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推理将棋第44回解答(2)

[2011年5月28日最終更新]
推理将棋第44回出題の44-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第44回出題  推理将棋第44回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


44-2 中級 KGさん作       打歩詰を知らない二人(A)  11手

A君「さっき隣でやってた将棋見たかい?」
B君「ああ、11手目に指した手が打ち歩詰めだったやつだよね」
A君「そうそう。どうやら二人とも打ち歩詰めが禁じ手だって知らなかったみたいだね」
B君「つまり打ち歩詰めは禁じ手ではないが、それ以外は通常の指し将棋と同じルールで二人とも対局していたってことだね」
A君「そして、11手目に持ち駒の歩を打って相手玉を詰ませて終局したわけだ」
B君「そういうことだね」
A君「確か、1手目と2手目は玉の手だったね」
B君「それから、3手目と4手目は歩の手だったよ」
A君「そうそう、7手目は不成の手だったよね」
B君「えっ?7手目は駒を成る手じゃなかったっけ?」

どうやら、A君とB君は両隣の全く別手順の将棋を見ていたようです。
二人の見ていた将棋はそれぞれどういう将棋だったでしょうか。

(共通条件)

  • 11手目に打歩詰になった
  • 1手目と2手目は玉の手
  • 3手目と4手目は歩の手

(A君の見た将棋)

  • 7手目は不成の手

出題のことば(担当 DD++)
  打歩詰が禁手じゃなくても、もちろん二歩は禁手ですよ。

追加ヒント:
  先手は歩の他に銀も打ちます。トドメは53歩。


推理将棋44-2 解答  担当 DD++ Suiri442

▲5八    ▽5二    ▲7六    ▽5四
▲3三角不成▽4二銀    ▲同角不成  ▽6六角
▲5一銀    ▽5七角不成▲5三  まで11手

推理将棋のほとんどは敵玉を普通に詰ます将棋ですが、この問題のように打歩詰であったり、千日手であったり、ちょっと変わった将棋も問題として作れます。そこは推理将棋の自由度というものでしょうか。

自由度といえば、解図の方法も人それぞれです。ここでは少し変わった解き方をしてみましょう。それは「短手数手順に類型を求める」というもの。トドメが歩打ちということは、すでに周りはガチガチに包囲されている状態のはずです。そんな状態にできるのであれば、少し手を変えれば7手目や9手目で普通に詰ませられたのでは?、と考えるのです。

この問題は初手に攻方玉が動く無意味そうな手があって、その後7手目(実質5手目)に不成、ということは「76歩、52玉、33角不成、42銀、同角不成、54歩、53銀」の7手詰あたりが匂うところです。この手順を基本に、53ではなく51に銀を打ってから53歩とすればうまくいきそうだと気づけば答えはすぐそこです。

攻方がすることは76歩~33角不成(歩入手)~42角不成(銀入手)~51銀~53歩。玉方がすることは[52玉、54歩、42銀]~66角~57角成/不成(二歩解消)。あれ、攻方5手玉方5手なので10手で打歩詰ができてしまいました。実際に並べても10手で矛盾なく先手玉の打歩詰は成立します。

ところが、これをあえて10手問題にしなかったのがこの問題の面白いところ。後手の57角の成生は非限定でしたが、「初手玉」で攻方玉が八段目にいたらどうでしょう。58玉と57角不成以外の組み合わせは全て王手になってしまって手順が成立しないのです!

成生限定のためにこのような方法が使われることはめったになく、また非常に難しいのですが、デビュー作でいきなりそれをやってのけたKGさん、お見事でした。

それではみなさんの短評をどうぞ。

鈴川優希 「無駄手を入れることによって後手角成の非限定を消してしまっている!」

■これは新人離れした条件付けだと思わざるを得ません。

中村雅哉 「10手案(mixi 254番)を知っていれば簡単。2手目玉で10手目成生を限定させるのがうまい。」

■10手解を知ってればほとんどゴール目前からスタートしてるようなものですからねぇ。しかし初手玉はやはりうまい条件。

NAO 「42不成は定番。フツーは53銀打のところ、歩打ちに変わり51銀が打ちにくい感じ。」

■本問はこの42角不成を定番と思えるかどうかで感じる難度が大きく変わったようです。

斧間徳子 「42角~51銀は、打ち歩詰めならではの、あまり見かけない筋。」

■普通は42角とくれば53銀ですからねぇ。

はなさかしろう 「打歩詰を真剣に考えたことがなかったので面食らいましたが、案外手数がかかる様子。となると短手数でおなじみの詰み形が有力で一転解きやすい問題でした。本問は初手の遊び手がツインにぴったりで絶妙でした。」

■やはり42角53銀の応用を思いついた方には早かった様子。しかしやっぱりこの問題の真髄は初手ですよね。

S.Kimura 「初手は後手の角で歩を取ったときに王手にならないことで限定していると閃き,5三歩までの打歩詰が見えました.」

■考えが5三歩までに至るにも人によっていろいろな過程があるものです。

タラパパ 「10手目不成限定のための初手玉ですか。なるほど考えましたねぇ。」

■これが新人の作品で出てくることに驚きです。

リーグ戦ファン 「まず細かい条件を見ずに、打歩詰に最短手数に挑戦。たぶん▲42角を基点に▲53歩までだよね・・・と手数を数えたら、10手解。条件を見て、先手無駄手を加えて、そのまま答えでした。7手詰めリストを見たあとだから易しかったかな?」

■リーグ戦ファンさんの解き方なら、7手詰めリストを見てなくてもこれは解きやすかったんじゃないかと思います。

渡辺 「ポイントは初手玉の意味と、双方の角出動で一手をどう稼ぐか。中段で詰めようとするとはまります(思いっきりはまりました)。」

■おお!?中段玉ですか。私は明らかに手数が足りないと考えていたのですが、何かおしいところまでいける妙手があるのでしょうか。

占魚亭 「57歩の取り方が分かれば簡単。」

■33角不成が歩を得つつ後手角道をあける一石二鳥の手。

はらたっと 「14歩13角ルートは1手足りないのでこれか。」

■そうそう、先手がトドメ用の歩をかじった穴から出て行くのです。

隅の老人B 「打歩はよいが、2歩はダメ。3度の不成、ウマイ、ウマイ。」

■言われてみれば不成3回もあるんですねこれ。

諏訪冬葉 「ヒントの『銀を打った』で▲42銀 を考えてしまい、上級より時間がかかりました」

■あちゃー、そっちへいっちゃいましたか。これはヒント失敗。

チャンプ 「まず先手の玉の着手が詰みに関わらないのは当然として、それでいて意味を持たせるとしたら先手の1手目は後の王手を回避する場所の選択、、、と、ここまでは良かったんですが・・・先手の5筋の歩を取らせるルートは13角~57角不成だと思っていたので苦戦しました。難問だと思います。」

■はらたっとさんといいチャンプさんといい、なぜ角が57へ行くのに13から回りたがるのでしょうか(笑)

たくぼん 「42銀や62銀を考えると13手かかる。51銀が好手」

■42銀形は初手玉の制約がなければ11手でできるんですけどねぇ……。

はてるま 「打ち歩詰め最短コース(10手)+58玉という図式ですね。上級問題あってのプラス58玉ですが、57角の生限定と相まってうまくはまっていますね。」

■上級問題がなくてもこの初手追加は面白い着想だと思います。


正解:20名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  鈴川優希さん  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん
  諏訪冬葉さん  占魚亭さん  たくぼんさん  タラパパさん  チャンプさん
  躑躅さん  テイエムガンバさん  NAOさん  中村雅哉さん  はてるまさん
  はなさかしろうさん  はらたっとさん  宮谷保可楽さん  リーグ戦ファンさん  渡辺さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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コメント

> 何かおしいところまでいける妙手が
その妙手を探していたのです。中段以外に初手玉の意味付けがなかなか思いつけずに、そうだと思い込んでしまった訳です。単に筋悪と言われればそれまでですが…。

投稿: 渡辺 | 2011.05.31 22:40

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