推理将棋第47回解答(2)
[2011年8月29日最終更新]
推理将棋第47回出題の47-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第47回出題 推理将棋第47回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
47-2 中級 はてるまさん作 偶数筋だけ 10手
「10手で詰んじゃった」
「偶数筋の手しかなかったね」
「2手目の歩がよかったかな」
「先後とも大駒を動かしたよ」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 10手で詰んだ
- 偶数筋の手のみ
- 2手目は歩の手
- 先後とも大駒を動かした
出題のことば(担当 DD++)
初級と対のテーマの問題。攻めの選択肢は実はかなり狭いです。
追加ヒント:
6筋から飛が先手陣に乗り込みます。8手目の不成がポイント。
推理将棋47-2 解答 担当 DD++
▲6六歩 ▽6四歩 ▲6五歩 ▽6二飛
▲6四歩 ▽同 飛 ▲6八金 ▽同飛不成
▲4八飛 ▽6九金 まで10手。
初級とは逆に偶数筋のみという条件。偶数筋ということは76歩や34歩と角道を空ける事もそれらの歩を取ってもらうこともできません。唯一角を動かすスペースを空けられる銀の移動もその後79角や31角が指せないため、角は互いに最後まで身動きが取れないことになります。つまり互いに動かした大駒はどちらも飛ということ。そして短手数での飛車を使った攻めといえば「飛車先の歩を突いていく」か「飛車先の歩を取ってもらって飛車が乗り込む」かどちらか。しかも玉が3筋や7筋へ行けないので、4筋か6筋に限ります。
「飛車先の歩を突いていく」場合、後手の着手は62飛と64歩~67歩成、もしくは4筋で同様手順。しかし、先手が68玉としてもその後78玉も59金右も指せないため、どうしても59玉の応手が残り、詰みには至りません。
「飛車先の歩を取ってもらって飛車が乗り込む」場合、角が動かせないので後手歩を取るには地道に先手歩を伸ばすしかありません。2手目は歩なので「66歩、64歩、65歩、62飛、64歩、同飛」もしくは4筋で同様手順の出だし。ここから詰ますには後手はあと2手で取って打ってですが、69(49)飛成と金を取っては王手に対して48(68)玉と逃げるよりなく、最後の金打ちでどうにもなりません。
そこで先手がお膳立て。68(48)金と金を一段上げ、同飛"不成"と取ってもらうことで王手を事前に回避します。あとはこのまま69(49)金までの形になっているので、9手目は詰みの邪魔にならなければ何を指してもいい手。しかし条件を振り返ってみると、先手が大駒を動かしたという条件をまだ満たしていません。そこで9手目に飛を動かせる場所を探すと、6筋から攻めた場合に限り48飛を指すことができ、ここでやっと左右対称が限定されます。
飛角の配置非対称を利用して余り手で左右対称非限定を殺す手法はさすがベテランといったところですね。
それではみなさんの短評をどうぞ。
はてるま(作者) 「奇数があれば偶数も、ということで出題してみました。角が使えないので、飛車を働かせるしかなく、10手でも考えやすいかと。」
■初級用投稿でしたが、奇数とセット出題したかったのと手数が2桁なことから、簡単な中級として採用させていただきました。これ単品だったら初級で出していたかも。
KG 「▲4八飛が無駄手に見えるけど9手ではこの手順は成り立たないんですね。ということはこれが偶数筋のみ条件での最短手数ですかね?」
■おっしゃる通り偶数筋最短と思います。
鈴川優希 「4筋で攻めると攻方(担当注:玉方の間違い?)が大駒の手を指せないところがポイントですね。」
■これを利用したのは本当に見事だったと思います。
NAO 「4筋でも6筋のどちらでもできそうな手順。46歩から始めると9手目の偶数筋の大駒の手がない仕掛けがありました。素晴らしい条件づけです。」
■本当に素晴らしい条件でした。
はなさかしろう 「第2、第3条件がいかにも『ここに答ありマス』という感じで頬が緩みましたが、実は第3条件できちんと対称を破っていたりして。ほのぼのとさりげなく。筋が良いというのはこういうことなのかなぁ、と。」
■そういうことなんでしょうね。普通余り手はどう限定するかとばかり考えてしまって、それを使って他の非限定を消そうなんてなかなか思いつかないものです。
斧間徳子 「48銀の余詰めと4筋攻防の余詰めを同時に消す『先手は大駒を動かした』の条件が巧み。しかし『後手も大駒を動かした』と限定する理由がわかりませんでした。」
■もともと初級向けの投稿だったので、おそらく「限定には必要ないけど問題を簡単にするために入れた」ということなんだと思います。それを美しくないとするか解答者に優しいとするかは捉え方次第。
渡辺 「全体は『偶数筋のみ』で縛りの本質は『先手が大駒を動かした』。この先手の飛は無駄手だけれども、最初4筋で考えていたために、動かせなくてあれ?となってしまいました。」
■左右対称でもいける手順だとハマりがちなトラップ。
宮谷保可楽 「この条件だと、玉を68とかに動かしても59に戻される手が防げそうにない。さらに角が使えないから、飛車が走り回るだろうな。などと考えているうちに解けてしまった。2・8筋を使わなくてもこの条件、ウマい。」
■まさに筋書き通りの推理です。お見事。
タラパパ 「筋の限定に無駄手を使うのも、やはりベテランならではの上手さでした。」
■こういううまさってどうやったら身につくんでしょうね。
テイエムガンバ 「角が使えない以上、飛車を通し、最後は腹金と推理し正解でした。ただ、『先後とも大駒を動かした』が手順を限定するための条件となっていることに気づくまで、6筋と4筋どちらでも正解では?と思いました。」
■それほど左右対称の解消条件をうまく隠しているということでしょう。
変寝夢 「8手目より4八飛の限定が面白かった。」
■解図の鍵は8手目ですが、面白みはおっしゃる通り9手目にあると思います。
チャンプ 「9手目は完全に無駄手ながらも、4筋突破だと条件に合わないのが小気味良い。」
■何度書いたか分かりませんが、本当にうまく作られたものです。
リーグ戦ファン 「後手飛車が主役になるに違いない、ということ以外、手順を全く考えないままに、条件だけ熟読。
◎4筋と6筋を限定する方法→先手飛が動く条件で68にはいけずに▲48飛だな
◎2手目の歩だけで限定できる→5手目に歩が取られるのかな
と、ズル解きだけで分殺できてしまいました。この問題、手順で考えたら相当悩んで楽しめたはず。一問損した気がします。自分の馬鹿。」
■私も同じようについ裏読みして損したことがありますね。本当に後悔する瞬間。
井上順一 「偶数筋では角は使えないので飛車を使う。4筋か6筋かの選択。」
■その選択を限定する方法がベテランの腕でした。
平井康雄 「本来は不要なはずの9手目をいかにスマートに限定させるかがセンスの問題ですね。」
■9手目条件の真価は、余り手を限定しただけでなく、それを用いて4筋と6筋の非限定を解消したこと。
中村雅哉 「『4手目と9手目は大駒』とかで条件が減らせませんか?」
■減らせるとは思いますが、初級と2手目条件でそろえたのと、ヒントを増やして簡単にする狙いがあったんだろうと思います。
隅の老人B 「『2手目の歩』、この条件で手順前後が消えました。これが4手目の大きなヒント。」
■金や銀は使わないとすると飛車を振るくらいしか2手目と手順前後する手はないですしね。
たくぼん 「偶数と大駒の条件で48飛が自動的?に決まるのがユーモラス」
■これを自動的と思わせるのもまた作者の腕。
占魚亭 「双方の飛車がいい仕事をしています。」
■特に先手飛は、いろんな意味を持つ価値ある無駄手です。
はらたっと 「ファーストトライが6筋だったので良かった。」
■4筋と6筋どちらから考えるかって何かと関連性があるんでしょうかね。ちなみに私も6筋からでした。
鈴木康夫 「68飛生69金の詰め上がりは最初に予想したとおりでしたが先手が5手中3手を歩に費やすのが見えず苦労しました。」
■44同角が使えないと後手歩を手早く切る手段はこれしかないですが、確かに見落としやすいかも。
正解:21名
井上順一さん 斧間徳子さん KGさん 鈴川優希さん 鈴木康夫さん
隅の老人Bさん 占魚亭さん たくぼんさん タラパパさん チャンプさん
テイエムガンバさん NAOさん 中村雅哉さん はてるまさん はなさかしろうさん
はらたっとさん 平井康雄さん 変寝夢さん 宮谷保可楽さん リーグ戦ファンさん
渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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