[2008年7月31日最終更新]
推理将棋第13回出題の
13-3の解答、第13回出題の当選者(まじーさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第13回出題 推理将棋第13回解答(1) (2) (3)
推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
13-3 魚熊作 字数の多い棋譜 8手
「この棋譜見てくれよ」
「8手しかないね」
「その割に字数が多いだろ」
「最初は普通なのに、3手目からは妙にごちゃごちゃしてるね」
「右・左・寄・成・不成が出そろってるだろ」
- 8手で詰み
- 3手目以降に「右」「左」「寄」「成」「不成」の手があった。
※一つの手に複数付いていてもかまいません。
さて、どんな棋譜だったのでしょうか?
出題のことば(担当 ミニベロ)
今売り出しの新鋭の実力拝見!
推理将棋13-3 解答 担当 ミニベロ
▲7六歩、▽3四歩、▲5八金左、▽8八角不成、
▲6九玉、▽6八角、▲5九金寄、▽7九角右成
まで8手で詰み
解いてから気がついた人、けっこういたみたい。そう、本作と13-2とは「詰め上がりが全く同じ」なのです。手順や些細な部分は微妙に違っているのだが、ほとんど同一作とも言える。
これを全く違う頭脳から全く違う条件で捻出されたのだから、「推理将棋とは条件」である、とつくづく思う。わすか8手の手順なのにこれだけ条件が違うと、さすがにもう「別物」でしょう。見える景色がまるで違っているのだから・・・。
この2作を見たときに、おもちゃ箱で並べて出題することを思いついたのだが、「選者のいたずら」はいかがだったでしょうか。
本作の解き方としては、「右」や「左」はほとんど金か角。「寄」にいたっては金以外は飛車しかないので的は絞れてくる。
本作の作者も初登場。しかしすでにMIXI内では大活躍で、作者として、解答強豪としての信用は確立されている。
リーグ戦ファンさん 「なるほど、問2は難問である問3の露払い役ですか。この問題を解くまで、7手目は「右」「右寄」と記すのだと思ってました。そう書いてしまうと手が限定されませんね。」
■おもちゃ箱に出題される作品に、露払いの作品はありませんよ。
■棋譜上の表記ですが、「右」でも「寄」でも表記としては正解です。
でも「右寄」が必須ではないんですよね。単独でも理解できますから。
例えば「48金・49金・68金・69金」とあるときに、48の金を「58金」と指す場合、
「右」や「寄」だけでは特定できないので、「右寄」が必須となります。
Normanさん 「先手の金と後手の角で作るのだろうと考えたら、すぐ解けました。」
■2と3、どちらの条件が解きにくいのでしょうかねぇ。
まじーさん 「条件は全く違うのに13-2と似た手順。余詰かと思ってしまいました。」
■解くまで分からないというのがミソ!
けいたんさん 「この作品では不成を生と記入すると×かしらん?!」
■「不成」は「生」でいいんですが、解答順にびっくり!
48銀、34歩、58金左、77角不成、69玉、88角成、59金右、78角まで。
そして(7手目は59金寄も可)ということなんですが、この場合、「右」か「寄」どちらか一つにすると、条件を満たしていない。「右寄」と書くことが棋譜上絶対必要ではない、ということで、「×」とさせていただきます。
まあ知らない仲じゃないので、許してね。
しかしこの指摘順は「○」以上の価値がありますね。
作者コメント「心臓に悪かったです」。
S.Kimuraさん 「成・不成は後手の角,寄は先手の金しか出来そうにないと思い,5八金左から5九金寄の手順にたどり着きました.」
■最短推理ですね。当たり前の話ですけど、推理将棋は条件から手順を推理するパズルなんですね。
はらたっとさん 「(3)はまだわからず。。。。 わかったら再度投稿します。」
■うーん。時間切れかな。でもありがとうございます。
枡彰介さん 「詰め上がりが13-2と同一でも異なる手順になる所に、表現力の奥深さを見た。」
■そこを分かっていただけると、担当はとても嬉しいです。
はてるまさん 「解いてみれば・・・これは驚き!13-2と同じ詰め上がりではないですか! ミニベロさんの軽いいたずらかな? でも解き味は全く違って、楽しめました。」
■まあ、はてるまさんには私のイタズラ好きはバレてますが。
この「味の違い」が大切なんですよね。
■ところで先日来預かっている作品なんですが、解答者激減の恐れがある難問ですので、私では使いきれませんでした。
次の担当者回しにしましたが、タラパパさんも解けてないとか・・・(困)。
中村雅哉さん 「第2問と同じ形なのに、条件はまるで違う。条件設定こそ作者の個性と腕の見せ所。」
■条件を見た時に、まずぱっと何が見えるか、何を見せるか、ですね。
今月は新人作家お二人にいい仕事をしていただきました。
花井秀隆さん 「ややこしそうでしたが、考えてみたら意外とすんなり解けました。」
■右や左が付くということは、同種駒が側にいなければいけない。
こういったことをヒントに推理していきます。
慣れてくると形や手筋で解けるようになります。
タラパパさん 「よく見れば、13-2と詰上がりが一緒の双子の兄弟。条件設定する上で、作り手の着眼点の相違もまた面白い。」
■どちらも立派な作品です。古い自作もこの手で再生しようかな。
諏訪冬葉さん 「「寄」は金、「成」「不成」は角と判断。あとの「右」「左」も角と金と予想したらなんとかできた。」
■まさに推理ですね。
くまちゃんさん 「暗算ではややこしかったので、盤、駒を使うと割とすんなり解けました。」
■私は今は暗算のほうが解けます。
慣れてくると創作も暗算になります。
たけとひでさん 「金寄と角右は筋悪で面白い。」
■推理将棋に出てくる対局者はいつも筋悪ですね。
まあ作る人・解く人・解説する人、みな同じですが・・・。
高坂研さん 「解く手掛かりに乏しいので2問解答で終わろうかと思っていたが、ふと「金寄って、さっきもあったよな」と思い出してみたら、何とほぼ同じ手順ではないですか! でも問題文から受ける印象はかなり異なりますね。」
■10数手の作品ならともかく、たった8手でこれだけ違う表現ができるんですね。
魚熊さん(作者) 「手順そのものは「基本7手に寄る手を1手加えた」だけ。たまたま
最初にこの条件付けを見つけることができたという、幸運のたまものです。実際解くには焦点のつかみにくい条件設定だと思いますが、上記「」内の事実に気づけば意外にあっさりと解かれてしまうかもしれません 」
■自作の難易度は分からない、というお決まりの結論なんですが、超短編は景色を見せない、10手以上は解答者に解けそうに思わせる、というテクニックも必要かも。
しかし本作は、論理的に解ける良問です。
正解:15名
魚熊さん S.Kimuraさん くまちゃんさん 高坂研さん
諏訪冬葉さん たけとひでさん タラパパさん 躑躅さん
中村雅哉さん Normanさん はてるまさん 花井秀隆さん
まじーさん 枡彰介さん リーグ戦ファンさん
総評
躑躅さん 「躑躅でお願いします。」
■綺麗なお名前ですね。「つつじ」さんでいいんですよね。他人とは思えない(?)。
解答と併せて短評もくださいね。
S.Kimuraさん 「推理将棋第13回の解答を送ります.今回は初級だけということで,早く解くことが出来ましたが・・間違っていないか心配です.」
■お見事! 全問正解です。初級特集、楽しんでもらえたようですね。
はらたっとさん 「第11回に初投稿しました「はらたっと」です。前回12回は、私にとっては難しい問題ばかりでした。今回は初級設定ということで、いけそうです。」
■難問ぞろいですみませんでした。今回の初級特集が好評でしたので、次のタラパパさんも考慮してくれると思います。
これからも解答よろしくいお願いします。
枡彰介さん 「初解答です。宜しくお願いします。」
■ありがとうございます。いきなり全解です。
これからもよろしく。
中村雅哉さん 「今月は比較的楽に解けました。次回も是非易しめの路線でお願いします(笑)。」
■次回からのタラパパ担当に伝えておきます(笑)。
花井秀隆さん 「はじめまして。花井秀隆と申します。少し前から推理将棋に興味がありました。今回は全問解けたので解答を送ろうと思います。また、おもしろそうなので、自分でも作ってみました。これからも、解けたときにはできるだけ解答を送りたいと思いますのでよろしくお願いします。」
■こちらこそよろしくお願いします。
なんと、すでに完成品ともいえる処女作もいただきました。
1問でも解けたら解答くださいね。創作・解答にこれからもよろしく。
タラパパさん 「今月は易しかったので、私でも軽く解けました (^^)」
■こらこら。
くまちゃんさん 「オール初級向きだと、がぜんやる気が出ますね!(私のような初心者には・・・) 又、宜しくお願いします。」
■はい、わかりました。次回からのタラパパ担当に伝えておきます!
高坂研さん 「久々に全問解けましたが、2と3が殆ど同じ手順というのには意表を衝かれました」
■よかった! この企画うまくいったようです。
Normanさん 「2と3の収束形が同一!には驚きました。素晴らしい趣向だと思います。」
■担当にAですね。ありがとうございます。いただきます。
推理将棋第13回出題全解答者: 17名
魚熊さん S.Kimuraさん くまちゃんさん けいたんさん
高坂研さん 諏訪冬葉さん たけとひでさん タラパパさん
躑躅さん 中村雅哉さん Normanさん はてるまさん
花井秀隆さん はらたっとさん まじーさん 枡彰介さん
リーグ戦ファンさん
当選: まじーさん
おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください。
あとがき
初級特集の今回、大盛況でした。ありがとうございました。うーん、今までの私の趣向が間違っていたのか。
「推理将棋」とは、こんなにちゃんとしたパズルなんだ、ということのアピールが前面に出すぎて、つい肩に力が入っていたのかも。創作も含めてもっと易しい作品にシフトする必要がありそうです。
もう何度も書いていますが、易しい作品を作るのは実は難しいんです。誤解を恐れずに言えば、難解な作品を作るだけならそう難しくはない。実際私以外にも、「きっと解ける人がいない」だろうと、作品をお蔵入りさせている人がいるからです。発展途上の今は、多くの人に楽しんでもらえる作品が一番良い作品なんですね。
詰将棋の遊びで、手順を先に示しておいてそれに合う図を作る、というのがあります。人により発想はいろいろで、同じ図はまず出てこないでしょう。
推理将棋においても、手順が同じでも条件が違えば、それはもう別の世界が広がります。今回はそれを楽しんでいただきました。
それでは前回の答え合わせです。
● 7手詰(古典より) 3題 練習問題 ●
第15問・先手の最初の手と後手の最後の手は同じ筋にいた駒
▲7六歩 △5二玉 ▲3三角不成 △5一金右
▲同角不成 △7二銀 ▲6二金
第16問・角不成、角成、腹金の3連続王手
▲7六歩 △7二金 ▲3三角不成 △4二金
▲同角成 △6二玉 ▲5二金
第17問・端角が次に同角と動いた
▲9六歩 △5四歩 ▲9七角 △4二銀
▲同角不成 △5二玉 ▲5三銀
推理将棋を解く力の一つとして「多くのパターンを知っていること」が言えるかと思います。詰将棋と違って初形スタートですから、割と収束形は限られています。条件からその詰み形が見えるかどうかがカギですね。7手・8手はその基本形の宝庫です。
さて、今月は練習問題はありません。前述しているように、私ミニベロの担当が今回で最後だからです。皆様、長い間お付き合いくださいまして大変ありがとうございました。
海のものとも山のものとも分からない推理将棋を連載するという初めての試みを、TETSUさんのご理解に甘えて担当させていただきましたが、推理将棋の面白さをどこまでお伝えすることが出来たのかいささか不安です。
でも、おかげさまで「推理将棋」という名称が広く浸透するようになりました。これからも「詰将棋パラダイスの推理将棋」と併せて、「おもちゃ箱の推理将棋」をよろしくお願いします。
次回からは、格調高い文章でおなじみの推理将棋界の重鎮、タラパパさんの登場です。どんな選題・解説になるのか、楽しみですね。
私も解答者になって全解をめざします。今後ともよろしくお願いします。
ミニベロ
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