« 詰将棋メモ(2010年9月3日) | トップページ | 詰将棋メモ(2010年9月4日) »

易しい推理将棋・解けたその日からすぐに作れる! (5)

[2010年9月4日最終更新]
< 易しい推理将棋(4)  易しい推理将棋・目次  易しい推理将棋(6) >

推理将棋がはじめての方はまずこちらを ===> どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


今週・来週と2週続けて渡辺秀行さんの「創作同時進行講座」をお届けします。講座原稿を書きながらライブで9手詰を作るという試みですが、さてどうなるでしょうか、楽しみです。 (ミニベロ)


易しい推理将棋・解けたその日からすぐに作れる!

(5) 「創作同時進行講座」  渡辺秀行

今回はなにも無いところから問題を作ることを考えてみましょう。一つの例として後手に何かやりにくそうなことをさせてみます。たとえば、

(条件)

  • 9手で詰み
  • 後手は44飛と指した

という条件を考えてみましょう。

これは後手の力だけでは「44歩、45歩、42飛、44飛」と4手すべてをかけないと達成できまん。また、この図を先手が5手で詰めるのは難がありますから、先手の協力を得て達成することになりますが、当然その協力とは「43歩を取って4筋を空けること」です。

したがって、
76歩、42飛、33角成、?、43馬、?、馬を退ける、44飛、?まで9手で詰み
(ただし42飛は2手目とは限らない)
となります。

9手で馬単騎はありませんから7手目は駒取りで9手目はその駒を打ちますが、21馬からの桂打では詰みませんから61馬からの金打しかありません。また、61馬に対して44飛と指せるためには玉は王手にならないように予め逃げる必要がありますから、後手は32金、41玉と指すことが必須でとどめは52金です。

76歩、42飛、33角成、32金、43馬、41玉、61馬、44飛、52金まで

ただし、42飛を4手目/6手目とする手順前後があります。これを解消するために42飛を6手目となるように指定します。

Ys05a (条件)

  • 9手で詰み
  • 後手は飛を連続で移動させ、44に遣った

(解答)

▲7六歩、△3二金、▲3三角成、△4一玉、
▲4三馬、△4二、▲6一馬、△4四飛
▲5二金 まで9手で詰み。

これで簡単な論理で解ける1条件問題の出来上がりです。

もちろん最初の条件次第ではいきなり答が決ることもありますし、限定条件を沢山付ける必要が出てくるときもあります。しかし、簡単な論理で解けるシンプルな条件の問題 -- このような問題はどこでも歓迎されます -- が作りやすいですから是非試してみて下さい。


いい作品ができたら、私まで連絡ください。一緒に検討してみましょう。
入選級でしたら、タラパパさんに推薦いたします。
推理将棋への質問や疑問もこちらへメールください。

beonworks@jcom.home.ne.jp  ミニベロ

|

« 詰将棋メモ(2010年9月3日) | トップページ | 詰将棋メモ(2010年9月4日) »

推理将棋」カテゴリの記事

コメント

> したがって、
> 76歩、42飛、33角成、?、43馬、?、馬を退ける、44飛、?まで9手で詰み
> (ただし42飛は2手目とは限らない)
> となります。

後手4筋歩は43でなく44で取るほうが速いことも多いので
76歩、44歩、同角、42飛、角を退ける、44飛、?、?、?
のパターンもこの段階では可能性を考えておく必要がありますね。実際はがんばってもせいぜい
76歩、44歩、同角、54歩、71角成、42飛、72銀、44飛、61馬
で、飛がどいたせいで42玉と逃げられて失敗、くらいがせいいっぱいですが、この順序で作問するならこれで詰まない確認をしておくことは必須かと思いますので補足しておきます。

投稿: DD++ | 2010.09.04 13:34

> 後手4筋歩は43でなく44で取るほうが速いことも多い
実は9手では44の方が早いケースはありません(すなわち44歩が単なる無駄手になっているケースしかない、ということです)。正確には要検討ですが、個人的に導きだした定理の一つです。
簡単な見積もりとしては、後手が44歩という不要な手を指しているので後手は1手しか詰みに関係ある手が指せませんから、1+5手=6手で詰みに必要な手数を満していない、と言う計算が出来ます。

投稿: 渡辺 | 2010.09.06 10:10

「詰むのには7手必要」という基本にのっとって、5+2手を読むことに集中しています。
この文章では84歩、85歩、84飛、44飛などの手順も「手数が足りない」ので考察を省いています。44歩、42飛、44飛に関しても同様の理由で省いています。

投稿: 渡辺 | 2010.09.06 10:24

> 実は9手では44の方が早いケースはありません

ええ、わかっています、私は。解くのも作るのも一応これだけ経験はありますから、経験則として。
しかし、この講座はほぼ初めて推理将棋に触れる人を対象に書かれており、そういった方々がそういう経験則を持っていることはないわけで、「歩を取るのが43なのは当然」としていることに違和感を覚えたので、補足させていただきました。
本当は「9手で馬単騎はありませんから」あたりも経験があまりない方はおそらく知らないでしょうから、これを前提知識としていいのか?というところも少しひっかかってたりするんですけどね。

コメントで追記された「詰めるには有効手が7手以上必要だから」とか、そういう情報も初心者向け講座として本編に必要な情報だったように個人的には思います。この連載を見た本当に初心者の方が製作するときに、このコメント欄まで読んでくださることを祈るのみです。

投稿: DD++ | 2010.09.06 16:23

この講座の主旨は「軽く読めて、作図を『する気になるように』すること」であって「完璧で抜け目のない理論を提供すること」ではありません。
そこを理解したコメントを頂けると幸いです。


また、44歩のような後手が1手損している手については、実際の作図時には読まずに最終の検討時にのみ読むのが王道です。通常の作図時にはメインの手だけで不成立になって条件追加が必要になることがほとんどです。また、作図終了までストーリーが一本道に流れないと初心者には見通しが悪いです。5分程度で読めるような文章量と内容量をにしたつもりです。逆にこの講座を読んだ初心者が44歩はどうなの?と疑問に思うならば、それはこの回の講座の成功を意味します。その人の思考はもう作図に向かっています。

また、「馬単騎は10手から」などの便利な経験則を提供することもこの講座の主旨の一つです。こういうのはただ並べるよりも実際に使って見せた方が覚えが良いので、このような情報を盛り込むことに意味があると考えます。


あと「初手76歩に対する2手目44歩が一手損でしかない」は経験則ではなくて簡単な論理で証明可能です。
コメント欄まで読んだ人のために練習問題として提供しておきます。


また、迂遠な条件付けで2手目が44歩が妙手となる推理将棋が作れるかも知れません。DD++さん(もしくは超上級)向けの問題として提供しておきます。
私も考えておきます。

(メタ推理将棋 -- 超上級向け)
下記を満す推理将棋を作れ。(当然唯一解ではありません)

・9手で詰む
・最初の三手は「76歩、44歩、同角」
・「3手目は44(同)角」「71の駒/銀を取った」「7筋に駒が成った」「3筋の歩は取らなかったが4筋の歩は取った」などの条件を用いないこと
 (この条件を厳密に定義するのは難しい -- というよりは不可能ですが、主旨としては「44歩、同角」を可能な限り隠すような条件付けを求めます)

投稿: 渡辺 | 2010.09.06 23:57

> この講座の主旨は「軽く読めて、作図を『する気になるように』すること」であって「完璧で抜け目のない理論を提供すること」ではありません。

ええ、理解しているつもりです。が、知らないことをさも当然のように次々と使われているものはあまり読む気がしない(私は学生時代の専門書でよく体感し、いくつかは実際に理解ができず途中で投げ出しました)ので、途中で読むのをあきらめてしまう人がいないか、というのを心配しています。

> あと「初手76歩に対する2手目44歩が一手損でしかない」は経験則ではなくて簡単な論理で証明可能です。
「44歩を取らせる必然性はないが一手損ではない」ケースはありますよね。つまり、手順前後させれば44に歩が残ったままでもいい、以下のような場合。

・9手で詰み
・終局時先手持ち駒は「金歩」
・5筋の歩を突いた
・トドメは駒打ち
(検討かなり甘いので余詰んだらごめんなさい)

攻方6手あれば、3手目44同角で取らせないと困る例も作れるんですが・・・。

投稿: DD++ | 2010.09.07 10:28

このTETSUさんのページにたどり着いて、本記事「易しい推理将棋・解けたその日からすぐに作れる!」を閲覧している人。という時点で、その大半がスイリストか詰将棋の人ですよね。。。。
詰め将棋の人で普段は推理将棋に興味をもたないという方と、本当にたまたまTETSUさんのページにたどり着いた
初心者のかたが本記事を読んだときに、渡辺さんがおっしゃられているように「なんで44がダメなんだ?」と思った時点で
興味が向かれている証拠なので、この講座の趣旨として成功というのは理解します。
ただ、DD++さんがおっしゃられるように、
>知らないことをさも当然のように次々と使われているものはあまり読む気がしない
>(私は学生時代の専門書でよく体感し、いくつかは実際に理解ができず途中で投げ出しました)
これは誰しも学生時代体感している。
本当は、他の専門書とかを買って調べたり、教授に質問すればわかるのだが、
1.「その答えが書いてある専門書が自分では検索できない。金もない。」
2.「身近にいる友達に聞いてもむろんわかる訳ない」
3.「教授は、大学の講義で自分の好きなことをベラベラ述べるだけで、あんなやつに質問したくもないし、そんな機会もない」
という訳で、途中で投げ出すことになる。
本記事の場合、ミニベロさんにガンガン質問メールが殺到し、ミニベロさんから丁寧な説明があれば大丈夫だが、
実際に問い合わせメールがどれほど来ているか?ギモンだ。。。

なので、DD++さんが初級者レベルでの突っ込みポイントをコメント欄で補足し、興味がわいた人はコメント欄まで見るだろうから、そこでフォローできるという現状体制がいい。という中途半端な結論で締めておく。
(コメント長くなり恐縮です)

投稿: はらたっと | 2010.09.09 14:39

自分は学生時代に居たところが世界中の数学研究者が集まるところで、フィールズ賞級の大数学者の話を聞く機会にも恵まれましたが、彼等ですら自身の専門分野で証明を知らない定理は沢山あります。証明を知ることよりも実際にそれを使って新しい事実を導き出すことの方が重要だ、と言うのです。
なのですべてをまるっきり理解する必要はないのですよ。「こういう雰囲気と方法で作図する方法もあるのだ」ということを知るのが重要なのです。

高校までの勉強はそもそも内容が簡単だし、すべてがすべて(その気があれば)理解できるように教科書なども書かれていますが、逆に言うと発展性に乏しくて面白くなかったですよね。大学だと遥かに難しく、教科書は不親切(というか不完全で間違いも多い)、論文はもっと不親切(数学の場合 -- コンピュータサイエンスだと親切なものも多いような気がします、他の分野は分かりません)。だけど理解できる部分だけを継いだだけでも内容は遥かに面白い。とはいいつつ、私も最後まではついて行けずに落ちこぼれましたが…。

ということで「自明ではない内容」だけど「軽く読める」ということを考えた結果です。最初は44歩などの細かい手の考察も含め、かつ第六回の内容までも含めた長い長い1つの文章だったのですが「これでは軽く読めない」ということで、2つに分割した上に内容をバッサリ削ったのです。

> 途中で読むのをあきらめてしまう人がいないか、というのを心配しています。
だからこそこの分量に拘ったのです。この量だと、途中で理由の分からないことが書かれていても読み流せるでしょう。最初の文章だとたぶん最後まで読めません。

>・9手で詰み
>・終局時先手持ち駒は「金歩」
>・5筋の歩を突いた
>・トドメは駒打ち
>「44歩を取らせる必然性はないが一手損ではない」ケースはありますよね。
「一手損」の意味を最後の問題まで出来た時点で考えるとそうですね。私の言った「初手76歩に対する2手目44歩が一手損でしかない」
はその後はフレキシブルに考えた場合です(作図の途中で使う定理ですから)。本問だと最後は金打でも詰みますしさらにその場合玉は寄らなくても詰みます。
この「フレキシブルに考えた場合」と「最後まで出来た時点で考えた場合」との差を問うたのが、上記のメタ推理将棋のつもりでした。
という訳で、上記の問題はその立派な解答になります。この(メタ推理将棋に対する)解答のポイントは「無駄手のために無駄を重ねさせる」ことにあります。
もう一つ別の視点での作例は

・9手で詰み
・初手76歩
・6手目41玉
・とどめは3段目に金打

というのがあります。これで何故44歩、同角に限定されるかを考えてみるのも面白いと思います。

> 攻方6手あれば、3手目44同角で取らせないと困る例も作れるんですが・・・。
そうです。すなわちそれは基本的には11手以上でのみ考える筋なのです。

投稿: 渡辺 | 2010.09.14 02:15

考えてみました。
>・9手で詰み
>・初手76歩=a
>・6手目41玉=b
>・とどめは3段目に金打=c
1.b⇒cへ流れるためには8手目は32,42,52玉3択。
2.とどめで41玉に戻れないということは7手目王手。
3.7手目王手できる駒は53桂生は詰まない。
  5手目後手の駒を取って打つのも最終手も駒打ちなのでムリ。
  したがって馬しかない。
4.馬の位置は41に利いて3段目の金打にもヒモがつけて
  しかも後手が6手目41玉の前に2段目に動かした左金
  を取ってなければいけないので32,42,52馬3択。
5.馬が強力すぎるので、馬と玉の位置関係は
  32玉、52馬か52玉、32馬の組み合わせしかないが
  52玉では3段目に金を打ったとき51と6筋に逃げる手を
  防げないので、32玉、52馬で確定。
6.32玉だと43金打までなので、金を打てるように44歩と突く必要がある。
  (唯一76歩-33角成-43馬-52馬のルートも6手目41玉でダメである)
7.ここでaの初手76歩が96歩-97角-53角成の別ルートを消していることに気づく。
8.76歩-44角-53角成といくためには2手目44歩3手目同角が限定。
解答
▲76歩△44歩▲同角△52金▲53角成△41玉▲52馬△32玉▲43金まで9手

投稿: はらたっと | 2010.09.14 12:47

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 易しい推理将棋・解けたその日からすぐに作れる! (5):

« 詰将棋メモ(2010年9月3日) | トップページ | 詰将棋メモ(2010年9月4日) »