推理将棋第14回解答(3)
[2008年8月29日最終更新]
推理将棋第14回出題の
14-3の解答、第14回出題の当選者(魚熊さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第14回出題 推理将棋第14回解答(1) (2) (3)
推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
14-3 上級 花井秀隆作 玉頭の角 10手
「さっきの隣の将棋は角が目立っていたね」
「誰だってそう思うよ。なんてったって玉頭の角っていう手が3回も飛び出したんだからね」
「でも、10手で終わるなんて意外だったな」
「初手の玉移動があんまりよくなかったかもしれないね」
- 10手で詰み
- 初手は玉の着手
- 玉頭の角という手が3回
玉頭に角が「打つ」「動く」着手が3回。指し終えて玉の頭に馬がいる着手(59玉に58角成など)は「玉頭の角」とはしません。
玉頭の角が3回も指せるって、どう解決しましょう? 推理してくださいね。
出題のことば(担当 タラパパ)
初登場とは思えない、まささんばりの条件設定!
推理将棋14-3 解答 担当 タラパパ
▲6八玉、▽4二玉、▲7六歩、▽3二玉、
▲3三角不成、▽同角、▲7八玉、▽7七角打、
▲6八銀、▽8八角成 まで10手で詰み
はらたっと 「9手目までに角3回頭はクリアしても10手目詰み形にさっぱりなりません。」
■詰ませる必要がなければ、条件をクリアできるのですが。
枡彰介 「ギリギリまで考えましたが、分かりませんでした。」
■出題条件を疑いませんでした?(笑)
はてるま 「時間切れ。参りました。これ最終図詰んでるんだよね?」
■たしかに最終図で詰むのですが。玉頭の角3回なんて不可能ですよね。
魚熊 「どうやったらできるのやら・・・」
■お察しします。実は素直にかかっては、手のつけようがないのですから。
先手玉の頭に生角の着手を3回するにはどうすればよいのか?
普通に浮かぶのは、76歩、34歩から角を交換して58角と打つような筋ですが、初手は玉の手ですから玉頭に空きがありません。精一杯頑張って、こんな筋でしょうか。68玉、34歩、78玉、77角不成、・・・・4手で条件1つクリアできて順調そうです。更に同角と取れたら2つ目の条件もクリアできますが、先手玉を詰ませるためにはさすがに無謀。以下、59金右、同角不成、77角(2つ目)、同角不成(3つ目)、68銀、88金まで? 惜しい!77角がブラでなければこれで詰むのですが、77玉と角を取られて失敗です。
こんな手順を繰り返していたとすれば、その要因はある思い込みにあります。
玉頭の角といえば、どうしても詰まされる先手玉の頭に後手角と考えがち。しかし問題文では、どちらの玉、どちらの角と謳っている訳でもありません。後手玉の頭に先手の角や後手の角でも構わないし、先手玉の頭に先手の角でも「玉頭の角」に違いないわけです。
このように問題文から感覚的にイメージする思い込みを操り、誤誘導する手法をミスディレクションと呼びます。推理将棋に初めてそんな手法を持ち込んだのは、14-1の作者まささん。推理将棋には「言葉遊び」といった分野もあるのですね。
この作品では後手の玉頭に角の着手を思いつくことで、はじめて進展が望めます。先ほどの68玉以下の手順を、後手玉に適用してみるとたちどころに解決します。そのメリットは33角不成に同角と、駒を補充しながら条件が稼げること。
玉頭の角。77角の打ち場所や成・不成まで一発限定する名条件でした。
作者(花井秀隆さん) 「思いつきで作った作品が採用されるとは考えておらず、正直驚いています。狙いは、6手目の33同角も玉頭の角だというものですが、はっきりいってミスディレクションの二番煎じという感じです。」
■拙作"ミスディレクション"をきっかけに発想された作品だとか。こういうのって嬉しいですね。二番煎じといった感はまったくありません。ミスディレクション・テーマというよりも、個人的にはまささんばりの不可能テーマ(そんな言葉があるのかどうか?)の感が強いと思いました。
高坂研 「例によって、先手玉に3回角が乗るところから考え始めました。これまでも何度か引っかかっているのに、バカだねえ…。」
■そうした解答者が作家から一番好かれます(^^)
たくぼん 「"ミスディレクション"で勉強したので今回は大丈夫!」
■ふふふ。今度は深く嵌まらずに解けたでしょうか?
まさ 「3回とも先手の玉頭と思い込むと迷路に嵌まる。短手数・シンプルな条件・意外性のある作意と三拍子揃った佳作。」
■元祖まささんも手放しに絶賛!
隅の老人B 「先手の王頭だけに角を乗せようと考えて、大苦戦。解ければ、「なあ-んだ」、これが嬉しい。」
■普通の詰将棋でも、解けて「なあ-んだ」は最高の喜びを味合わせてくれますものね。
躑躅 「77の地点で玉頭の角を先手後手合わせて3回指そうとして嵌りましたが、これだと「初手は玉」の条件が必要ない事に気づいたらすぐ解けました。」
■これまた鋭いアプローチでした。その通りですものね。
橘圭伍 「玉頭での展開が見えているので非常に易しい」
■橘さんはこうした「一見不可能な条件」に非常にお強い。私なんか後手の玉頭をはじめから考えていながら、解けるまで相当に時間がかかりました。
リーグ戦ファン 「不可能感が非常に高い条件付け、すばらしいと思います。▲78玉▽77角の筋がまず思い浮かぶのですけど、それだったら「初手は玉」の条件が要らないはず、と卑怯な分析をしたら、後手32玉にすぐ思い当たりました。」
■その分析は決して卑怯ではなく、ひとつの技だと思いますよ(笑)
ミニベロ 「作者の意図だろうか? 「初手は玉の着手」という条件が、2、4手目の後手玉の移動を完全にカモフラージュしている。いきなりこれほどの完成作を出してくるとは、恐るべき新人! 」
■そうなんですよね。初手に先手玉を動かす条件が、先手玉に注目させる効果まで出している。非常に少ない条件で、どこを推敲する余地もない完成作でした。
Norman 「後手玉が32へ行って2回稼ぐとは! 素晴らしい条件の佳作と思います。」
■恐るべし。推理将棋のパイオニアというべき方々から、絶賛の嵐が寄せられました。
けいたん 「感覚的に新しい良問と思う」
■今までにない新鮮な条件でした。また双方の玉が動く手順自体も少ないと思います。
正解:9名
高坂研さん 隅の老人Bさん たくぼんさん 橘圭伍さん 躑躅さん
中村雅哉さん 花井秀隆さん ミニベロさん リーグ戦ファンさん
総評など
高坂研 「タラパパさんの担当とあれば何はともあれ馳せ参じなければ、と思って解きました。強豪には物足りないかもしれませんが、私にはこれくらいの難易度がちょうど良いですね。では、今後とも宜しくお願いします。(パラへの解答・投稿もまたお願いしますね)」
■持つべきは友。高坂さんは推理将棋に引っ張り込んでくださった張本人です。今後もその責任を取ってください(笑)。私事でごたごたしたせいもあって、皆勤だったパラへの解答を忘れてしまったのは大反省(汗)
まさ 「手数・難度ともに丁度良いと思いました。新担当、期待しています!」
■さて、どうなりますやら。今後ともご支援とご協力(作品で)をお願いします。
リーグ戦ファン 「おもちゃ箱の問題って、良問良手筋であることを疑わずにすむ(芋筋を考えなくてすむ)ので、実に解き易いです。3作合計で一時間かかってません。」
■ありがとうございます。毎号このくらいの難易度がキープできるとよいのですが。それにしても解くのが早すぎ!
ぷら 「易しいのだけ挑戦しました。」
■解く気のおきる作品を解く。それが基本ですから充分です。
枡彰介 「条件は最大のヒントと実感しました。今回の問2は条件に問題を解く重要なヒントが隠されていました。」
■会話分には箇条書きに現れない言葉のニュアンスがありますので、それも読み取ってくださるとヒントが増えるかもしれません。
S.Kimura 「推理将棋第14回の解答を送ります。初級と中級は解くことが出来ましたが、上級はお手上げです。」
■今回の上級は、先入観から抜けられないと永久にお手上げタイプでしたので。
隅の老人B 「8月6日の朝、用心のために、カ-テル検査とやらで、1泊二日の入院。たぶん、病室ではする事がない。そこで推理将棋3題を印刷、持参です。10手以下の問題、これなら暗算で解けるだろう。検査後、ク-ラ-快適のベットで出題文を読んで、考える。1と2は夕食前に解けましたが、3は上級、さすがに、これはダメ。帰宅後も、毎晩、寝床で、睡眠剤の代わりに3を考えた。16日、発想の転換、ヒラメキあり。むっくり起きて、将棋盤に駒。正解らしいぞ、嬉しかったね。考慮時間は延べ10日、時間は?これは分からない。今では、こんな喜びは、普通の詰将棋じゃ、なかなか味わえませんね。」
■普通の詰将棋はすぐに解いてしまう解答強豪ですから。発想の転換で解けた時、喜びも一入だったことでしょう。
隅の老人B 「退院時に担当医が曰く、「来年も検査に来た方が良いよ」万歳!、来年も生きているよ。また、「おもちゃ箱」の問題を持ってこよう。」
■ぜひそうしてください。ん?そうなると来年の今頃は難問を用意しないといけないでしょうか?
推理将棋第14回出題全解答者: 18名
魚熊さん S.Kimuraさん 吉川慎耶さん けいたんさん 高坂研さん
隅の老人Bさん たくぼんさん 橘圭伍さん 躑躅さん 中村雅哉さん
Normanさん はてるまさん 花井秀隆さん はらたっとさん ぷらさん
枡彰介さん ミニベロさん リーグ戦ファンさん
当選: 魚熊さん
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