推理将棋第49回解答(2)
[2011年10月27日最終更新]
推理将棋第49回出題の49-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第49回出題 推理将棋第49回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
49-2 中級 鈴川優希さん作 とどめは4七金 10手
「隣の将棋、3手目の6八玉まで見てたけど、あの後どっちが勝ったんだい?」
「10手目の4七金で先手が詰まされてた。角の手が2連続したのが印象的だったなあ」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 10手で詰んだ
- 3手目は6八玉
- 最終手は4七金
- 角の手が2手続いた(※)
※例えば「3手目7七角、4手目同角成」のように、先手と後手で棋譜に角のつく手が連続した、という意味です。先手が先でも後手が先でもかまいません。「3三角成」は角の手になりますが「3三馬」は角の手になりませんのでご注意ください。
出題のことば(担当 DD++)
トドメ地点と逆方向へいく3手目。うまく収集をつけてください。
追加ヒント:
玉の最終位置はどこでしょう。誰もが考える48玉は作者の用意した罠。
推理将棋49-2 解答 担当 DD++
▲5六歩 ▽3四歩 ▲6八玉 ▽7七角不成
▲5七玉 ▽5九角成 ▲6六角 ▽6九馬
▲4六歩 ▽4七金 まで10手。
平凡な条件3つで、どれか2つを満たすならいくらでも手順があるのに3つそろうとなかなか手段がない。こういう3条件問題は手当たり次第動かしてもなかなか解きにくく、上級にしてもおかしくなかった問題です。実際に無解者も続出、上級よりも苦戦したという声もちらほら。
やはりこの問題を解く上で鍵になるのはタイトルにもなっている最終手47金。まず、金を「69馬」で入手すればそのまま47金のひもになるということは大きな手がかり。そして、47金でトドメをさすということは玉の最終位置は限られます。さて、その最終位置とはどこでしょう。
おそらくほとんどの人が最初に考えるのが48玉でしょう。先手は「何か~68玉~58(59)玉~48玉+玉移動の合間に角の手」と指せば間に合います。初手を46歩にすれば後手も「4手かけて69馬~47金」で間に合います。なんとなくこれでうまくいきそうに見えるのですが、両方あわせて並べてみると「46歩、34歩、68玉、77角不成(王手)、58玉、68角成(王手)、48玉、69馬、角の手、47金」などと玉逃げの必要に迫られて角の手が連続してくれません。
実はこれこそが作者の用意した罠。ヒントの通り48玉は不正解なのです。他にそれらしいところといえば38玉ですが、これも当然間に合いません。開き王手を疑うも全く手が足りず。さて、本当の玉の最終位置はどこに?
正解は57玉。47金に対してあっさり上へ逃げられそうな気がしますが、56歩と66角(!)によってこれを阻止することができます。となれば先手は「56歩~68玉~57玉+46歩+66角」、後手は先ほどと同じく「4手かけて69馬~47金」でしょう。王手放置にならず角の手が連続する順を探すと6手目59角成7手目66角がうまくいき、無事解決。
誰もが考える筋が実は惜しくも、という構成。初制作とは思えない完成度ですね。
それではみなさんの短評をどうぞ。
鈴川優希(作者) 「自作なのでなんとコメントしていいか分かりませんが……。条件のつけ方はまだまだ学ぶことがありそうです。」
■この作品の条件付けはかなり完成度が高いと思いますよ。狙いも解答者にしっかり伝わっているようですし。
斧間徳子 「第1感は、48の玉を69馬と47金で詰めるのかと思ったが、なかなかうまくいかず。短編で57の詰め上がりは珍しく、ちょっと意表をつかれました。」
■3段目や7段目で詰め上げるにはかなりの手数がかかりそうに見えますから、第一感は否定するのが普通でしょうね。
チャンプ 「最終形が見えてから初手の▲56歩に行き着く。推理将棋の醍醐味ですね。」
■後ろから紐解く問題にはよくあることですね。指し将棋では絶対にありえない手の読み方。
橘圭伍 「上手く限定できているとは思います。68玉→47金から最終玉位置も一目瞭然ですしね」
■この57玉が一目瞭然とは強い。
中村雅哉 「48玉・47金型に慣れているのでてこずったが、何故先手角位置が限定されるのか考えて解決。」
■裏読みを使うならこの66角限定を見抜けるかどうかが勝負どころ。
渡辺 「『66角、57玉、69馬、47金』まったく予想通りの詰上がりなのに、なぜか手順が構築できなくて、この問題に最も悩みました。」
■やはり渡辺さんもこの57玉は一目ですか。
リーグ戦ファン 「先手は玉2回、46歩、角の手が確実なので、手が狭く、考えやすい問題でした。」
■それでも本命はかなり見えにくいところだと思うのですが、これが考えやすいとは。
NAO 「10手で57玉は珍しい?」
■そもそも10手で7段目で詰む形自体がほとんどないような。私が今パッと考えて思いついた形は5つ(これ、77玉が3つ、37玉)だけ……。
香箱 「48の位置では詰まないので57で考えたら66角がぴったり」
■そうなんですよね。48玉にどうしても目が行ってしまうんですよね。
ron 「1問目を解いて、気をよくして臨んだのですが、全く解けず。ヒント待ちとなりました。作者の思惑にしっかりハマり、ずっと4八玉の形で詰むと思っていたのですからそれも当然。三問中一番難しかったです。」
■推理将棋初挑戦で真っ先に48玉にひっかかれるセンスは素晴らしいと思います。この罠はある程度考え慣れてる人用の罠なはずなので。
宮谷保可楽 「テキトーにやっていたら、突然詰んでしまった。なぜこうなったのか、自分でもよくわからない…。」
■運も実力のうち。冗談抜きで推理将棋ではよくあることです。
はなさかしろう 「『3手目68玉』は57に玉を動かすときの手筋。裏アプローチで最後まで行けました。この詰め上がり、好きです。66角と『角の手が2手続いた』の条件付けがぴったり。」
■作り慣れてる人ならではの考え方ですね。角の手条件は、先手の手順前後、後手の手順前後、4手目の成生、と3つをまとめて限定するファインプレー。
隅の老人B 「解けて?から条件を再読。なるほど、成る程、納得です。」
■あれ、何か条件に分かりにくい点でもありましたでしょうか……?
たくぼん 「センスあふれるとはこういうのを言うのでしょう。ヒント無ければもっと苦しんだと思います」
■素直にこのセンスはうらやましいです。今後の作品にも期待ですね。
S.Kimura 「詰上がりの玉の位置が48玉では詰まないので,58玉を考え,まさか,57玉はないよな,と考えた瞬間,66角が浮かんで,答えに辿り着きました.」
■57玉は直感的には「まさか」ですよね。
諏訪冬葉 「△69馬-△47金 の組み合わせはすぐ分かりましたが、ヒントを見るまで玉は48だとばかり思ってました(作者の罠にしっかりはまっているな)。」
■思惑にハマってくださる方はいい解答者です。
はてるま 「頭金までと思いきや、腹金とは!発想の転換が必要でした。『角の手2連続』の条件に工夫を感じます。」
■8段目9段目の腹金はありがちですが、7段目の腹金はなかなか考え付かないところ。
正解:17名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん 香箱さん 鈴川優希さん 隅の老人Bさん
諏訪冬葉さん たくぼんさん 橘圭伍さん チャンプさん NAOさん
中村雅哉さん はてるまさん はなさかしろうさん 宮谷保可楽さん
リーグ戦ファンさん ronさん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
10手で7段目で詰むのは、37から77まであると思います。
投稿: 渡辺 | 2011.10.31 00:12