[2010年12月4日最終更新]
推理将棋第39回出題の39-3の解答、第39回出題の当選者(NAOさん)
を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第39回出題 推理将棋第39回解答(1) (2) (3)
推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
39-3 上級 小春日和さん作 暴れ龍 13手
「隣で指してた13手で詰んだ将棋さ、先手も2つの筋、後手も2つの筋にしか指していないって気がついた?」
「龍が動く手が全部で3回もある激しい急戦だったからだろう」
「後手が同角と取る手を逃してからは、先手が指し易くなったよね」
(条件)
- 13手で詰んだ
- 先手も後手も、各々2つの筋の手だけ指した(※)
- 龍が動く手が計3回あった
- 後手は同角(棋譜表記上)と取れるところで、そう指さなかった
※ 相手の指した筋に束縛されません。例えば先手が1・2筋の時、後手も同じ1・2筋でもOKですし、8・9筋のように全然違ってもOKです。
出題のことば(担当 タラパパ)
龍を3回動かすのは意外に大変。双方全部別の筋ということはない?
追加ヒント:
単騎詰ではありません。
先手3枚、後手2枚の駒を動かしました。駒打ちはなく急所は4筋です。
角の着手はありません。
推理将棋39-3 解答 担当タラパパ
▲3六歩、▽4四歩、▲3七桂、▽4五歩、
▲同 桂、▽4二飛、▲3三桂不成、▽4七飛成、
▲4八飛、▽4二龍、▲4三飛成、▽6二龍、
▲4一龍 まで13手。
「おもちゃ箱」はTETSUさんのご尽力で、途中の解答状況が見られるようになっています。いつもなら出題して2日も経つと早い方は解答してくるのに、今日か明日かと待っても初解答者が出てこなくて、焦ったこと、焦ったこと(^^; 原因は明らかに上級問題ですから。
難問ですが、かなりのところまで論理的な推理ができますので、長くなりますがやってみましょう。まず条件「同角と取れる局面あり」ですから、1筋(常識的になし)でない限り、(1)先手又は後手に3筋着手ありと推理できます。
龍を作る最短手数を考えましょう。すべて自力なら先手着手で25歩~33龍のように5手必要。先後合わせて10手かかると、残る3手がオール龍の手。詰めるのは不可能=NGです。従って、少なくともどちらかの龍作りに、歩の壁を取ってもらう相手のアシストが要る訳です。つまり(2)少なくとも1つは同じ筋の着手と推理できます。3つの筋を3筋、A筋、B筋とすれば、「3・A筋 & 3・B筋」「3・A筋 & A・B筋」「3・B筋 & A・B筋」の組み合わせ(場合により、A筋=B筋もありうる)。
龍を作るのに双方で協力すると何手でしょう?最短で後手龍6手、「76歩、32飛、33角・・・・」と「76歩、44歩、同角、42飛、77角・・・・」の手順で3・4筋が可能。先手龍なら7手で2筋と5~7筋が可能。これを元に龍を動かす手3回をどちらが指したか推察してみます。すべて先手なら、双方で協力して7手で龍を作り(後手2or3筋着手必須)、龍を3回動かす単騎詰しかありえません。単騎詰の基本要件は隣接2筋(後手)+1間飛びの筋(先手)ですから、推理(1)(2)から後手3・4筋、先手6筋+(3or4筋)しかありえません。68飛、34歩、66歩、同角・・・でしょうか。しかし「同角と取れる局面があったが取らなかった」ですから、現実に後手角によるアシストは不可なので、先手龍3回での単騎詰はNG。すると結論(3)双方の龍が動いたと推理できます。
せっかくここまで推理したのですから、ついでに単騎詰そのものを否定しましょう。61玉型単騎なら後手6・7筋で先手4筋+α、(1)(2)に矛盾。41玉型なら後手3・4筋で先手6筋+(3or4筋)ですが、すでに否定されています。51玉型単騎で後手4・5筋に先手7筋は(1)(2)に矛盾。51玉型単騎で後手5・6筋に先手3筋+(5or6筋)も22角を5・6筋に動かすことができず、31に角の利きが残っては矛盾。従って、単騎詰はありません。結論の4つ目、(4)詰に貢献する先手駒は2枚以上(龍+α:事実上2枚)。判明したことを纏めておきます。
(1)先手又は後手に3筋着手あり
(2)少なくとも1つは先手・後手同じ筋の着手
(3)双方の龍が動いた
(4)詰に貢献する先手駒は、龍+α(単騎詰ではない)
さて、手軽に龍を作る定跡手筋は、「角を使う」先に示した2手順ですが、「76歩、32飛、33角・・・・」は単騎詰しか残らず、22角も外せずNG。「76歩、44歩、同角、42飛、77角・・・・」のほうも、先手4・7筋と後手に必須の3筋着手(3・4筋)を加えても、詰上がり形が作れません。つまり尋常の(角を使う)手段では、7筋が貢献できず、条件がまったく満たせないのです。
頭が痛くなりそうなので、複雑なことをぜんぶ頭の中から捨てて、もっと単純に考えましょう。単騎詰でないなら詰上がりは、龍とそれをアシストするもう一枚の駒が必要。後手に”同角”と取る機会があった条件を、先手が33に着手したと決め打って、33の駒プラス龍で後手玉を詰める形を想定できないでしょうか? そう。51玉に対し、33桂に41龍の形がピッタリです。62は後手に埋めて貰いましょう。使うのは3・4・6筋。先手は36歩から33まで桂を一気に跳ねるのです。残る手順はほぼ紛れのない一本道。角でも歩でもなく、桂馬で後手の飛成をアシストする手順は新しく、8手もかけてようやく最初の龍ができる手順が、解答者の盲点になりました。
橘圭伍 「桂を4段跳ねさせたけど断念した感じでしょうか?巧い条件で手順を限定させていて感心しました。ヒントはその形に出来ないのは殆ど明白なので・・・と思ってしまいました」
■出題文で桂の影を見せずに、桂を4回跳ねさせたら43飛成も遊び手にならず美しい。でも条件が複雑化しそう。ん?ヒントは役立たずでした?(汗)
DD++ 「第一感は「76歩、44歩、同角、42飛、77角、47飛成、48飛 から 62龍、41龍まで」。しかし、同角条件をなかなか満たせない上に紐駒がなく、これをどう変形するか軽く100時間以上悩みました。(落ち着いて考えればこの時点で2筋ずつ着手してるので同角条件を満たせるはずがないんですけどね)。その後、『もしかして先手が33に着手するとして、先手3筋4筋でうまい序があるのではないか』と考えたら、そこからは一瞬でした。おそらくおもちゃ箱史上最高クラスの難問。小春日和さんの初出題を無事解いてあげることができてホッとしました。」
■初出場で史上最高クラスの難問? 作者には次回はぜひお手柔らかな問題で(笑)
リーグ戦ファン 「ひさびさの泊レベルの難問。単騎詰、角のサポート、駒打ちでサポート、両王手、と試して挫折、さすがに歩との協力では間に合わないよね、と確かめて、次に可能性があるのは・・・と、桂のサポートに気付きました。3問目はこのくらいの歯ごたえがないとね。ということで、解けてはいたのですが、『同角と取れるところで』条件が必要な理由が分からずに投稿せずにいました。さんざ悩んで、やはり3手龍はこの筋以外に見つからない・・・諦めて投稿しようとしたら、そうか!単に左右対称ですか。この条件では▲76歩が本筋なわけはない(その後7筋が使いにくい)、という思い込みがあって、奇妙な盲点でした。」
■担当者もはじめ不要条件だと思っていましたが、そう、76歩から同じことができるんです。同角条件はそれを消すだけ。
斧間徳子 「出だしは76歩、44歩、同角、42飛とばかり思っていたので苦戦しました。45の歩を桂で取ってもらって飛車を侵入させる手順は斬新。この桂を33桂生と入って活用するのも好感触。遊び手を43飛成とし、龍が3回動いたという条件にまとめる手腕は新人とは思えない。」
■パラのコーナーを見てもそうなのですが、新人作家の作品の高レベルには実に驚かされます。
香箱 「難問。角が不動とは気づかなかった。角が駄目なら桂しかない。」
■推理将棋の8割以上は角が参加しますものね。
NAO 「ほかの2問が易しかっただけに難問です。『角の着手なし』のヒントがなければ解けなかったでしょう。」
■ほかも決して易しくはなかったと・・・・。
たくぼん 「難問ということでヒントが出揃ってから解図開始。僅か2分でビンゴ!たまにはこういうこともある。後手同角と取れる場所は33と推測+角不動で筋が浮かびました」
■たくぼんさん、省力の天才!(笑)
S.Kimura 「後手の飛車が成って、先手の飛車がそれに着いて行く手順は早くから気付いていましたが、4四歩は角で取るとばかり思っていたので、正解にたどり着くのにとても時間がかかりました。それにしても、45歩まで進めて桂馬で取らせるとは・・・」
■最短6手で成れる龍を、8手で成らせる順ですから抵抗感があるかも。
渡辺 「押して引く感じが手触り良い手順ですね。何故か同角は龍を取れないと駄目だと勘違いしていました。ところでこの同角の条件は必要なのでしょうか?この条件が無ければ自分にとっては少し易しくなったのですが…。」
■そして第2便。
渡辺 「今分かりました。同角の条件、左右反対を防ぐために必要なんですね。これは巧い隠し方ですね。」
■ピンポ~ン(^^)/
ミニベロ 「角を使ってはいけないことに気が付くまで、遅い遅い! 分かってしまえばこれしかないんだけど・・・。」
■角を使おうとすると、7筋の手が以降で役立たずなんですよね。
はなさかしろう 「成駒の着手数条件は見た目以上に厳しい限定がかけられるので感じ良いですね。以前11手で龍2回を条件に2問作ったことがあったので、龍単騎か本問の形が詰め上がりの龍配置の本命でしたが、歩の壁は当然角で破るものと思っていたので大苦戦。あんなに追加ヒントを頂いておきながら桂の足の速さにまるで気付けず、相当悩みました。本手順は対称筋でもいけるので第3条件が必要ですが、面白い条件付けで解き終わった後もこのあたりになにかまだあるのかな、と、気を惹かれます。」
■いえいえ、同角条件にそれ以上の意味はありません。但し、この条件が推理をし易くしてはいます。
まさ 「これは難問。4筋から後手飛を使うことは考えても、普通は76歩、44歩、同角、42飛、77角、47飛成…から読んで迷路に落ちる。同角ととれる以上3筋をからませるはず、と推理できるかが鍵。」
■作者には決して難問との意識はなかったようなのです。
はてるま 「先手の飛車を早く世に出したいが、2筋から行くと泥沼にはまる(私もはまりました)。桂馬の活用に思い当たってからは一気にほどけました。最後たたみかけるような龍の舞が見事。素晴らしい作品です。」
■ある些細なことに気付けば一瞬。いわゆる目から鱗。
宮谷保可楽 「もともとのヒントだけでは解けなかった上に、ヒントが追加されればされるほど、のーみそが混乱してしまったので、解くのを止めました。」
■ぎゃぎゃぎゃっ!
躑躅 「こちらは追加ヒント無しで数分で解けました。そんなに難しいとは思わなかったのですが、桂を使うのを思い浮かぶかどうかでしょうか。」
■これが推理将棋の面白さ。発想の転換なのですが、桂使いに気づいた方には一瞬なのでした。
正解:14名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん 香箱さん たくぼんさん 橘圭伍さん
躑躅さん DD++さん NAOさん はてるまさん はなさかしろうさん
まささん ミニベロさん リーグ戦ファンさん 渡辺さん
総評
DD++ 「今回は新人特集らしいので私の出番はなさそうだ、と思いつつよく見たら間に混ぜら
れていて、思わず噴き出してしまいました。こんな回でも私の作品が採用されるとは、よほど問題投稿者が少ないのでしょうか。解答者でよく名前を拝見する方
々の出題も見てみたいなぁ~(チラッチラッ)」
■はぁい。新人で揃えるのもまた、当然ながら難しいです。
S.Kimura 「これまでもそうなのですが、自力で気付いたことがヒントに出ることが多く、特に39-3は正解への手がかりが増えなくて泣けました。」
■最後のヒントを除くと、たいていは論理的にいえることをヒントにしますから(汗)
ミニベロ 「新しい人が解答するには、今回は難しすぎたかもね。私も手間取ってしまいましたから・・・。」
■ミニベロさんが手間取る出題はマズイ。作家の皆さん、ぜひ解きやすい問題の投稿をお願いします。
まさ 「上級が難問で、解けたのは海外出張のため搭乗待ちをしていた成田空港。あとは予定通りに出張を終えて帰宅できるか、時間との勝負でした。帰宅後直ちにメールを打っている今の時刻は20日の23時。ギリギリセーフかな?(笑)。」
■楽勝にセーフでした(^^)
推理将棋第39回出題全解答者: 18名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん 香箱さん 鈴木康夫さん 占魚亭さん
たくぼんさん 竹野龍騎さん 橘圭伍さん 躑躅さん DD++さん
NAOさん はてるまさん はなさかしろうさん まささん ミニベロさん
宮谷保可楽さん リーグ戦ファンさん 渡辺さん
当選: NAOさん
おめでとうございます。
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