易しい推理将棋・解けたその日からすぐに作れる! (4)
[2010年8月28日最終更新]
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易しい推理将棋・解けたその日からすぐに作れる! (4) 条件の付け方 ミニベロ
▲7六歩 △6二玉 ▲3三角不成 △6四歩
▲7七桂 △6三玉 ▲2二角不成 △5四玉
▲3六角
(詰め上り図)
この順は古い拙作ですが、当時としては面白い詰め上りの難解作で割と気に入っています。しかし私の当時付けた条件がお粗末。
- 9手詰
- 先手は同じ駒を続けて動かさなかった
- 成る手と途中の王手はなかった
- 後手は5筋以外の同じ筋の手を3回連続で指した
- 金銀は釘付けだが、桂馬が跳ねた
言い訳になりますが、詰め上り形は面白いのに、
- 角の成り生の限定が必要
- 5手目と7手目が逆でも良いので限定が必要
- 65の地点をカバーする手が3種類ある(77桂・66歩・66角成り)
- 玉の軌道が52でも62でも良い
- さらに、64歩と玉移動の手順限定が必要
これだけ手順そのものにアバウトな部分があるのです。オートマチックに手順が限定されるラッキーな作品もありますから、この順はこういう定めだったのでしょうか。
いえいえ、これだけ限定すべき項目が多いということは、こういった講座の教材としては最適な作品、と解釈しておきましょう。
皆さんはどんな条件をつけられましたか。やはり限定には苦労されたと思います。
さてここで、次の作品を見ていただきます。
推理将棋第34回出題
34-1 初級 DD++さん作 勇み足 9手
- 9手で詰んだ
- 後手の着手は「64歩、62玉、63玉、54玉」
- 空成があった
(詰め上り図)
最近の作品ですから、覚えておられる方も多いでしょう。注目すべきはその条件です。後手の指すべき手をすべて明かしてしまって後手順を限定し、「空成があった」として、もろもろの非限定(成り生、手順前後他)をすべて消してしまいました。
9手にしては難解な部類の36角迄の本手順をあっさり啓蒙作と割り切り、こんなシンプル条件で再生してしまうとは、さすがに今売り出しの精鋭DD++さんです。
両方を比べた場合、善悪は好みによって分かれると思いますが、とても参考になる条件付けだと思います。
DD++さんに聞いてみたのですが、「ミニベロ作は承知していた。肝心の36角とは無関係の非限定部分が多いので、思い切って後手順全公開した」 とのことでした。英断でしたね。
実は先日この順を「94問題」にアレンジしてMIXIで出題してみました。
- 2手目は52玉
- 5手目は2筋に不成り
- 7手目は7筋
- 8手目は5筋
DD++さんがちょっと考えてくれたらしいです。やはり「条件が違えば別物」なんですね。
次回から2週連続で、渡辺秀行さんの「創作同時進行講座」をお送りします。講座原稿を書きながら作品を作るという大胆な試み、どうなることでしょうか。
お楽しみに。
参考
易しい推理将棋・解けたその日からすぐに作れる! (3) へのコメントとして渡辺さんの案が示されているので紹介しておきます。 (TETSU)
8月27日、渡辺さん 「非限定が多くて難しいですね。こういう案は如何でしょうか?
・9手で詰み
・自分の歩頭に角が成った
・玉頭の歩を突いた
・とどめは3筋の着手 」
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コメント
>渡辺さん 非限定が多くて難しいですね。こういう案は如何でしょうか?
なるほど! 3条件で旨い限定です。
危ない順もきれいに逃れていますね。
参考になります。
「成り」が入る条件では、これが一番シンプルかもしれませんね。
みなさんはどうでしたか?
投稿: ミニベロ | 2010.08.28 13:46
ミニベロさんによると、最後の94問題は私が「ちょっと」考えたことになっていますが、実際はかなり本気で悩まされました。
各手順の存在を知っていてもその数は莫大なので、「この条件ならこの手順が該当するはず」的な解き方はほとんどできませんから、既知手順でも条件が変わるとまともに解くしかないですからねぇ。
なお、おまけ情報ですがこの手順、65を馬で抑える場合に限り、5-7手目の手順前後が出ないので、1つ課題が減って少しだけ限定が楽になったりします。私が(たぶん渡辺さんも)65を馬で抑えに行ったのはそれを見越してのことです。
非限定がやたらと多い手順にはこういう「この非限定でこっちを選択するとこの非限定がなくなる」というのが混ざっていることも多いのでシンプルに条件をつけるのであればそういうのを探すというのも重要になってきます。
もっとも、そうやってシンプルさを目指してできたものが解いて面白いものかというと、全く別な話なのが難しいところですが。
投稿: DD++ | 2010.08.28 20:22
> 私が(たぶん渡辺さんも)65を馬で抑えに行ったのはそれを見越してのことです。
はい、その通りです。もっと言うとその手を「角成」とすることで33角生、22角生が生に限定されます。
> そうやってシンプルさを目指してできたものが解いて面白いものか
大抵は、その非限定の選択によって面白さはあまり変化しないと思うので、効率よく非限定を消すのは良いことが多いというのが自分の考えです。
投稿: 渡辺 | 2010.08.29 01:14
> 大抵は、その非限定の選択によって面白さはあまり変化しないと思うので、効率よく非限定を消すのは良いことが多いというのが自分の考えです。
そうですね。言われてみればたしかにそんな気もします。
そもそも、ここでこっちを取らないと面白くない!というのであれば、それは非限定ではなく作意か否かというところに組み込まれる話になるでしょうしね。
言い方を変えれば、「どっちにとっても面白さに影響しない」からこそ非限定という扱いになっている、というか。
そう考えれば、効率よく非限定を消すのはよいことであるというのも尤もな話です。
投稿: DD++ | 2010.08.29 10:32