推理将棋第23回解答(1)
[2009年6月28日最終更新]
推理将棋第23回出題の
23-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第23回出題 推理将棋第23回解答(1) (2) (3)
推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
23-1 初級 渡辺秀行さん作 4段目の角 9手
「隣の9手で詰んでいた将棋、4段目にいる角の利きに馬が連続で移動していたね」
「うん。8手目は61金だったかな」(条件)
- 9手で詰んだ
- 4段目にいる角の利きに馬が連続で移動した
- 8手目は61金
出題のことば(担当 タラパパ)
8手目の61金、なんとも不思議な手ですが。
推理将棋第23回解説 担当 タラパパ
「9手マイスター」の別名が定着した渡辺さんの特集、推理将棋の新しい風を感じる作品群でした。
とりわけ中上級作品は目から鱗の着想で、広く知って頂きたい傑作です。
推理将棋23-1 解答
▲7六歩、▽3四歩、▲2二角成、▽6二銀、
▲1四角、▽7一金、▲2三馬、▽6一金、
▲4一馬まで9手で詰み
作者 「条件から、76歩、34歩、22角成、?、n4角、?、?馬、61金、?馬ですが、61金は一度動かした金を戻す手ですから、初形から1手で詰み形を作らなければなりません。それには後手は62を埋めるしかなく、手順が自然に決定します。」
作者の論理をさっそく検証してみましょう。まず4段目の角は先手の角なのか、後手の角なのか?
もしも後手の角だとすると、最短は後手44角の筋に馬が動く順ですが、どう頑張っても7手目と9手目。すると、両王手など特異な形ができない限り、9手目の馬の王手に同角と取られて詰まないはず。その特異形を作るには、もう一枚の飛び道具(飛)を5手目に打たなければならないので。
こうして4段目の角が先手角と決まれば、3手目に角を取り、5手目に打ち、残る2手で打った角の利きに馬が連続移動と決定します。
そして必然的に2手目34歩が確定すると、”8手目の61金”が何とも不思議な手になります。常識的には41金が61に動きそうなものですが、2手目34歩では不可能だから。
そう、「61金」は一度動いた金を、また元に戻す遊び手しかあり得ないのです。
61金のような”無駄手の活用”は、新味ある手順を開拓する上で、今後有力な手段と言えそうです。
まさ 「4手目62銀が盲点になり、結構考えさせられました。」
■元に戻る手だと気付いても、たいていは62金~61金と考えますからね。
ミニベロ 「この角のラインは新しいと思う。待ち手が巧妙! 」
■この新しいライン、ミニベロさんも気付いていましたよね?
橘圭伍 「先手の手順が決まっているので易しいという事でしょう」
■論理的な推理で行けますから。
リーグ戦ファン 「61金は41から来たりするかな?角筋は先手だろうね、と予想してから解題。先手角を64・44・24と打ってみて、やっぱり後手角?と考えてみて、やっと先手14角に気付くまで29分。後手金が62に上がれないぞ?と戸惑ってから、71金に気付くまであと1分。この最後の1分の戸惑いが、私にとって推理将棋の楽しさの大きなポイントです。佳品の紹介をありがとうございました。後手ムダ手の処理条件をいろいろ考えてみたのですが、▽61金は実にうまいですね。私だと「7手目は後手の大ゴマに取られる所へ進む手」などと、見苦しいことに。」
■解ける瞬間の楽しさ、推理将棋の醍醐味でしょうか。お示しの条件、これはこれで”あり”だと思いますが。
はなさかしろう 「馬とリンクできる角打は案外いろいろあるんですね。解けてみれば5+2手の順、冗手2手を意外性のある61金で完全限定してしまうところ、やはり巧いです。」
■61金という発想。柔軟な頭脳の持ち主なんでしょうね。
はらたっと 「最初の条件が大ヒントですね。5手目2択で24角が無理なのを確認して14角をチョイス。いわゆる、初心者の食いつき易さを考えた素敵な一題目ですね。」
■初級には格好な作品ですが、初心詰というには難しそう。
鈴木康夫 「最初は角を24に打つのかと思いました。9手の短手数なのに無駄な金の往復があるとは想像できませんでした。」
■24角は王手になってしまうのが辛いんですよね。
竹野龍騎 「厳しい制約条件なので筋道立てて解けました。けれど、謎解きの味は薄く、解後感はいまひとつでした。」
■理路整然すぎて、却って物足りなかった?
宮谷保可楽 「4段目に後手の角がいるものだと思いこんで、頭を抱えることしばし・・・。」
■そこから入るのが、むしろ普通だと思いますよ。
S.Kimura 「”4段目にいる角”という条件がなぜ必要なのか、分かりませんでした。」
■す、鋭い!”4段目”を外しても先の推論は成り立つので、特に謳う必要はなさそうな・・・。
○術師 「違和感のある手順でした。後手の条件が無駄手を指すためだけにあるので、問題のための問題、という印象です。」
■推理将棋は”何でもあり”と考えています。詰将棋では私なんかも自陣成駒がイヤなのですが、それもこれも、”好み”ということでしょう。
高坂研 「例によって、4段目の角を後手のものと早とちり。それに気付いてからも、筋を一つずらすのがなかなか思い浮かばない。結構悩みました。」
■くくくっ、そうこなくっちゃ。
はてるま 「成程62飛だと金が戻れないわけですね。61金、面白い条件でした。」
■そこに着目した作者の勝ち?
正解:15名
S.Kimuraさん 高坂研さん 鈴木康夫さん 竹野龍騎さん
橘圭伍さん 躑躅さん はてるまさん はなさかしろうさん
はらたっとさん まささん ○術師さん ミニベロさん
宮谷保可楽さん リーグ戦ファンさん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
まささん> 62銀が盲点になり
はてるまさん>成程62飛だと金が戻れないわけですね
嬉しいですね。実は、これは第二作意なのです(第一作意は「論理で解き切れる問題」ということですが...)。
推理将棋の9手詰めでは、玉の逃げ道を埋めるために2段目に「飛」または「銀」を上がり、しかもそれが「飛」か「銀」かが非限定となることが多くあります(「銀」ではなく「金」のときもあります)。それを限定するために「飛/銀が動いた/動かなかった」というような条件がよくありますが、本問ではそれらの条件が無いため、慣れた人にとっては62銀は「62飛と非限定では?」となるために第1感では除外する場合があります。
8手目からレトロで考えた人にとっては、金を戻す位置は71以外ないのであっさりと解けすぎて物足りな過ぎたかもしれません。
S.Kimuraさん> ”4段目にいる角”という条件がなぜ必要なのか
最終的には不要だと思いますが、本作は最初の条件だけで「角」=「先手の角」と推測できるようにしたかったのです。
興味があればお考え下さい(類作あり)。
・9手で詰み
・後手角の利きに馬が連続で移動した
・飛が動いた
投稿: 渡辺 | 2009.06.28 23:43
なるほど。61金条件がなければ、5手目に馬が動けるので、後手の角筋への連続移動が可能な訳ですね。
なぜ馬が動く場所が限定するのかを考えると、自然に作意に到達しますね。
投稿: タラパパ | 2009.06.30 02:45