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覚えておきたい推理将棋の基礎知識 4

[2010年10月23日最終更新]
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覚えておきたい推理将棋の基礎知識 4  ミニベロ

■手数短縮テクニック 1

ほとんどの推理将棋は「もう少し手数があれば解けるのに」というような、ギリギリの短い手数で構築されています。これは当然で、「長ければ大抵のことは実現する」からです。

そんな作品を解くには、手数短縮のテクニックを知っておくと便利です。

例えば9手詰作品を解く場合、先手5手後手4手と分けて考えます。

すでにご紹介した「後手玉が中段で詰む作品」なども、9手詰なら4段目まで、▲7六歩 △4二玉 ▲3三角成 △同 玉、と先手が33の歩を取ってやる場合は5段目までが限界ですが、この場合は9手では詰みません。

Sk04a 歩が成るにも手数は掛かります。飛車先だと先手4手。他の筋に飛車を振って飛車先を突くと先手5手。「歩を取らせて歩をタラして歩成り」も考えられますが、先後協力して最短9手。

▲2六歩 △2四歩 ▲2五歩 △同 歩   
▲同 飛 △4二玉 ▲2四歩 △3二玉 ▲2三歩成 (途中図)

などが考えられますが、9手では詰みません。タレ歩の成りで詰ますとなると10手詰作品からになります。

推理将棋の主役の角は3手で敵陣に入れます。後手が34歩と協力してくれれば、3手で角も入手できます。角以外の駒の入手は、早くても5手目。つまり飛車は後手の協力があれば5手目に取れますので、7手目には飛車を打てます。飛車が5手目に取れる場所は4箇所。32・42・62・82。この内、32だけは3手目に角が成っていないと取れません。

Sk04b 飛車が成るには、取って打って成る順が9手ですが、先ほどの飛車先の歩の交換を後手が協力してくれれば、7手目に成れます。でももっと早く成る方法があります。

▲7六歩 △3二飛 ▲3三角成 △同 飛
▲6八飛 △3七飛成 ▲5八金右  △3九龍
 (詰め上り図)

有名な「はてるま手筋」で、6手で飛車が成り8手で竜の単騎詰になりました。

Sk04c もう一つ、詰みとは関係ありませんが、6手で飛車が成る順です。

▲7六歩 △4四歩 ▲同 角 △4二飛
▲5三角成 △4七飛成 (途中図)

もうお分かりのように、飛車を世に出すには歩を取ってやるのが一番簡単です。不思議なことに、先手ではなく後手の飛車のほうが早い。当然、偶数手作品(先手玉を詰める)にこのテクニックが数多く使われています。

■手数短縮テクニック 2

先ほど出てきたように、33の歩を先手が取ってやることもよくある手数短縮法ですが、この手は単に道を開けてやっただけではなく、同時に角を後手に持たせたともいえます。

こんな9手詰作品があります。まず解いていただきましょう。

  • 9手詰
  • 同じ筋の1段目・2段目・3段目に駒を打った
  • 成る手なし

3回駒を打つわけですから、必ず3回駒を取ります。たった9手では忙しい。

Sk04d これは「推理将棋第7回出題 中級 名人の手すさび 9手(まさ作)」でした。

▲7六歩 △3四歩 ▲2二角不成 △5四歩   
▲5二角 △同 玉 ▲3一角不成 △5一角
▲5三銀(詰め上り図)

5手目の「52角」が手数短縮テクニックの基本。
相手の移動する手を利用して駒を渡す、今では当たり前の技法です。ただしタイミングは大事ですね。先に銀を取っては8手目に後手が角を打てません。

もちろん条件が異なれば、52玉を先にして54で角を渡す手も考えられます。

先ほど「先手5手後手4手と分けて考えます」と書きましたが、これは創作するときも同じですが、論理的に推理将棋を解く第一歩です。手数の振り分けをすることによって、「その手順の可能不可能」が分かりやすくなります。論理的に絶対に実現しない順をはずして考えることができます。

創作する場合には、「手数の振り分け」はさらに有効になります。例えば9手作品の場合、5手4手だったら問題ないのですが、先手6手後手3手の順では、後手に待ち手を2手指させて11手になってしまいます。こんなとき先手の指すべき手を後手に負担させて、5手4手の9手にできることがあります。

実は、9手作品の場合は、ほとんどの作家は無意識にそうしているので、適切な例題に困っていますが、強引に、こんなのはどうでしょうか。

Sk04e (例図)

これは9手で両王手の唯一の形ですが、先後の指し手をバラバラにするとこうなります。

●先手  76歩、55角、73角不成り、
 82角不成り、92飛、64角不成りの6手。
●後手  42玉、51金、54歩の3手。

もちろんこれでは合計9手でも、現実には9手作品にはなりません。そこで振り分けですが、後手の余っている1手で「74歩」としてやれば、先手はすんなりと「82角不成り」と飛車が取れて1手短縮でき、「先手5手・後手4手」の9手作品になりました。

9手を例題にすると「そんなことは当たり前」と思われそうですが、仮に「先手7手・後手5手」になったときなどは、6手6手の12手作品にできることがけっこう多いのです。

こういったやりくりをしていると、全体の手数が縮まることもあります。詰める側と詰まされる側を入れ替えてみると、13手かかると思っていた順が12手で実現することなどもよくあります。

先後入れ替えて考えてみることも、推理将棋では忘れてはいけない基礎知識ですね。

整理してみましょう。

  • 進路の邪魔をしている駒を相手が取ってやる(味方の駒が邪魔)
  • 相手の動き先に駒を捨てる(取る側はゼロ手で取れる)
  • 手数の振り分けが出来ないかを考える(創作にも解図にも役立つ)
  • 先後を入れ替えて考えてみる(全体の手数が縮まるかも)

今回はあくまでも「初心者講座」ですので、この項はこれで終わりにしますが、この「手数短縮」は、推理将棋の永遠のテーマとも言えますので、いずれもっと細かく分析しなければいけないと考えています。

それでは次回の予習で、今回は2作。どちらも未発表拙作です。

おなじみの「94問題」。

  • 5手目は桂頭に不成り
  • 6手目は銀頭
  • 7手目は玉頭
  • 9手目は桂頭

こちらは普通作です。

  • 9手詰
  • 金頭にいた角が最終手で不成りと動いた
  • 後手は駒ランク下から着手
  • 金銀釘付け

※駒ランク下から・・・ 歩・香・桂・銀・金・角・飛・玉

慣れないと難しいかもしれませんが、考えてもらうことが次回の講座につながります。よろしくね。

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コメント

第5回のテーマが???だったのはそういうことですか。今回の宿題は解ける解けないではなく、一生懸命考えることに意味がある宿題のようですので、読んでいる方はがんばってください。


>先手6手後手3手の順では、後手に待ち手を2手指させて11手になってしまいます。こんなとき先手の指すべき手を後手に負担させて、5手4手の9手にできることがあります。

これをみると32-3を思い出しますね。10手問題なので、9手以内を対象としている本講座の対象外ではありますが、参考情報として解説。

32-3は、55の角が成って、5筋の飛の利きを通しつつ馬でも王手をかける両王手の手順でした。この両王手の形は普通に考えると

先手6手:56歩、55歩、76歩、55角、58飛、33角成
後手3手:54歩、55歩、62飛
※ただし55の着手順は、先手歩→後手歩→先手角

で先手番が6回まわってくる必要性から11手かかるように見えます。しかし、先手に手が偏りすぎており、改善の余地がありそうです。そこで、5筋歩の処理を▲56歩▲55歩の代わりに△56歩△57歩成▲57同飛とすることで、全体としては1手増えたものの先手5手後手5手とバランスがよくなり、結果として1手短い10手で成立させることが可能になった、という実例です。

投稿: DD++ | 2010.10.23 09:14

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