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推理将棋第51回解答(4)

[2012年1月29日最終更新]
推理将棋第51回出題 「平成24年(龍年)の新春推理将棋」 の51-4の解答、第51回出題の当選者(館長さん、たくぼんさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第51回出題  推理将棋第51回解答(1)  (2)  (3)  (4)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


51-4 上級 渡辺秀行さん作    平成24年新春推理将棋大会 11手×2

A君とB君が新春推理将棋大会の結果について話しています。

A君「僕は1月1日辰年だから11手目に龍を動かして相手玉を詰めたよ」
B君「僕は平成24年1月1日ということで24に着手して相手玉を11手で詰めたよ。
   『同角生』と取った駒を一段目に打った手が決め手になったね。」
A君「終局図を良く見てごらんよ。駒の向きはさておき、
   盤面上の大駒と玉の配置が君と僕の将棋でほとんど同じだね」
B君「そうだね。玉と生角計4枚と龍の配置が同じだ。
   飛の配置が1マスだけずれているけどね」

さて、A君とB君の将棋の手順は?

<共通条件>

  • 11手で詰み
  • 駒の向き(先手後手)を無視すると、A君とB君の終局図を比べて、
    玉2枚、生角2枚、飛、龍の配置は飛が1マスずれている以外すべて同じ

<A君の条件>

  • 最終手は龍を動かす

<B君の条件>

  • 最終手は24に着手
  • 先手は『同角生』と取った駒を一段目に打った

出題のことば(担当 DD++)
  各局の最終形を予想できるかが勝負どころ。

追加ヒント:
  龍の着手でも24の着手でも同じような詰上がりになるということは? そう、片方は開き王手の詰みです。
  Bの駒打ちは7手目に飛車。さて9手目にそれが成った後で24に何かを動かして開き王手にするには?
  Aはそれを見て同じ形に仕上げてください。こっちは自飛車が成ります。


推理将棋51-4 解答  担当 DD++ Suiri514a

<A君の将棋>
▲7六歩  ▽3二飛  ▲3三角不成▽5二玉
▲2四角不成▽3七飛不成▲3八飛  ▽2七飛不成
▲3一飛成 ▽3二金  ▲同   まで11手

Suiri514b <B君の将棋>
▲7六歩  ▽3二銀  ▲3三角不成▽4二飛
同角不成 ▽5二玉  ▲3飛  ▽5一金左
▲3二飛成 ▽6二金左 ▲2四角不成まで11手

連立問題です。24龍まで11手の順は51-2の最終形しかないので、その手順ではありえません。つまりAの最終手は24以外の場所で、Bの最終手は龍以外の駒。これで同じような詰上がりにするには、ということで開き王手に思い至るかが最初の勝負どころです。

龍を動かして開き王手なら相棒は角しかありません。逆に一段目や二段目にいる龍の横利きを通す開き王手なら、そこから24へ移動できる駒は角しかいません。結局どちらにしろ24角が両者共通することは確定で、あとは32龍51玉か32龍52玉か41龍61玉か、といったところが考えられます。

両者を見比べてここまで判断したところで条件の多いBから考えてみましょう。先手の着手は「76歩~何か~同角不成~一段目駒打ち~飛成~24角不成」しかありえません。これで自飛車を成るのは不可能なので、7手目に打ったのは飛車。24へ角が移動することを考えると取った場所は42しかありえません。つまり先手は「76歩~33角不成~42同角不成~31飛~32飛成~24角不成」で32龍52玉の詰上がりに決定です。

後手の仕事は「42飛(4手目)」「31銀の消去(移動は6手目まで)」「41金の消去」「52玉(6手目まで)」の4つ。当然「32銀~42飛~52玉~金~金」の順ですね。金が2手で動ける範囲で邪魔にならないところをよーく探すと、玉の裏側の62があいていました。これでBは一件落着。

では続いてAですが、こちらは龍の作り方がポイントです。最後に龍を動かしたということですが、奪った飛車を成る場合、龍の手は最短で何手目に指せるでしょうか。飛車を取れる最短が5手目、それを打てるのが7手目、成れるのが9手目、動かせるのは11手目。つまり飛車を取った後で角を24へ動かす余裕が全くないのです。だからこっちで成るのは自飛車ですね。

ここで終局図比較を考えます。22角は動かしたくありません。そして82飛は28の隣接マスへ行かなくてはなりません。それを考えると、先手角が33歩をかじって24へ、そこを通って後手飛が37の歩をかじって、さらにそこから先手飛が成るというシナリオになりそうです。先後両方並べると、「76歩、32飛、33角不成、王手回避、24角不成、37飛不成、飛移動、飛成、何か、32龍」ですね。金銀の処理を考えると4手目にさっさと52玉と上がって9手目31飛成で銀を、10手目32金に11手目同龍で金を消してもらう形しかありません。後手飛の行き先はもちろん27限定。

連立ならでは解き方に慣れなかった方は苦戦されたかと思いますが、コツさえつかめればそれほど難しくない問題です。いかがだったでしょうか。

それではみなさんの短評をどうぞ。

渡辺(作者) 「調査が足りなくて構想を満たす完全局面一致手順は発見できなかったのですが、ならばということで一致のキーを明示して難易度を下げました。しかし、それが災いしてB君単体で解けてしまうのは残念でした。」

■私も11手で24トドメと龍トドメの組を探してみたんですが、完全一致どころか玉大駒6枚一致もたぶん不可能じゃないかという結論に至りました。B君単体で解けるは解けますが激ムズなので、A君の条件(龍でトドメを刺す)がヒントになってちょうどよかったと思います。

斧間徳子 「B君の将棋の方を先に解いた後、飛車の位置が1マスずれていることを手がかりにA君の将棋を推理しました。おそらく、この順で解くしかないと思う。 連立問題はひらめきがないと解けないので難しい。」

■24角が必要なことと最後が合い効かずなことさえ見えていればA君からでも迫れます。もちろんB君からの方が簡単ですが。

NAO 「手段の多いA。構想と最終手の見えないB。なるほどのマッチングです。」

■比較してみるといろいろな対比が隠されています。

ron 「連立問題もあるんですねー。条件を読み解く際に混乱して大変でした。『玉と生角計4枚』の記述で『ん?、AとBの将棋で玉と角はあわせて8枚だからその内4枚が同じ配置なのかなあ』とか勘違いして。しかしなんとか解答を出せたのでよかったです。解答が出るときは二つの問題がいっぺんに解けることになるため解けた喜びが大きいですね。」

■おっとその解釈は気づきませんでした。「玉と生角全て」とするべきでしたね。あ、でもそれだと馬を作らない条件が抜けるか。うーん。

チャンプ 「2つの将棋の条件を並べて考えてみても共通点(作意)を探ることができなかったのでB君の将棋1つに絞って考えてみた。そしたら7手目まで一目で思いつき瞬殺。あとは大駒の配置を当てはめてA君の将棋を片付けるというズルイ解き方をしました。個人的に飛車の位置のズレが横じゃなく縦だったことがツボでした。(笑)」

■ズルいどころか正統な解き方なような(笑)

中村雅哉 「大駒配置制約条件がイメージしにくい。無理にツインにした印象で損な感じ。手順はB君の方が面白いので、その単独問題で作るべき素材と思います。」

■大駒条件がイメージしにくいのは確かに惜しいですが、手順の対比性は十分ですし、ツインとして十分な出来でしょう。もちろんB単独でも面白い問題にはなりますが。

たくぼん 「条件が少なめで、2つの順の対比も見事。特に後手41金の動きが逆になるのに感心しました」

■これだけの対比性はなかなか盛り込めませんよね。

宮谷保可楽 「2度目のヒントが出てきたときに、やっと詰み形が見えた。あとは41金をどう処理するか。」

■両者とも41金の処理で一瞬戸惑います(笑)

飯尾晃 「締め切り前ヒントがなければ解けないです。」

■ツインに慣れない方にはちょっと厳しかったですかねえ。

鈴川優希 「同じ終局図で、一方は最終手が開王手という発想が面白いです。成生非限定の多い素材ですが、うまいこと限定されていますね。」

■こういう発想はツインならではですね。

はらたっと 「最初詰め上がりが全く見えずDD++さんの大サービスとも言える最終ヒントでようやく一つわかったらもう片方はすぐでした。」

■いいツインは片方見えるともう片方はすぐなんですよ。

テイエムガンバ 「(A君の将棋)飛が1マスずれているというヒントで3八飛か1八飛に飛車があるだろうと予想してどこで特定させるのか、と思いましたが2七飛が正解だったとは……。」

■いい意味で予想を裏切られると面白いですよね。

S.Kimura 「(A)条件の多いB君から考え始めたので,その後に考えたA君は早く解けましたが,△2七飛不成は意外でした.(B)角での開き王手は割と早く気付いたのですが,1段目で詰ませると思い込み,悩んでいました.お年玉ヒントが出た辺りで,ようやく2段目で詰ませれば良いと気付き,そのあとは簡単でした.」

■この32龍+33/24/15角という形は実は時々見かける詰上がりだったり。

はなさかしろう 「A君の後手が3筋突破をするのは本線なので、なんとなくこんな感じかな、と。」

■おお、珍しくA君から攻めた方が!

はてるま 「詰みの形を想像できれば推理しやすいですが、同じ詰み形を異なる最終手で表現するという課題を、特殊な条件でまとめあげた技術力はさすがです。」

■しかも龍の作り方が別ときてますからねえ。さすが。


正解:15名

  飯尾晃さん  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  鈴川優希さん  たくぼんさん
  チャンプさん  テイエムガンバさん  NAOさん  中村雅哉さん
  はてるまさん  はなさかしろうさん  はらたっとさん  宮谷保可楽さん
  ronさん  渡辺さん


総評

斧間徳子 「平成24年(龍年)に引っ掛けた特集を組めるとはすばらしい。駒に因む干支は龍と馬しかないので、再来年は馬年の特集を組んでください(その後は当分、組めないので・・・)。」

■大きな森のどうぶつしょうぎでやれば「卯」「酉」「戌」「亥」もいけますね。どっちにしても次は午ですか。

NAO 「年内に解答いたします。よいお年を。」

■もう年開けてますが、よいお年を、でいいんでしょうか(笑)

ron 「新春推理将棋ということで、こちらも1月1日に解答を送ろうと画策していたのすが、間に合わず。それがちょっと悔しい。初級、中級はすぐに解けたので、これはいけるだろうと油断したのが間違いでした。上級問題は長手数問題に連立問題と異色の問題で手強かったです。ただ、その分解き甲斐もあって面白かったです。…あ、そうだ。申し遅れましたが、今年も解答していきたいと思いますので、なにとぞ宜しくお願い致します。まだ挑戦し始めて日が浅いですが、すっかりハマッてしまいました。」

■今年も宜しくお願い致します。誰か1月1日解答をするだろうと思っていたら誰もいませんでした、残念。解答にハマったらぜひ次は出題側にも挑戦してみてくださいね。

中村雅哉 「昨年の新春問題でも感じましたが、新春問題としては後半2問は難しすぎると思います。新年の問題はどれも一目見て解けるレベル(今回であれば51-1)を揃えて欲しいです。」

■通例通りの1ヶ月出題なら新春は簡単なのを並べると思うんですが、2ヶ月出題となるとその分だけ長く楽しめるものがいいという方もいらっしゃるんですよね。それでも難しいのは1題でよかったかなという気も少ししていますが。

たくぼん 「今年もよろしくお願いします。創る方は出来そうもないので解答で頑張ります。」

■今年も宜しくお願い致します。これだけ解けるたくぼんさんならきっと作る方もできるはずです。ぜひ挑戦してみてください。

宮谷保可楽 「1ヶ月半、思いっきり悩まさせてもらいました。最後はいつものように、追加ヒントに助けられました。感謝です。今年もよろしくお願いいたします。」

■今年も宜しくお願い致します。追加ヒントは、助けにならなきゃヒントじゃないですから(笑)

変寝夢 「本年もよろしくお願いします。」

■こちらこそ宜しくお願い致します。

渡辺 「他は年末に出来ていたのですが3番の条件誤読でずっと悩んでいました。」

■条件整理に若干失敗しましたか。反省。

鈴川優希 「今回は3番に大苦戦。他の3作は出題から2・3日で解けたというのに……。やはり長編は苦手です。それでは本年もよろしくお願いします。」

■今年も宜しくお願い致します。長編特有のコツを掴まないとやっぱり難しいですか。

テイエムガンバ 「久々の全問解答、はうれしいのですが、まだ一つの解き方にこだわりすぎてしまい、泥沼にはまることが多いみたいです。もう少し柔軟さを持つようにしないと。」

■思い込みはわかっていてもやってしまうから怖い。

はなさかしろう 「正月まで待てずに解いてしまったのですがすぐ送るのも味消しかな...と思っていたらもう締め切りの夜でした。」

■すぐに送ってくださったら51-3の余詰修正できたのに(泣)


推理将棋第51回出題全解答者: 21名

  飯尾晃さん  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  館長さん  鈴川優希さん
  鈴木康夫さん  諏訪冬葉さん  占魚亭さん  たくぼんさん  チャンプさん
  テイエムガンバさん  NAOさん  中村雅哉さん  はてるまさん
  はなさかしろうさん  はらたっとさん  変寝夢さん  みやさん
  宮谷保可楽さん  ronさん  渡辺さん

当選: 館長さん、たくぼんさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知 らせください。

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