推理将棋第23回解答(3)
[2009年7月3日最終更新]
推理将棋第23回出題の
23-3の解答、第23回出題の当選者(○術師さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第23回出題 推理将棋第23回解答(1) (2) (3)
推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
中上級 渡辺秀行さん作 弟子の見た将棋
A君「さっき変な将棋見たよ」
B君「うん、僕も。歩と角の着手しかなくて退屈だったから9手で見るのをやめたけど」
A君「僕もだよ。22からも、33からも駒を成る手があったな」
B君「あれ、僕が見たのもそうだよ。後手が3筋の着手を連続じゃないけど2回していたな」
A君「僕は最後に55の着手を見たけど。ひょっとして、同じ将棋を見ていたのだろうか?」
B君「さて、どうなんだろう? 師匠に聞いてみよう」
弟子のA君とB君の疑問に答えてあげて下さい。
*中級 弟子の見た将棋(A君)は、推理将棋第23回解答(2)をごらんください。
23-3 上級 渡辺秀行さん作 弟子の見た将棋(B君) 9手
前記、B君の見た将棋
(条件)
- 歩と角の着手ばかりの9手(詰みかどうかは不問)
- 22からも、33からも、駒成があった
- 後手は3筋の着手を連続せずに2回着手した
出題のことば(担当 タラパパ)
意外に難問ですが解後感抜群。中級手順の呪縛から抜けてください。
推理将棋23-3 解答 担当 タラパパ
▲9六歩、▽3四歩、▲9七角、▽5四歩、
▲3一角不成、▽3三角、▲2二角不成、▽7七角成、
▲同角成まで9手
中級を解いた後だと、どうしてもこの手順の呪縛があり、先手の33角に42角でないなら、42歩合かな?などと思ってしまいます。
かといって、後手に77角成を与えては、先手も68角と受けなければならない。こう考えるのもまた中級手順の呪縛。
「77角成を同角成と取ればいいのか!」この閃きにいつ気付くかが解図の全て。気付けば手順の構築は一瞬でしょう。
まさ 「これは難問。先手角のダイナミックな動きが素晴らしい秀作。」
■2つの手順がまったく別物という点が、特に素晴らしいと思いました。
ミニベロ 「しばらく悩んでいきなり解けました。拙作の15手詰に近い収束がありましたから。詰みを外せば9手で表現できるのか! 」
■解ける時はいきなり。この瞬間が堪らないんです(^^)
橘圭伍 「角の回転が少し面白い。2があるので後手が両方するのかと苦戦」
■角の大回転。大技一本!ですね
渡辺(作者) 「23-2と同様に、22と33からの駒成を両方先手の角とすると、76歩、34歩、22角生、?、?角成、同歩、33角、42角、?角成までとなりますが、6手目の同歩は3筋の手ではあり得ませんので没となります(33角成や31角成を同歩とできない)。
したがって、どちらかは後手の角ですが、後手に3筋の手を指させたいので後手が33角とするのが有力です。そこで先手がその角の裏を回って22角生とする手順を考えれば作意順に辿りつきます。」
■それでも、裏に回るなんて、容易に閃くものではありませんが。
躑躅 「こちらは瞬殺でした。」
■げげっ!
リーグ戦ファン 「B君が先に解けた私は変わってますかね。7手目の局面(先手22角後手33角)をまず想定したので、分殺でした。チェスのプルーフ問題っぽいので、解きやすかったかも。3筋「連続せず」2回、の条件は、2手目と4手目の限定目的だけかと思いきや、▲76歩▽34歩▲22角不成▽35歩▲44角成以下、の余詰を防ぐ条件になっているわけですね。A君問題が解けてからやっと気がつきました。」
■貴兄もB君が先? おかしい
はらたっと 「すみませんが、こっちが先にうかびました。中級手順の呪縛どころか中級が見えてきません。(汗)おかしいなあ・・・・。」
■おっかしいって!(汗)
はなさかしろう 「先手はこの筋が第一感でしたが77角成の王手を取って一挙に解決というのがなかなか見えず、解けてスッキリでした。」
■中級の王手対策(角合)と上級の王手対策(王手駒を取る)の対比、なんとも言えません。
鈴木康夫 「最終手を限定できる条件が無いため8手目は77角成、9手目は王手を受ける手までは予想できましたが、68に駒を打つ手はどう探しても見つかりません。
仕方が無いので解答プログラムを組んで解かせました。角の裏側から角を利かすなんて思いつけませんよ!3筋の手が連続しないという条件がないと、3手目と5手目の手順前後の他に34歩35歩として23-2と同様の手順になる余詰が生じますね。バグが無ければ23-2、23-3の完全性が証明されたことになります。」
■こうした時にさっとプログラムを組める。羨ましい。
竹野龍騎 「王手が受からない条件設定が巧い。大きな動きが見事。秀作。」
■竹野さんも詰み以外の条件創作は得意分野ですよね。例の作品、発表しないのですか?
宮谷保可楽 「33からも22からも、成った駒は3択(先手の歩と先後の角)なのだが、この、有り得なさそうな組み合わせ(しかも半分冗談だと思っていた)にたどり着くまでに、大量の時間消費。でも満足。」
■今回の目玉2問。解後感が実に爽やかな秀作でした。満足感たぁ~っぷりでしょ?
S.Kimura 「22か33に歩を打つ手をあれこれ考えましたが、分かりませんでした。後手が角2枚を成る手も見つけましたが、8手目の王手が防げない・・・。答えを楽しみにしています。」
■その8手目の王手を防ぐ対策が、まさかダイナミックな回転だとは・・・・なかなか気付きません。
高坂研 「前問が呪縛となって大苦戦。成の可能性が後手にもあることは分かっていたが、歩が成る筋をしばらく追いかけてしまった。それにしてもダイナミックな展開にびっくり!」
■やはり呪縛になりましたか。自分がここから抜けられなかったので、早く抜けるようヒントに書いたともりでしたが。
はてるま 「角の大回転が素晴らしい。目の覚める手順です。確かに解後感抜群、解けてよかった・・・。」
■膝を叩いていただけたようで(^^)
正解:13名
高坂研さん 鈴木康夫さん 竹野龍騎さん 橘圭伍さん 躑躅さん
はてるまさん はなさかしろうさん はらたっとさん まささん
ミニベロさん 宮谷保可楽さん リーグ戦ファンさん 渡辺さん
総評
まさ 「さすが9手の名手。いずれも楽しめました。」
■特に中級・上級の2問は記憶に残る傑作でした。
ミニベロ 「9手は推理将棋の華! 9手マイスターの渡辺さんだったら、12ヶ月連続で特集をやれるほど作品をお持ちのはず。これからも楽しみです」
■9手作品だけで楽に一年持ちますね(^^)
はなさかしろう 「渡辺さんはテクニカルな作風という印象があります。今回の3問は解いてから振り返るといずれも難しそうには見えない手順でしたが、解く手掛かりを見出だすまでが悩ましく、一気にほどけるところが好感触でした。」
■テクニカルな作風。たしかに。
高坂研 「歩と角だけでも、これだけ面白い手順があるんですね!詰めるのにこだわらないことで、推理将棋の新たな展開が期待できそうな予感がします。」
■オーバーに言えば、推理将棋の明日を拓くものという気さえします。
推理将棋第23回出題全解答者: 15名
S.Kimuraさん 高坂研さん 鈴木康夫さん 竹野龍騎さん 橘圭伍さん
躑躅さん はてるまさん はなさかしろうさん はらたっとさん まささん
○術師さん ミニベロさん 宮谷保可楽さん リーグ戦ファンさん 渡辺さん
当選: ○術師さん
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コメント
A君よりB君の方が正解者が多いのには驚きました。A君はほぼ理詰め、B君は多少のひらめきが必要、
と思っていたのですが...。
リーグ戦ファンさん> 2手目と4手目の限定目的だけかと思いきや〜の余詰を防ぐ
鈴木康夫さん> 3手目と5手目の手順前後の他に34歩35歩
そうなんです。「3筋の着手が連続した」だと35歩の筋で余詰むので仕方なく「連続しない3筋の着手が2回」となったのでした。
リーグ戦ファンさん> チェスのプルーフ問題っぽい
推理将棋をやる前はチェスのPGを解図していました(作図の経験はなし)ので…。でも図面を覚える必要のない推理将棋のお手軽さにかなり推理将棋にシフトしてしまいました。テキストエディタさえあれば問題を記録しておけますから。
ミニベロさん> 拙作の15手詰に近い収束
その作品は角の動きもダイナミックですが本作のように回転していませんし、角とは異なる別の駒の動きが命の構想作だと思います。そしてそちらの動きは15手でないと表現できません。
本作は22から77に角が成る手順を色々いじっていたときに、ふと「22の角が先手だったら?」と考えて浮かんだ手順でした。後手の角の位置は不定ですが33だと先手角なら王手になるので33で指定し、逆に「22からも33からも駒成のある角と歩だけの9手」を考えると、42角合の筋と77同角成の筋しかないことが証明できたので、これらに条件を付けました。
はなさかしろうさん> テクニカルな作風という印象
手順や収束図よりも解を導く思考過程をモチーフとする作り方をすることが多いからだと思います。詰将棋の出来ない人が作るとこうなるのかな?
投稿: 渡辺 | 2009.07.03 10:25
これだから推理将棋の難易度は難しい。
自分で解いた時には、A君の将棋は、さっさっさっと解けましたが、B君の将棋にはずいぶんと悩まされたものです。閃いたら一瞬ではあるのですが。
B君の裏から角をぶん回す手順・・・・・簡単には見えないはずなのに。
お恥ずかしながら、ここにコメント欄があること、知ったのはかなり最近(^^;
投稿: タラパパ | 2009.07.06 01:48