推理将棋第17回解答(3)
[2008年11月28日最終更新]
推理将棋第17回出題の
17-3の解答、第17回出題の当選者(はらたっとさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第17回出題 推理将棋第17回解答(1) (2) (3)
推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
17-3 上級 魚熊作 駒の活用 11手
「また11手で詰まされちゃったよ」
「どんな将棋だったんだい?」
「いろんな駒を使わなきゃだめだって言われたんで、王も含めて5種類の駒を動かしたんだ」
「うん。それで?」
「でも相手は最初に端歩を突いた後、1種類の駒しか使わなかったんだよ」
「それだけじゃ判らないな。他に何を覚えてる?」
「えーっと、4手目に金を動かしたな。あ、そうだ、大駒を続けて動かしたよ」
(条件)
- 11手で詰んだ
- 先手は最初に端歩を突いた後は1種類の駒(※)しか使わなかった
- 後手は王を含む5種類の駒を動かした
- 4手目は金
- 後手は大駒を動かす手が続いた事がある
※飛と龍など生駒と成駒は別種扱い(XX飛と動けば、飛打やXX飛成は可ですがXX龍は不可)
出題のことば(担当 タラパパ)
今月の目玉作品。非凡な着想に気づくことができるでしょうか?
推理将棋17-3 解答 代打ち ミニベロ
ウーム。これは難問だ。
- 先手は最初に端歩を突いた後は1種類の駒しか使わなかった
端角から敵角を奪って2枚角で詰める順なのかな。となると31からの侵入だが・・・。
いろいろやり繰りしても条件を満たせない。困った。最後の手段が「桂馬の出動」だが・・・。33か73で敵桂を奪って、43か63での桂釣るし。先手後手の手数は足りているが、後手の玉も金も動かないので、これもだめ。
こいつは普通の理屈では解けない。
作意手順は、あっと驚く、
▲1六歩、▽4二玉、▲1七桂、▽5一金右、
▲2五桂、▽3二銀、▲3三桂不成、▽5二飛、
▲2一桂成、▽3三角、▲3四桂 まで11手で詰み
21の成桂が退路をしっかりと塞ぎ、角頭の弱点にその奪った桂でとどめ。まさに「駒の活用」で、魚熊さんは桂使いの名手なのかもしれない。手順を限定しながら余詰を消している条件付けの旨さも見逃せない。
私はたまたま、33角・34桂の詰形の未発表作を持っていたので何とか見えたが、桂1枚飛んで行っただけでこれほどの見事な詰みがあろうとは、相当の難問であり、また魚熊さん会心の作でもあろう。
タラパパさんの思い入れがよく分かりました。選題もお見事でした。
さて、恐らく絶賛の短評が一杯来ているだろう。ただし解けていたらの話だが・・・。
中村雅哉 「96歩~97角を誘っておいて、実は桂馬とは!巧みな手順の好作。」
■やはり一応そちらを読みましたか。
駄目な筋を早く捨てるのも解図の力量。
竹野龍騎 「第一感先手は桂、また後手は5枚中4枚は玉飛角金なので、前題と同様に桂吊るしを目指したら楽が出ました。」
■いくら見えるからって、これ、第一感が桂はないでしょう。
結局初級が一番苦戦だったわけですか。
鈴木康夫 「誰もが通る道だと思いますが端から動かす駒は角だと思いました。桂である可能性に気づいてからは5分で解けましたがそれまで100分以上考えました。」
■いい解答者です。しかし計105分では早いほうですね。
1週間は考えてくれないと・・・。
はらたっと 「端歩は「96歩」、先手の1種類は「角」
「角1枚」だけでは詰まないだろうから、後手の角に31に動いてもらって(これが4手目金、大駒連続条件で6手目)とって、どっかに打って成りこんで詰み。
でも、これだと「非凡な着想」にならない。嵌ってるなあ。。。
▲96歩△32銀▲97角△52金左▲53角不成△31角▲31同角不成△62飛▲53角打△41玉▲42角引成詰まないなあ。。。。」
■フフフ、嵌ったな! いい解答者です。こうこなくっちゃ。
はらたっと 「さすが目玉作品ですね。じっくり考えていたら、20日が締め切りでした。もう間に合わないでしょうか。。。。。。解けてスッキリしましたので、一応送ります。」
■滑り込みセーフ! ついに解かれてしまったか!
タラパパさん自慢の選題でした。
はらたっと 「先手の1種類の駒は「角」「飛」「桂」くらいしか考えられず「角」の筋を散々読んだあげくダメ。「飛」は71飛成のルートだが、4手目「金」が重荷になり出動がムリ。ああっ!!「右桂」だ!わかればカンタン。なのになかなか右桂にたどり着かなかった。。。。。。。」
■推理将棋の解図の面白さは、見えてしまえば解図作業はわずらわしくない事です。
勝負は、作意筋に至るまでの紛れをどれだけ長く読ませるか。
それだけに、いかに条件付けが重要かが分かると思います。
ベテランになると「ミスディレクション」まで誘ってきますからね。
渡辺 「97歩から角で追いかけると詰まないんですね。角が駄目なら桂しかありませんが、桂だと詰むのは驚きです。最初は後手が33桂と跳ねて同桂成から35桂、43桂成の筋を考えていましたが、よく考えると、それだと55桂と作意限定できないですね。」
■なるほど、ベテランになってくると、そういうずるい読みをしてくるか!
作家の皆さん、今度このあたりを紛れ筋に使って一作どうですか。
渡辺さんが作りそうな狙いでもあるな。
はなさかしろう 「桂で行くのが面白いか? と勘が働けば解まで一本道。後手の手順を後半の2条件だけで限定するのが腕の見せ所でしょうか。」
■腕のいい作家は、手順と条件、両方巧みです。
初解答の短評というよりは、ほとんど解説ですね。
かなりの力量と拝見しました。作図もよろしくお願いします。
リーグ戦ファン 「私は桂が跳ねていく問題が大好きなので、このスジで成り立つといいけど、と、軽い気持ちで追ってみたら、解がありました。ラッキー。「4手目は金」が、手順前後の解決であると共に、97角から角を成りこむ筋の詰めを消してますね。」
■作者の工夫の条件をきっちり読み取ってくれる実力解答者です。
神無七郎 「いかにも角を主役と思わせて、まさかの桂馬が主役。あまり推理将棋を知らない私が言うのも何ですが、桂4段跳を含む推理将棋では今までで一番面白い作でした。」
■推理将棋で遊んでいると看寿賞が獲れるそうですから、ぜひ常連解答者になってくださいね(笑)。作品も期待しています!
桂の4段跳ねは、作図例も多くはありませんが、本作は古典の名作として推理将棋史に残る作品です。
高坂研 「作者の思惑通り、最初は角を散々読まされる。しかもその副作用として、初手16歩に思い至るのにかなり時間がかかってしまった。完敗です!」
■角から入ると散々読まされるのは仕方ないですね。
しかも角なら左、作意は右の端歩。
その分よけいに遊べたと思いましょう。
たくぼん 「きっと角はダミーと思い、意外と簡単に解けました。推理将棋やってるとだんだん人を信用しなくなるんじゃないかと不安になります(笑)」
■たくぼんさん、強すぎ! 一度は角で嵌らないと。
人は信じなさい、推理将棋には騙されなさい。これがまっとうな人間です。
人は信じない、推理将棋は秒殺、こんな人間になってはいけません(笑)。
宮谷保可楽 「後手は玉飛角金と銀歩いずれか(桂はムリ、香はまず無いと判断)を動かし、先手は端歩のあと角を操った、と考えて進めたのだが、まわりの条件にジャマされて悪戦苦闘。先が見えたのは、先手の角を桂に変えて、33角~34桂吊しを狙った瞬間。5枚目は銀でしたか。」
■いずこも同じ、左端からの角を散々読まされます。
悔しいですが、ここは作者に脱帽でしょう。
はてるま 「時間切れ、降参です。これだけ条件が絞られているのに、解けないとは・・・・・。角の活用がカギと思うのですが、見えませんでした。」
■桂の活用がカギでした! しかしこの順はちょっと見えないです。
最近はレベルが高くなって大変ですが、こういう名作なら難解でもいいですね。
はてるま 「締め切りを過ぎてしまいましたが、17-3がようやくひらめきましたので、送らせていただきます。 角だとばかり思っていましたが、まさか桂とは・・・。恐れ入りました。 「4手目金」の条件が、手順限定と、96歩~97角の筋を消す、一石二鳥のうまい条件と思いました。」
■脱稿寸前に到着! 知らない仲じゃないので馴れ合いでセーフにしましょう。
しかし降参したあともずっと考えていてくれたとは、嬉しいですね。
S.Kimura 「締め切り間際に解けました.問題設定が巧妙としか言いようがありません.作者の術中にはまり,97角から突撃したり,33 (73) 桂成で桂馬を入手したりしましたが駄目でした.大駒以外5種類だったら詰んだのですが・・」
■当然とはいえ、桂をおくびにも出さない巧みな条件、巧妙な手順。
作者の術中に楽しく嵌っていただけたようですね(笑)。
ミニベロ 「これは見事な手順です。実は「33角・34桂」の詰め上がりを隠し持っていたのですが、こんないい物見せられてはお蔵入りかな。」
■いいえ、あなたの事だからきっと知らん顔でどこかに出題するでしょう。
正解:14名
S.Kimuraさん 神無七郎さん 高坂研さん 鈴木康夫さん
たくぼんさん 竹野龍騎さん 中村雅哉さん はてるまさん
はなさかしろうさん はらたっとさん ミニベロさん 宮谷保可楽さん
リーグ戦ファンさん 渡辺さん
総評など
はなさかしろう 「初めまして。はなさかしろうです。以前ぽち(歩知)の名で「やすみに、Nitari。」というブログをやっていました。衝立将棋の記事を紹介していただきましてありがとうございました。さて、今回の問題はいずれも割と解きやすく、解き心地も良い作品でした。」
■ようこそ、推理将棋の世界へ!
この3作が解きやすいとは、ちょっと頼もしいですね。
はなさかしろう 「今回はあっさり解けたので自分でも作ってみました。こちらも見ていただけましたら幸いです。」
■その作品、見たいですね。送ってください。
TETSU注: タラパパさんに送られています。そのうち出題されるかも。ご期待ください。
リーグ戦ファン 「魚熊さんの問題は、察するに、最終形をイメージしてから考えておいでなので しょうか? 結果として手順前後が生じ易いところ、条件で丹念に消しこんでいく形の出題なので、とても親近感を持っています。手筋一本!という作品より も、論理パズルっぽくて、私は大好きです。」
■タラパパさんも選題の言葉で触れてましたが、やはりこの作家は独自の世界観を持っていますね。
純粋パズラーというわけでもなく、かなり叙情的な感性も鋭い。
詰め上がりからの逆算作図、テーマを決めての手順構築、両方とも達者な作者ですが、今度聞いてみましょう。
リーグ戦ファン 「(タラパパさんへ: 17-1、私なら絶対に先手金頭を作意にしただろうと思います。同*を3回、とするくらいしかないのかな。それにしても、魚熊さんが出題者だということをしっかり思い出せていれば、決して叙述トリックを疑ったりはしないのに。しまった(^^; )」
■タラパパさんは今回お休みなのでミニベロから。
初級にそれは考え過ぎだが、当然攻め方の金頭や、金の移動先での頭歩は、すでにリーグ戦ファンさんの頭にあるでしょうね。
宮谷保可楽 「詰パラではたまに解答してますが、こちらは初めてです。よろしくお願いいたします。なお、解答のしかたがわからず、自己流になっていることをお許しください。」
■初解答、有難うございます。パラではお名前拝見しています。
手順と短評さえあれば、解答の書き方は特に問題ないと思います。
次回もよろしくお願いします。
ミニベロ 「魚熊ワールドを堪能しました!」
■優等生のコメントです。
推理将棋第17回出題全解答者: 16名
S.Kimuraさん 神無七郎さん 高坂研さん 鈴木康夫さん
諏訪冬葉さん せっしゅうさん たくぼんさん 竹野龍騎さん
中村雅哉さん はてるまさん はなさかしろうさん はらたっとさん
ミニベロさん 宮谷保可楽さん リーグ戦ファンさん 渡辺さん
当選: はらたっとさん
おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください。
あとがき
代打ちは久々なので、やや暴牌もあったかもしれないが、魚熊さんの特集を私が解説することになったのも、何かの縁なのかもしれない。次回からは勿論いつも通りタラパパさんですので、お楽しみに。
去年の5月から始まったおもちゃ箱の推理将棋。おかげさまですっかり定着したようです。ほぼ同時にスタートした詰将棋パラダイスの推理将棋も、いよいよ来年度からは毎月の連載になるそうです。
MIXI内のコミュで発表された作品数もすでに600を超えています。
新しい手筋も数多く開発され、解図テクニックも向上しています。
しかし、作家・解答者共にまだまだ足りません。
多くの皆様の参加をお待ちしています。
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