推理将棋第43回解答(2)
[2011年4月26日最終更新]
推理将棋第43回出題の43-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第43回出題 推理将棋第43回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
43-2 中級 はなさかしろうさん作 同飛成まで 9手
「さっきの将棋、あっという間だったね」
「うん。9手で同飛成まで、だったね」
「4手目の銀がどうかとは思ったけどな」
さてどんな将棋だったのだろうか。(条件)
- 9手で詰んだ
- 9手目は同飛成
- 4手目は銀の手
出題のことば(担当 DD++)
5手目に飛を取れるのは4箇所。さあどこで取りましょう。
追加ヒント:
トドメは72同飛成。角と協力してうまく詰ませましょう。
推理将棋43-2 解答 担当 DD++
▲7六歩 ▽4二飛 ▲3三角不成▽8二銀
▲4二角不成▽5二玉 ▲7一飛 ▽7二金
▲同飛成 まで9手。
今回の選題は全てそうなのですが、これもやはり手順自体はベテランの方には見慣れた手順ではないでしょうか。なぜかわかりませんがこの手順はほとんどの作家が一度条件付けしてみる手順のようで、私も例に漏れずこの手順を自力で見つけて条件付けをした過去があります。この「72同飛成現象」は推理将棋の七不思議の1つといっても過言ではないかもしれません。
という冗談はおいといて、解図してみましょう。
先手飛の出動は苦しいとして、ならば後手飛を取って打つわけですが、最終手に飛成ということは、逆算して7手目に飛車を打つ、さらに逆算して5手目には飛車を取らねばなりません。それが可能なのは、82、62、42、32、の4箇所です。
このうち、62はそもそも4手目銀条件が満たせません。82は「76歩、74歩、55角、62玉、82角成、51金右、73飛、72銀、同飛成」という順がありますが、72銀を4手目に持っていくと最後が同飛成でなくなってしまうのでボツ。32で飛を取るには4手目銀では「76歩、32飛、33角成、42銀、32馬」しかなく、ここから4手で同飛成までで詰ますのは明らかに不可能。
ということは残るは5手目に42で飛を取り、7手目に飛を打ち、9手目同飛成の順しかありません。5手目以降角は動かないのですから角か馬がいる位置は42のまま。さてもう1枚龍を置いて詰む場所は?。51龍や52龍が目に付きますが、答えはヒントにも書いたようになんと72龍。
推理将棋は詰将棋と異なり、玉方の持ち駒は何もない状態からスタートします。そのせいで、飛び道具での王手に逃げることも合駒することもできずに詰み、という場面が当たり前のように出てきます。今回もその1つの形で、72からの龍の王手に対して62に合駒するものがないので、こんな形でも詰みなのです。合い効かずは本当に頻出なので、是非とも感覚として身につけておいてください。
それではみなさんの短評をどうぞ。
斧間徳子 「濃密な手順も簡潔な条件付けも申し分のない傑作。」
■条件が覚えやすい作品はやはりいいですよね。
チャンプ 「これが一番難しかったです。作者の立場からの裏読みまでしてようやく解答に辿り着きました。
・飛車を取る場所が32の場合、この条件だと4手目が42銀に限られ、こんな面白くない条件付けをするハズがないのでパス。
・飛車を取る場所が82の場合、この条件だと不成りとする意味が無い(玉が72まで行けない)ので成る等の条件がない限りこれはない。
・飛車を取る場所が42の場合、この条件だと42角成は33角不成~でも可能なので33角不成~42角不成が確定。作るとしたらこの順(笑) 」
■裏読みはよくありますが、「作るとしたらこの順」まで読みますか(笑)
鈴川優希 「この手順を知っていたので解けましたが、そうじゃなければかなり苦戦していたと思います。4手目銀の条件で手順前後が消えているのがいいですね。」
■やっぱりこの手順は不思議なくらい有名なんですよね。やっぱり七不思議の1つだと思います。
NAO 「金銀の守りが強力。4手目のそっぽ銀で解決。」
■私もそう思っていましたが、「同飛成まで」だけだと10通り弱のパターンがあるようです。最後に1枚取らせることができるので意外ともろいんですね。
KG 「『5手目に飛を取れるのは~』というヒントがあったので案外すんなりと解けました。このヒントが無ければ先手飛車を使う筋を最初に探してたと思います。」
■中級だけはコメントでちょっとヒントを出してみたのが功を奏したようで何よりです(^^)
宮谷保可楽 「これは詰上がり勝負。龍角で挟み撃ちにするための82銀~72金。」
■たしかに詰め上がり勝負。合い効かずを知ってもらうための選題でした。
タラパパ 「この詰み形を知らなければ途方に暮れそう。難局だと思います。」
■9手の中では間違いなく難局に分類される方でしょうが、一応上記したように理詰めでわりとあっさり絞れますので、もっと難局はいくらでもありそうな気もします。
中村雅哉 「これも有名な筋だが、何回見ても気持ちのいい手順。」
■私にとっては何回見ても本当に詰んでるのか確認してしまう手順。
S.Kimura 「この問題で長い間つまづいていました.ヒントの72同飛成は浮かんでいたのですが,82角成としていたので,4手目銀の条件のため詰みませんでした.そこで,43-3を解き,この問題でも自分が見落としそうな手(角の反対側に飛車を置く)を考えたところ,運良く答えに辿り着きました」
■答えにたどり着けたなら、それは運ではなく実力。私はそう思います。
渡辺 「これも知らなければギブアップしそうな問題。何人解けたのでしょうか?」
■正答率9割でした。もちろんベテランの方が混ざっているとはいえ、自力でこの手順を発見した方も少なくないようです。それに、おもちゃ箱だとヒントもありますしね。
リーグ戦ファン 「推理将棋史上(あくまでも私が取り組んだ中で)一番時間のかかった作品でした・・・ 竜を単独で二段目に使う筋は早い時期に少し考えはしたのですが、脳内解きだったので『▽82銀』が可能であることに思い至らなかったのが敗因。自陣の飛を使うような筋の悪い方向までだいぶ考えてしまいました。この問題、『4手目が金』ならば何十も詰め上がりのあるところ、銀にしただけでこの綺麗な形に限定されるのですね。さすがです。」
■そこまで難問でしたかこの問題。こっちを上級にするんだったかなぁ。
はなさかしろう 「この詰め上がりを発見した時は流石に先行作はあるだろうな、と思い、試みに提出がてらお尋ねしたところ、いろいろな先行作を教えていただきました。DD++さんのコメント『なぜか皆1度は作る』はまさに至言で、この手順で採用していただけたのは光栄ながら汗顔の至りです。私も一度作問までしてしまってから、あれもこれもこの手順だったのか、と別の条件でも解けるようになりましたので、初見では難問かもしれません。詰め上がりがユニークなのであっさりとけれん味のない条件付けを心掛けました。」
■そう、なぜかみんな一度は作る七不思議。ところが、詰パラでは出題例はあるもののおもちゃ箱では出題例がないので採用させていただきました。私のことですから、今後も全くの別条件で知らん顔してまたこの手順を出題するかもしれません(笑)
はらたっと 「最初、76歩74歩55角62玉82角成51金右73飛72銀同飛成までと思ったら4手目銀?これで大はまり。」
■龍は飛び道具なので合い効かずがありうる、それに気づくかどうかが勝負でした。
たくぼん 「ヒントが良心的。たくさんの解答があるといいですね」
■今後もヒントは良心的に、かなり答えに近づけるものを出していくつもりです。
高坂研 「これはかの有名な、オリジナルのはてるま手筋!条件を変えて出せば、まだまだ啓蒙的価値はありますね。」
■この手順は解かせて引き込むより解答を見せて引き込む方に有効そうですよね。こんな詰め上がり実戦じゃまずありえない形ですからそこが一番の魅力ですし。
はてるま 「この詰み形は私の作にもあったので、割とすぐひらめきました。本作は条件がすっきりしているのが魅力ですね。」
■やっぱりみんなが作っている七不思議。しかし条件がここまでシンプルなのはたしかに珍しいです。
正解:18名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん KGさん 高坂研さん 鈴川優希さん
諏訪冬葉さん 占魚亭さん たくぼんさん タラパパさん チャンプさん
躑躅さん NAOさん 中村雅哉さん はてるまさん はなさかしろうさん
宮谷保可楽さん リーグ戦ファンさん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
正解18名ですか。ヒントに拍手ですね。
投稿: 渡辺 | 2011.04.26 23:10