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知っておきたい推理将棋の各駒手筋 第7回 飛の手筋

[2011年1月11日最終更新]
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知っておきたい推理将棋の各駒手筋  DD++

第7回 飛の手筋

第7回、飛の手筋です。飛も桂と同じく不思議な駒で、成るのは先手なら最短7手目なのに後手だと6手目だったり、飛を使って詰ますのも先手は最短9手詰めなのに後手だと8手詰が可能だったり。動き方はとてもシンプルなのに不思議な性質を持った悩ましい駒です。

はてるま手筋(龍単騎詰)

手筋名を見ても何の手筋だかわからない手筋の代表格です(笑)。推理将棋の黎明期に、はてるまさんが 『4-1 相振り8手(はてるまさん作)』 を発表し、その衝撃から龍単騎詰の手筋名として見つけた方の名前がついた、という経緯のようです。

最短手数の8手はこれとほぼ同じ形のみですが、9手になると、31から51玉を、41から61玉を、61から41玉を、と急にいろいろなパターンが現れ、実際に 『16-2 初成りの単騎詰(零号機さん作)』 などが作られています。

また、亜流として、逃げ道塞ぎに1枚使って 『20-3 3×3=9(ミニベロさん作)』 のように準単騎詰とでもいうような合駒なしの形になることもあり、よく余詰として現れる作者泣かせの手筋の代表格でもあります。

1段目の飛

なぜこのような手筋が成立するのかはっきり説明できませんが、短手数の推理将棋では奪った飛はなぜか1段目に打つことが異様に多いようです。

『15-2 駒場くん(けいたんさん作)』『20-1 金頭には不成が定跡(タラパパさん作)』『26-1 システム失敗?(○術師さん作)』『31-3 交通規制(はなさかしろうさん作)』『36-参考 順番に大駒(タラパパさん作)』 と、筋はバラバラですが1段目の飛打ちの多いこと多いこと。

『16-2 初成りの単騎詰(零号機さん作)』 でようやく2段目に打っている問題を見つけたと思ったら、結局その飛は1段目に成りました。とにかく飛龍は1段目で使うことがほとんどのようです。飛を打つ条件があったら、まず1段目で使うことを考えてみるのが解答への近道かもしれません。

52玉に53龍

この形も推理将棋では時々見られる詰みです。それは、先手にとって53は紐がつけやすく、後手にとっては52玉ただ1手指せば詰まされる準備万端になるから。 『18-2 どっちの成りでショー(はらたっとさん作)』 や、12手物ですが 『33-3 飛車冠(DD++作)』 の他、玉位置が1つずれていますが 『29-3 小駒で取る(けいたんさん作)』 で用いられています。飛車の出動が大変ですが、それにかける手数の余裕もあるため、手順内容のわりに短手数にまとまりやすく、「あ、これで間に合うんだ」という印象を与えることが多い手筋です。

飛角のサンドイッチ

Skm07a 以下の2手順をご覧ください。

▲9六歩    △4二飛    ▲9七角    △5四歩   
▲4二角不成 △5二玉 ▲5一角不成 △5五歩
▲5四飛

Skm07b ▲7六歩    △4二飛    ▲3三角不成 △8二銀   
▲4二角不成 △5二玉 ▲7一飛    △7二金
▲同飛成

2つ目は推理将棋作家がなぜか皆1度は作るという噂の手順です。ちょっとわかりにくいですが、終局図で詰んでいることを確認してください。

香のところでも紹介しましたが、玉の隣に生角手筋とあわせ、角の反対側から飛で串刺しにする詰め上がりはよく現れます。しかし、パッと見で詰みとわかりづらいため難解な作品になりやすいです。作例は11手物ですが 『38-3 不成5回で12まで(DD++)』

自陣飛の出動手筋3種

Skm07c 飛という駒は強力な駒ですが、それを出動させるには普通にやるとなかなか手がかかります。しかし、短手数で自陣飛を出動させる順が3つほどあるのでそれをご紹介します。

▲2六歩    △2四歩    ▲2五歩    △同 歩
▲同 飛

Skm07d ▲7六歩    △3二飛    ▲3三角不成 △同 飛

Skm07e ▲7六歩    △4四歩    ▲同 角    △4二飛
▲5三角成

1つめは先手飛の、2つめと3つめは後手飛の出動ですが、当然1手何か挟めば相手に転用も可能です。うまくやると奪って打つよりも自陣飛の出動のほうが早かったりすることもあるので、飛を使う場合は上記3手順は要チェックです。

飛の守りに隙あり

玉方飛は飛といえども守り駒になるわけですが、そこには1つ大きな弱点があります。それは、斜め前に動かせないこと。しかも、2段目ならどこにでもすぐに動けるという特徴から、弱点が欲しいところにすぐ移動できます。特に、飛の斜め前に桂打ちで吊るし詰、という形は 『新春-1 急所は33桂(まささん作)』『36-1 わが道を行く(DSKさん作)』 などよく現れます。他にも斜め前に動けないことを利用した手順はいろいろ作れそうです。

総括

飛は最初にも述べたとおり、推理将棋においては実はかなりトリッキーな駒です。その内容は手筋の紹介でなんとなくお分かりいただけたのではないでしょうか。単騎詰あり、合駒不能詰あり、余詰によく出てくる、難解作はできる、単純に出動できない……。「この駒の扱いが自在にできれば推理将棋マスター!」なのは意外と飛だったりするのかもしれません。

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コメント

> はてるま手筋(龍単騎詰)
私の認識では、「1(9)段目龍の横利き王手による合駒できない詰み形」と認識しています。
すなわち単騎ではない「3x3=9」も「はてるま手筋」と呼ぶと思うのですが、識者の方、如何でしょうか?

投稿: 渡辺 | 2011.01.12 23:05

どうなんでしょうね。実は私も書くときに少し迷いました。
しかし、はてるま手筋と名がつくほどのインパクトがあったのはやはり単騎詰であったことが大きいだろうと考え、ここでは一段目龍単騎詰をはてるま手筋、他の駒が逃げ道をふさぐ形は亜流のものという形で紹介させていただきました。

私が考えるに、手筋名というものは指し将棋の手筋などでもちょっと変形のパターンがあったりもして、「ここからここまでを○○手筋と呼ぶ」という厳密な境界線はなく、「通じればいい」レベルの決まりで使われているように思います。そういった意味ではこの「はてるま手筋」という単語も、「3x3=9」に対して「はてるま手筋」といわれてもおそらく話の流れで言いたいことは理解できるでしょうし、わりとあいまいな語句のままで問題ないのかな、と思っています。

まあ、そんなあいまいな語句を掲題として使うなよ、という指摘には「ごもっともです」としか答えられませんが(汗)

投稿: DD++ | 2011.01.13 09:06

「はてるま手筋」と名づけたのは私ですが、
そのときの意味づけとしては、「1段目竜単騎詰」です。
もちろん9段目でも、9手詰でも基本形としては同じですが、
単騎詰の部分は重要な気もします。

しかし言葉の意味合いというものは、時代で変わっていくこともありますので、
なじんで使ってもらえるなら何でもいいんですが。

投稿: ミニベロ | 2011.01.13 15:13

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