推理将棋第32回解答(3)
[2010年5月6日最終更新]
推理将棋第32回出題の32-3の解答、第32回出題の当選者(はらたっとさん) を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第32回出題 推理将棋第32回解答(1) (2) (3)
推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
32-3 上級 DD++さん作 両隣の将棋(2) 10手
初級と同じ会話
(条件)
- 10手で詰み
- 先手の着手は同じ歩の手4回と、飛の手1回のみ
- 先手の飛の手直後に後手は7筋の手を指した
- 4手目は5筋の手
- 成る手が2回あった
出題のことば(担当 タラパパ)
居玉を詰ませる代表3手段は、金に働くか、桂で吊るすか、両王手。
追加ヒント:
先手の成った駒が取られました。
推理将棋32-3 解答 担当 タラパパ
▲5六歩、▽3四歩、▲5五歩、▽5二飛、
▲5四歩、▽5五角、▲5三歩成、▽同飛、
▲4八飛 、▽7七角成 まで10手。
32-2の9手順が論理的に一意に導けるなら、手数が示されていなくても、こちらは10手でしか実現できないことは明白なのです。ところが現実はそうではありません。機械ならぬ人間の思考は、疑心暗鬼に捉われ、自分を疑い、揺れるものです。
さて手数が10手で、先手玉は居玉です。ヒントにも書きましたが、ごく特殊な詰上がりを除いて、居玉を詰ませるには「金に働く」「桂で吊るす」「両王手で詰ませる」しかありません。先手は金を動かしませんから「金に働く」は金を取ること。
「4手目は5筋の手」が実に困った条件で、後手が34歩と角道を開けるとしても、4手目に先手陣に入ることができません。「金に働く」「桂で吊るす」手段は消えて、残る手段は両王手しかありません。居玉を両王手で詰ませ、4手目が5筋なら、手段はひとつだけ。52飛と回り、55角が37角成又は77角成として詰ませる形。
先手の歩は三段目までしか伸ばせませんから、52飛で歩を払います。というわけで、本問も作意手順が論理的に導き出せます。
しかし、この両王手が10手でできるんですねぇ。
作者 「原案(mixi743番)では、先手の手が計5回だけという条件があるのをいいことに手数を隠し、完全に同一の条件で先手勝ち手順と後手勝ち手順が1つずつできる、という趣向作品でした。ただ、手数を隠すとこちらの順を見つけるのはかなり難しいと思われたので、おもちゃ箱では手数を明かしてみましたが、いかがでしたでしょうか。」
■おもちゃ箱向けにありがたい反面、原案で出してみたかった気持ちもありました。でもかなり難しくなるでしょうね
リーグ戦ファン 「金付き居玉を詰ませるとなればこの筋でしょう。二問とも、山ほどある非限定(手順前後、成不成、左右同形、無駄手処理)を、わかりやすい同じ3条件でクリアしたのはさすがですね。馬鹿話ですが、32-3、「後手の手が歩・飛だけの9手詰」と、問題を脳内で変換してしまっていたので、全然違う解を送るところでした。 (▲43桂ないし▲63桂までの吊るし桂)」
■52飛に桂吊るしですか。同じ脳内変換、意外にやってしまうんですよ。全条件を覚える代わりに急所だけ覚えようとした時。
はらたっと 「同条件で9手と10手というのに感心しました・・・。詰め上がり図は私も考えたことがあったので偶然ヒラメキましたが、条件付けが32-2とあわせて見事です。」
■同条件異手数は、詰将棋でいえば新手筋開発に匹敵する価値かと。
斧間徳子 「これも簡単でしたが、作者の原案どおり、手数を明かされなかったら、相当難しそうですね。」
■飛車の手1回と、同じ歩を4回突いた先手が、10手で詰むなんて、第一感が拒否しそうですから難しいでしょう。
はなさかしろう 「この両王手は攻方6手、玉方3手と思い込んでいました。55角の空移動で10手の手順にできるのが意外で面白かったです。」
■同様にそう思い込んでいました。ですから、多くのベテラン勢には当たり前の詰上がりでも、私にとって意外な手順でした。
渡辺 「作者がmixi内で別の両王手作品(高坂氏の有名作品と同類の詰上がり)を出題した際に、「10手の両王手はあと3パターンあるよ」という話をしたのですが、それがこういう形になって出題されるとは思いもよりませんでした。欲を言うなら「2度の成」の駒を9手詰めとは異なる駒でやりたかったですね。」
■そんな裏話がありましたか。残る10手3パターンを探してみるのも一興かと。後半、同感ですが欲張り(笑)
平井康雄 「最後が77角成までの両王手と決めてしまえば後はほぼ必然的に決まりますね。上級というよりは初級向けじゃないですか?これはやっぱり2題セットで評価しないといけないですね。全く同じ4条件で、別の9手と10手が成立するというマジック。推理将棋初心者には感動物でした。」
■しょ、初級ですか! 推理将棋は長い私ですが、同じように感動マジックでした。
たくぼん 「他の条件一緒で手数だけ違うというのは創るのが難しそうですね。お見事でした。」
■きっとたくさんあると思います。ただ、見つけるのは難しい。
竹野龍騎 「4回指す歩が詰みに関連するような手順を考えたら、両王手が閃いて解けました。手数違いで2題揃っているのは面白い。」
■”4回指す歩”は必然的に、途中で取ることができないことも意味するので、推理の上では強力な手助けですが。
○術師 「先手の歩4手が有効手となるためには後手の駒を働かせてあげないと・・・と考えたら、飛車を使うのが一番でした。詰み形を作るために一度影に入る気持ち悪い角が逆に感触良いです。」
■きっちり手数が足りるものと、私はそちらに感心しました。
S.Kimura 「ヒントから52飛が思い浮かびました。そして、冒頭に両王手と書いてあったのを思い出し、ようやく詰め上がりが分かりました。」
■実をいうとヒントは、論理的に容易に推理できることしか書いていません(^^; 我ながら不親切なヒントです。
superkuppabros 「桂吊るしは明らかに手数が足りないため除外して考えたところ、両王手の手順が思い浮かびました。」
■少し考えると、両王手以外はまったくダメなのですが、それでもなかなか決め打てないもの。すぐ浮かびましたか?
諏訪冬葉 「出題コメントから両王手と決め打ちしました。」
■コメント、実は一般論に過ぎません。勘が鋭いんですね。
ミニベロ 「なるほど。同じ条件でできるんですね。」
■不思議ですよね。
はてるま 「5筋の歩をやり過ごして、55角と途中下車するのがうまいですね。前問とは対照的な詰め上がりで、組問題としても相当な出来かも。」
■冒頭でも述べましたが、古典として残りそうな気がします。
正解:15名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん superkuppabrosさん 諏訪冬葉さん
たくぼんさん 竹野龍騎さん DD++さん はてるまさん
はなさかしろうさん はらたっとさん 平井康雄さん ○術師さん
ミニベロさん リーグ戦ファンさん 渡辺さん
総評
はらたっと 「2、3月はバタバタしており(仕事の都合で引越しするハメになりました)ゆっくり推理将棋に取り組む余裕がありませんでした。今回は意外にも、3問ともスンナリ解けました。」
■それはお疲れ様でした。個人的に引越しは幾度も経験しているので、あの面倒さはよく判ります。
はなさかしろう 「松田圭市さん・安江久男さんの詰パラ推理将棋2009最優秀作も解いて爽 快、ダイナミックな手順でした。案外論理が効くというのも推理将棋ならではですし、条件付けの技で二度楽しい問題でした。」
■そちらも解いてくださいましたか。両名にとって『自分が創った』とは言えない創作経過の作品でしたが(汗)
○術師 「今夜はナイター観戦のため帰宅後に送れるかどうか分からず、昼間のうちに送ります。もちろん、普段のように締め切り当日夜に解き終えるようなギリギリにならなかったのが大きいのですが。どの問題もぼーっと条件見ていたら全く解ける気がしませんでしたが、真面目に?考えたら案外あっさり解けました。32-2、3は条件が多すぎて当初は抵抗感ありましたが、解いてみるとどれもきっちり利いてきたのでスッキリしました。両題ともに後手角が77に成るのが意外でした。」
■ナイター観戦とは羨ましい。思えば半世紀ほどナイター観戦していません。行きたいなぁ~。
ミニベロ 「初級・上級は、どちらも詰手順そのものは推理将棋の初期に開発された順ですが、こうやって同じ条件のツインにすると、全くの新作ですね。これも推理将棋の可能性を広げるものです。」
■自分的には10手上級手順は知りませんでしたが、全体として同感です。唸る発想でした。
推理将棋第32回出題全解答者: 15名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん superkuppabrosさん 諏訪冬葉さん
たくぼんさん 竹野龍騎さん DD++さん はてるまさん
はなさかしろうさん はらたっとさん 平井康雄さん ○術師さん
ミニベロさん リーグ戦ファンさん 渡辺さん
当選: はらたっとさん
おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト
から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知
らせください。
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コメント
手数かくしたまま解いてみたかったとい方へささやかなプレゼントです。
どうしても解答が知りたい方は、
mixiで私を探し出してメッセージを送っていただくのが一番はやいでしょうか。
よろしくおねがいします。
---------------------------------------------
「昨日、1桁手数のひどい負け方しちゃってさ」
「あー、俺も俺も」
「最初に右金を斜めに動かす手が後にああなるとは」
「俺も予想できなかったなぁ」
「あとは33にいた角を77角成とされたのが痛かったな」
「あー、俺も俺も」
「まさか君、僕とまったく同じ手順で負けた?」
「そっちの将棋も見てたけど、君とは全然違う手順だよ」
条件
・1ケタ手数で詰んだ
・最初に右金を斜めに動かした人がいる
・33にいた角が「77角成(棋譜上)」と移動した
・以上のような将棋が2つあった
投稿: DD++ | 2010.05.07 07:23
おぉ。こちらは角を使ったツインですね。
ところで「移動」というのは駒を取りながらでも良いですか?
投稿: はなさかしろう | 2010.05.21 02:56
ええ、もちろん駒を取りながらでも構いませんよ。
ただし、同と取るのは棋譜上表記が変わってしまうので、
以前からそこにあった駒に限りますね。
投稿: DD++ | 2010.05.26 08:23
なるほど...そうか。そうですね。
面白いです。どうやったら作れるのか、想像がつきません。
投稿: はなさかしろう | 2010.05.28 00:07