中継ブログが時間あたり4千~5千、伊藤さんの実況中継のアクセスカウンタも5日だけで3万を超えた。詰将棋メモのアクセスも通常1日500前後なのが、3日1400、4日4300、5日6000と10倍に跳ね上がった。

2ちゃんねるのコンピュータ将棋のスレッドでは、いい手が出るたびに書き込みが発生する状態で、5日だけで新たに3つのスレッド(1スレッドは1000発言まで)が立ち上げられた。

詰将棋メモの速報では、いろいろなブログでの書き込みもリンクしているが、この数も5日6日は1日に30以上にのぼった。

対局がネット上で見れることで、会場での観戦者が減るのでは、という予想もあった。しかし、予選をネットで見て決勝を観戦しに来た人も多く、実際には昨年以上の大盛況であった。今回は、渡辺竜王、コンピュータ将棋に詳しい勝又五段、矢内女流名人、安食女流初段という豪華解説陣に本田女流二段も飛び入りで参加していただき、観戦者もコンピュータ将棋とプロ棋士の解説に堪能されたのではないか。解説の状況はインターネットでも実況中継されたが、やはり直接聞きたい方も多いと思う。来年はぜひ会場にお越しください。

タイトル戦よりおもしろいという声も聞いたが、これは将棋の内容というより、たくさんの対局が同時進行で、かつ1局1時間程度なので、テンポよく楽しめるのが大きい。コンピュータ将棋らしい意表を付く手が多いのもまた楽しみだろう。

ライブ中継は現在は盤面と指し手だけであるが、将来的にプロ棋士の解説も中継し、動画で横に表示するなども考えられ、テレビ番組になりうるようなエンターテイメントに成長する可能性もあると考えている。

また、今年は海外の将棋をあまり知らない人が開発したフリーソフトのボナンザがノートパソコンで初出場し優勝をさらうというサプライズがあった。表面的に見ると、これまでの将棋ソフト開発者の取り組みを否定するようにも見えるけれども、これはボナンザがこれまでのソフトにない手法を採用し、そのアルゴリズムが優秀であることを物語るもので、コンピュータ将棋がまた一つ大きく進歩したということであろう。

懇親会で、強豪ソフトの面々はリベンジを誓い合っていた。ボナンザの開発者も将棋や将棋ソフトを勉強して更に強くしてくるだろうし、今年間に合わなかったIS将棋の棚瀬さんの一から作った新プログラムも登場するだろう。来年の選手権は更に目が離せない大会になりそうだ。

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コメント

実際はコンピュータのトラブルやサーバーのダウンなどがあって、ゴチャゴチャな感じがした。コンピュータ技術から見ればこれらは初歩的なことであり、今後以降の大会の運営を左右しそうだ。
単にプログラムの優劣を競うなら、ハードは統一してソフトだけの対戦にして貰いたい。

投稿: 通りすがり | 2006.05.07 12:29

LAN対戦もライブ中継も今回の選手権が初めてであり、安定した運営のために、まだまだ課題はあると思います。
コンピュータ将棋選手権はハード・ソフトあわせた実力を競う大会ですが、同じハードを使用してソフトの実力を競う大会としてコンピュータ将棋王者決定戦があります。

投稿: TETSU | 2006.05.07 14:56

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