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推理将棋第14回解答(2)

[2008年8月27日最終更新]
推理将棋第14回出題の 14-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第14回出題  推理将棋第14回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


14-2 中級 ミニベロ作  玉に取られる駒はない 8手

「8手で詰まされちゃった」
「才能ないね。見ててイライラしちゃった」
「相手の駒を玉で取れるチャンスはなかったね」
「そんなこと言ってるから大駒の空成りで詰まされちゃうんだよ」

  • 8手で詰み
  • 玉で敵駒を取れるチャンスはなかった
  • とどめは大駒の空成り

さて、どんな将棋だったのでしょう? 推理してくださいね。


出題のことば(担当 タラパパ)
  他の駒でなら取ることができたのかも


推理将棋14-2 解答   担当 タラパパ Suiri142

▲7六歩、▽3四歩、▲6六角、▽同角、
▲5六歩、▽4八角打、▲5八玉、▽5七角行成
まで8手で詰み

3手目の66角が後手の角を好位置に誘うと共に、好便に武器(角)を手渡す推理将棋ならではの妙手。ここさえ乗り切ればもう、57角行成までの詰上がりが浮かぶのではないでしょうか。

あとは条件に合わせて、手順を構築するだけ。

詰み形を作るだけならば、ここからの手順には多くの枝ができます。例えば先手が56歩の一手をパスしても作意手順で詰み。48角打は68角でもよく、56歩の前に58玉でもよい訳です。

平凡な条件設定では、この手順を限定させるだけで3~4種類の条件を使わなければならないところですが、解答者が口を揃えて絶賛したのが「玉で敵駒を取れるチャンスはなかった」という絶妙の条件設定。

56歩と角筋を開けて48角をヒモ付きにしてやることで、他の駒では取れても先手玉では取れないように縛りをかけ、手順前後も角打ちの非限定も含めて、たった二つの条件で解決してしまった。さすがにこの道のパイオニアだけあって、一石二鳥の技の冴えでした。

作者(ミニベロさん) 「”玉に駒取りのチャンスはない”という条件で、手順を限定しました。「とどめは大駒の空成り」という条件で、三つほど危険な順を消しています。」

■三つほどあるという危険な筋。これを探してみるのも一興かと。

まさ 「収束形を知らないとけっこう悩みそう。」

■序の3手は手筋化した感もありますが、これを自力で探すとなると簡単ではないでしょう。

はらたっと 「空成りで詰みそうなのは角より飛車かなあと思ってますが3筋から入ると最後銀をとらなければならず。。。行き詰まりです。」

■飛車を取るにはどうしても3手要するので、詰方が4手しか使えない8手詰では「打って成
る」が実現できないのです。

リーグ戦ファン 「これも、2手目に何か取る以外にはありえないので、かなり論理的に解けます。48角から成る筋と、作意解の手順前後を「玉に取られる駒」という条件付けでいっぺんに消している巧みさは、流石すぎます。」

■本局を短く解説すると、この短評だけで済んでしまいます。

隅の老人B 「解けたような気もするが、自信はない。48角は紐付き、これで取れない、大丈夫?」

■もちろん大丈夫です。推理将棋は解いた手順に条件を突き合わせて、「そのように解釈するのに余程の無理がない限り」正解ですから自信を持ってください。もしもそれが作意でなければ、余詰ということになります。詰将棋と違って、解答者が正誤判定までできるのが推理将棋。

高坂研 「”玉で敵駒を取れなかった”というのが、巧妙な条件設定。」

■条件設定の新手かもしれません。たとえ手順が平凡でも(本局のことではありませんよ)、条件設定によっては好局になりうるのですね。

枡彰介 「条件から「取った角をつなげて王手し、空成りまで」とすれば玉以外の駒では取れたことになる、と気づいたものの、66で取らせる順が最初は見えませんでした。」

■66で取らせるような順に気づいた時が、もっとも喜びを実感できる瞬間ですね。

S.Kimura 「初手と3手目がどのように限定されているのかを考え、76歩→66角にたどり着きました。空成りの条件がどこに効いてくるのかが分かりませんでした。」

■空成りの条件を外すと、例えば76歩、34歩、68玉、88角成、58飛、95角、77桂、同角成
といった順があります。玉の利きの範囲に敵駒が来ないのだから、玉で敵駒を取るもへったくれもないもんだ、といった作者からのクレームは効きません(笑)。問題文に「ヒモ付
きの駒なので、玉で取れなかった」と書かれている訳ではありませんから、たとえ「玉で取ろうとしたけど取れなかった」とあったとしても、解答者が”先手は玉で駒を取るのが趣味なんだ”と解釈したなら、条件不一致とは言えません。最終手39飛成までの単騎詰、いわゆる「はてるま手筋」も成り立ちます。好手順なので考えてみてください。

花井秀隆 「空成りに苦労させられました。3手目がなかなか見えなかったです。」

■3手目がすぐ見えるようだと、すでにベテランの域です。推理将棋歴が一年になる私も、結構悩んで解いたのですから(汗)

橘圭伍 「紐が付いていても駄目だと思い悩んだ…」

■解けたにも関わらず悩んでしまうこともありましたか(^^;

Norman 「2枚角連携詰を考えたら解けました。余詰消しですが、巧い条件。」

■2条件を要するようなモノが1条件でできると、作家は醍醐味といったものを味わえるんで
すよね。

けいたん 「推理将棋は条件次第。どう指しても一局?」

■条件次第で色褪せた手順が生まれ変わる。先月の13-1「橘圭吾作 強欲 7手」なんか、その最たるものでした。

はてるま 「確かに他の駒なら取ることができたのに・・・。面白い条件設定だと思いました。アイディア一本!」

■お面~っ!一本!それまで

たくぼん 「よく考えれば普通の筋なのに、実に巧みな条件提示ですね。」

■そうなんです。よく見れば、手順自体は基本手筋と言ってよい順なのです。

魚熊 「そりゃーいらいらしますわな。いくら王で取れなくても飛金銀歩ではとれたんだから。」

■実戦で本当にこんな手を指したら、いらいらを通り過ぎてきっと自分の拳骨で頭を殴って自殺したくなるでしょう。


正解:14名

  魚熊さん  S.Kimuraさん  高坂研さん  隅の老人Bさん  たくぼんさん
  橘圭伍さん  躑躅さん  中村雅哉さん  Normanさん  はてるまさん
  花井秀隆さん  枡彰介さん  ミニベロさん  リーグ戦ファンさん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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