« 詰将棋メモ(2010年10月15日) | トップページ | 詰将棋メモ(2010年10月16日) »

覚えておきたい推理将棋の基礎知識 3

[2010年10月16日最終更新]
< 推理将棋の基礎知識 2  推理将棋の基礎知識 目次  推理将棋の基礎知識 4 >

推理将棋がはじめての方はまずこちらを ===> どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


覚えておきたい推理将棋の基礎知識 3  ミニベロ

■無駄手・遊び手・待ち手の有効活用

先手・後手の手数をカウントして、どちらも同じ数なら偶数手作品(先手玉を詰める)、先手が1手多ければ9手詰作品のように後手玉を詰めればいいのですが、いつもそう旨く行くとは限らず、例えば「先手は5手だが後手の手が余った」ときはどうしましょう。パスはできないので何か指定して指させるにしても、意味のない手では作品価値が下がります。

推理将棋においてこの「待ち手」は、かなりの厄介者です。

しかし知恵はあるものです。この「待ち手」をメインテーマにした作品が存在するのです。

Sk03a 推理将棋第11回出題の、橘圭吾作「油断大敵? 9手」がそれです。

▲7六歩    △6二玉    ▲3三角成  △6四歩   
▲2三馬    △9九角成  ▲4一馬    △1八香
▲6三金 (詰め上り図)

これほどの昇華は、なかなか簡単には出来ないものですが、短編の9手作品で2手もの空白が出来るのはなぜでしょうか。

7手詰の基本形でも後手は3手必要なのに、どうして9手詰で後手は2手も余るのか?

将棋の実戦初形とは不思議なもので、もし後手が何もしないでパスをすれば、どうやっても7手(先手4手)では詰みません。試してみてください。推理将棋とは、後手の巧妙な協力で成り立っているとも言えるのです。

しかし先手に5手あれば、後手の協力が2手で充分な詰み形が存在します。その一つが先ほどの橘圭吾作に出てくる「62玉・64歩」の形ですが、この「64歩」に代えて「72金」も同じです。

先手は41の金を取って打つだけ。「76歩・33角成り・23馬(32馬)・41馬」と動きます。

Sk03b もう一つ、玉が動かない順があります。例えば以下の順です。

▲7六歩    △3四歩   ▲2二角不成 △7二金   
▲5二角    △9四歩(待ち手)▲4一角不成 △9五歩(待ち手)
▲5二金 (詰め上り図)

6手目・8手目は待ち手ですが、玉方の4手目は飛車の利きを消すため、2手目の34歩は3手目で先手に角を取らせるために必要です。61の金を取る場合は、・34歩・72銀・32金の3手が必要になるので、後手の遊び手は1手だけになります。

この「玉の横の金」を狙う順は、比較的に後手の協力が少なくてすむので便利ですが、便利ということは強力な余詰順としても存在しますので、覚えておきたい手筋です。

Sk03c この詰み形を利用した拙作を見てください。

▲7六歩    △3四歩    ▲2二角不成 △3二金   
▲9四角    △8四歩  ▲6一角不成 △8三飛
▲5二金 (詰め上り図)

飛車の横利きを消す手段として、84歩・83飛というとぼけた順を使っています。同じように32飛・33飛とする形もありますが、角の打ち場所を限定したい場合、詰め上り図だと、「端に角を打った」といった条件も使えそうです。

もう一つ、9手詰で玉方が2手で済む詰形があります。「94問題形式」の拙作で、予習問題です。

  • 4手目93桂
  • 5手目歩頭
  • 6手目玉
  • 8手目玉

Sk03d 4手目93桂とはふざけた条件で、2手目は94歩に決まってます。つまり「無駄手・遊び手」なのですが、一応の意味はあります。

▲4六歩    △9四歩    ▲4五歩    △9三桂   
▲4四歩    △4二玉  ▲4八飛    △3二玉
▲4三歩成 (詰め上り図)

72玉では81に逃げ道があって詰みません。「93桂」は4筋の攻撃を限定する意味があるのですが、この形も玉方は2手で充分です。歩を突いていくだけの単純な攻撃ですが、覚えておくと便利な詰形です。

でもこの作品の本当の狙いは別のところにありました。

Sk03e 最後の条件「8手目は玉」を「8手目は金」とすると、「32玉」に代えて「51金右」で上記順とほぼ同じ詰め上りになりますが、実は余詰が発生して、全く別の詰形が出現します。

▲7六歩    △9四歩    ▲7五歩    △9三桂   
▲7四歩    △6二玉  ▲5五角    △5二金左
▲7三角成 (詰め上り)

これを紛れ順として読んでもらおう、というのが作者の罠でした。ほとんど同じような条件でも全く異なる最終形に到達する、推理将棋の不思議な一面です。

この「94問題」は、先手後手の着手がはっきりしているので、先手後手の着手をぼかしたミスディレクション(誤誘導)はほとんど使えません。それでこういった「偽手順」を含みにした作品も一つのやり方です。

ミスディレクションとは、推理小説やマジックなどに使われる手法で、観客を間違った方向へと誘導する巧妙な仕掛けのことです。

ミスディレクションに関しては、いずれやりましょう。但しこの手口はかなり上級テクニックになりますので、講座も難しくなりますよ!

|

« 詰将棋メモ(2010年10月15日) | トップページ | 詰将棋メモ(2010年10月16日) »

推理将棋」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 覚えておきたい推理将棋の基礎知識 3:

« 詰将棋メモ(2010年10月15日) | トップページ | 詰将棋メモ(2010年10月16日) »