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桂花手筋は成立するか

[2008年7月21日最終更新]
「桂花手筋」とは、「単玉3手詰で限定合を出すこと(合駒制限・変長・最終手余詰なし)。」 が話題になったときに毎日が記念日でおなじみの桂花さんが編み出した手筋である。でこぽんさんが詳しく解説しているので、まずはその桂花手筋の系譜をごらんいただきたい。

ここで、みなさんにお尋ねしたいのが、桂花手筋はホントに限定されているの? ということ。実は最近桂花手筋応用の作品の投稿があって、ちょっと悩んでいる。こういう規約があるから限定になるんだよ、ということ、ご存じの方はご教示ください。

関連情報: 詰将棋のルール  詰将棋のルール-よくある間違い
  詰将棋規約TETSU案 (おもちゃ箱


一つの例として、詰将棋パラダイス2006年3月に小学校で出題された藤沢英紀さんの作品をあげる。

Keika01

作意手順は 46馬、57飛打合、66桂まで3手詰。

2手目、57歩合などなら55馬まで桂余りだから飛合は限定、というのが作者の主張。

でも、46馬、57歩合、66桂まで3手詰の解答はどうなるの?

このとき誤解者が20名いるので、おそらくこの順で誤解とされたものと思われる。

この順は作意と同手数で駒も余らない。ただし、55馬まで桂が余る同手数余詰がある。
でも、それは作品側の欠陥であって、それを根拠に誤解とするのは無理がある。
しかし、限定できないとしたら、出題自体が不適ということになるだろう。

問題は、変化手順に複数の詰め方があった場合の選択の仕方で、

1)手数が異なるときは最短の手順を選ぶ
 ・・・ これは受方最長の規約に概念的に内包されているので、問題ないだろう

2)最短手順が複数あって、かつ駒が余る順と余らない順があるときは駒が余る順を選ぶ
 ・・・ これが問題。どこかに、このことが明文化されている規約があるだろうか。
 ご存じの方、ぜひご教示をお願いしたい。

現在形式的にはまだ有効と思われる全日本詰将棋連盟の詰将棋規約(綿貫規約)では後者の記述は存在しない。この規約では、そもそも次のように、駒余りは作品に対する要件の規定である。

「基本解法に従って得られる詰手順を本詰とし、本詰が唯一であり、かつ詰み上りに持駒を残さぬよう作られたものを完全作品とする」 (基本解法:着手最短律と応手最長律など)

どうも詰将棋界は作家の力が強く、規約の解釈も作家にとって都合のいいように変えられていくことが多いが、ルールを複雑にすればするほど離れていく人が多くなることを認識する必要があると思う。

少なくとも私は、1手詰を見つけているのに、さらに1手詰駒余りの順がないかチェックすることを強制されるような規約はイヤである。


2008年7月20日

  • ちょうどサンプルが (TETSU)
     「NHK詰め将棋 毎度むづいね 2 (将棋・チェス@2ch掲示板) で紹介されている20日放映のNHKの詰将棋が(桂花手筋ではないが)上記で説明したのと同様の変化のある問題になっている。掲示板を読むと混乱していることがわかる。ちなみに柿木VIIIで解かせたら誤答?の方を解答したので、こちらの解答がいっぱい来ると思うが、NHKの担当者はどう処理するのかな。」

2008年7月19日

  • ご教示ありがとうございます (TETSU)
     「深井さん、ご教示ありがとうございます。しかし、その直前には「また許容される最終着手同数順の一方に手余りがあっても、これを准詰として取り扱うことに したい。」という文章もありますね。この文章では桂花手筋は成立しないように読めます。」
  • シンプルなルールの提案 (TETSU)
     「いずれにしても、注釈がたくさんいるような複雑な規約では今後の普及、発展は望めないので、もっとすっきりしたルールがほしいところです。私見では、手数と駒余りの二重基準が複雑化の要因なので、手数のみを基準とすべきだと考えています。昔提案したシンプルな 詰将棋規約TETSU案 をご参照ください。ご意見をお待ちしています。 >みなさん」

2008年7月18日

  • 綿貫規約の「総則に対する備考」に (深井さんよりコメント)
     「綿貫規約の「総則に対する備考」では、「…次に応手変化系では手余り順の解答を避けるように要望する約束が通念として存し、同数順の一方に手余りがあれば これを答えない慣例になっている。即ち手余り順を得た場合は他に手余りのない同数順の解答は誤答となる。一部の意見としてこの処置を不当とする説もある が、手余りという客観的存在が本詰又は作意の判別を容易にすることが考慮されるべきである。」とあります。 ・・・」

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コメント

綿貫規約の「総則に対する備考」では、「…次に応手変化系では手余り順の解答を避けるように要望する約束が通念として存し、同数順の一方に手余りがあればこれを答えない慣例になっている。即ち手余り順を得た場合は他に手余りのない同数順の解答は誤答となる。一部の意見としてこの処置を不当とする説もあるが、手余りという客観的存在が本詰又は作意の判別を容易にすることが考慮されるべきである。」とあります。
35年程前、鶴田主幹に玉方12歩、22歩、31玉、54歩、詰方82角、92飛の図は、変長可とするなら完全でしょうかと尋ねたことがありますが。

投稿: 深井 | 2008.07.18 20:22

↑「35年程前…」の部分は、桂花手筋とは、関係のない話でした。無視してください。

投稿: 深井 | 2008.07.18 23:04

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