推理将棋第41回解答(2)
[2011年3月3日最終更新]
推理将棋第41回出題の41-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第41回出題 推理将棋第41回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
41-2 中級 タラパパ作 止めはどれも銀(1) 11手
盛大に開催された、第41回推理将棋全国大会の会場にて。
ぼく「いやぁ派手な将棋を見たよ。先手が3手目に3筋で王手をかけたと思ったら、5手目は4筋で王手、7手目は5筋で王手と、次々に左隣の筋に移して、最後まで王手をかけ続けたんだ」
A君「僕もそんな将棋を見たよ」
B君「僕の見たのもそんな将棋だったね。これだけ対局があれば似た将棋もあるさ」
ぼく「でもね、最後まで大駒を成る手がなかったんだ。珍しいだろ?」
A君、B君「同じ同じ」
ぼく「え?まさか、止めは銀の手じゃないよね?」(※)
A君、B君「銀の手だったよ」
全員「どうやら僕たちは3人とも、同じ将棋を見ていたんだね」
ぼく「たった7手で詰まされた後手、気の毒で見てられなかったよねぇ」
A君「7手だって?違うさ、11手で詰んだんだよ」
B君「何言ってるんだ。15手だよ、15手で詰み。間違いない」
どうやら、3人とも別の将棋を見ていたようです。ぼくの見た将棋は、言うまでもなく 76歩、54歩以下53銀まで の7手なのですが、A君、B君の見た将棋とは?(A君の見た将棋:条件)
- 11手で詰み
- 先手は3手目に3筋で王手をかけると、次々に左隣に着手を移して王手をかけ続けた
- 大駒を成る手なし
- 止めは銀の着手
※ 銀の手とは、銀を動かすあらゆる着手や銀を打つ手。成銀を動かす手は除かれます。
出題のことば(担当 タラパパ)
玉は7筋で詰んだようです。
追加ヒント:
止めは角筋に銀を成る手。
推理将棋41-2 解答 担当 タラパパ
▲7六歩、▽5二金右、▲3三角不成、▽4二銀、
▲同角不成、▽6二玉、▲5三角不成、▽6一玉、
▲6二銀、▽7二玉、▲7一銀成 まで11手。
推理将棋の「手数」の基準について、考え方が二つあります。
(1) 手数は守るべき条件であり、構築される手順は手数を含めた全条件を満たさなければならない。
(2) 手数は参考であり、他の条件を全て満たす”より短手数の手順”があれば、それもまた条件を満たした”余詰順”である。
二つの考え方、推理将棋界でどうすべきか、まだ完全決着をみていません。
基準(2)を適用することで、はじめて不完全となる作品はレアであるため、幸い当コーナーで問題はでていませんが、詰将棋パラダイス誌で出題例があるように、全条件を守れば唯一手順でも、短手数を含めば複数手順存在する作品が、作者も気付かずに出題される可能性はあります。個人的に試みてみると、むしろ11手に10手の”余詰”、10手に9手の”余詰”など、先後逆転するケースが多そうです。作者もチェックしませんし。
ところで今回の出題コメントで、同一条件で先後逆転手順のある作品は1局だけと書きましたが、これは私の思い違いで、既発表に3作品が確認できました。その後、担当者が試みた試作4作など、現時点で基準(2)で不完全となる作品は10数局まで確認済みです。
こうした”余詰順”のある作品が偶然にせよ出題された時、作品が完全なのか、正答なのか誤答なのか、『判定不能』という訳にもいきませんから、暫定的にせよ当コーナーでの基準を明確化し、指針としなければなりません。いわばローカルルールです。
当コーナーでは「(1) 手数も守るべき条件」を支持し、運用していきたいと思います。
これを支持する理由を示すには実例が一番と、今月の中上級問題を作りました。基準(2)を適用した場合、中上級問題は各「7手」「7手&11手」の余詰順がある”不完全作”ですが、「7手で余詰」と言われても違和感が拭えないのです。もちろん基準(1)が現在の多数派であることも、これを指針とした理由の一つです。
前置きが長くなりましたが、作品の解説に移ります。
11手で詰むなら止めは7筋の銀。止めに使う銀を王手で取れる場所は「42」か「71」だけ。条件から71銀を取って7筋に打つことはできず、「33角不成、42銀、同角不成」のセットが必須になります。そこで問題は、角または76歩と連携して、銀を最終手に7筋で詰めあげる形。81桂の利きを考えると73銀はなさそうですし、74玉に75銀も無理。そこで条件をもう一度見返すと、大駒は成れなくても小駒は成れる。ここから53角と連携した71銀成が想像できれば、62銀を王手で打つためには61を空けなければならないことが分かり、解決に至ります。
なぜ条件が「成る手なし」でなく「大駒を成る手なし」なのかを推し量れば、中上級のいずれかで銀成が出そうだと決め打ちするのも近道。
ところで問題文ですが、「次々に左隣に着手を移して」はいけませんでした。「次々に”左隣の筋”に着手を移して」でないと。失礼しました。
はてるま 「収束を推理するのが鍵ですね。」
■その通りです。それから。
まさ 「とどめは銀なので4手目は42銀に確定。収束形が見えるかが勝負。」
■そう、42銀が確定します。また。
NAO 「61を開けないと王手が続きません。」
■ということになります。
斧間徳子 「2手目の52金右は意外な一手でした。」
■こう順序だてて考えると必然のような気もしますが・・・・52金右は妙手なんだ!
KG 「3三角不成△4二銀▲同角不成はほぼ確定なので2手目にどんな手を指すかが重要ですね。6一の金を邪魔にならないところへ予め除けておくのが良い手(後手にとっては悪手ですがw)ですね。」
■はい。推理将棋の妙手って、悪手であればあるほど際立つから面白いですね。
宮谷保可楽 「最後は7筋での王手なんだけど、アレッと思い問題文を読み直した。3兄弟のうちこの問題だけ、最終手が銀打ではなく銀成なのが、ちょっとしたアクセント。」
■アクセントというか、成り行きというか・・・・(^^;
superkuppabros 「7筋の詰みは、文面からも7一銀成までと決めてから解くと、あっさり決まりました。」
■そうそう、そこそこ。「”大駒”を成る手なし」がわざとらしい条件ですから。
館長 「7筋で詰ませるには6一金が邪魔です」
■それが意外に気付きにくかったりしません?
DD++ 「7筋の銀の手でトドメとくれば53角を紐に71銀成までと容易に想像がつきますね。しかし、検討はしてないですが7手と11手はタイトルにもなっている「とどめは銀」条件は実は外して大丈夫だったり?」
■そう言って下さる人をお待ちしていました(^^) 7手は外せますけど、11手は外せないんです。76歩、64歩、33角不成、42飛以下、飛車で金を取って75金まで。たぶん単に「成る手なし」条件ならこの手順に限定する? その場合、15手が成立しないのが辛いところ。
はらたっと 「しばし6筋の王手がかからず長考・・・・61金が邪魔駒とわかり解決しました。」
■そう、盤上に61金がいなければ、手順が構築できるのです。そして金が手順の邪魔をしない位置が52。
たくぼん 「ヒントが良心的で、さすがに一目・・・・ヒントが出るまで考えていない??のは内緒」
■内緒と言われるまでもなく、私だけは知っております(笑)
鈴木康夫 「6筋に銀を打つためにと2手目64歩の紛れに嵌りました。」
■そうこなくては!
S.Kimura 「71銀成に気付いて、何とか解けました」
■なんとなく”成”に違和感ありませんでした? 作者はすごく違和感があります(笑)
魚熊 「上級が先に解けたため、こちらも中段に追い出すものと思い込んで苦戦。73銀型の詰みはあり得ないし・・・・。とおもっていたらやっと2手目に思い当って詰み形が見えました。」
■銀ですから中段は苦しいんです。73銀型もおっしゃる通り。
正解:15名
魚熊さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 館長さん KGさん
superkuppabrosさん 鈴木康夫さん たくぼんさん 躑躅さん
DD++さん NAOさん はてるまさん はらたっとさん まささん
宮谷保可楽さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
おお、トドメが金の場合は中段で詰むんですね。完全に見落としてました。
しかし、こんな指摘をタラパパさんに待たれてたようなので結果オーライ?(笑)
投稿: DD++ | 2011.03.03 13:21