知っておきたい推理将棋の各駒手筋 第5回 金の手筋
[2010年12月18日最終更新]
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知っておきたい推理将棋の各駒手筋 DD++
第5回 金の手筋
第5回は金の手筋です。しかし推理将棋では意外と活躍の場はそう多くありません。金を使う順は基本的にベタなので、手順として面白くないからでしょうか?
●金は取らせに動け
後手金は41と61にいます。さて先手がこの位置の金を取るには何手かかるでしょうか。76歩から33角成や22角成として41金を狙うもあと2手かかります。76歩44角から61金を狙うにしても4手。22角成と取った角を打ってそれを動かして取ってもやっぱり4手。
どうやっても金が動いてくれない限り、先手は金の入手に4手(つまり先後あわせて7手目まで)かかってしまうのです。9手詰ならもうあと1手しか残っていません。では短手数では金を取る順は成立しにくいのでしょうか?
いえいえそんなことはありません。以下の手順を見てください。
▲7六歩 △7二金 ▲3三角成 △4二金
▲同 馬 △6一玉 ▲5二金
取りにくい位置にいるなら取りやすい位置に出てきてもらえばいいだけの話で、たったの7手で金を使って詰みです。金を取る手順では、32、42、51、62あたりの取りやすい位置に玉方から金を差し出す順を考えてみてください。もちろん初形位置で取る順も不可能ではないのでそちらの可能性もお忘れなく。
作例は 『36-2 ゴテゴテした推理将棋(DD++作)』 の他、なんと 『6-1 三捨利警部の推理(1)(ミニベロさん作)』 や 『7-1 馬で金を2枚続けて取った(タラパパさん作)』 では9手で金を2枚とも取るというかなりシビアな手順になっています。
●守りの妙手72金(38金)
銀に守りの妙手があったように、金にもあります守りの妙手。それは72金。玉頭の52への利きが、3枚からたった1手で1枚になりました。あとは41金を先手に渡せば、後手玉は丸裸です。しかし、意外にもきれいな作例がおもちゃ箱内を探しても出てこず、仕方なく「金は取らせに動け」で示した7手詰の2手目にこっそり入れておきました。飛筋を遮りつつ自ら52への利きを外すうまい手になっていることをご確認ください。
●居玉の腹に金打ち
金という駒は屈強な守備駒ですが、初形をよく見てみると、実は金自身を守っている駒は玉を除けば1枚もありません。つまり、例えば41の金を奪って元の位置41に打つと、玉方は困ってしまうのです。例えば 『2-3 鬼弱四間飛車(推理将棋コミュ制作)』 をご覧ください。8手詰なので先後逆ですが、69の金を78で奪い、元の位置69に打ったところ、逃げ道が塞がれていてそれで詰んでしまいました。
この形は攻め方が金や飛を打つ頻出手筋の1つで、金では 『36-2 ゴテゴテした推理将棋(DD++作)』 などで、飛では 『26-1 システム失敗?(○術師さん作)』 などで登場しています。
●2段玉の腹に金打ち
腹金は下へ逃げられると厄介ですが、2段目の腹金なら玉は3段目には逃げることができません。となれば当然簡単に詰みやすく、もちろん推理将棋でも頻出になります。特に、角のところで紹介する玉尻角と相性がよく、「玉の尻に角、腹に金」という形は9手以下の推理将棋ではよくでてきます。ただ、よくありすぎるせいか採用例が少なく、作例は 『35-1 角交換の罠(DD++作)』 くらい。7手詰ですら2種類あるくらいの基本かつ頻出な手筋のはずなんですけどねぇ。
●2段玉に角紐で尻金打ち
読んでそのままの詰め上がりです。金のかわりに飛になることもあります。
▲7六歩 △5二玉 ▲3三角成 △3二金
▲同 馬 △6二金 ▲3三馬 △9四歩
▲5一金
これもよく見る詰め上がりで、個人的には頻出手筋として挙げたいのですが、しかしやっぱりおもちゃ箱には作例なし。なんででしょうか。
●総括
金は自ら取られにいくことが手筋になるくらい、推理将棋では地味な扱いの駒です。しかし、玉の両隣にいる以上、たいてい守備金が何か関わってくるはずで、推理将棋特有の金の動かし方を知らずに問題をスラスラ解くのはなかなか困難かと思います。たまには守備金のさりげないその1手に注目してあげてください。
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コメント
おもちゃ箱に尻金が一題もないのは何故でしょうねぇ。タラパパさんの好みでしょうか?詰パラには沢山あります。
2段目に腹金はもう一題だけあります(7-1です、最初の例にあるものです^^)が少ないですね。
投稿: 渡辺 | 2010.12.19 23:40