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推理将棋第15回解答(1)

[2008年9月28日最終更新]
推理将棋第15回出題の 15-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第15回出題  推理将棋第15回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


15-1 初級 けいたん作  横田くん 10手

「師匠(泣)。たった10手で詰まされてしまいました」
「初手に金はぎこちないのう」
「とどめの飛車打ちを見逃し、王手を3回かけられました」
「横田くんは飛車を横に動かさないとさっぱりじゃのう」

  • 10手で詰み
  • 初手は金の着手
  • とどめは飛車打ち
  • 先手玉に王手が3回かかった
  • 先手が飛車を横に動かす手はない

王手3回が大きなヒント。論理的推理で解いてくださいね。


出題のことば(担当 タラパパ)
  後手は横に動かない飛車をどこで取ったかお考えください。


推理将棋15-1 解答   担当 タラパパ Suiri151

5八金右、▽3四歩、▲2六歩、▽5五角、
▲2七飛、▽3七角成、▲4九玉、▽2七馬
▲4八玉、▽4九飛 まで10手で詰み

後手はわずか5手で、2筋の飛車を取りつつ、3回王手をかけなければならない。難しそうな反面、それだけ手が絞り易いともいえる。

焦って4手目に王手をかける77角の筋では、玉が移動できるのが5手目。するともう一つの命題「飛車を取る」を同時にクリアするには、55角と戻り28で飛車を王手で取るよりなく、王手をかけるのに精一杯で詰みにはほど遠いことが判る。もっとも2筋の飛車を取って詰ませるのに、遠く7筋から攻めようとするのは所詮無理な話。
すると6・8・10手目の連続王手の中で、6手目あるいは8手目に飛車を奪い、10手目に飛車打ちで詰ませなければならない。

次に浮かぶとすれば、55角と出て6手目に28で飛車を取る筋ですが....この場合、初手に金を動かしている先手が、更に37歩まで突かなければいけない。28角成で王手をかけるのは不可能で、これもまた没。

以上の分析から出る結論は、8手目に王手で飛車を取り、その前の6手目にも王手をかけ、10手目に飛車打ちで詰ませる筋。
そのルートは一つ。34歩~55角~37角成(不成)~○○○(飛車取る)~○○飛。

このルートで8手目にどこで飛車を取るかが実はポイント。28で飛車を取れば直接王手になってしまいます。まさか同○とは取れないとすれば、一旦28に近づいておきながら、王手をかけられて玉が逃げる?
残る一手で飛車打ちの詰みになるとすれば、49玉に39飛くらいですが、玉移動だけで3手費やせばそれもまた無理というもの。

28で飛車が取れないなら残る答は一つ、理詰めでしっかり解けるように作られています。そうは言っても、現実にそれがすぐに見えないのが人の常。
そんな時にはあらためて出題文に目をやるのも一つの手段です。「横田くんは飛車を横に動かさないとさっぱりじゃのう」
飛車を縦に動かすとは謳っていないものの、これで飛車が不動ではせっかくの文章やタイトルが泣きますよね。
作意は意外な場所で飛車を取ります。

作者 「そっぽに動く馬が狙い」

■同じ意味なのですが解答者側の印象は「ちょんと上がる飛車が魅力」なのかも。

まじー 「26歩から27飛がいい感じです。」

■28で取らせる手順なら、条件でうまくカバーしないと凡局になりがち。27で取らせる26歩から27飛により手順本体で光りました。

中村雅哉 「飛を2筋で取らねばならないが、普通に28で取らないところが面白い。」

■この筋は知る限り本局が初めて。実にうまいところに目をつけたものです。

躑躅 「飛車のヒントに違和感は感じたんですが、それでも縦には動かないと思い込んで26歩、27飛がなかなか見えなくて、この中で一番時間がかかりました。」

■縦に動いてくれないと、タイトルが泣きますから。躑躅さんにとって、これが上級でしたか。

高坂研 「飛が角筋から外れる27飛はまさに予想外!かなり悩まされた。」

■27飛の味わい、一つの発見と言えるでしょう。

竹野龍騎 「後手角が55から37、または、66から39の経路で28の飛車を取ると考えて嵌まりました。素直に飛車を縦に動かせばよかったのですね。本作に一番時間が掛かりました…。」

■「縦に動かせ」と暗黙に書いてあるんですけどね。

くまちゃん 「最初の王手が77と思い込み、なぜか3問中一番時間がかかりました。」

■王手3回のノルマを達成するには、どうしても77角と早めに王手をかけたいですものね。どうも初級と謳ったこの問題、易しくもなかった模様。よく言われるのですが、推理将棋の難易度はわかりません。自分でも解いているのですが(汗)

S.Kimura 「飛車が縦に動くとは思わず、28で取らせることばかり考えていました。」

■作者を信用しましょう(笑)

渡辺 「最初は「58玉、59飛」で考えていたため、「15角、26飛、同角」の筋に迷い込んでしまいましたが、48玉で良いことに気付いたとたんにあっさり解けました。」

■私にも「駒が何手目に動いた」条件を、”事後調整”で考えてしまうクセがあります。初手が金なので「26歩、34歩、25歩、33角、36歩、15角、26飛、同角」はできないのですが、案外こうした道にも嵌まり込みがち。

鈴木康夫 「48玉、37角、39玉、28角の紛れに嵌りました。」

■誰もが一度は嵌まる紛れ。それでなければ作者もつまらない?

はらたっと 「飛車が横に動かないので第一感は28角成で飛車とって39飛打だが、先手58金、48金、38銀の陣形にすると王手が3回かからない。うーん困った。するってーと飛車が縦に動いて37角成から27馬が両方王手になるようにしたら・・・詰みました。」

■王手が2回ならば28角成でも条件が満たせるのですけどね。

リーグ戦ファン 「角は55経由で37を狙うしかない、等のアプローチで論理的にも追える作品であると共に、なによりの大ヒント、この作品の白眉はタイトルですね。「縦には動いた」と書いてあるようなものですから。論理性とユーモアのあわせ技のバランスで一本勝ち、という感じです。さすが。」

■リーグ戦ファンさんのコメントを拝見すると、解説がいらなくなってしまう。なんたってタイトルが最高に笑えます。

隅の老人B 「最後の一手も王手の勘定に加えて良いのでしょうね。まさか、途中で3回?」

■もちろん最後の一手も勘定に加えてください。

ミニベロ 「この詰め上がりは新型ですね。 飛車打ちを隠せば難しくなりますが、それをしないのがけいたん流。」

■実は当初「とどめは飛車」でした。悩む方のないよう「とどめは飛車=飛車を成る手も含まれる」といったコメントをつけるご相談をしたところ、あっさり飛車打ちを提示していただきました。

はてるま 「27飛がとぼけた味わいで好きです。」

■タイトルと相俟って愉快な気分になれますね。

たくぼん 「飛を縦に動かそうとすると27飛しかないので考えやすいですね」

■問題文を信用して、素直に飛車を縦に動かしましょう。

魚熊 「2手目に王手は掛けられず、4手目に王手を掛けると飛車を取って10手で詰められないか王手3回を満たせないことが判るので、最後は3連続王手。「飛車は横に動かない」がずっと引っかかっては居ましたが、「やはり縦に動かすのか」と考え初めて」

■見事に理詰めで解いていただいたようです。それでも26歩~27飛は気づきにくいと思います。論理的に解けるといえども、閃きは要るのですね。


正解:16名

  魚熊さん  S.Kimuraさん  くまちゃんさん  高坂研さん  鈴木康夫さん
  隅の老人Bさん
  たくぼんさん  竹野龍騎さん  躑躅さん  中村雅哉さん
  はてるまさん  はらたっとさん  まじーさん  ミニベロさん  リーグ戦ファンさん
  渡辺さん  

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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