覚えておきたい推理将棋の基礎知識 1
[2010年10月2日最終更新] 予習問題訂正
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覚えておきたい推理将棋の基礎知識 1 ミニベロ
■合い駒は持っていない推理将棋
詰将棋は「使っていない駒は全部玉方の駒」という約束なので、玉方の抵抗として常に全種類の合い駒を想定する必要がありますが、実戦初形からスタートする推理将棋では、玉方は先ず持ち駒を持っていません。このことから詰将棋では考えられないようなあっけない詰みがよく現れます。
もっともよく知られているのが、推理将棋黎明の頃にはてるまさんが発表した「はてるま手筋」と呼ばれる8手のこの詰み形です。
▲7六歩 △3二飛 ▲3三角不成 △同 飛
▲5八金右 △3七飛不成 ▲6八金上 △3九飛成
(詰め上り図)
49に合い駒すればなんでもない王手が、推理将棋では詰みになってしまうのです。多少形は違っても、このパターンは是非覚えておいてほしい詰形です。本手順以外にも、余詰順としてたびたび登場する作家泣かせの詰形でもあります。
今年の詰将棋全国大会で、参考出題された渡辺秀行さんの「94問題」です。
- 初手は2筋
- 2手目は2筋
- 3手目は2筋
- 6手目は飛
▲2六歩 △2四歩 ▲2五歩 △同 歩
▲同 飛 △6二飛 ▲2二飛成 △5二金左
▲3一龍 (詰め上り図)
こんな出だしでも、あっさりと詰んでしまいます。合い駒がないからです。歩は、ほとんどの場合二歩で使えません。これはどちらも飛車の単騎詰ですが、筋違い生角2枚の詰みもよく現れます。
下記は、推理将棋第8回出題の「橘圭伍作 対向射線!? 9手」です。
▲7六歩 △6二金 ▲3三角不成 △5二玉
▲2四角不成 △7七角不成 ▲同 桂 △4四歩
▲3四角 (詰め上り図)
結果稿を見てもらえば分かりますが、本作はこの「筋違い生角2枚」の古典名作です。形は違えど、2枚の筋違い生角の作品はかなりあります。もちろん余詰順としても登場するので注意が必要です。
出典は忘れましたが、こんなのもあります。
▲7六歩 △4二銀 ▲3三角不成 △5二金左
▲2二角不成 △4一玉 ▲1二角 △5一金寄
▲2三角不成 (詰め上り図)
いずれも合い駒がないことが致命傷です。合い駒があれば22の駒が馬であっても、一旦32に合い駒をして9手では詰みません。ちなみに、合い駒のない推理将棋では、22の駒は生角にしておくほうがきれいですね。推理将棋を遊ぶ上では「筋違い2枚角」は完全にマスターしておかなければいけない手筋です。
それでは、予習として出題していた拙作の答え合わせです。
- 9手詰
- とどめは相手の駒の利き場所への着手
- 成る手も、途中の王手もなかった
- 後手は銀に始まり銀に終わった
※「相手の駒の利き場所」は、玉以外の駒の効き場所です。
▲7六歩 △6二銀 ▲5五角 △7四歩
▲8二角不成 △5二金右 ▲7三角不成 △4二銀
▲7一飛 (詰め上り図)
9手でピン詰みの珍しい形で、あまり作図例はありません。やはり合い駒がないために詰みとなっています。
推理将棋の華麗(おバカ)な詰め上り形は、この「玉方は合い駒を持っていない」ことにも一因がありそうですね。
最近では、推理将棋第36回で参考出題されたタラパパ作もそうです。ちょっと覘いてみてくださいね。
9手作品に限らず、推理将棋には「合い駒無しの詰」が必ず出てきます。慣れれば、合い駒を考えなくてはいけない詰将棋よりもむしろ簡単です。必ずマスターしてくださいね。
それでは予習問題です。
- 9手詰
- 33にいた駒が2回成った
- 後手の一つの駒が3手連続で動いた (2010年10月2日追加: コメント参照)
※当然一度成った駒は元には戻れません。2回は別の駒です。
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コメント
予習問題、条件を勘違いしているかもしれませんが
76歩、64歩、33角不成、62玉、42角成、33角、41馬、99角成、63金
は駄目なのでしょうか。
非限定多数なので作意ではないと思いますが。
投稿: asdsa | 2010.10.02 11:21
大変失礼いたしました。
asdsaさんの御指摘のとおり、この条件では余詰です。
古い資料をそのまま使ってしまい、ご迷惑をお掛けしました。
正しくは下記の条件です。 申し訳ございません。
•9手詰
•33にいた駒が2回成った
●後手の一つの駒が3手連続で動いた
これでお考え下さい。
書き込み、御愛読ありがとうございます。
TETSUさん、修正お願いいたします。すみません(涙)。
投稿: ミニベロ | 2010.10.02 13:44
修正(3つ目の条件を追加)しました。
投稿: TETSU | 2010.10.02 15:26