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推理将棋第40回解答(2)

[2011年1月30日最終更新]
推理将棋第40回出題の40-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第40回出題  推理将棋第40回解答(1) (2) (3) (4) (5)
  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


40-2 中級 DD++さん作    左から打つべし       21手

「昨日面白い将棋を見たんだ。」
「ほう、どんな将棋だい」
「まず5手目に9筋に駒を打って王手がかかったんだ」
「いきなりか、急戦だな」
「続いて9手目、また9筋に駒を打って王手がかかったんだ」
「変な王手が好きなやつだな」
「そして13手目・・・」
「おいおい、13手目も17手目も21手目もなんて言わないだろうな」
「よくわかったね。ちなみにその21手目で詰みだったよ」
「あきれた将棋だな」
「ちなみに、成る手、後手の駒打ち、金の手は全てなかったよ」

さてどんな将棋だったのでしょうか?

(条件)

  • 21手で詰んだ
  • 5手目から4手毎に9筋に駒を打つ王手があった(5、9、13、17、21手目)
  • 成る手なし
  • 後手の駒打ちなし
  • 金の手なし

出題のことば(担当 タラパパ)
  手数が長くても15手目まで絶対手の連続、16手目も絶対ですが好手。

追加ヒント:
  ・止めは95に打つ手です
  ・銀を打つ手が二度ありました


推理将棋40-2 解答 担当 タラパパ Suiri402

▲7六歩、▽3四歩、▲2二角不成、▽7四歩、
五角、▽6二飛、▲同角不成、▽同 玉、
二飛、▽7三玉、▲3一角不成、▽8四玉、
五銀、▽同 玉、▲9一飛不成、▽7三桂、
六香、▽8四玉、▲7一飛不成、▽8五桂、
五銀 まで21手

今回、「辺に打つべし」のシリーズ全3局を並べました。”5手目から4手ごとに王手で駒を打つ”単調なリズムが推理将棋に馴染み易く、DD++さんの1号局(本局)がmixi上で発表されるや、次々に亜流が生まれ、一つのブームにまで広がりました。

先手の指し手が「駒を取る」「王手で駒を打つ」の繰り返しで、手が限られる考え易さが最大の長所です。それが証拠に、21手の長さにも関わらず、本局では殆どの手が必然 です。5手目に打てる駒は角しかありませんので、シリーズは全て「76歩、34歩、22角不成(成)」からスタートします。

その解き易さを見ていきましょう。5手目は95角ですから、4手目は74歩と突くしかありません。この角で駒を取って9筋で王手をかけるには、62飛、同角不成、同玉、92飛もまた紛れなしの必然です。92飛と打ったらどうしましょう? 後手に角合(駒打ち)は許されません。すると次に先手の取れる駒は小駒(銀、香)だけですから。13手目に9筋に打って王手をかけるには、一目散に 84玉まで突っ走って貰い、95銀と王手する以外に手段がありません。92飛に73玉、31角不成、84玉、95銀。これもまた紛れゼロの必然手。次に先手の取れる(王手可能な)駒は香車しかありません。従って、95同玉、91飛不成もまた必然。
なんと、紛れようのないまま15手も進んでしまいました。残る手数はたったの6手です。

ここで玉方に妙手が出ます。73桂! 妙手といいましたが、実はこれもまた絶対手で紛れがない手なのです。なぜならこの局面で先手が取れる歩以外の駒は81桂だけ。しかし桂馬を取っても次に9筋で王手をかけ ることができません。従って16手目は、先手が王手をかけることのできる質駒を与える着手でなければなりません。その着手は盤上に2つ。42金と金を質に入れるか、73桂と銀を質に入れるか。ところが42金は条件で禁じられています。73桂もまた必然でした。96香、84玉、61飛不成。絶対の着手を進めて、ついに残り2手。跳ねた桂を再度85に使う手を見つけるのに、時間はかからないと思います。

まったくといえるほど紛れのない本局ですが、73桂で手が続くのに”気付く”ことは、そうそう発想できるものではありません(特に作り手)。しかも銀を取った飛車が、73の逃げ道を幸便に封じ、更に跳ねた桂が85桂の退路封じに二段活用できるとは、天の配剤のように出来すぎた手順と言えましょう。

本局は見事に全員正解でした。長編必ずしも難しからずです(^^)

橘圭伍 「条件から見るに少し無理のある展開だったような気もします(金の着手を縛っている辺りが)。でもそのせいで考えやすくなっていると見ることも可能ですか・・・。悩 ましい所ですね」

■条件面から見たとき、確かにこの”金の手なし”条件だけは惜しい気がします。

ミニベロ 「後手桂の健気な働きに心打たれます。」

■収束を支える一番手柄の駒。目の覚める働きでした。

はてるま 「条件のユニークさもさることながら、73桂、85桂が絶妙。よくこんな手が残っていたものです。こういう発見があると、創作側もうれしいですよね。」

■作者は小躍りしたでしょうね。きっと。

DD++ 「20手台だって簡単かつ面白い問題は作れるんだぞ!という主張のために作った問題が mixi で予想外の大流行。結局 mixi ではこの3局に始まる打つべしブームで15局く らいありましたかね。銀を取らせるために16手目に跳ね、今度はその銀の腹を埋めるために20手目に2段跳ねするこの桂が非常に味良し、と自画自賛。」

■ほらね(笑)

斧間徳子 「91飛生以下の収束7手が絶妙かつ爽快な手順。」

■実に、実に。

中村雅哉 「手数の割りに考えやすく、仕上がりも綺麗。こういう作品が増えてほしい。」

■易しい長編の雄といえば中村さんですが、長編に求められる”手の付け易さ”と”解後感のよさ”を兼ね備えた作品でした

NAO 「元祖打つべし。素晴らしい捌きの収束でした。」

■さすがに”元祖”は強い。

たくぼん 「簡単だけど73桂~85桂は素晴らしい手順です。」

■いわゆる”ツボにはまった”手順でした。

はらたっと 「73桂、85桂が凄い!解けたら感動しました。」

■作者はもっと感動したかも。

みや 「後手桂の活用に、少し時間がかかりましたが、楽しく解くことが出来ました。」

■詰将棋でも推理将棋でも、楽しめることが一番ですね。

S.Kimura 「桂の2段跳ねが上手いですね」

■85桂にだけ意味があるのではなく、73桂にも大きな意味がある点が素敵です。

鈴木康夫 「駒の効率が良くて気持ち良い作品ですね。」

■”打つべし”シリーズのコンセプトが優秀ですから。

はなさかしろう 「長手数ですが面白く覚えやすい主条件でバラエティに富んだ王手が楽しめました。先手の飛車と後手の桂馬の動きが絶妙でした。」

■本局の特徴をすべて言ってもらった短評でした。

占魚亭 「桂跳ねがナイスアシスト。」

■実戦でこういうアシストだけはやめましょう(笑)

渡辺 「13手目まで一本道、その後も手段は限られるのになかなか見えない桂の二段跳ね。「金の手がなかった」はもう一方の詰み筋を防ぐものだが、考える範囲を狭めてくれる親切な条件。」

*タラパパさんの結果稿に抜けていたようなので追加しました(TETSU)


正解:16名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  鈴木康夫さん  占魚亭さん  たくぼんさん
  橘圭伍さん  躑躅さん  DD++さん  NAOさん  中村雅哉さん
  はてるまさん  はなさかしろうさん  はらたっとさん  ミニベロさん  みやさん
  渡辺さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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