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推理将棋第46回解答(3)

[2011年7月30日最終更新]
推理将棋第46回出題の46-3の解答、第46回出題の当選者(鈴川優希さん) を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第46回出題  推理将棋第46回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


46-3 上級 はなさかしろうさん作 馬術競技         10手

「古い棋譜を見つけたよ。バロン西が作ったらしい」
「また適当なことを言って…ほう、10手で詰みか」
「角成が2回あって、馬の手も2手あるんだ」
「でも詰め上がりで敵陣にいる駒は馬が1枚だけ。慎ましいな」
「そうなんだ。馬術競技みたいだろ?」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 10手で詰んだ
  • 角成が2回
  • 馬の手が2回
  • 詰め上がりで敵陣にいる駒は馬1枚だけ

※先手陣にいる後手駒と後手陣にいる先手駒を、駒の種類を問わず「敵陣にいる駒」としてカウントします。最終条件は馬以外の種類の駒はいかなる駒も敵陣にいてはならないことを含みますのでご注意ください。


出題のことば(担当 DD++)
  10手にしてはかなり難問。ノーヒントで解けたら相当の実力者です。

追加ヒント:
  角成は先手と後手が1回ずつですが、先手が成った馬を引く余裕はありません。
  陣外の桂と馬で6筋玉を合い効かずに討ち取りましょう。


推理将棋46-3 解答  担当 DD++ Suiri463

▲7六歩    ▽3四歩    ▲7七桂    ▽同角成
▲5八玉    ▽8七    ▲2二角成  ▽6六桂
▲6八玉    ▽8六    まで10手 

やはりこの問題は苦戦した方が多かったようです。この問題が難問なのは、1つ1つの条件がどうとでも達成できそうな条件であることに加え、3つのうち2つの条件だけを満たす紛れがかなりの数存在すること。手当たり次第に動かして、おしい順にハマり続けた方は多いのではないでしょうか。しかも正解は合い効かずなのですからノーヒント状態で直感で正解にたどり着くのはなかなか困難。

解図手順としては、まずは角成2回と馬の手2回から考えてみましょう。仮に後手が2枚馬で攻めるとすると、当然先手は馬の手を指せないので、後手が「角道をあける、取った角を打つ、角成2回、馬の手2回」を全て指す必要があります。しかし、後手番は5回しか回ってこないのでこれは不可能。つまり角成は先手と後手が1回ずつということが分かります。

次に考えるのは中級と同じく、2枚目の攻め駒は何かということ。3つめの条件から、この駒は陣外からのサポートができる駒でなくてはいけません。となると候補はやはり飛び道具ですが、飛香は先手歩が邪魔になるのでさすがに陣外からのサポートは困難。角も先手の角成を待ってそれを取って打ってでは手数がかかりすぎます。となれば残った桂を使うのが最有力候補ということになります。すなわち序の4手は「76歩、34歩、77桂、同角成」。

ここから先手は角を成らなければいけませんが、その後馬を後手陣外に持ち出そうとすると、5手目から「王手対処、馬移動、角成、何か、馬引き、トドメ」といった手順になるため、先手が詰み形を作るための手が全く指せず、10手で詰みには届きません。つまり、先手馬はどうしても後手陣に残ってしまうのです。となると3つめの条件を満たすためには、後手は馬も陣外に引く必要が生じます。桂も馬も先手陣外にいるとはいえこの条件で先手玉が中段にあがることは不可能ですから、合い効かずでどうにかするしかありません。ここまでは2回のヒントがあればショートカットできる内容。

馬と桂を使った合い効かずの形としては、19-2でも使われている「68玉に対し66桂+86(95)馬(角)」というそれなりに知られた形があります。これを思いつけるかどうかがこの問題最後の大きな鍵で、短評を見る限りここでつまずいた方が多数だった模様。

この形で詰ますには89桂以外に88角と87歩も処理する必要があります。つまり後手馬は87で歩を取ってから86へ移動。また先手は桂を打たれる前に22角成(11では合駒を入手してしまい、33では王手してしまう)として、その後の桂打ちで利きを遮ってもらう形になります。ここまでわかればあとはどの順番で実行すればちゃんと手順が成立するかを考えるだけ。

一見無駄そうな58玉やいつどこに行ってもよさそうな22角成が含まれているこの手順がこの3条件で完全限定されており、また66桂のような一石二鳥の妙手も含まれ、非常に洗練されたすばらしい一局でした。

それではみなさんの短評をどうぞ。

はなさかしろう 「この問題は19-2の渡辺さんの9手問題にすっかり感心したのが出発点でした。さらに元々は例の6手無駄合い。短手数でシンプルな詰み形に惹かれてアレンジしました。厄介な条件ですが先後各々の角成と一方の馬の引揚げが必須、そしてポニーもお忘れなく。」

■6手無駄合いは「76歩、34歩、68玉、88角成、58金右、95角」ですね。同じラインの合い効かずとはいえ、58や78の塞ぎ方が違うのでもはや別手順といってもよさそうなものですが。

斧間徳子 「これは難解作! 条件を見て、『敵陣にいる馬』は先手の馬だろうと予想したのは当っていたですが、この詰め上り(初見でした)がなかなか思いつかずに苦労しました。一旦58に上がってから68に行く玉の動きや、22角成が巧みに限定されていることに感心しました。」

■全く、うまく作られたものです。

鈴川優希 「この問題にどれだけ悩まされたことか……。はじめは6段目で詰まそうとしてうまくいかず、よく考えてみると先手の1~5手の手順を限定される条件がないので、初手は飛車の横移動だと決めて泥沼。また、先手の角成の位置が2二と1一で限定は難しいだろうということで、9筋からの角の出動まで考える始末。7七桂、 同角成の筋ももちろん読んだのですが、5六に桂を打っての5八での詰みしか見えませんでした。先手のやらなければいけないことがたくさんあるのに、2手かけて玉を6筋に移動させるのはまさに盲点。短手数の傑作といえますね。ふう、疲れた……。」

■よくこの問題をトライアンドエラーで解けたものです。私なら絶対途中で挫折します(笑)

KG 「う~む、この詰み形は思いつきませんでした。敵陣にいる馬が先手の駒だった場合、▲2二角成と香を取らずに後手が離れた所から馬で王手し合駒効かずにするか、▲1一角成と香を取ってその香を打って自玉の逃げ道を塞ぐかのどちらかだろうとは考えていましたが。△6六桂が玉の逃げ道を塞ぎながら2二馬の効きを遮るとても素晴らしい手ですね!」

■66桂は妙手と呼ぶにふさわしい1手でした。

NAO 「4手目までは見えていても、58玉が無駄に見えるので、68玉は気づかない。難しいけど、実にすっきりした詰上がりの一局です。」

■濃厚な手順とさっぱりした詰上がりのギャップが爽快さを生んでいるのかも。

リーグ戦ファン 「初めてヒントを見て解きました・・・4手目に77桂を取る筋は早くに気付いていたのですが、▲68玉▽86馬だと77の地点に先手の馬か桂が利くはずと思い込んでいて、完全に盲点となっていました。この問題は惜しくも足らない筋が多く、本当に楽しませていただきました。心地よい悔しさです。」

■77といえば7段目で二番目に守りの堅いとこですからねぇ。それにしてもこの問題の惜しい手順の多さは本当に尋常じゃないです。

チャンプ 「これだけ解けずにずっと解答が送れませんでした。(締め切り直前のヒントを見ても解くまでに30分以上掛かりました)10手の中に手順の美が凝縮されてますね。芸術点の高い超難問。」

■この問題をこのヒントまでで30分で解ければ十分だと思うのは私だけでしょうか(笑)

たくぼん 「最終ヒントの前まで散々考えたけど分からず。最終ヒントをもらってもなかなか苦労しました。これはノーヒントでは解けない。先手の角成の位置とタイミングが絶妙です」

■この22角成の位置とタイミングの限定は私も神がかり的と思いました。

みや 「3は解けませんでした。桂馬と馬・・・???」

■桂馬と馬で実はこんな詰め上がりが作れるのです。角打ちまでの9手でもできますね。

渡辺 「この形は沢山作っているので確かに考えやすかったです。
・11だと合駒可能、33だと王手になるので22角成が決定
・66桂が77馬の移動合の防ぎになっている
あたりも私好みです。」

■この詰み形は「四大合い効かず」を選ぶならまず選ばれそうな形ですしね。

テイエムガンバ 「じゃじゃ馬より桂『馬』に翻弄された一局。」

■実はじゃじゃ馬と言ったのはこっそりこの桂馬も含めていたり。

S.Kimura 「敵陣にいるのは後手の馬だとばかり思い込んでいたため,締切前ヒントに『合い効かず』と明確に書かれていなければ解けませんでした.原理的には,6手詰+4手なのでしょうが,2手かけて68に玉が動くこと,22角成が限定になっていること,66桂が馬の効きを遮断していることに,とても感動しました.素晴らしい問題を解くことができて良かったです.」

■実はヒントに合い効かずまで書くかどうか迷っていたのですが、そのおかげで感動していただけたようで、書いてよかったなと思います。

井上順一 「ヒントから後手の手は、『34歩・角成・馬・馬・桂打』、と想定できたので何とか解けた。最後の条件がないと、77桂+69馬みたいな詰みもある。」

■最後の条件がなければ桂以外を使う順も山のようにありますね。

宮谷保可楽 「最後のヒントをもらってから、この形で詰んでいることを認識するまで、丸2日…。」

■それなりに出てくる詰み形なので、知識として覚えておくといいかもしれません。

中村雅哉 「難問でした。」

■本当に。私も解図検討に苦労しました。

隅の老人B 「猛暑、眠られず、消灯後、布団で考える。たったの10手が解けません。残念無念、作者の西さんに金メタルを進呈。」

■10手どころか9手でも本気で難しい問題はこれより難しいです。実際、投稿されてる9手問題でも検討ができずに出題できないでいる難問があったり。

占魚亭 「難しい。ギリギリまで考えましたが、分かりません。」

■こんな手順でした。この問題は本当に難問だと思います。

はてるま 「これはたしかに難しかった。まさか敵陣の馬が先手とは思いません。また角成が22限定なのもうまい。条件が簡素なのに手順は独創的。こういう短編がまだ作れるとは驚きです。傑作でしょう。」

■10手はまだ未開拓な部分もかなりありますから、まだまだ独創性のある作品は作れると思います。

タラパパ 「作意を知っているので楽をしましたが、親切なヒントがあっても簡単には解かせない難問。香を取らない寸止めの22角成が、66桂により自駒の利きを消させる、ちょっとみかけない目的の妙手でした。選題できずにいた前担当が言うのも変ですが、『角成が2回』『馬の手が2回』と韻を踏んだ条件もよく、10手屈指の傑作だと思います。」

■22角成は手順的にも妙手ですが、これがこの条件で限定されることにもうまみがあります。


正解:16名

  井上順一さん  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  KGさん  鈴川優希さん
  たくぼんさん  タラパパさん  チャンプさん  テイエムガンバさん  NAOさん
  中村雅哉さん  はてるまさん  はなさかしろうさん  宮谷保可楽さん  リーグ戦ファンさん
  渡辺さん


総評

はなさかしろう 「今月はちょっと有利な位置から出走できますので急いで回答してみました。46-3は古いながら自作では今でも一番好きな問題。採用ありがとうございました。」

■ひとまず1人速攻解答があったおかげで少し安心できました、ありがとうございました。これからも問題投稿お待ちしていますね。

斧間徳子 「今月の中上級は骨のある作品でしたが、どちらもレベルが高く、解き甲斐がありました。」

■解き甲斐はある程度難しくないと出てきませんから、やっぱりこういった難問も時々混ぜないといけませんね。

鈴川優希 「46-3は追加ヒントさまさまでした。いや難しかったです。次回はもうすこしお手柔らかにお願いします。(笑)」

■今回レベルの難問はさすがにまたしばらく封印かと思います(笑)

KG 「上級は最終ヒントでようやく解くことが出来ました。推理将棋でここまで悩んだのは初めてです。難問でした。それにしても初級は馬+馬、中級は馬+飛、上級は馬+桂と全て違うパターンでうまく問題を選んでますね。練習問題も含めて素晴らしいと思います。来月は最終ヒントなしで解けたらいいな。」

■終局図に馬2枚の問題だけでこうきれいにレパートリーがそろったのは全くの偶然でした。こういうのを仕組む楽しみは担当者特権です。

リーグ戦ファン 「今回の出題、それぞれにつくづく作者の方の才能を感じます。1は、詰み形を条件でほぼ限定して、残るは後手の囲いを考えるだけ、という、よくあるパターン。それでも後手手順が限定されるのは、偶然ではなくて、逆算で作られてらっしゃるのかな、と。2も同様に、こんなスッキリ条件で手順前後が回避されているのは、『運がよかった』のではなくて、それだけ作題のストックが多くて、その中からスッキリ条件を選ばれておいでなのですよね。3はもう、キワドく逃れている筋が山ほど。出題に至るまでの検討の深さを実感させられます。」

■作品の作り方は人それぞれですが、1はおそらくその通りだと思います。2は最初に手順前後や非限定の少ない特徴的な手順を見つけておいて、それをきっちり縛れる1条件をトライアンドエラーで探して条件付けしました。3はどうやって作ったのか私も気になります。どうなんでしょう、はなさかしろうさん?

井上順一 「こちらへの解答は初めてですが、いろいろと考えさせられるところがあって面白かったです。今回はたまたま3題とも解けましたが(たぶん)、過去の出題を見るとヒントを見ても全然わからないものもあり、奥が深そうです。」

■初解答ありがとうございました。今回の難題が解けたのであれば次回以降もほぼ全題解答できるかと思いますので、解答お待ちしています。

隅の老人B 「本日、7月20日、名古屋は台風の影響で曇り空の蒸し暑い一日でした。夜になっても、やはり暑い。今回の出題が未だ1題解けてないのを思い出して、また挑戦。やっぱり解けず、解答発表を楽しみに待つか、です。」

■ということで、こんな解答でしたがいかがでしたか?

タラパパ 「前担当として難問2問の解を知っていたわけですが、果たして知らずに解けていたかどうか・・・自信なし。」

■タラパパさんは私より解図力は上なのですから、私がなんとかなったということはタラパパさんにもきっと解けたでしょう。


推理将棋第46回出題全解答者: 21名

  井上順一さん  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  KGさん  鈴川優希さん
  隅の老人Bさん  占魚亭さん  たくぼんさん  タラパパさん  チャンプさん
  テイエムガンバさん  NAOさん  中村雅哉さん  はてるまさん  はなさかしろうさん
  はらたっとさん  変寝夢さん  みやさん  宮谷保可楽さん  リーグ戦ファンさん
  渡辺さん

当選: 鈴川優希さん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知 らせください。

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コメント

今回2週間ほどは針の筵でした...みなさまありがとうございましたhappy02
6手無駄合いのトドメを攻方の角でやってみたら19-2の形で22角成がぴったり入ってびっくりしたのですが、代償として手数が1手延びてしまったのが難問化コースの第一歩。
条件付けはせっかくの66桂に言及しないことを心掛けつつ、19-3、たくぼんさんの「オーメンIII」の影響を受けていまして、緩めの条件が手を携えて余詰を防ぐ方法にしたのですが、これが難問化コースの第二歩。
余詰消しは場合分けをしてひたすら確認しましたが、
▲96歩△34歩▲97角△77角不成▲58玉△66角成▲53角成△52飛▲86馬△57馬や
▲46歩△34歩▲48玉△77角成▲47玉△22馬▲33角成△同馬▲56玉△74角などが
不詰だったのは僥倖としか言いようがありません。。

投稿: はなさかしろう | 2011.07.30 02:13

今回、うっかり解答を送り忘れてしまいましたので、コメントで書かせていただきます。
上級はmixiの出題時に解答プログラム作成と言う裏技で解いたので、バグがない限り完全性は保障されています。
mixi出題時は、元作の作者である渡辺さんしか人間の正解者が居ないと言う難問です。
私は1時間ほど考えて「解答プログラムを組んだほうが早い」と、さっさとあきらめました。

投稿: 鈴木康夫 | 2011.07.30 11:41

門外漢なので想像なのですが、プログラムを組んで解くのも楽しそうですねhappy02
鈴木さんのプログラムの威力は絶大で余詰については枕を高くしていられました。
(自分にもできたらいいのに...と、毎度かなり羨ましいのが本音だったりします)

投稿: はなさかしろう | 2011.08.13 12:17

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