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推理将棋第43回解答(3)

[2011年4月27日最終更新]
推理将棋第43回出題の43-3の解答、第43回出題の当選者(占魚亭さん) を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第43回出題  推理将棋第43回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


43-3 上級 DD++作        偶数段の攻防       9手

「よし、たった9手で詰ませたぞ」
「負けました、玉の手か6手目の大駒が失敗だったかなぁ」
「きっと3手目の成る手がよかったんだよ」
「そういえばこの将棋、偶数段の着手だけだったね」

さてどんな将棋だったのだろうか。

(条件)

  • 9手で詰んだ
  • 偶数段の着手のみだった
  • 3手目は成る手
  • 玉の手があった
  • 6手目は大駒

出題のことば(担当 DD++)
      9手特集ですから上級も9手。さて、何分で解けますか?

追加ヒント:
  成った駒はさらに5手目と9手目に動かします。2段目にこだわるとドロ沼。


推理将棋43-3 解答  担当 DD++ Suiri433

▲7歩  ▽3歩  ▲2 ▽4
 馬  ▽6二飛  ▲2角  ▽5二玉
▲3馬  まで9手

条件を見てみなさんまず何を考えたでしょうか。多くの方が「76歩、34歩、22角成からあとは2段目の攻防かな」と考えたのではないでしょうか。ところがどっこい、2段目を使って攻めると、「76歩、34歩、22角成、72金、32馬、42金、同馬、62玉、52金」などいろいろな詰ませ方はあるものの、6手目に大駒が登場する順はありません。(ないはずでした。検討漏れがなければ(泣))

このように、当然こうだろう、という思い込みを利用して誤った思考をさせ、不可能な内容に思わせる手法をミスディレクションといいます。今回で言えば2段目攻めとは一言も謳ってないのに、偶数段条件と3手目の22角成で「きっとここから2段目攻めだろう」と思い込むように条件を作り、その思い込みを利用して不可能問題に見せる技術です。

この問題の正解は全く違うところにありました。まずは条件どおり22角成と踏み込みますが、これを一度44同馬と引いて34馬と寄ると、24角とあわせて平行2枚角の詰め上がりの完成。実は主戦場は4段目なのでした。もっとも、この詰め上がりを知っている人はこのミスディレクションにあんまりひっかかってくれなかったみたいですけれども。

ありがちなミスディレクションは、「王手3回」と謳っておいて実はそのうち1回は実は玉方の王手とか、「玉頭に飛車を打った」が実は攻め方玉の頭だったとか、というところでしょうか。今後もミスディレクションを利用した問題はたびたび出題することになると思いますので、怪しい条件には騙されないようにしてくださいね。

それにしてもまったく、誰でしょうね、こんなイジワルな問題を作った悪い人は。……あ、私か。

それではみなさんの短評をどうぞ。

躑躅 「詰上がりは想定できましたが、44歩が見えにくかったです。」

■この詰め上がりは43歩が邪魔ですから、いつか突かなければいけない歩なのです。

斧間徳子 「前例のある詰め筋なのですぐに解けたが、この筋を知らないと(3手目まで実質開示されているとはいえ)難問かも。」

■筋を知らなければきっと、3手目まで開示されてるからこそ難しいと思います。まさか馬が22から4段目に撤退するとは思わないでしょうから。

チャンプ 「作意なのかな・・・3手目が不成りでは他で余詰むんですかね?」

■3手目不成りだと元条件でも余詰みません。しかし、ここに生角がいるとどう考えても44角成とするしかなくて、ミスディレクションになってくれないんですよ。で、しかたなく成で余詰があるかどうか検討したところ見事に検討漏れしました(泣)

鈴川優希 「序の3手は確定で、しかも偶数段縛りがかなりきついので、すぐに解くことができました。4四歩、同馬のやりとりが洒落ていますね。余詰は、5二角以下の手順ですか?」

■この44歩、同馬をすぐに見抜くとは!余詰めはご指摘の通りです。なぜか検討でこの52角を見落としました。なんでだろう。

NAO 「一見平凡な44歩同馬が盲点。余詰消しの追加条件がヒントになりました。」

■2段目に踏み込んだ馬が4段目に引くとは思いませんもんねぇ。これぞミスディレクションの効果。

KG 「玉の手があることからおそらく5一の地点を角で封じるんだろうなとは思っていましたが、2段目でちょこちょこ動かす手ばかり考えていてなかなか解答にたどり着きませんでした。」

■きれいにミスディレクションに引っかかっていただきました。KGさん、いい解答者です(笑)

宮谷保可楽 「これも詰上がり勝負。筋違い角2本で射抜かれた玉。」

■詰め上がりの前に4段目に馬を引く発想が出るかどうかも勝負のポイントです。

タラパパ 「3手目まで確定とはいえ、4手目が思いつきにくい手で悩まされました。」

■なまじ3手目まで確定してるからこそ、こんな4手目は見えにくい?

中村雅哉 「これまた頻出の筋だが、条件付けに工夫が感じられる。」

■実は偶数段条件を先に作って、それから手順を決めてたりして。

S.Kimura 「43-2でつまづいていたので,この問題はヒントありでスタートしました.2段目泥沼とのことだったので,32馬の筋は早々に捨てて,4手目に44馬としました.そこで,まさかとは思いつつ,自分がしばしば見落とす,馬の横の動き(34馬)をしてみたところ,偶然にも収束が見つかりました.」

■最初からヒントありだとこの問題は中級より簡単だったでしょう(笑)

渡辺 「『偶数段目』の条件が目新しい。3手目までは決定、6手目も飛金銀の限定(実は42の守備を兼ねている金銀には出来ないので)と想像が突くので比較的手はつけやすい。」

■筋に着目する条件は多くとも、段に着目する条件ってあまりないですしね。

リーグ戦ファン 「3手目までが限定。玉の手は常識的には後手でしょうから、後手がフリーに指せる小ゴマの手は一手だけ。であれば、62金同馬、のような形では、2段目に守備駒が利かなくなるマスが存在しないので、詰み上がり図は2段目玉を4段目から飛び道具で詰める形しかありません。・・・と考えて、ほぼ一発で詰ませました。」

■玉の手条件追加でこの読み方が可能になったので一気に解きやすくなりました。

はなさかしろう 「作意解を先に見つけて条件良し手順良しの好作なのに余詰!? と、失礼ながらもうひと探し楽しんでしまいました。飛車の横利きを止めるだけのための豪打▲52角を見つけ、思わず破顔大笑。それにしても、なるほどの美学!? 3手目は不成、とは修正しないものなのですね。」

■まさにその52角を検討で見落としたんですよね。不覚。修正はいろいろ考えましたが、32馬というおいしそうなマギレが本問題の狙いだったので、不成にしてそれを消す選択肢はないかなと、こんな修正になりました。

はらたっと 「2段目からはなれて考えると4段目角並びかな?と思ったらすぐわかりました。」

■玉は3段目に来れない、攻めは2段目ではないとなれば飛び道具しかないですもんね。

たくぼん 「気楽に考えたが結構悩みました。30分は考えました。はぁ~」

■9手とはいえ上級ですから多少は考え込んでいただかないと(笑)

高坂研 「3手目まで明らかなのに、その後の詰上がりの想定に一苦労。分かってみれば、これまた有名な筋違い角の手筋だった。」

■22馬から44経由で34馬というのはなかなか気づきにくいと思います。

はてるま 「44歩がひらめきを要する一手。43を空けるのと44に馬を運ぶ一石二鳥の手ですね。この発見に手間取りました。玉の手がなければ4手目以下32金、同馬、62飛、52角、22銀、42金までですね。」

■収束が見えれば44歩は当然の1手なんですけどね。余詰めの52角は本当に不覚でした。


正解:19名  双方解:KGさん、チャンプさん、躑躅さん、はてるまさん

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  KGさん  高坂研さん  鈴川優希さん
  諏訪冬葉さん  占魚亭さん  たくぼんさん  タラパパさん  チャンプさん
  躑躅さん  NAOさん  中村雅哉さん  はてるまさん  はなさかしろうさん
  はらたっとさん  宮谷保可楽さん  リーグ戦ファンさん  渡辺さん


総評

斧間徳子 「解答を書いていて気づきましたが、今月は9手詰だけではなく、詰上り52玉作品特集でもあるのですね。」

■本当ですね。全然気づきませんでした。しかし52はかなり詰ませやすい位置ですからこの偶然も納得です。

鈴川優希 「次回も解答できたらいいなと思っています。」

■ぜひともお待ちしております。

NAO 「出題はお手柔らかにお願いします。初回の難易度は3作とも中級かなと思いました。最初に解けたのは上級です(^^)!」

■9手で本気の上級はなかなか作れるものではありませんから、今回の上級はたしかに中級相当だったと思います。しかしそれが最初に解かれようとは。

KG 「難しかったです。そしてなぜか初級より中級の方が先に解けてしまいましたw 3問とも詰み形が面白いですね。」

■普通の将棋では絶対にありえない、そんな詰み形が次々出てくるのも推理将棋の魅力のひとつですから。

宮谷保可楽 「DD++さん、はじめまして。たまに解答している者です。ぼちぼち頑張りますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。」

■どうもはじめまして。今後ともどうぞよろしくお願いします。しかし宮谷保可楽さんって、たまにどころか常連解答者なイメージがあるんですが(笑)

中村雅哉 「推理将棋の有名手筋特集、といった趣でした。」

■手順も有名どころを並べる目的だったので、わかっていただけたようでうれしいです。

渡辺 「今回は9手とは言え、中級/上級/上級のような気がします。」

■私は初級/中級/中級かな、と思っていました。難しい9手をどれくらいの扱いと考えるかの差ですかね。

リーグ戦ファン 「DD++さんの今回の問題、詰め上がりがどれも飛び道具で華麗、短編の詰め将棋っぽいですね。」

■短編の推理将棋で印象が強い手順となるとどうしても飛び道具が活躍する手順になりますからねぇ。

はなさかしろう 「選者ご就任おめでとうございます。DD++さんのセンスをこれからも楽しみにしております。」

■これからも担当がんばっていきますのでよろしくお願いします。逆にはなさかしろうさんにはこれからも面白い問題の投稿を楽しみにしています。


推理将棋第43回出題全解答者: 20名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  KGさん  高坂研さん  鈴川優希さん
  諏訪冬葉さん  占魚亭さん  たくぼんさん  タラパパさん  チャンプさん
  躑躅さん  NAOさん  中村雅哉さん  はてるまさん  はなさかしろうさん
  はらたっとさん  みやさん  宮谷保可楽さん  リーグ戦ファンさん  渡辺さん

当選: 占魚亭さん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知 らせください。

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コメント

「玉の手があった」ではなく「詰上がり時、先手の持ち駒が余った」としたらどうだったでしょう?
正解の筋が見えてないと歩を取ることに気づきにくいですし、
金銀を取る筋を考えて2段目に嵌る人がより多く出てきたような気がするのですが。

投稿: KG | 2011.04.27 12:45

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