[2012年3月29日最終更新]
推理将棋第53回出題の53-3の解答、第53回出題の当選者(宮谷保可楽さん)
を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第53回出題 推理将棋第53回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
53-3 上級 KGさん作 7&7 11手
「昨日の11手で詰んだ将棋、見たかい?」
「うん、駒成りも無かったのによくあんな短手数で勝負がついたね」
「初手も平凡な歩突きだったんだけどね」
「そういえばその将棋、同種駒の手がちょうど7回あったね」
「それだけじゃなくて、偶数筋の手もちょうど7回あったよ」
「さらに7段目の手がちょうど2回あったね」
さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 11手で詰んだ
- 同種駒の着手がちょうど7回あった
- 偶数筋の着手がちょうど7回あった
- 7段目の手がちょうど2回あった
- 初手は歩突き
- 成る手なし
出題のことば(担当 DD++)
11手のうちで7回指せる同種駒は何種類あるでしょう?
追加ヒント:
7回着手するのは将棋で一番大事なあの駒。5手目に取った角を9手目に打って後手玉の逃げ道をふさぎましょう。
推理将棋53-3 解答 担当 DD++
▲4六歩 ▽3四歩 ▲6八玉 ▽7七角不成
▲同 玉 ▽4二玉 ▲6六玉 ▽3三玉
▲2四角 ▽4四玉 ▲6五玉 まで11手。
11手と上級としては短めですが、蓋を開けてみると超難問。何しろ理詰めで攻める方法がほとんどなく、手当たり次第にそれらしい手順を探してみるしかまともな解法がありません。しかも修正前条件だと惜しい手順の数が膨大な上に、7回着手する駒がまさかの玉。「この条件で飛や歩が作意じゃつまらない」と思った方以外は大変な苦労をしたことでしょう。同時に検討も非常に困難で、KGさんも私もかなり頑張ったものの残念ながら余詰を見逃してしまいました。申し訳ありません。
作意順は5-3とほぼ同一の、44玉に対して開き王手で詰め上げる手順です。先手玉の手を稼ぐために54への逃げ道は65玉で塞ぎ、偶数筋の手を稼ぐために35への逃げ道は24角で塞ぎ、角を使ってしまったので45への逃げ道は46歩で塞ぐことで全ての回数の辻褄が合います。そしてそれをうまく並べられる手順は作意順だけ。かなりうまい手順限定でした。
そして私とKGさんが共に見落とした余詰順は角を使った手順。最初はNAOさんからの指摘(1つめの手順)、その後渡辺さんとはなさかしろうさんも加えて自主的に追検討をしてくださり、最終的に以下の4種類の順が見つかりました。どれもこれも余詰順にしておくにはもったいない手順です。
・76歩、62玉、33角不成、72玉、42角不成、44角、53角不成、26角、同角不成、64歩、45角
・76歩、52玉、33角不成、44歩、24角不成、33角、46角、24角、同角、62金、25角
・76歩、34歩、22角不成、同銀、52角、88角、61角不成、33角不成、43角不成、42角、61金
・76歩、42金、33角不成、41玉、42角不成、88角不成、53角不成、44角不成、31角不成、62角、42金
なお、修正前のマギレの数々は以下のとおり。みなさんはいくつハマりましたか?
歩:23歩成まで7手の順に歩の無駄手4手を加えた手順などで最大8回着手可能。もちろんそれを7回に減らすこともできますし偶数筋7回もクリアできますが、成らないと詰みません。別系統で「46歩、42金、45歩、52飛、44歩、62銀、43歩不成、14歩、42歩不成、15歩、41金」のような手順もありますが、こっちは駒成がない代わりに偶数筋が8回になってしまって失敗。
桂:「76歩、34歩、77桂、33桂、65桂、25桂、53桂成、17桂不成、同桂、64歩、63桂」のような手順で最大8回着手可能。9手目を同香にすれば7回に減らすことはできますが、駒成はどうしても必要ですし、偶数筋着手も4回しかありません。
銀:「76歩、52玉、33角不成、42銀、同角不成、銀の手、銀打ち、銀の手、銀の手、銀の手、53銀不成」で成なしで銀の手7回が達成できます。あとは6手目~10手目を全て偶数筋に指せればよかったのですがそれはどうやっても達成できません。
金:「76歩、62玉、33角成、42金、同馬、72金、52金」の7手に、互いに金を無駄に上げ下げする2手ずつを加えれば金の手7回偶数筋7回は達成。しかし残念ながら角を成らないと詰まないので失敗。別系統で「76歩、34歩、金の手、42金、金の手、33金、同角不成、52玉、金の手、62金、51金」という順がありますが、駒成がない代わりに偶数筋が5回しかなく失敗。
角:余詰で紹介した通りです。
飛:「26歩、飛の手、25歩、飛の手、26飛、飛の手、76飛、42飛、73飛不成、52金右、71飛成」で最大8回着手可能。それを7回に減らすこともできますし偶数筋7回もクリアできますが、成らないと詰みません。別系統で「66歩、34歩、68飛、66角、同飛、飛の手、63飛不成、62飛、同飛不成、72金、61飛打」のような手順もありますが、こっちは駒成がない代わりに偶数筋が8回になってしまって失敗。
成なしで偶数筋7回というのは数々の余詰をかなり際どく防いでいて、ちゃんと成立していれば絶妙の条件付けだったのでした。
それではみなさんの短評をどうぞ。
KG(作者) 「双方玉だけを動かしてたら本手順を見つけて、じゃあ同種駒の手7回の手順はいくつあるか探してみました。そのリストを眺めてると偶数筋の手7回で限定できることに気づいて、今回の問題が出来上がりました。実際には見逃した手順がいくつかあって余詰になってしまいましたが…。申し訳ありませんでした。」
■余詰こそ出ましたが、制作の着眼点はすばらしかったと思います。今後も面白い問題の投稿を期待していますね。
平井康雄 「5手目に角を取るのは66歩、34歩、68飛、66角、同飛が有力だと思ったのですが、後が全然わかりません。後の6手のうち、5手が飛の手って・・・・?最後まで発想の転換ができませんでした。」
■その順からだとマギレ紹介した通り62で飛を奪って61飛打までで偶数筋過剰ですね。もっとも、一番大切な駒は飛車ではなくもちろん玉なわけですけれど。
渡辺 「44玉を66玉からの空き王手で詰めるのは決め打ちました。あとは偶数筋を目一杯多くする手順を構成。歩の余詰がないか心配です(成る手があれば可能)。」
■私は金飛歩の順で警戒していたのですが、警戒すべきはそのうちどの駒でもありませんでした(泣)
はなさかしろう 「7回条件のコンビネーションが絶妙で惜しい手順を山ほど読む破目に。『初手は歩突き』というと、出て行くのに2手以上かかる駒が突いたところを通過する、と思い込んでしまってこの筋がなかなか見えませんでしたが、これは意図的?!歩や飛車を単純に使うと偶数筋が7回を越えてしまうあたりに検討の深さを垣間見ました。それから、、、と、別途作品にできそうな手順も幾つかあるのでこの辺で・・・」
■初手46歩は全部わからないと見えませんよねえ。別途作品にできそうな順は投稿を期待してもいいのでしょうか。
斧間徳子 「初手が歩突きという条件から、まず、66歩~68飛以下の飛車の進出を考えたがいま一つ届かず。となれば次は、双方の玉移動に思い当たり解決。初手から、46歩→45歩→・・・→42歩生→41金などきわどい筋が多く、作者も検討者も余詰め検討が大変そう。」
■間違いなく担当を引き受けてから一番大変でした。
NAO 「飛も歩もハズレ。玉でしたね。これは7段目2回の条件がないと解けません。最近見たような形と思ったら、トドメ駒の玉を飛にした詰パラ132番渡辺さん作とそっくりでした。」
■88角の利きを通して44玉を詰める形はかなりいろんなバリエーションがありますね。最初の作品はどれなんでしょう。
鈴川優希 「条件から全く手順が想起できないので、半ば諦め腰だったのですが、余詰修正で追加された条件がヒントとなりました。『同種駒』と駒種を伏せていることと、『初手歩突き(たぶん手順前後防止だろうと見当をつけて)』の条件から、この手順に線がつながりました。おもちゃ箱5-3の修正版とも思える作品ですが、これでも余詰があるんですね……。」
■意外な駒だろうという予測はこの問題では重要ですね。
たくぼん 「第一感は玉。無駄な紛れを読まずにすんでラッキーでした」
■これで第一感が玉というのはすごい!
チャンプ 「実は以前に全く同じ手順で創作しようとしており、いい条件が思いつかず放置していた順でした。初手は歩突き=先手玉突進がすぐに浮かんでしまったので悩む楽しみが無くなってしまい損をした気が・・・(苦笑)」
■そういう方のために「7回着手できる駒種はいくつ?」というおまけがあったわけですが(笑)
中村雅哉 「条件数が多く、かつ『偶数筋7回』とかあまり楽しくない(解図意欲をそそらない)条件もあり、もう少し工夫が欲しい。」
■5条件目が必要になったのは痛かったですね。もとの4条件なら手順の意外性もあるので十分許容範囲だったと思いますが。
テイエムガンバ 「同種駒=歩か飛、と予想していたのですが紛れの連続。『一番大事なあの駒』=玉、と気づいてからはわずか3分で解答。もう少し裏読みしすぎない考え方をしないと。」
■思い込みは怖いです。
S.Kimura 「双方の玉が出てきて,2枚の角で詰ますと予想したのですが収束がまとまらないまま時間切れでした.」
■おしい、方向は合っていました!
はらたっと 「7段目2回がわからない。。。」
■77での駒交換なのでした。
正解:10名 双方解: NAOさん はなさかしろうさん 渡辺さん
斧間徳子さん KGさん 鈴川優希さん たくぼんさん チャンプさん
テイエムガンバさん NAOさん 中村雅哉さん はなさかしろうさん
渡辺さん
総評
はなさかしろう 「今回は盲点? ミスディレクション? で楽しく悩みました。ミニベロさんの名作が思い出したりもしてすっかり満腹です。」
■言われてみれば思い込みでハマりやすい問題ばかりですね。ちょっと選題バランスが悪かったかなあ。
斧間徳子 「今月は手数は短めでしたが、決して易しくはなかったです。」
■ですね。来月はさらに短く易しくいきます。
鈴川優希 「今月は難しかったです。条件から詰上りが見えてこないので、どうも方針を立てずらく苦手です。春休みの時間を頼りに解図して、やっぱり解いて良かったと思います。」
■これまでどれだけの推理将棋を解いてきているかが物を言ったかもしれませんね。
KG 「私は推理将棋を始めてもうすぐ一年になります。これからもこの調子で解答していきたいと思います。」
■投稿もぜひこの調子でお願いします。
中村雅哉 「推理将棋もそろそろ、創作に際して作者が完全性を自分なりに十分確認・検証して投稿する時期に来ていると思います。今まで大量のの余詰作をMixiで発表してきた私が言うのも説得力に欠けますが(笑)。」
■山葵茶漬けさんもKGさんも自分なりの検討はされていました。問題は「自分なり」は得てして不十分なことなんですよね。簡単に十分な検討ができればいいのですが、mixiでの現状を見ているとやっぱりそれは難しいですよね。
変寝夢 「なんとか1問解けました。締め切り前ヒントでやる気がだいぶ変わります。」
■むむ、中上級はもっとやる気の出るヒントが必要でしたか。
はらたっと 「余詰については、人間が少数精鋭で検討しなくてはいけない状況下ではやむを得ず。すべて鈴木さんにコンピューター検討しなくてはいけないとなると鈴木さんが一問も解けず、これは違うかなと。dd ++さんを支持します。」
■機械検討もできるものとできない(時間がかかりすぎる)ものがありますからねえ。今回のは3題ともコーディングのスキルがあれば短時間でできそうではありますが。
たくぼん 「担当者様にも告知いただきましたが現在、Web Fairy Paradiseにてお気に入り投票を行っています。当コーナーも候補一覧に入っておりますのでよろしければ投票よろしくお願いします。」
■ということで、結果発表の閲覧を終わったらぜひすぐに投票へどうぞ!
推理将棋第53回出題全解答者: 17名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん KGさん 鈴川優希さん 諏訪冬葉さん
占魚亭さん たくぼんさん チャンプさん テイエムガンバさん NAOさん
中村雅哉さん はなさかしろうさん はらたっとさん 平井康雄さん
変寝夢さん 宮谷保可楽さん 渡辺さん
当選: 宮谷保可楽さん
おめでとうございます。
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