推理将棋第50回解答(1)
[2011年11月26日最終更新]
推理将棋第50回出題の50-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第50回出題 推理将棋第50回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
推理将棋第50回解説 担当 DD++
今回はかなり好評でした。長手数が2つあったにもかかわらず解答者も多く、初解答者の姿も。これで中級の余詰がなければ完璧だったんですが。
50-1 初級 KGさん作 泣く王がよかった 8手
師匠「ほい8手目、これで詰みじゃ」
弟子「ま、負けました」
弟子「師匠、どこがいけなかったのでしょうか?」
師匠「うむ、あそこじゃな」
(局面を何手か前に戻す)
師匠「ここで『▲7九玉』と指していたらもっと粘れたであろう」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 8手で詰んだ
- 先手は「▲7九玉」と指せる局面で別の手を指した
出題のことば(担当 DD++)
7九玉と指すことができた局面はどんな局面?
追加ヒント:
問題の局面での玉位置は? 6八玉型では7九玉を指さないと8手では詰みません。
推理将棋50-1 解答
▲6八玉 ▽8四歩 ▲7八玉 ▽8五歩
▲6八銀 ▽8六歩 ▲7九角 ▽8七歩成 まで8手。
1条件問題ですから、手がかりはただ1つ。この条件をいかに広げていくかが1条件問題解図のポイントです。問題の局面がどのような状態だったか考えてみましょう。
はっきりしていることは2つ。そのとき79が空所だったことと、玉がその周囲にいたこと。一番手っ取り早いのは68玉と78銀を指すことですが、これを8手で詰ますとどうなるでしょうか。
「76歩、34歩、68玉、88角不成、78銀、77角不成、79玉、88角打」(手順前後等あり)。79玉と指せる局面はありますが、そこで実際に79玉と指してしまいました。これではいけません。76歩を5手目に回せれば、79玉と指せる局面で一度76歩を指しているので条件を満たすのですが、今度は4手目88角不成が指せなくなります。
68玉78銀ではうまくいかないようです。そもそもこの2つの着手の順番が定まらない時点であやしいもの。
では3手以内でできる別の形はないかと考えると、あと2つあります。その片方、68玉から78玉まで移動して68銀。この形を見るとある手順を思い出しますね。飛車先の歩をツンツン突いて87歩成まで。先手が問題の局面で指した1手は、その79への逃げ道を塞ぐ79角だったのでした。
それではみなさんの短評をどうぞ。
KG(作者) 「別の手問題は8手詰まではリストを見ながら推敲できますが、9手以上になると自作は難しいです…」
■9手詰は全手順が明らかになってないですからね。しかし全手順明らかになっていても労力がハンパじゃなさそうな。
NAO 「『もっと粘れた』と言ってもたった2手延命できるだけ。師匠の教えはむなしかった。」
■それでも25%延命したのですから「もっと粘れた」の言葉に嘘はありません(笑)
鈴川優希 「角の出動を考えました。無駄手を利用した手順はちょっと盲点。」
■歩成まで7手に1手加えるのは短手数ヒッカケ手順の常套手段です。
中村雅哉 「この形がピンとくるかどうか。」
■ピンとこないと68玉を角で攻めるマギレがけっこう深くて大変。
はなさかしろう 「巧い! 角で攻める筋を探しあぐねてしまいました。個人的には今回の最難問かも?」
■15手という長さを苦にしない人にとっては確かにこれが最難かも。
斧間徳子 「78銀~68玉を考えてドロ沼に入りかけた。8手詰も侮れない。」
■盲点に入ってしまうと短手数でも苦労します。
鈴木康夫 「後手角出動の紛れに時間を浪費。基本形で22角が不要駒と言うのは意外と盲点ですね。」
■8手詰で22角を使わないのは87歩成までか39飛成/龍までしかありませんから思いつきにくいのも当然ですね。
リーグ戦ファン 「弟子の棋力では▲7九玉と指して粘っても、10手で詰まされたでしょう。師匠の棋力もかなり怪しい!というか、育てようという気がない師匠ですね。」
■弟子に超えられないように悪手を教え込む師匠。
チャンプ 「解くには発想の転換が必要ですね。しかし師匠、79玉じゃなく同歩の一手でしょう(笑)」
■確かに同歩なら12手まで延命できますね。66歩や59銀も10手で詰むので確かにこの1手なのかも。
諏訪冬葉 「最終形が全く浮かばず、▲68玉▲78銀△77馬 のような配置の他、右側の金銀を取って攻める手まで考えてしまいました。」
■なかなか解けない短手数に出会ったときは疑ってみるべき形の1つです。
渡辺 「面白い限定のしかたですね。」
■私も最初見たとき「え、こんな1条件で本当に限定するの!?」と思いました。
S.Kimura 「しばらく悩みましたが,嫌な予感がして,最近出題されていない飛車先の歩を成る手を考えてみたら,ビンゴでした.」
■鋭い。次はまた忘れたころに出題します(笑)
通りすがり 「確かに7九角ではなくて7九玉といけばもう少し粘れそうでしたね。」
■ええ、もう2手だけがんばれました。
ron 「詰み形のパターンを知らない私は、延々と△7九角不成▲7八玉…とする形を考え続けました。これがどうにも上手くいかないので、飛車を使ってみることにしたら、単純なトリック。これは有名な7手で詰む形に一工夫したものだったんですね。」
■推理将棋で一番よく使われるトリックです。
井上順一 「手数が短いので、後手は角で攻めてくるとばかり考えてしまった。
手順だけ見れば初級なのかもしれないが、これが最後に解けた。」
■手数が短いからといって素直な問題とは限らないのです。
井上順一 「この問題の解答とは直接関係ないですが、例えば76歩 34歩 68玉 88角成 78銀 79馬 77玉 88角 ・・・のような手順(非限定は無視してください)を考えた場合、79馬に対して「(79)同玉」と取れるのですが、この局面は「『▲7九玉』と指せる局面」という条件を満たしていると考えていいのでしょうか?」
■グレーな正答になります。7九玉と書いてある以上、解答者は棋譜表記で7九玉となる手を考えるのがマナーですが、一方で問題に棋譜上と書いてあるわけではないので7九同玉の解答が来ても誤答とするわけにもいかない、という形です。「▲7九玉(棋譜上)」と書いておけば問題なかったのですが、ケアが不十分でした。申し訳ございません。
はらたっと 「78銀68玉型がうまくいかないので第二候補でした。」
■その形に見切りをつけるのが大変だったと思います。
隅の老人B 「条件を一読、駒を動かす、あれ簡単に解けました。秋の夜の珍事ですね。」
■78玉型をさらりと見つけるとは、お見事。
たくぼん 「結局いつもこの順は最後に考えてしまうんだよなあ。やられた感いっぱい」
■逆にいつも最初に考えていたら、それはそれでどうなんでしょう。
平尾一土 「筋が見えないと苦労しそう。」
■全くもってその通りです。
変寝夢 「頭の中で『お下品』としている手順なので秒殺でした。もしかして好きなのかも・・?」
■確かに搦め手の部類なのでお上品とは言えないかも。
宮谷保可楽 「解けてみたら『な~んだ…』なんだけど、そこまでが苦行。当初考えていた78銀型を捨てて、やっと解決。」
■騙し騙されもまた推理将棋。
占魚亭 「角を成ることを考えていたので、完全に盲点でした。」
■成るかどうかはともかく、8手ならまず角を考えますよね。
はてるま 「うっかり10分ほど考え込んでしまいました。しかし師匠、言うなら『86同歩』でしょう(笑)。それならこっちも解答10秒でした。」
■残念、それだと余詰みます。5手目68飛なら7手目ほぼ何を指してもいいわけですし。
正解:23名
井上順一さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん KGさん 鈴川優希さん
鈴木康夫さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん たくぼんさん
チャンプさん 通りすがりさん NAOさん 中村雅哉さん はてるまさん
はなさかしろうさん はらたっとさん 平尾一土さん 変寝夢さん
宮谷保可楽さん リーグ戦ファンさん ronさん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
私のコメントは23歩成までの7手詰で22角が不要駒(居なくても成立する)と言う意味です。
飛車先の歩を成る詰上がりは「角頭の弱点を突く」と言う先入観があるので88に角がいない詰上がりが意外でした。
判りにくいコメントですみません。
あと双方解渡辺さんというのは中級の話ではないでしょうか。
投稿: 鈴木康夫 | 2011.11.26 14:24
双方解渡辺さんはご指摘の通り中級の話でした。
そそっかしくてすみません。削除しました。
投稿: TETSU | 2011.11.27 18:27