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知っておきたい推理将棋の各駒手筋 第1回 歩の手筋

[2010年11月20日最終更新]
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知っておきたい推理将棋の各駒手筋  DD++

第1回 歩の手筋

短手数で玉を詰ますことを考えるときに、通常の指し将棋同様それぞれの駒がそれぞれ特徴的な働きをすることがあります。ここではそれらの駒種別の手筋を紹介します。

第1回は歩の手筋からです。短手数で玉を詰ますなら、歩の活躍の場は一見なさそうに見えます。しかし、よく考えてみてください。初形で敵陣まで最も速く届く駒はもちろん角ですが、2番目に速い駒は何でしょう。3手で桂が届きそうですが、初形からなら歩をどける1手が必要になるので、実際は桂は敵陣まで4手。一方で歩も同じく4手です。つまり、実は歩は初形から敵陣まで2番目に速く届く駒の1つなのです。「歩成まで7手で詰み」などというのがあるのが、歩の攻めは意外と足が速いことを示しています。

飛先の歩成(基本)

『24-1 成り駒は作ったけれど(まささん作)』『32-2 両隣の将棋(1)(DD++作)』 をご覧ください。9手詰だと先手は5手させます。ですから、飛を4~6筋に振ってその筋の歩突き4回というなんとも単純な攻め方で後手玉を詰める事が可能で、最も基本的な詰め方の1つとして知られています。

また、飛をあえて振らずに2筋(後手なら8筋)の歩を突く7手の順をひねるアレンジも、8手では 『8-1 だるまさん(館長さん作)』 『11-1 斜めに行ける駒はない?(ミニベロさん作)』 の他、10手以上として 『29-2 8手目は開き王手(渡辺秀行さん作)』『34-3 しりとり(DD++作)』 などで用いられています。

これだけ用いられている超基本手筋にもかかわらず、歩という駒の影の薄さと手順の単純さからか、問題の出し方によっては難しく考え込む人が続出するなんとも不思議な手筋です。

歩を突いて紐にする

歩は桂と比べ、どこにでも紐をつけられるので、紐駒にしばしば用いられます。実際の出題例は 『9-1 ナインボール(けいたんさん作)』『25-2 端から動いた駒(看板)(ミニベロさん作)』『36-3 急所は駒頭(ミニベロさん作)』 ですね。

この手筋は大きく2系統あります。1つは歩を突いている途中で取った駒を使う順。ミニベロさんの2作はこちらのタイプです。もう1つはトドメの駒も先手が自前で用意する順。けいたんさん作はこちらのタイプです。3手順とも歩が意外と足が速いことに驚かされる手順です。うまい紐駒がないときは案外歩を使えばうまくいくかもしれません。

中段玉の逃げ道塞ぎ

Skm01a まずは、以下の順とその終局図をご覧ください。

▲7六歩    △6四歩    ▲3三角不成 △6二玉   
▲2二角不成 △6三玉   ▲6六歩    △5四玉
▲3六角

以前 『推理将棋の基礎知識 第2回』 で見たような図ですが、6筋の歩の配置に注目してください。玉の6筋への逃げ道を、64は後手の歩が自身をそこに置くことで塞ぎ、65は先手66歩の利きで押さえています。

そう、中段玉の逃げ道塞ぎは歩の独壇場なのです(たまに桂馬も出てきますが)。 『推理将棋の基礎知識 第2回』 の他の詰め上がりでも、4段目の後手歩や、6段目の先手歩が逃げ道塞ぎによく役立っていることを確認してください。

特に4段玉を詰める場合に、その隣の筋の歩を1つずつ突きあって壁を作り馬で詰める形は覚えておいて損はしません。作例は 『8-2 33の駒が2回成った(ミニベロさん作)』『推理将棋の基礎知識 第2回』 のいくつかの詰め上がりなど。9手から登場しますが、長い作品でも 『29-4 さらば友よ(タラパパさん作)』 のようによく見られる形です。

歩を打って使う(上級)

手筋の内容は読んで字の如くですが、なぜわざわざ(上級)と書いたのか。それは、この手筋は10手以上限定の手筋だからです。本講座は9手以下を対象に書かれている講座なのですが、おもちゃ箱では10手以上も出題されるため、上級手筋として紹介しておきます。基本的なことだけでいいという方は次の項目へスキップしてください。

歩は最も取りやすい駒です。ですから、「どうしてもここに紐がほしい」「どうしてもここに金か成小駒がほしい」などという時に、歩打ち一発で簡単に解決することがしばしばあります。

ところがそこには将棋のルールからくる問題が1つ。二歩は打てません。つまり、互いに攻め込み合うような将棋で、攻め方陣の歩を玉方が取った際にしか歩打ちの手筋は使えません。それが10手以上になってしまう理由です。

Skm01b たとえば以下のような手順。9手目は待ち手です。

▲7六歩    △4四歩    ▲同 角    △4二飛   
▲5三角成  △4七飛不成 ▲5八玉    △5六歩   
▲1六歩    △5七飛成

57に紐が必要だったので、6手目に取った歩を使いました。5筋の後手歩は先手によって取られています。このように互いに攻め込み合う展開の場合、歩を打って解決できる可能性があることはぜひ覚えておいてください。

実際の出題例としては、 『6-3 マネ将棋(はてるまさん作)』 ではトドメ駒として、 『17-1 豆腐将棋(金豆腐)(魚熊さん作)』『25-3 端に成った駒(看守)(ミニベロさん作)』 では紐駒として、 『29-3 小駒で取る(けいたんさん作)』『29-4 さらば友よ(タラパパさん作)』 では逃げ道塞ぎとして歩打ちが用いられています。意外と多いですね。

1筋2筋の歩突き(上級)

これも10手以上限定の手筋です。1筋の歩はどこまで突いても香の紐が付いています。2筋の歩もどこまで突いても飛の紐がついています。故に 『2-2 突歩詰(推理将棋コミュ制作)』 のようにこの2枚の歩を突いてあっさり詰ますことができてしまいます。この問題がまさに基本形で、応用としては2筋の歩を最後まで突かずに別の駒で代用する 『33-2 いちご白書(けいたんさん作)』『38-1 天邪鬼な夫(タラパパさん作)』 などもあります。

総括

もちろんここに挙げたのはあくまで代表的な歩の使い方であり、もちろん他の使い方をされるケースもまれにあります。指将棋でもそうですが、たかが歩、されど歩、存在を忘れているといつかアッと言わされるのがこの駒の特徴です。

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