推理将棋第8回解答(3)
[2008年2月27日最終更新]
推理将棋第8回出題の
8-3の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第8回出題 推理将棋第8回解答(1) (2) (3)
推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
8-3 上級 橘圭伍作 対向射線!? 9手
A「初の一桁対局っすね」
B「9手で息の根を止めたよ」
C「王手が最後も含めて3回だけあったね」
D「成る手はなかったですけど、金の着手がありましたね」
A「終わってみれば4段目に駒が3枚あるっすね」
- 9手で詰み
- 王手が最終手含めて3回
- 終局時4段目に駒が3枚
- 金の着手あり
- 成る手なし
ヒント: 22の角の入手方法をちょっと工夫
出題のことば(担当 ミニベロ)
長編作家の短編の切れ味は?
推理将棋8-3 解答 担当 ミニベロ
▲7六歩、▽6ニ金、▲3三角不成、▽5二玉、
▲2四角不成、▽7七角不成、▲同桂、▽4四歩、
▲3四角 まで9手で詰み
独自の発想で長編分野を切り開く新鋭の初の短編は、ベテラン強豪解答者を悩ます大変な難問となった。
筋違いの生角2枚での詰上がりは特に新しいものではないが、王手3回と4段目3枚の条件が微妙に絡まって、どうしても条件を満たせない。
王手は逆王手もあり得る、駒は取りに行くだけでなく渡される場合もある、こんなことは分かりきっているのだが、どうにも読みにくい不思議な手順だ。
それは77角不成という妙手1発で解決するのだが、それを引き出す24角不成こそが、本局の最大の妙手と言えよう。
勢い込んで33に飛び込んだ角が、22の角を取るのかと思いきやヒョイと24に身をかわす。
33の道が開いた刹那に一閃77角不成!
この組み合わせの妙に、多くの実力者が討ち取られてしまった。
ある意味、玄人好みの作品と言えよう。
作者にとって短編は軽い息抜きのようだが、この才能を長編だけに使うのはもったいない。
Norman氏のようにオールラウンドの活躍を期待している。
たけとひでさん 「ダブル・クロス・カウンター!?」
「王手はどっちだ!」と紛れにはまってダウンした人もかなりいるようです。
館長さん 「よくこの短手数でこの4条件を組み込んだものですね。秀作です。」
濃密なやり取りが、わずか9手の中に凝縮されています。
高坂研さん 「「4段目に駒が3枚」という条件から、ついつい2手目34歩としたくなる。でも、欲を言えば15角-16角の詰上がりにして欲しかったな。」
「端に大駒が2枚あった」とでもするとできそうですが、易しくなりますね。
「4段目に駒が3枚」が持つ強烈な紛れも捨てがたいです。
これに「王手3回」の組み合わせが絶妙で・・・。
まじーさん 「難解。後手の王手になかなかたどりつきませんでした。」
推理将棋のキャリアが浅いまじーさんが手筋に詳しくないのは当然。
それなのにすでに解答強豪ということは、強烈な解図力です。
本作は「逆王手」と「駒取られ」の裏手筋が複合しています。
たくぼんさん 「ヒントを貰いましたので、筋がピンと浮かびました。絶妙な手順だと思います。」
この、ピンと来る瞬間が推理将棋の醍醐味なんですね。
来るまでの時間が長ければ長いほど・・・(怖)。
はてるまさん 「時間切れ、降参です。けっこう考えたのですが・・・。「4段目駒3枚」が難関で、詰み形が見えませんでした・・・。」
わずか9手なんですが、やはり難問なんですね。
はてるまさん、解けないときもこうやって短評くれるのでありがたいです。
まささん 「後手角が自爆する順は実に見えにくい。秀作。」
名人あわや無解!のピンチだったんですが、それにしても恐ろしい9手でした。
けいたんさん 「平凡ともいえる詰上がりがなかなか見えない。うーん、なぞだ」
詰め上がりから逆算してもこの手順は想像しにくいですね。
77の桂は何だ? となるでしょうし。
Normanさん 「解けませんでした(涙)
カンニング後の感想:詰み形はすぐに浮かんだのですが、王手回数が足りないので捨ててしまいました。」
何と、Normanさんが無解とは!
この人に解けない作品があるとは! しかも9手で。
最終形も逆王手も全て見えている人がこれですから、解けなかった人は、がっかりする必要ないですよ。
推理将棋は恐ろしい。
事前に解を知ることはいくらでも出来る環境にいるのに、フェアプレーの短評をいただきました。感謝!
魚熊さん 「だから対向射線だったのねぇ・・・対抗、斜、戦」
作者の思考回路が複雑すぎて本当の意味は分かりませんが、二つの角の交差するベクトルが連想されます。
タラパパさん 「この詰上がりは既存にありますが、その中でも最高の手順でした。24角と引く手がまったく見えません。たった9手にどれだけ苦労させられたことか。」
24角に言及するとは、さすがタラパパさん、同感です。
natsuoさん 「これは難しいですね……一桁ものでも十分上級たり得ると実感しました。 「4段目に駒3つ」という条件のイメージが浮かばないのが、難しさの一因という気がします。詰め上がりが美しいですね。」
はい。一桁をあえて上級にもってきて正解でした。
しかしこれほどまでとは・・・。
作者 「未発表の自作で利用した「王手回数を増やす事で自爆位置が限定される」という狙いをシ ンプルに表現しようとした易しい作品のつもり…でしたが、4段目に駒を3枚並べた事で紛れが増えて形を多く知る人は苦戦したようです。多くの方は24角 ~77角が見えずに泥沼に入るみたいですね」
前半の部分は私には意味不明ですが、確かに作者としては、難解作を作ったつもりはなかったでしょうが、推理将棋には、ひらめきが無いと解けない作品があります。私はそういった作品が大好きです。
正解:10名
館長さん けいたんさん 高坂研さん たけとひでさん たくぼんさん
橘圭伍さん タラパパさん natsuoさん まささん まじーさん
推理将棋第8回出題全解答者: 14名
魚熊さん S.Kimuraさん 館長さん けいたんさん 高坂研さん
たくぼんさん たけとひでさん 橘圭伍さん タラパパさん natsuoさん
Normanさん はてるまさん まささん まじーさん
当選: たけとひでさん
おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください。
あとがき
雲をつかむような遊びだった推理将棋も、1年経過すると定跡や手筋や解き方のコツのようなものも分かってきた。
条件を見ただけで大体のストーリーが見えてくるのだから、やはり経験は大切だ。
これは詰将棋における上達と何ら変わりはない。
コツコツと解いて、作意順に目を通して、手口を覚えていくしか方法がない。
「推理将棋は条件次第」と書いたが、今ちょっとしたブームの7手詰の新条件5作を、今回の難解作のお詫びに提供しよう。
条件が変われば見えるものも違う、というテーマです。
回答はいりません。次回の「あとがき」で答え合わせをしましょう。
● 7手詰(古典より) 5問 練習問題 ●
第1問 角以外の駒が成った
第2問 大駒の手は一手だけ
第3問 玉の手が2回あった
第4問 銀の上で詰まされた
第5問 歩を突いたら玉が斜めに上がり直後に駒が成った
次回をお楽しみに。
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