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各種煙詰の限界

[2009年10月4日最終更新] 岡村孝雄さんのコメントを追加。

煙詰とは、初形で39枚全駒配置されていて詰上りは3枚だけになる詰将棋であるが、現在では小駒煙、都煙、貧乏煙、歩なし煙などたくさんの変種の煙詰が創作されている。おもちゃ箱記録に挑戦!で、最長手数の部 盤面と詰上りの条件最短手数の部 盤面と詰上りの条件に、主な煙詰の長手数・短手数の記録作品が登録されている。いずれも基本的には詰上りは3枚だが、都煙(5五で詰む煙詰)だけは3枚の詰上りが不可能なため、詰上り4枚のものを都煙と呼ぶ。また小駒都煙は4枚の詰上りが存在するが逆算不可能なため、詰上り5枚のものを小駒都煙と呼んでいる。

最近、おもちゃ箱掲示板に、岡村孝雄さんより歩一色煙(初形玉と歩18枚、持駒なし、詰上り3枚)が存在しないことの証明が投稿された。また、あいきかずさんより、「飛・角・銀を使わない煙詰めの最長手数」の寄稿があった。ともに興味深い内容なので、ここで紹介したい。また、歩一色煙については、詰上り4枚のものを歩一色煙と呼ぶことにしたい。

なお、あいきかずさんの「飛・角・銀を使わない煙詰めの最長手数」は、香があると合駒で飛角銀を入手できる可能性があるので、「飛角銀香を使わない」とする必要があると思われる。

関連情報: 煙詰  ネットで見る煙詰  一色煙詰作品募集


詰上り3枚の歩一色煙は存在しない  岡村孝雄
 (おもちゃ箱掲示板 2009年8月29日)

今月の展示室も解答締切間近ですが、「夏休み煙詰大特集!」壮観ですね。どの作にも唸ってしまいます。
ところで、その煙詰に関連して……。
「記録に挑戦!」の表に「1-117 盤面玉と歩18枚、詰上り3枚(歩一色煙)」という項目があり、“調査中”となっていますが、この条件を完全に満たす詰将棋は“存在せず”だと思います。
しかし、感覚的に無理と思うだけではなくて (^^; 、実際に何手まで逆算できるのかを調べてみましょう。

玉+と金2枚の計3枚で詰む詰上りが存在するのは、11玉・21玉・31玉・41玉・51玉および19玉の6箇所(61玉~91玉は左右対称の玉位置があるので省略します)。順に見ていきます。

1.11玉型

  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉|一
| ・ ・ ・ ・ ・ と 歩 歩 ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ と ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし


上図のパターン(22歩→31と、42と→43と、と置き換えられるので、実際には2×2=4通りの図がある)が最長手数となりますが、9手。

2.21玉型

  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ と ・ 歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ と|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし


上図のパターン(12歩は持駒、14と→24とまたは34と、と置き換えられるので2×3=6通り)が最長手数となりますが、7手。

3.31玉型
4.41玉型
5.51玉型
図は省略しますが、1手が最長です。

6.19玉型

  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ と|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ と ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ と ・v玉 歩|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし


上図のパターン(19歩を省く図もあり、2通り)が最長手数となりますが、7手。

初形歩18枚から詰上り歩2枚にするには最低でも33手以上の手数を要しますので、1.~6.のどの詰上り玉位置でも、歩18枚を使い切ることができないのは自明です。

……というわけで、歩一色煙は存在しません。
ただし。ここでちょっと解釈のしかたを変えて、煙詰の詰上りの要件を“詰上りで全ての盤上の駒が働く”(=盤上のどの1枚を取り除いても、詰みではなくなる)とすればどうなるでしょう。玉と歩18枚だけでも煙が実現できてしまいます。
詰将棋って、実に不思議ですね。


飛・角・銀を使わない煙詰めの最長手数について  あいきかず
 (2009年9月20日)

掲示板は滅多に見ないのですが、岡村様の書き込みを知り、私も豆腐煙や鶯煙の限界を一年前に調べた事を思い出しました。
他には双裸玉煙も調べ、双方の玉位置、持ち駒に飛か角か金か銀があるケースを全て調べましたが最長は7手でした。
豆腐煙は9手が限界でしたので、飛び道具の桂香が加わる鶯煙は十数手が限界かと予想していましたが、斜め後ろに利く駒が無い制約が大きく、11手が限界のようです。
証明文と図を書くのが大変で、投稿は控えておりましたが、今回岡村様の図を活用して書かせていただきます。

【飛・角・銀を使わない煙詰めの最長手数について】

飛・角・銀を使わない、つまり金・桂・香・歩に使用駒が限定された図の場合、盤の外周部以外に玉が移動する煙詰めは不可能。
盤の外周部の(下図の○付き数字)25マス以内を玉が移動する逆算のみ可能。○内の数字はそこに初形玉を配置した場合の最長煙手数

  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ⑨ ⑦ ① ① ① ① ① ⑦ ⑨|一
| ⑤ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ⑤|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ⑪ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ⑪|四
| ⑨ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ⑨|五
| ⑦ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ⑦|六
| ⑤ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ⑤|七
| ③ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ③|八
| ⑦ ⑦ ・ ・ ・ ・ ・ ⑦ ⑦|九
+---------------------------+


ですから煙詰めは非常に限られます。岡村様の図を活用させていただきますと、下記の5種となります。

1.玉軌跡一段目のみ、2.玉が1二にも移動、3.三金入玉図、4.四金入玉図、5.四桂消す開始中段玉

1.玉軌跡が11→21→11→21→11の9手詰め(初形の3二が邪魔駒)

  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ と ・v玉|一
| ・ ・ ・ ・ ・ と 歩 ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ と ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし


上図を香のみ図式に置き換えは可能ですが、金のみ や 桂のみ や 金桂図式 に置き換えは不可。3二歩の邪魔駒を金や桂に代用できません

2.玉の軌跡が11→12→11→21の7手詰め(初形の2二が邪魔駒)

  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ と ・ 歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ と|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし


上図を香のみ図式に置き換えは可能(2二香,2三成香,2四成香,2五香)ですが、金のみ や 桂のみ や 金桂図式 に置き換えは不可。2二歩の邪魔駒を金や桂に代用できません

3.三金入玉図 7手詰め

  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・v玉 ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし


入玉図は桂+(金か成小駒2枚)で無い限り、金(か成小駒)のみでしか作図できません

4.四金入玉図 7手詰め(野田氏作)

  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・v玉|九
+---------------------------+
先手の持駒:金


1七と3九の金は、成小駒に置換可

5.四桂消す開始中段玉 11手詰め

  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ と ・v玉|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ と ・ 桂|九
+---------------------------+


4桂+金(か成小駒)2枚が最も長く逆算できます

従って、飛・角・銀を使わない煙詰めの最長手数は、
7手詰め…金のみ、桂のみ
9手詰め…香のみ、歩のみ(豆腐)、金香歩、金香、金歩、香歩
11手詰め…金桂香歩、金桂香、金桂歩、桂香歩(鶯)、金桂、桂香、桂歩
ではないでしょうか。

金桂香歩煙の最長がわずか11手とは、いかにも短いので不思議ですが、斜め後ろに利く駒が無い制約は思いのほか厳しそうです。


re:飛・角・銀を使わない煙詰めの最長手数について  岡村孝雄
  (おもちゃ箱掲示板 2009年10月4日)

皆様こんにちは。
詰将棋メモの「各種煙詰の限界」の中にある、あいきかずさんの「飛・角・銀を使わない煙詰めの最長手数について」に関して、コメントさせていただきます。

> 従って、飛・角・銀を使わない煙詰めの最長手数は、
> 7手詰め…金のみ、桂のみ
> 9手詰め…香のみ、歩のみ(豆腐)、金香歩、金香、金歩、香歩
> 11手詰め…金桂香歩、金桂香、金桂歩、桂香歩(鶯)、金桂、桂香、桂歩
> ではないでしょうか。

「金桂」と「金歩」は、金銀煙の全検に関連して調べたことがあります。
その結果、「金桂」「金歩」ともに、最長は17手詰でした。
このうち、「金桂」は下図のように金4枚桂4枚を全て使い切ることができ、金桂煙は存在します。

また、「金桂歩」については、「金桂」の図の攻方の金をと金に置き換えることにより、少なくとも17手以上になることが言えると思います。

・金桂(17手詰)
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・v金v金v玉 ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v圭v金 ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ 桂 桂 桂 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし


・金歩(17手詰)
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ と ・v玉|一
| ・ ・ ・ ・ ・v金v金v金v金|二
| ・ ・ ・ ・ ・ と と 歩 歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし

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コメント

「海雪」(詰パラ2009年3月、69手)は、投稿時には「届かないな、最長手数にも煙にも」と思い(余談ながら、それも題名の意味のうちの1つ)、解説もそれを引きずって書いたのですが、小駒都煙の例を読むと、なるほど詰上り4枚で歩一色煙と呼ぶのも理に適っている感じですね。
今後も色々な煙詰の変種が出てくるでしょうが、“煙詰の定義は”について考えさせられるような作品も、その中でまた現れるのかも知れません。

投稿: 岡村孝雄 | 2009.10.12 22:35

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