推理将棋第32回解答(1)
[2010年5月1日最終更新]
推理将棋第32回出題の32-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第32回出題 推理将棋第32回解答(1) (2) (3)
推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
32-1 中級 ミニベロさん作 三捨利警部の推理 主犯は誰だ 11手
「警部、今度の11手詰事件は、小駒の成駒による連続王手です」
「2手目は分かるかね」
「はい、4筋の手であることは判明しています」
「なるほど、主犯は分かった。もしかしたら新しい手口かもしれないよ」(条件)
- 11手で詰んだ
- 小駒の成駒による連続王手があった
- 2手目は4筋の手
※すでに成っている小駒による連続王手です。
出題のことば(担当 タラパパ)
相手の駒を取って打つ余裕はありません。
追加ヒント:
先手が成った小駒は、自陣から出て行った桂か歩。
推理将棋第32回解説 担当 タラパパ
今月の3局はいずれも、推理将棋の古典になるかもしれません。
ミニベロさん作は、なんと言っても手順・詰上がりの美しさ。
DD++さんの2局は、同じ会話で「手数が違う2局」を成り立たせた、歴史的なツイン作品として(mixi出題の原案)残ることでしょう。
推理将棋32-1 解答
▲7六歩、▽4二玉、▲7七桂、▽5四歩、
▲8五桂、▽5三玉、▲7三桂成、▽6四玉、
▲7四成桂、▽6五玉、▲7五成桂 まで11手
77から出て行った桂馬が、成桂となって、初手に突いた76歩頭に鎮座するまでの小旅行。先手の角桂歩が好連携し、後手の54歩まで幸便に退路を塞ぐ詰上がり図の美しさは言葉になりません。
桂をテーマとした名局には、当コーナー2008年出題「17-3 駒の活用 11手(魚熊さん作)」がありますが、この作品と共に、恐らく推理将棋の古典の一つとして歴史に残るのではないでしょうか。
先手は7手目に小駒を成って、王手で2度動かさねばなりません。成駒が取って打った小駒なら、3手目に取らねばならず不可能(5手目に歩は打てない)。自陣から出て行って7手目に成れる小駒は、桂か歩しかないことが分かります。
最終空き王手が考えにくいとすれば、詰上がり、何らかの駒で小駒成駒にヒモがついています。その駒は普通に考えると飛香のどれか。
成駒は歩が有力と思いがちですが、13、23、93に成ったと金が連続王手で詰ませる順はありません。なぜなら、例えば「22と」は「21と」の利きを完全に包含してしまうので、と金は縦・縦とは動けません。また42玉に対して、33と~22とのような動きも、玉が32に戻る手を防げないからです。
2手目「4筋の手」は右で詰みそうに思わせ、飛頭の歩に注目させる効果があるかもしれませんが、いかに早く、こうした歩の呪縛から逃げられるかが解図上の勝負でした。
DD++ 「なかなか解けないので7手目に小駒の成駒を作る先手手順27通りを虱潰ししました。しかし、53以外の桂成は経路が特定できないだろうと思って後回しにした結果、解答までに大きく迂回。完全にやられました。4筋と聞いて意識を右側に振られることもあり、小駒の成駒を1回動かす9手詰(26歩、42玉、25歩、32玉、24歩、42銀、23歩成、31玉、22と)をベースにどうにかしたくなるのが大きな罠ですね。」
■答案を拝見すると、この問題が一番難しかった模様。素直に上級とし、ツインを初中級に据えるのが正解でした(汗)
リーグ戦ファン 「私の大好きな婦警(歩桂)詰め。44成桂まで、なんて脳内で考えてしばらく転がしてましたが、ミニベロさんだったら初手の歩も活かそうとするはず、とひらめいたら、すぐに答がありました。ちょうど▽53玉とタイミングが合って、桂の跳ね先が限定されるところに強運を感じます。」
■どうせ駐車違反とられるなら、美人婦警さんのほうがいいですよねぇ・・・って、何の話?
はらたっと 「小駒の成駒は桂か歩しか考えられず(取って打つヒマはない)第一感は「桂」か。成駒にヒモをつけることを考えると角筋では「33」「44」「55」のどの地点にもムリなので、角筋で玉の退路を塞いでの詰め上がり地点は「65」だな。とヒラメキました。」
■飛車筋をぜんぜん考えないとはズルい(笑)
斧間徳子 「本作、なかなか解けずに随分悩みました。85桂とソッポに跳ねる味が抜群。傑作。」
■ソッポの桂がうまいこと限定してしまうんですよね。
はなさかしろう 「2筋のと金がうまくいかないので89の桂を跳ねて行くのですが、角との連携が33、44、55とうまくいかず、そういえば75もあるか、と。53玉のタイミングの関係で桂のルートが決まるのが良い味でした。」
■65桂では53から玉が出て来られない。85桂が自動的に決まるのが味。
渡辺 「”2手目は4筋”がミニベロさんらしい巧い条件。私だと”玉頭の歩を突いた”として詰み形を明かしてしまいそうです。おかげで10手で35金までで詰める筋を知らない人にとってはかなり気付きにくいと思います。歩成が駄目だといつ見切りをつけるかがポイント。」
■4筋条件は解答者の眼を右に向ける役割もあり、流石の巧みさでした。
平井康雄 「今のところお手上げです。7手で歩か桂を成り込ませることは可能ですが、それを後2回王手で動かして詰め上げるんですよね?支えの駒は当然角か飛なんでしょうね?どうやっても詰み上がり形すら見当つきません。」
■平井さんは、言わずと知れた詰パラ大学担当者。これは第一便の声。推理将棋はほぼ初挑戦だそうです。ありがたいですねぇ。
平井康雄 「7手目で成れる小駒は歩か桂しかないのは容易にわかるのですが、詰上がり形の想定がなかなかできませんでした。また、桂が成る位置は53でなければ桂の軌跡が限定できないはずだ、と一旦思い込んでしまうとそこから抜け出すのが困難になります。85桂が想定外の1手でした。」
■第二便できっちり軌道修正。”桂の軌跡が限定できないはず”この思い込みは、他の解答者の皆さんにも共通の罠になった模様です。
たくぼん 「『初級の初めに出題されているので、26~23歩成と誰しも思うよね~。しかも2手目42玉だし、どう考えても上級でしょこりゃ。』と書いたがよく見たら1番だけど中級だった(笑)でも難しかったよ」
■上級でよかったようです(^^;
○術師 「成小駒を2手引くのは予想がついたのですが、その場所がすぐには分からず...長期間放置してから再度解いたらすぐでした。85限定がスパイスですね。」
■推理将棋でも冷却期間をとるのは有効。
S.Kimura 「最後まで分からなかったのがこの問題です。最後に成桂を角の効きに置くと ばかり思っていたのが失敗でした。桂馬が85と65に行けるので、73桂成を読みづらくしていたのもうまいですね。」
■76歩の利きに持っていく手順に気付いた作者の勝ちですね。
superkuppabros 「飛車先の歩だと思ったのですが・・・全然分かりません。」
■きっちり紛れにハマりましたね(笑)
諏訪冬葉 「今回一番苦労しました。9、11手目に成駒で連続王手だから最終手にはひもがついていけないといけない→飛車か香車の先と勝手に思い込んでいたら76歩があった。」
■予想以上に飛車先の紛れが強かったようでした。
はてるま 「85桂が限定されているのがうますぎます。11手で難しすぎずエレガント、こういうのは貴重ですね。」
■はい、85桂限定はとても”美味しい”と思います。
正解:13名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん 諏訪冬葉さん たくぼんさん DD++さん
はてるまさん はなさかしろうさん はらたっとさん 平井康雄さん
○術師さん ミニベロさん リーグ戦ファンさん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
駒が無駄なく働いているところや、85桂が自動限定なところも気に入っています。
「4筋の手」で、少しでも2筋の歩を考えてもらえたら成功です。
投稿: ミニベロ | 2010.05.01 14:37
7手で成れる小駒は歩か桂しかないと考えた方が多かったようですが、実は香も7手目で成ることができます。
「16歩、14歩、15歩、同歩、同香、(何か)、17~19香成」もしくは9筋版。
もちろん、そこから成香の手2回ではまったく詰まないので、この出題を解く上では無視していいレベルですけども。
投稿: DD++ | 2010.05.01 15:32
たしかに香も7手で成れるんですね。
こういうのを見落としていると、いざという時にたいへん(汗)
投稿: タラパパ | 2010.05.03 00:37