[2008年10月29日最終更新]
推理将棋第16回出題の
16-3の解答、第16回出題の当選者(リーグ戦ファンさん)を発表します。。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第16回出題 推理将棋第16回解答(1) (2) (3)
推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
16-3 上級 三日京作 古図式発見! 12手
「古い文献を調べていたら、こんなのが出てきたんだけど」
「どれどれ、これは21世紀初期の推理将棋だね。ここに条件が書いてある」
「図面も棋譜もないみたいだから、推理するしかないね」
「12手で端で詰んだ」
「後手は不成で駒を4枚取った、か」
「他に、初手と最終手は小駒の手と書いてあるぞ」
「なるほど、分かったぞ!」
昔の推理将棋って、どんな手順だったのでしょうか。
- 12手で詰み
- 先手の玉は端で詰んだ
- 後手は4枚の駒を全て不成りで取った
- 初手と最終手(1手目と12手目)は小駒の手
不成4回は言わずと知れたあの駒。手筋の知識もほとんど役に立たない面白パズルです。初手は解けた瞬間になってから気づく?
出題のことば(担当 タラパパ)
遠い未来に発見された古図式とは?
推理将棋16-3 解答 担当 タラパパ
▲1八香、▽3四歩、▲6八飛、▽7七角不成、
▲4八玉、▽6八角不成、▲3八玉、▽5七角不成、
▲2八玉、▽3九角不成、▲1九玉、▽2八銀
まで12手で詰み
推理将棋には「駒取り」テーマにする分野があります。もちろん反対の「駒取らず」も。本局のテーマは「不成による駒取り」。2手目に34歩と突いて(条件から必然)、駒を取りながら角不成を4回続けて(これも必然)、端の玉に小駒で止めを刺す手順を求める問題。
最終手に端歩突きはあり得ませんから、小駒の手といえば金か銀を打つ手。後手はこれで一杯です。一方先手は、端に玉が移動するのに4手、残る余裕といえは2手だけです。
初形のままの先手の駒を生角で4枚取るには、77歩、88角、97歩、79銀を取る手順しかありません。この4枚を取って端で詰めるとすれば、最後に79銀を取って97銀と打つくらいでしょうか。それには89桂が邪魔になり、先手に桂を跳ねさせると今度は89が空いてしまうのでこの順はありません。従って先手の少なくとも一手は、後手に連続で取らせることのできる位置に駒を動かす手になります。
ここまでは簡単に推理ができるのですが、ここから先どう方針を立てましょう?
よくある形に、96玉、77角(68角、59角)で頭金(95金)がありますが、77地点に玉と後手角が重複して、うまく交差して抜け出すことができません。かといって、うっかり86歩とでも突こうものなら、そこがザルの穴と化して失敗しますし、端に行く手数がかかり過ぎる56歩も無理筋。そう、6段玉では無理なのです。
後手の角が飛び込む位置は77地点。ならば駒取りが、やり易そうな左辺で解決したいのが心理なのですが、こちらで組み立てるとどうしても88角が邪魔になり、上手く端に行く事ができません。理屈で考えても28飛車の利きを塞ぐ一手が必要になります。困りましたね。
正解はなんと18香!そして継続手が68飛。その意味するところは、28飛や88角が邪魔になるなら、容易に動けない角を戦線から外し、動ける飛車を後手に処分させると同時に端への道を開拓し、戦場を右辺に持っていこうという発想です。
後手角の軌道は77~68~57~39。そして止めは28銀。そのための初手18香でした。
推理将棋では手数の長い部類に入る12手、しかも簡素な条件に意表の初手。余詰のないのが不思議な傑作でした。
作者(三日京さん) 「詰将棋的に言えば、初手の伏線の効果が一番遠い最終手に現れる理想形。この条件で余詰がなかったのは幸運に尽きる」
■作者は詰将棋のベテランの方でしょうか?見事な伏線に感服しました。次作に大いに期待したいものです。
たくぼん 「これは素晴らしい。誰だって9筋と思いますよね。手順も美しく傑作!」
■まさに同感です。
はらたっと 「1筋にもっていくには、初手飛車を動かすしかない。という先入観があって9筋で詰めることばかり目がいきました。最終手大駒でしか詰めれなくてようやく1筋に追う順を検討。78飛、68金で金をとらせると最後飛車の利きがあって詰まない。飛車を取らせると持ち駒で使えるのは銀だけ。。。そこでようやく18香にたどりつく。問題文に「初手は解けた瞬間になってから気づく」なるほど、そのとおり!」
■担当者も9筋ばかり追いかけて実に苦労しました。解けた瞬間に初手に気づいたのは自分なのですが、恐らく他の方も同じだろうと(笑)
リーグ戦ファン 「この問題は、先手は玉4手、後手は34歩→角不成4手→トドメ、が固定されているので、極端に候補手が狭い。角側には玉が自爆せずに端玉に進むルートがないので、飛車側で詰むに違いないと狙いを定めました。4回の駒取不成で端玉を詰めた、という条件だけなら、先手が初手パスして28飛までの11手詰、と考えたら、それに一手足したところに解を発見。なるほど、最後に見つけたのは初手。タラパパさんのヒント通りになりました。」
■冷静な分析でした。リーグ戦ファンさんのように切り替えができれば、悩まずに済んだのでしょうね。
隅の老人B 「「端で詰む」に惑わされて、3日も9筋方面を彷徨、ダメ。諦めて、1筋に転向、初手に吃驚。解けて、ヒントの上手さに感心です。」
■誰でも9筋を考えますよね?
高坂研 「最初に思い浮かんだ手は98香でした。勘がいいのやら悪いのやら…。」
■そういうところに発想が行くこと自体、勘が冴えていますね!
渡辺 「とにかく手が広い。最終手15金から95金まで全部読まされました。紛れが強烈で、最終手飛車打ちで詰む順が10通り以上あると思います。また、「68金、34歩、69玉、77角、78玉、88角、77玉、79角、86玉、68角、96玉、95金」の筋にはまり込んで苦労しました。よくこの条件でユニーク解になったと思いますが、実は「後手は4枚の駒を全て不成で取った」は「後手は4枚の駒を全て成らずに取った」(前者は「成ることが可能だけど成らない」後者は前者に加え「そもそも成ることが不可能な場合もOK」)に変更しても一意性は保たれると思います。」
■たしかに「全て成らずに取った」でも良さそうです。それなら更に初手66歩などの紛れも出て難しそうです。作者の親切心なのかもしれません。
S.Kimura 「88角が邪魔なので先手玉は1筋に行くと予想しました。そして、角は77→68→57→39で駒を取り、玉を穴熊にして28銀で詰みにたどり着きました。個人的には簡単に解けました。」
■この難問が簡単に解けるとはお見事というしかありません。88角が邪魔になると判っても、追いたくなるものなのですが。
鈴木康夫 「玉は9筋、持ち駒に金が必要、との先入観が答えを見にくくしました。」
■普通初めに読む筋はそうなのです(多分)
ミニベロ 「私好みの初手ではあるが、これに気付いたのは、 中段では詰まないことを散々読まされた後の話。 でも本当に未来にまで推理将棋が遊ばれているといいですね。」
■まさにミニベロさん好みかも。推理将棋の未来は、ことによると「詰み」が主流ですらないかもしれません。20年後が見てみたいものです。本作あたり「古典の傑作」と呼ばれていたりして。
中村雅哉 「難問でした。できる事は限られているのに、なかなか18香に思い至りませんでした。」
■18香に辿り着くまで、たしか1週間ほどかかりましたから、まささんよりずっと考えましたよ(笑)
竹野龍騎 「初手がキーポイントなら?と思い、香の手が閃きました。不成の駒取りは銀桂香での最終手の可能性などもあるので、この条件で余詰なしは凄いと思います。ところで、小駒は玉含まず?」
■余詰なしだけで素晴らしい作品。小駒は「金銀桂香歩」でしょうが、玉は大駒とも呼びませんし困り物です(汗)
諏訪冬葉 「角が届きにくい1筋に逃げるとは・・・」
■この発想がなかなかできないんですよね。ここに気づいた作者も素晴らしい!
はてるま 「最初9筋に玉を送ることしか考えていなかったので、ずいぶんと紛れを読まされました。99玉だと、最後の88銀が飛車利きにあたるのが癪だとは思っていたのですが・・・。そこから発想を転換するのにずいぶんとかかってしまいました。もし対局者のコメントが残っていれば、「振り飛車穴熊目指して一目散に行ったら、あっけなく詰まされてしまいました」といったところですかね? 」
■どうしても一つの事にとらわれてしまうのが人間。ダメだと思えば、すぐに発想を転換することができるとよいのですが、読み落としがあるのでは?と疑心暗鬼を呼んでしまうのは自分も同じです。
魚熊 「解答期限の時間が過ぎて、2題だけで解答しようと保存していたファイルを開いて最後の御願いで考えてみる。金を取る順はうまくいきそうにないのはさんざん考えた。銀で詰ますためには、と18香を考えたら詰みそうに見えた。詰んだのを確信したのは、上記の解答を4手まで書いた時だった。雪隠詰めは私も考えていて12手かかることは確認済みだったのですが、私の考えていたのは角側の方。飛車側をこの手順と条件で出題されては、私の問題を表に出す気持ちが薄れてきました。」
■いえいえ、違う筋なのですからぜひ表に出してください。
正解:15名
魚熊さん S.Kimuraさん 高坂研さん 鈴木康夫さん 隅の老人Bさん
諏訪冬葉さん たくぼんさん 竹野龍騎さん 躑躅さん 中村雅哉さん
はてるまさん はらたっとさん ミニベロさん リーグ戦ファンさん 渡辺さん
総評など
総評に入る前にご報告しておきます。16-2の解説で、自分の知る範囲で単騎詰の最短は、龍で8手、馬で10手、飛、角、桂、香で11手と書いたところ、早速、桂単騎詰に10手が見つかりました。龍、馬、桂は限界だろうと思われますが、飛、角、香の単騎は、作品が少ないだけに短縮の余地があるのかも?
中村雅哉 「新人特集でしたが、どれも少ない条件の好作揃いで楽しめました。どなたも次作が楽しみですね。」
■はい、ぜひ継続して投稿いただきたいものです。
はらたっと 「11回に初投稿してから初めて全問回答?解答?しました。うれしいです。問題文の狙いがだんだん分かってきました。自分としては1→3→2の順に解けました。級の設定は難しいですね。」
■全問解答は初めてでしたっけ?私の中ではもう常連強豪なのですが(笑)。ちなみに級の正確な設定は、もう諦めています(汗)
ミニベロ 「新人3人とは嬉しい話。」
■新人の方からの投稿は、なるべく早く採用する方針です。奇しくも詰パラも新人特集で、喜ばしいことにだんだん層が広がってきましたね。
推理将棋第16回出題全解答者: 15名
魚熊さん S.Kimuraさん 高坂研さん 鈴木康夫さん 隅の老人Bさん
諏訪冬葉さん たくぼんさん 竹野龍騎さん 躑躅さん 中村雅哉さん
はてるまさん はらたっとさん ミニベロさん リーグ戦ファンさん 渡辺さん
当選: リーグ戦ファンさん
おめでとうございます。
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