推理将棋第36回解答(2)
[2010年9月3日最終更新]
推理将棋第36回出題の36-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第36回出題 推理将棋第36回解答(1) (2) (3) 参考
推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
36-2 中級 DD++さん作 ゴテゴテした推理将棋 9手
(条件)
- 9手で詰み
- 2手目は歩の手
- 4手目は金の手
- 6手目は飛の手
- 8手目は角の手
出題のことば(担当 タラパパ)
8手目に着目して、想像を巡らせてください。
追加ヒント:
意外に難問。後手の着手の一つは「駒を打つ手」です。
推理将棋36-2 解答 担当 タラパパ
▲7六歩、▽3四歩、▲2二角成、▽3二金、
▲5二角 、▽同飛、▲3二馬、▽6二角、
▲4一金 まで9手。
易しい手順ではありません。
まず明らかなのは居玉で詰んだこと。単手数で居玉を詰める代表的な手段は、何度か書いてきましたが、(1)金に働く(相手に動いて貰うことも含む)(2)桂吊るし(3)両王手です。もっとも、その他の方法でDD++さんから、10手という手順を示されましたが(^^)
(2)も(3)も簡単に無理だと分かりますので、先手は何らかの駒を取り、駒打ちまでの順を狙う訳ですが、攻めの中心はやはり先手の角です。論理的にも解ける手順ですが、少し閃きに頼ってみましょう。
注目すべきは8手目の角の手。22角が一度だけ動いて、居玉の詰みに貢献できる手って、あるでしょうか? あるとすれば、先手31飛成までの詰みをアシストして利きを外すくらいですが、条件から先手の飛車は活躍できません。
この問題を解決する大胆な発想が、8手目の角を「打った」と仮定することです。つまり3手目に角を取り、5手目に打ち、6手目に取らせるのです。こんな風に。
76歩、34歩、22角成、??金、??角、同飛、??馬、??角、??○まで。
この穴埋め問題になれば、作意はほどなく導けますね。作意中、32金をすぐに取らず、間に一呼吸52角を挟んで時間差で取るのが、気持ちのよい妙手でした。
ミニベロ 「何手目と駒種は明かすが場所は教えない。これは意外と難問。『8手目角』に縛られて後手角を取れないと泥沼に陥る。」
■打ったことに思い至らなければ、いくら時間をかけても解けない筈。
DD++ 「後手の条件ばかりで先手の着手には何も触れず。なのに先手の無駄角打ちが限定になるのがお気に入りです。『8手目角の有効手がなさそうだから無駄手なのだろう』と決め打ち、『96歩、54歩、97角、52金左、31角成、62飛、32銀、何か、41馬』を考えて見事8手目に先手馬をスッパ抜いた方、ありがとうございます。(いらっしゃるかな?)」
■その手順に触れた評はありませんでした。ところで8手目は”無駄角打ち”なんですか?(笑)たしかに他の手で代用はできますが。
香箱 「8手目居角が動くのでは面白くないとみて角のラリーを決め打ち。」
■お見事な直感でした。
はらたっと 「タラパパさんのコメント8手目の角の手の意味を考えると、初形からの角移動は無意味で6手目の飛車で角をとってどっかに打つ手だな。と決め打ち!となると22角成から馬で金を入手して角は逃げ道を塞いで金打ちまでがほぼ想定内。」
■素晴らしい!上級者の思考でした。
はなさかしろう 「綺麗な条件付けですね。居玉なので金対策と退路封鎖が課題ですが、歩の手は直接は関係なく、8手目の角を有効手にするしかありません。技ありの限定でした。」
■それこそ『居玉の定跡』の活用ですね。
リーグ戦ファン 「指定が後手限定されているのは、条件が頭に入りやすい。今回いちばん論理パズルっぽく、すっきりした秀作だと思います・・・・後手の囲い、たしかにムダにゴテゴテしてますね(^o^)」
■無駄にゴテゴテ?言われてみれば、そんな気もしないでは・・・・。
斧間徳子 「条件がきれいで、手順も濃密。94問題の傑作!」
■後手で統一した条件設定が素晴らしく、こうした統一感は94問題の進むべき道の一つだと思います。
渡辺 「後手が飛角を指すのは逃げ道封鎖なので手筋の62角は慣れれば第一感。論理的に解くには、8手目角移動だと31金が打てないこと、4手目金で飛が2筋まで動けないことから、8手目に角を打つには飛の軌道に角を打つしかないことを考えます。」
■この問題、論理で解いてしまうのが勿体無いような、そんな気がしてなりません。
竹野龍騎 「詰まされる側で揃った条件が綺麗。」
■いい所に目を付けてくださいます。
たくぼん 「かつて同じ順の作品を解いた事あるくせに、条件が変わると、トンと見えなくなる。作者の勝利。」
■条件が変わると、見える世界も変わる。これ、ミニベロさんの口癖ですが、まさに至言。
隅の老人B 「今夜も暑い、また寝付かれず、推理将棋。8手目は角?、これがなかなか思いつかない。仕方がないので、クーラーON。」
■クーラー代が高くついたら、『おもちゃ箱』オーナーのTETSUさんにご請求ください(笑)
けいたん 「この角打ちでまささん作を思い出した。」
■『大駒3枚を打った』という作品ですね。私も同じ作品を思い浮かべました。
高坂研 「まささんの作を知らないと、確かに難問かも。」
■逆に知っていると、反射的に浮かぶ手順。あの9手作品はすでに古典ですから。
まさ 「きれいに後手だけ条件を揃えた、巧みな作品。手順もなかなか技巧的です。」
■そのご本人は冷静に見ていらっしゃいます(^^)
みや 「初級が10分ほどで解けたので残り2週間ほどはずっと中級にかかりきり・・・・でも解けませんでした。」
■この中級は、かなり難しいですから。特に5手目の時間差攻撃。
S.Kimura 「金を早く入手すべく5手目に同馬としたため苦戦しました。5手目に52角とは・・・・。」
■同馬を待つことが、心理的になかなかできないんです。推理将棋初期の自分がそうでした。
鈴木康夫 「5手目同馬6手目同飛の紛れに嵌りました。」
■32金と指させたら次は同馬。ごくごく当然の感覚なのですが、それこそが誘いの罠。6手目同飛は本線ですけど?(笑)
洞江元太 「これも中級というよりは初級という問題。すぐに解けた。」
■これを初級と言える方は、相当の実力です。
はてるま 「角のやりとりがトリッキー。気付かないとハマるかも。「ゴテゴテした」というのは、条件がすべて後手のものだから? 」
■命名はその通りかと。
正解:19名
井上徹也さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん けいたんさん 高坂研さん
香箱さん 鈴木康夫さん 隅の老人Bさん たくぼんさん 竹野龍騎さん
DD++さん 洞江元太さん はてるまさん はなさかしろうさん はらたっとさん
まささん ミニベロさん リーグ戦ファンさん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
> けいたん 「この角打ちでまささん作を思い出した。」
> ■『大駒3枚を打った』という作品ですね。私も同じ作品を思い浮かべました。
この作品は、最初から後手の手の駒種のみを書くことを決め付けて、それで限定になる手順を探す形で作りました。が、やはり先手の手が自由すぎてなかなかうまくいかず、特徴的な手順の9手に何かヒントがないかと探して、思い当たったのがそのまささん作。そこから後手角打ちをうまいこと利用するヒントを得ました。なので、この問題を解いてまささん作を思い浮かべるのも無理のない話です。
> みや 「初級が10分ほどで解けたので残り2週間ほどはずっと中級にかかりきり・・・・でも解けませんでした。」
すみません、中級でという依頼だったのですが、一発大きなひらめきが必要な、中級にしてはやや難しい問題となってしまいました。2週間めいっぱいかけて片方を解くことを目標にするなら、今回のであれば上級のミニベロさん作に取り掛かったほうがよかったのかもしれません。推理将棋は人によって感じる難易度がかなりばらつくので、「中級より上級の方が簡単だった」というのはよくある話なので(笑)
ちなみに命名は、はてるまさんご指摘の「条件が後手後手後手後手」というところと、リーグ戦ファンさんご指摘の終局図の飛角使いのゴテゴテした囲い、また、スッキリした条件のわりには手順も角を取って取られてでゴテゴテしているあたりをひっくるめてつけました。
投稿: DD++ | 2010.09.03 12:05