推理将棋第29回解答(2)
[2010年1月30日最終更新]
推理将棋第29回出題の 29-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第29回出題 推理将棋第29回解答(1) (2) (3) (4)
推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
29-2 中級 渡辺秀行さん作 8手目は空き王手 10手
推理将棋新聞より
「第n回推理将棋名人戦七番勝負の第1局は名人の先手で初手は歩と平凡な展開かと思われたが、10手で名人の玉がトン死する大波乱となった。勝った挑戦者は『8手目の空き王手が気持ち良かった』と感想で述べている。」
さて、七番勝負の第1局の棋譜は?
(条件)
- 10手で詰んだ
- 初手は歩
- 8手目は空き王手
出題のことば(担当 タラパパ)
易しいけれども気付かないと苦労するかもしれません。
追加ヒント:
大駒を動かしたのは先手だけです。
推理将棋29-2 解答 担当 タラパパ

▲7六歩、▽8四歩、▲6八玉、▽8五歩、
▲7七玉、▽8六歩、▲6八飛、▽3四歩、
▲7八玉、▽8七歩成 まで10手
推理将棋新聞より「・・・勝った挑戦者は『8手目の空き王手が気持ち良かった』と感想で述べている。」
なんでもない問題文なのですが、この”気持ちの良い”空き王手が、まさか単純な34歩だとは思わない。
人の心理の機微を心憎いまでに読んだ上なのか、あるいは瓢箪から出た駒なのか、26歩からつんつん歩を突く推理将棋の基本7手に、余分な手を付け加えただけの代物でありながら、普通なら最初に動かす歩を、我慢して、我慢して、8手目まで引っ張る作意は、多くの解答者の目を眩ませてくれたようです。
橘圭伍 「一番時間が掛かった作品。単純過ぎて見えなかったか」
■気付かないと苦労すると見たのは、解けずにとうとう解答を覗いてしまった自己の経験から。作意に呆然(笑)
ミニベロ 「この作者は、推理将棋の勘所をよく御存知です。この条件でこの詰みは見えません。」
■実に勘所を捉えていると思います。
はてるま 「実をいうと相当悩みました。別にひっかけでもないのに、まんまとやられた、といった感じがするのはなぜ?個人的に傑作と思います。」
■その感触ははてるまさんばかりではありませんでした。
渡辺 「拙作だったのですが、手元のメモから消えていて少し考えてしまいました。推理将棋の基本7手詰ですね。これだけの条件で限定できたのは幸運でした。」
■作者までが考えてしまう。これはやはり傑作なのかも。
斧間徳子 「最初、76歩、32飛、33角成、同飛、68玉、○○○、77玉、○○飛・・・の筋かと思ったが、これだと3手目の成/不成が非限定となるので却下。8手目が34歩となる筋を考えたらあっさり解けました。」
■つまり「空き王手=34歩」と見当をつけないと解けない?
中村雅哉 「角取り~角打ち~開き王手の筋はまるで詰まないし、32銀~31角~54歩は、もう1手の手順限定ができない。よって8手目34歩しか考えにくく、すると玉軌跡指定がないので56歩~58(48・68)玉~57玉~66玉のような手順のはずがないので76歩~68玉~77玉はまず間違いない。では後手は34歩を突くまでどうやって手順限定されるのか考えると84歩~85歩~86歩くらいしか考えられず、そこから作意が見えました。7手目66玉と思い込むと悩みそうです。」
■冷静ですねぇ。私なんか解けずに頭がパニクってました。
リーグ戦ファン 「▲86玉▽85歩までの筋、が先に見えて、完全にハマリ、一日では解けませんでした。まさか基本7手詰筋に3手足しただけとは。まさに「推理将棋は条件付け」ですねぇ。」
■上で斧間さんが示された筋ですね。
神無七郎 「角筋を開けるのを最後まで我慢できれば解ける作。しかし、これが第1局ということは続きがあるということでしょうか。観戦記者が職務放棄したくなるような展開に期待。」
■その我慢がしきれません。あと6局、きっと続くのでしょうねぇ。
平尾一土 「この条件でこの詰め上がりになるのは、意外だった。」
■ですよね。
はらたっと 「33桂、33飛と据えてから、移動での空き王手でしばらく検討しました。「えー、なんで後手の手の縛りが全然ないの?」と思ったらもしかして7手詰めの変形という考えに至り、そこからは一瞬でした。後手の初形からの34歩が空き王手というのは個人的にはあんまり受け入れ難い条件です。」
■34歩・・・たしかに空き王手なんですけどね。
たくぼん 「いろいろな空き王手を考えただけに、何だかだまされた気分(笑)」
■だまされる楽しさでしょうか。
DD++ 「ギブアップです。先手がこの条件のために大駒を動かすイメージがさっぱりわいてきません・・・。」
■DD++さん、初解答ですがかなりの実力者とお見受けしました。作意を見て驚くでしょうね。
隅の老人B 「77王が大妙手、2手目に34歩として大苦労。」
■8手目まで待てませんよねぇ~♪
S.Kimura 「この筋にまた悩まされるとは思いませんでした。」
■柳があれば、必ず3匹はドジョウがいるのです。きっとまたこれに悩まされますよ(笑)
竹野龍騎 「簡潔な条件に驚く。」
■「不成はなかった」とか、無意味な条件をつけたら却って難しいのかも。邪道ですけど。
高坂研 「例の7手詰の筋だが、味付けが絶妙ですっかりダマされた。」
■同感です。なにしろ解けなかったのですから。
○術師 「今年に入ってから長期間ハマっていました。頭の中で考えているのに限界を感じ、盤駒使ったら解けましたが、無駄手が作意の中心になっている手順は相変わらず私にとって鬼門です・・・。」
■76歩、77玉、34歩の3手が無駄手。嗚呼!
正解:17名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん 神無七郎さん 高坂研さん 隅の老人Bさん
たくぼんさん 橘圭伍さん 竹野龍騎さん 躑躅さん 中村雅哉さん
はてるまさん はらたっとさん 平尾一土さん ○術師さん ミニベロさん
リーグ戦ファンさん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
3手余分に指すと意外なことが達成できるという例ですね。ただ3手も余計な手があると手順前後が豊富で条件付けに悩まされますが、本問では「初手は歩」だけで限定できたのが幸運です。他の例としては
・10手で詰み
・54歩と突く手が飛取りだった
・3手は玉、5手目は歩
というものがあります。後半の条件は強引ですが、このぐらいしないと手順が限定されません。
投稿: 渡辺 | 2010.01.30 14:58
駄目ですね。
・10手で詰み
・54歩と突く手が飛取りだった
・初手と5手目は歩、3手は玉
でないと限定できません。
投稿: 渡辺 | 2010.01.31 14:22