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推理将棋第52回解答(3)

[2012年2月29日最終更新]
推理将棋第52回出題の52-3の解答、第52回出題の当選者(S.Kimuraさん) を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第52回出題  推理将棋第52回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


52-3 上級 チャンプさん作    オウム返し(その10)   12手

将ちゃん「ねぇピーちゃん、また将棋やろうよ。」
ピーちゃん「シヨウ、シヨウ。」

将ちゃん「ピーちゃんは僕の指した筋の手をマネするから僕が先手でいいよね?」
ピーちゃん「イイヨ、イイヨ。」

将ちゃん「お願いします。」
ピーちゃん「オネガイシマス。」

将ちゃん「ありゃ~また12手で詰まされちゃったー。」
ピーちゃん「カッタ、カッタ。ワーイ、ワーイ。」

将ちゃん「飛車を取ったのが唯一の駒取りで、10手目にその飛車を使ってたね。」
 「それと駒を成る手は無かったね。」
ピーちゃん「ソウダネ、ソウダネ。」

将ちゃん「あーあ、これで10連敗かー。ピーちゃん強いなー。」
ピーちゃん「ドンマイ、ドンマイ。」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 12手で詰んだ
  • 飛車を取ったのが唯一の駒取りで、10手目にその飛車を使った(打った)
  • 駒を成る手は無かった
  • 後手は直前に先手が着手した筋をマネて(同じ筋へ)着手し続けた

出題のことば(担当 DD++)
  飛車をどう取るか、そしてそこから飛車を打ってどう詰めるか。

追加ヒント:
  最後は飛が動いてトドメを刺します。そのためには8手目に角を28からどこへ動かす?


推理将棋52-3 解答  担当 DD++ Suiri523

六歩    ▽四歩    ▲八玉    ▽五角
六歩    ▽八角不成▲八金    ▽七角不成
八金    ▽    ▲六歩    ▽九飛不成 まで12手

けっこうな難問です。飛車を打ったのだから生飛角の2枚で詰めることは容易に想像がつきますが、そのパターンが豊富、かつ正解の形以外もかなりおしいところまで行くため、深入りするとそのまま帰ってこられないことも。

この条件下で8手目までに飛車を取れる場所は3箇所。初級同様に68で取るか、8手かけて48で取るか、居飛車の28で取るか。順に考えてみましょう。

68で取る場合、「何か、34歩、76歩、77角、68飛、同角」と取った手が王手になるので7手目と8手目は5筋か6筋。57に歩がいるので角は68に居座るか59に移動するかの2択。68角のままなのだとすれば49玉を59飛で詰めるくらいしかありませんが、実際にそれを狙ってみると笑ってしまうくらい手数が足りません。59角とする場合は56飛で串刺しにする有名な詰め上がりがありますが、7手目以降「58玉、59角不成、56歩、飛打ち、55歩、56飛」の10手目で飛車を5筋に打つことができずギリギリ失敗。

48で取る場合、手順はいろいろありますが飛車を取れるのは8手目。とすれば68で角が居座るパターンのそっくり左右逆なだけなので、これも詰めることが困難というのはわかりますね。

ということで正解はヒントの通り28で飛を取るパターン。「36歩、34歩、何か、55角、何か、28角不成」という出だしです。しかしこのままでは詰みに角が生きてこないので8手目にどこかへ動かしておきたいところ。この位置からなら37か39であることはほぼ明らかですが、39角+57飛だと68の逃げ道が塞がらないので37角+59飛の形に絞れます。

あとは「36歩、34歩、何か、55角、何か、28角不成、何か、37角不成、何か、飛打ち、何か、59飛不成」の穴埋め。初級の経験を活かしましょう。とりあえず両方の金をどかしたいので、右金は7手目に38金、左金は58へ上がると59の利きが残るので6筋か7筋が指せる9手目を使うしかありません。そうすると8手目37角不成が王手では困ってしまうので玉は3手目に58玉と事前退避。となると左金が68を塞がないと困るので9手目68金と10手目69飛が確定。残る5手目と11手目は着手筋しか情報がないのですが、よく見るとその筋の着手は各局面でただ一つしかありません。

ほとんど骨組みしかないような手順の概要から計算されたように埋まっていく無駄手の数々、オウム返しシリーズの特徴を濃縮したような問題でした。今回の出題で面白いと思われた方は、mixiのコミュにある全30題にもぜひ挑戦してみてください。

それではみなさんの短評をどうぞ。

チャンプ(作者) 「無駄手のオンパレードで、これぞオウム返しというべき作品。しかし3手目と11手目を逆にできない所や、▲68金~△69飛の見えにくさがこの作品の難易度を上げているかと思います。」

■私が解いた時には69飛以外にも、58玉を11手目に決め打って8手目37角が指せずに苦戦しました。これだけ危うい条件でよくぞ成立したものです。

はなさかしろう 「10手目に飛車を打ってしまうので両王手かな...と思いましたがうまくいかず、シンプルな9手の形に。オウム返しにするとうまい具合に限定で遊び手が入るんですね。」

■mixiの作品を解くと「この手順に遊び手入れるとこうなるのか!」という驚きのオンパレード。

NAO 「69飛と56歩がオウム返しならではの応酬。68金~69飛打ちはなかなか見えない。」

■10手目に直接59飛を打てば詰むのにあえて2手無駄にするのがオウム返し流。

たくぼん 「これも早く解けた。全体が一つに繋がっている。そんな手順でした。」

■これが早かったとは、素晴らしい。

KG 「最初は空き王手の筋を探して失敗。11手目の▲5六歩は突いても飛車なので詰むんですね。」

■そうなんです。推理将棋において玉の逃げ道を増やす手は珍しい。

斧間徳子 「紛れが多く、考えさせられました。余詰がありそうでないですね。作意順は非常によくできている手順で感心。」

■これだけ紛れがあるとどれだけ完全に検討したつもりでも見落としがあるんじゃないかと不安になるんですよね。

渡辺 「『76歩、74歩、55角、52玉、82角生、72金、73角生、42金、51飛』の9手を連想できるかどうかが鍵。それにしても対応する筋のない3手を補う手段がどれも1通りしかないのは驚き。」

■そうなんですよね、突き詰めると9手の手順なんですよねこれ。条件からは全くそう感じさせませんが。

中村雅哉 「59角・58玉型で56飛までの形が第一感だったが外れた。飛を28で取らせるなら最初の6手は自然な順。」

■10手目が飛打ちでさえなければその形にいくらでも持ち込めるんですけどね。

諏訪冬葉 「飛車を取る順は簡単に浮かんだのですが、後一歩の解答ばかり浮かんでなかなか正解にたどり着けませんでした。
読んだ手の例(7手目から)
▲38銀△39角生▲46歩△47飛車▲56歩△57飛車成
▲68玉△64歩▲16歩△18飛▲59金△46角(どこかで見たような・・・)
▲38銀△37角▲56歩△59角生▲55歩△56飛
条件をうまく作ればこの辺もなんかできそうな気がする。」

■オウム返しにするかしないかはともかくとして、間違いなくなんかできるでしょう。そしてぜひ投稿を。

鈴川優希 「玉尻に角を据えて頭から飛車で透かし詰、と考えて苦戦。素直に28で角を取るのでした。11手目、逃げ道を開ける手に限定されているのが面白いです。」

■この11手目はこれしかないとわかっていても指すのに躊躇する1手。

はらたっと 「56歩と58玉は手順前後しそうな気がしてこの筋は敬遠してました。締め切りまで長く考えて、何か損したのか、得したのか。。。」

■手順前後の誤解はともかく、最初からこの筋の56歩が候補にあったというのがすごい!

はてるま 「11手目の56歩が無駄手ながら最終手に花を添える感じで良い。図らずもといったところかもしれませんが、もし狙って表現されたのなら、良いセンスと思います。」

■かなりオウム返し手順を探索されたようなので、きっと「いい手順見つけた!」という感じだったのでしょうね。

占魚亭 「飛車を取るのが確定しているので、意外と簡単。7手目がポイントでしょうか。」

■生飛+生角の詰め上がりって探すと実はけっこうあったりするんですけどね。

鈴木康夫 「角は39に行くのかと思いました。一手で打てる飛車を2手かけるのはオウム返しならではですね。」

■58玉に39角+57飛は68を塞ぐ駒がないので成立しないんですよね。49玉に39角+69飛も58を塞げませんし。

S.Kimura 「開き王手や両王手なども考えましたが,詰み形が見つかりませんでした.」

■59に角を利かせて59金までというのはよくある詰み形。当然59飛でも代用可能というのがこの問題の詰め上がりでした。


正解:16名

  斧間徳子さん  KGさん  鈴川優希さん  鈴木康夫さん  諏訪冬葉さん
  占魚亭さん  たくぼんさん  チャンプさん  テイエムガンバさん  NAOさん
  中村雅哉さん  はてるまさん  はなさかしろうさん  はらたっとさん
  宮谷保可楽さん  渡辺さん


総評

はなさかしろう 「最近は突き詰めて考えず裏推理と勘を混ぜて解くようになってしまいました。筋条件は苦手感があるのですが、詰み形の記憶を頼りになんとか解けました。」

■オウム返しは無駄手が多いので裏読みが効きにくかったと思うのですがどうでしょう?

NAO 「ついに癒やし系のピーちゃん登場。今後の展開がタノシミ」

■特集のネタが尽きた時にはまたピーちゃんにご登場願いましょうか。

たくぼん 「最近になく早く解けました。今年は良いことがありそうです。」

■最近のなかでもけっこう難しい問題だったはずなんですけどねえ。

KG 「このシリーズはいろいろな妙手が生まれるので面白いですね。それにしてもオウムのピーちゃんはどうやって駒を動かすのでしょうか。」

■その疑問は抱かなかった!

斧間徳子 「今月は久しぶりに問題の会話文が出色で、癒されました。」

■詰パラでは絶対にできない長文会話。

渡辺 「同じ筋への着手という条件はあやつり人形を操作しているようでもどかしいです。」

■これがさらに長く14手や16手になるとさらにもどかし度が上がっていくんですよね。

鈴川優希 「今回気に入ったのは52-2です。このシリーズは、無駄手をはさまない手順がきれいに思います次回も解答できたらいいなと考えています。」

■無駄手が入らない順はかなり狙わないと作れないんですよねこの趣向。

はらたっと 「オウム返しは1年前mixiで解いた問題が2題ありすぐ思い出しましたが、上級が苦戦。でも解ければ簡単な筋でした。DD++さんのヒントが相変わらずツボでした。」

■上級のヒントはもう少し出してもよかったかと思っていたのですが、これくらいで大丈夫でしたかね。

はてるま 「全般に変わった解き味で楽しめました。それぞれオウム返しならではの味わいが出ていたのではないかと思います。」

■mixiの他の問題でもそれぞれ味わいがあるのでぜひ。

鈴木康夫 「オウム返しシリーズを解くのは初めてです。今からでもオウムマスターを目指しますか。」

■オウムマスターの称号は30問中15問解答でもらえますね。私はあと3問解けずにオウムキング(25問称号)でストップ。みなさんはどこまでいけるでしょうか。

ron 「今回は解答に裂ける時間があまりなかったので二題だけ解きました。」

■二題だけでも解答いただけるのはありがたいことです。

■最後にシリーズ作者であるチャンプさんから締めのご挨拶。

チャンプ(作者)「
 皆様、今回のオウム返し特集いかがでしたでしょうか?
 通常の推理将棋とは勝手が違う、異質な条件に戸惑った方も多いのではないでしょうか?
 一風変わった作品を少しでもお楽しみいただけたのなら作者冥利に尽きます。

 この作品を作ってから早1年が経ちました。
 創作していた頃は毎日オウム返しのことばかり考えて生活していた気がします(笑)
 今回、こういった形で特集を組んでいただき大変光栄に思います。
 私も当時を懐かしく思い起こしながら解答させていただきました。

 当初は10題ぐらいを予定していたのですが、創作する内に面白さが増して、
 実に30問もの作品集になってしまいました。
 もし、今回の特集を機にオウム返しの面白さを感じていただいた方がいましたら、
 mixiで他の問題もご覧いただき挑戦していただければ幸いです。

 今回のことで将ちゃんとピーちゃんも知名度が上がり喜んでいると思います。
 担当のDD++さん、ならびに解答いただきました皆様に心から御礼申し上げます。


推理将棋第52回出題全解答者: 18名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  KGさん  鈴川優希さん  鈴木康夫さん
  諏訪冬葉さん  占魚亭さん  たくぼんさん  チャンプさん  テイエムガンバさん
  NAOさん  中村雅哉さん  はてるまさん  はなさかしろうさん  はらたっとさん
  宮谷保可楽さん  ronさん  渡辺さん

当選: S.Kimuraさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リスト から選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知 らせください。

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