大道棋よもやま話 第2回 プロ棋士もはまった大道棋
[2011年2月19日最終更新]
詰将棋パラダイスで連載中の記事です。詰パラでスペースの関係で掲載できなかった資料全文なども補足していきます。
関連情報: 大道詰将棋よもやま話 ドキドキストリート (おもちゃ箱)
詰将棋パラダイス 2010年11月号掲載
大道棋よもやま話 第2回 プロ棋士もはまった大道棋 加藤 徹
大学担当の利波さんから珍しい資料をいただきました。昭和12年の将棋日本の大道棋の記事を二つ。奇策縦横に収録されている藤倉さんの「大道棋の歴史」にも昭和初期の文献は取り上げられてなく、貴重なものと思います。今回はそのうちから、プロ棋士が50銭
とられたという記事を紹介します(仮名遣いなど一部修正しました)。
宮松七段が大道将棋屋に五十銭とられた話 傍観生
(将棋日本 昭和12年4月号)
暮もいよいよ押しつまった三十日の夕刻、銀ぶらとしゃれた宮松七段、ふと大道の詰将棋が眼についた。立って見ている間に、一人の男が詰め損って五十銭とられた。
将棋屋は七段氏とも知らばこそ、傍に立っていた宮松七段にすすめたのである。軽く応じた宮松氏は、深くも考えずに手を出した。ところが案外手強くて、これまた五十銭とられることになってしまった。二回目に成功すれば前の五十銭もいらないというので、今度こそは高段戦士の名誉にかけても仇を討ってやろうと大いに考えこんだのであるが、詰みそうに見えてなかなか詰まない。沈思黙考十数分、ぐっと盤面をみつめていると、その内に巡査が来て、将棋屋は店を閉じてしまった。残念ながら五十銭とられたのである。
ところで皆さん、その詰将棋と宮松七段の指手は次の通りでありますが、誰れかこれを詰めて宮松さんの仇を討つ人はありませんか。但し決して将棋盤に並べて駒を動かして見てはいけませんよ。
・宮松七段の指手
三一銀不成、三三玉、四四金、同角、二二飛成、四三玉、五二龍、三三玉、
デ千日手トナリ宮松氏ノ負。
仇討ちということで解答は省略。さて詰パラ読者の皆さんは、宮松七段の仇を討てるでしょうか。
この問題は秘手五百番の487番(左右逆)で29手。この頃は右形で出題されていたのかな。案外詰めにくい味があり、良い問題です。
今回は利波さんの、この「逸話を読んだ時に作った」作品を出題します。
解答は最終手と手数(と短評)だけでOKです。1名に呈賞。
◇大道棋2 利波偉
解答締切:11月末
解答送付先 (省略)
利用できる方はなるべくメールで (省略)
◇大道棋1 加藤徹 正解
96金、84玉、87香、イ86金合、85金、同金、同香、同玉、86金、84玉、
75金、同金、64龍、ロ83玉、84香、72玉、75龍、ハ73銀合、同龍、同玉、
64銀、72玉、73金、61玉、52香成、同玉、53銀成、51玉、62金、41玉、
42成銀迄31手。
イ 86飛合は、85金、同飛、同金、同玉、86飛、75玉、77香以下
ロ 74金引は、75馬、95玉、96香、同玉、66龍、87玉、76馬以下29手
ハ 73金合は、同龍、同玉、83金、74玉、75金、63玉、96馬以下29手
凡骨生「53龍の配置がよく75金~64龍の手順を生み出している。」
★全短評をおもちゃ箱で掲載。
http://www.ne.jp/asahi/tetsu/toybox/
金問題は奥が深いが、駒数が多いのが欠点。本作は53龍の配置が新工夫で、初形の簡素化に成功した。
86金合からその金を75金と捨てるのが山場。64龍に74金引もおもしろい受けだが、単に83玉と逃げる方が73銀の限定合で長い。
◇解答者 27名 正解24名、誤解3名
【正解者】(太字の4名が当選) (省略)
注1)上記の大道棋2の解答募集は終了しています。解説および全短評をおもちゃ箱で掲載していますので、ごらんください。
注2)上記の大道棋1の解説および全短評はこちら。
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