[2011年10月29日最終更新]
推理将棋第49回出題の49-3の解答、第49回出題の当選者(変寝夢さん)
を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第49回出題 推理将棋第49回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
49-3 上級 タラパパさん作 負けて恥かくなり 10手
「駒打ちがないのに駒取りが5回、激しい将棋だったねぇ」
「端に角を成って勝ったと思ったのに、たった10手で詰まされて恥かいちまったよ」
さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 10手で詰んだ
- 駒打ちなし
- 駒取り5回
- 先手は端に角を成った
出題のことば(担当 DD++)
詰め上がりは平凡でもそこに至る手順はかなり異質。
追加ヒント:
角のひもを頼りに57飛成まで。先手角成は無駄手ではありません。
推理将棋49-3 解答 担当 DD++
▲7六歩 ▽4四歩 ▲同 角 ▽4二飛
▲3五角 ▽4七飛不成▲1三角成 ▽同 角
▲5八玉 ▽5七飛成 まで10手。
中級と同じく、平凡な条件3つで、どれか2つを満たすならいくらでも手順があるのに3つそろうとうまくいかない問題。しかも中級よりも手がかりに乏しく、あてずっぽうで正解をひき当てるのは困難です。特に先手角が成る場所を主軸に考えた方は、93角成や11角成、22経由で13角成などを考えてなかなか苦労したのではないでしょうか。
この問題を解く上で鍵になるのは、推理将棋におけるある知識。それは「10手以内で駒打ちなしの場合、攻め駒は飛角桂歩から大駒含めて2枚」ということ。一応例外として「中段玉(4~6段目)の場合」「単騎詰の場合」がありますが、どちらでも10手で駒取り5回には足りないので、今回は該当しません。少し長くなりますが、それぞれの場合の攻め方を紹介しながら、今回の正解を探してみましょう。
●飛+歩の場合
詰め方は「飛先の歩成」。飛を振るパターンと、飛を振らずに8筋の歩を4回または5回付くパターンがあります。端に先手が角を成ると、例えば「76歩、42飛、66角、44歩、93角成、45歩、48玉、46歩、38玉、47歩成」などですががんばっても駒取りは2回まで。
●角+歩の場合
詰め方は「36歩+37角成」もしくは「76歩+77角成」。「36歩、34歩、37桂、35歩、48玉、36歩、58金左、55角、何か、37角成」など、そもそも先手の端角成が入りません。
●飛+桂の場合
詰め方は「45/65桂+57飛成/龍」。手順は2パターン。3筋を破る「76歩、32飛、33角成、同桂、58玉、45桂、46歩、37飛成、何か、57龍」には端角成の余裕はなく、5筋を破る「96歩、74歩、97角、73桂、53角不成、65桂、97角成、52飛、58玉、57飛成」は駒取りはどうあがいても2回。
●角+桂の場合
詰め方は37/57/77角成に37/57桂成と多種多様。しかし、どれも先手端角成が不可能です。
●飛+角の場合
これはいろいろあります。攻め方は「角の利きに57飛成/龍」もしくは「飛の利きに57角成」もしくは「両王手」。両王手場合、形の紹介は割愛しますが、どれも先手端角成の余裕はありません。角成までは飛成/龍までに比べて59を埋める手がかかる分1手遅れ、これも端角成の余裕はなし。よって、今回の正解は57飛成/龍まで。ここまでヒントにより省略できます。
正直に5筋を破る場合「96歩、14歩、97角、13角、53角不成、52飛、97角成、何か、58玉、57飛成」と端角成を含めてもまだ手が余りますが、駒取りは2回まで。ならばと3筋を破ると「76歩、32飛、33角不成、52玉、15角成、37飛成、58玉、66角、46歩、57龍」とやはり端角成を含めて詰みますが、これも駒取りは3回止まり。では正解は……?
答えはその間、44歩に同角からの4筋突破。44歩と飛の手3回であと1手しか残らないので後手角の移動が間に合わないように思えますが、そこで先手端角成の登場。44で歩を取った角が35経由で13角成と穴を開けて後手が同角。これで後手が1手だけで57に角のひもをつけることができるのです。この手順が駒取り5回で手順前後も一切なく、正解の手順となります。
それではみなさんの短評をどうぞ。
鈴川優希 「手順前後限定の条件がないので、そこからの裏解法で解いたら数分で解けて、なんだか損した気分です。3五角が、普通ではありえない手でした。タイトルが『端角成』でかけてるんですね。」
■裏読みは用法用量を守って正しく(?)お使いください。
斧間徳子 「この条件で、手順が唯一つしかないとは驚き。それにしても先手の角は、後手の飛車と角を次々と世に出す、とんでもない駒ですな。」
■初級も33角成の一撃で飛角を出していましたね。玉方角はいつもそんな運命。
チャンプ 「『敗因は恥ずかしい角成り』でしたね(笑)」
■「負けて端角成」だと順序が逆なんですよね。惜しい。
橘圭伍 「担当米から端が実は一段目とかかと思って迷走しました。駒取り5回があるので端で駒取りが確定に近いので比較的容易でした」
■11にも13にも91にも93にも駒があるので最初からその事はほぼ確定してるような……。
中村雅哉 「駒打ちなしかつ駒を取りまくるなら、後手は飛角に大活躍してもらう必要があり2手目32飛か42飛が本線と容易に予想できる。こちらの方が中級より易しかった。」
■後手角を動くことを考えると42飛は見通しが立ってないと指しにくいのですがお見事。
渡辺 「9手と10手と強欲定跡の組み合わせ。知らないと難しいかもしれません。解けてから練習問題がヒントになっていることに気付く。」
■そうそう、練習問題にこっそり上級で使われてる手筋の解説入れておいたんですよ。
リーグ戦ファン 「このへんの巨匠になると、端に成る角を単なる無駄手処理条件にするはずがない、と考えた先に解がありました。題名のセンスもなんともタラパパさんです。」
■題名センスについてはまさしく。しかし作者名でそこまで読みますか(笑)
NAO 「詰上がりは第一感通りなのに、1週間かかりました。フワッとした35角にはなかなか気づかない。」
■駒取り5回なのにこんなところに単なる接続の1手が入るとは考えにくいですものね。
香箱 「後手の大ゴマを捌かせるには44歩」
■32飛とあわせて2強です。
ron 「なんとなく詰み形は想像できていたので、後一歩というところで、ヒントがキーとなり解けました。5手目の▲3五角から▲1三角成△同角と手順に後手角を使わせる手順に感心しました。」
■本当に珍しいやりとり。タラパパさんはよくこんな手順見つけたものだと思います。
宮谷保可楽 「後手の飛角を世に出して57飛成まで、と思い描いたまではよかったのだが、5枚目の駒を取るのに大苦戦(4枚なら余詰だらけ…)。決め手になったのは『先手角成は無駄手ではありません。』のひと言。」
■あれ、57飛成までで駒取り4回ってできるんですか? 龍単騎なら駒取り4回が可能ですが。
はなさかしろう 「龍単騎が足らないのでシンプルな58玉-57龍ですが、66から角のひもをつけようとするとどうもぎくしゃくして足らないことに。先手が3枚取らなくてはならないと思うと見えないのが忙しいさなかの▲35角!そして苦労して作った13の馬を△同角と取ってしまいつつ57にロックオン。悩ましくも面白い問題でした。盲点を突かれてヤラレタ感でいっぱいです...」
■この35角はなかなか強烈なインパクト。
隅の老人B 「白旗、どうしても駒取り5回の壁が越えられない、残念。」
■玉方が積極的に駒を取る考え方に慣れないと難しかったでしょうね。
たくぼん 「44~35~13の角のルートはあまり見かけない手順。なんだか遅い感じがする」
■角成に4手かけますから実際に遅いんですよね。端に角着手の条件がなければまず見ない手順だと思います。
S.Kimura 「詰上がりの角の位置として,66角を考え,79角も考えましたが,『先手角成は無駄手ではありません』というヒントが出るまで13角は思い浮かびませんでした.49-2もそうですが,先入観に捕らわれていると,難しい問題は解けませんね.」
■先入観もそうですが、この手の問題はどんな可能性があるかを広い視点で考えることが大切です。
諏訪冬葉 「最初▲33角と攻めて見たが手数が足りなかったので▲53角ばかり考えていました。▲44角も足りないと思ったら、▲13角成と△47飛不成でぴったり間に合った。」
■4筋を最後に回した私の仲間がいらっしゃいました。よかったよかった。
はてるま 「飛車を活躍させる44歩~42飛は第1感ですが、駒を取らずに35角はなかなか浮かばない。さすが上級、ベテランの味です。タイトルもちょっとしたこだわりがありますね。」
■なんというか、作品全体を通してタラパパさんテイスト全開。
正解:16名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん 香箱さん 鈴川優希さん 諏訪冬葉さん
たくぼんさん 橘圭伍さん チャンプさん NAOさん 中村雅哉さん
はてるまさん はなさかしろうさん 宮谷保可楽さん リーグ戦ファンさん
ronさん 渡辺さん
総評
鈴川優希 「1・3共に、あまり見かけない筋で、なんだか感覚が狂わされました。自作も、楽しんで頂ける作となっているといいのですが……。」
■一番見かけない筋だったのは鈴川さん作だったと思いますが(笑)
斧間徳子 「来月の11手詰特集が楽しみです。」
■11手はそれほど投稿がない上に、それを3題も完全検討もするのは私が力尽きるのでゴメンナサイ。
橘圭伍 「易しかったので解答」
■ベテランの意見その1。お久しぶりの解答でした。強欲系に強い橘さんにはこの上級はぬるかったでしょうか。
中村雅哉 「今回は難しめとの事でしたが、かなり易しく感じました。」
■ベテランの意見その2。やはりよくある手順を知り尽くしているのは強い。
渡辺 「今回は易しめの範囲内で難易度のバランスが取れていて好出題だと思います。」
■ベテランの意見その3。私は上級問題を解くのにかなり苦労したのですが、そんなに簡単でしたかね。
リーグ戦ファン 「トドメの手を開示する問題は、とっつき易く『解く気を起こさせ』るので好きです。シリーズ化希望ですが、上級問題を作るのが難しいですかね。」
■実はヒントでも最終手の開示をしていることが多いです。最終手完全開示作品はフリー在庫に1作あるので、リーグ戦ファンさんと他もう1人から投稿があれば特集にできますね。私が穴埋めすることもできますが、できれば投稿作が並ぶのが理想。
NAO 「締切り前ヒントが出る前に解答します。49-3に大苦戦でした。」
■解答が停滞してたタイミングだったのでNAOさんの解答でちょっと安心しました。
ron 「先月から詰将棋展示室の解答を始めましたが、推理将棋の解答は今回がはじめてです。きまぐれに初級用問題に挑戦してみたら意外にも解答がわかったので、『これならできるんじゃないか?』と勘違いして、こちらの世界に引き込まれてしまいました。結局自力で解けたのは最初の一問だけに留まりましたが、指将棋や詰将棋とは違った魅力があって、面白かったです。」
■推理将棋の世界へようこそお越しくださいました。しかしヒント利用とはいえ初挑戦で全正解とはすごい。きっとすぐに解答強豪に名を連ねることになるのでしょうね。期待しています。
宮谷保可楽 「1と2は合わせて1時間で終わったのに、3で10日以上…。」
■一昨年の年越し出題(出題期間が2ヶ月)で「上級で1ヶ月以上……」をやった人がここにいます。あれもタラパパさん作でしたっけ。
はなさかしろう 「10月は10手ですか。あと2ヶ月が怖いですね(笑)みなさまは偶数手を解くとき(頭の中の場合でも)盤をどの向きに置きますか?私は通常通り先手を下にして考えたほうがやりやすい気がしています。」
■11月は11手ではなく、1が並んでますから、アレですよアレ。盤の向き、私は推理将棋を知った当初は先手を上にしていました。しかし「4筋の手」で6筋に指したりする間違いが多発したので先手を下にして考えるように矯正しました。みなさんはどうなんでしょう。
S.Kimura 「次回は,50回記念ですね.9手詰,10手詰と来ると,次は11手?いずれにせよ,難しい問題が出題される予感がするのは,気のせいでしょうか.」
■どうでしょうか。手数は長いですがそれほど難しくはない……と思います。きっと。たぶん。そうだといいなぁ。
推理将棋第49回出題全解答者: 22名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん 香箱さん 鈴川優希さん 隅の老人Bさん
諏訪冬葉さん 占魚亭さん たくぼんさん 橘圭伍さん チャンプさん
テイエムガンバさん NAOさん 中村雅哉さん はてるまさん はなさかしろうさん
はらたっとさん 変寝夢さん みやさん 宮谷保可楽さん リーグ戦ファンさん
ronさん 渡辺さん
当選: 変寝夢さん
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