推理将棋第54回解答(3)
[2012年4月29日最終更新]
推理将棋第54回出題の54-3の解答、第54回出題の当選者(平井康雄さん)
を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第54回出題 推理将棋第54回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
54-3 上級 はなさかしろうさん作 飽きっぽい倉庫番 10手
「なんだなんだ。また散らかってるな」
「こっちはいつも通りきちんとしてるよ」
「仕事ほったらかしでまた二人して将棋してたな。日誌にメモが残ってる」
「どれどれ。角の手3回、歩を突いたのは6手目の一度だけだって」
「2手目と7手目は同じ種類の駒か。10手で詰んだみたいだ」
「将棋に性格が表れるんならどっちが勝ったか一目瞭然だね」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 10手で詰んだ
- 角の手が3回あった
- 歩を突いたのは6手目の一度だけ
- 2手目と7手目は同じ種類の駒
出題のことば(担当 DD++)
後手が攻めに使える駒はさて何でしょう。
追加ヒント:
69にいる玉を馬1枚だけで詰ませます。さて先手はどういう陣形をとればいいでしょう。
推理将棋54-3 解答 担当 DD++
▲5八金左 ▽3二銀 ▲6九玉 ▽3一角
▲5九金寄 ▽5四歩 ▲6八銀 ▽9七角成
▲7九角 ▽8七馬 まで10手。
中級に増して一目見た時の不詰め感たっぷりな問題です。歩を突けるのは6手目だけということはようやく8手目に角が飛び出せるだけ。しかもそこで取れるのは歩だけなので当然トドメには使えません。つまり角(馬)1枚だけで全てをどうにかしなければならないのです。
さて、馬1枚で詰ませるには当然離した王手になるわけですが、合駒ができないように先手玉を囲う方法はかなり限られます。特に馬がある側の玉腹の駒。桂と角以外では前進することで合駒ができますから使えません。桂も玉と反対へ跳ねることで合駒ないし馬を取ることができるので使えません。だから玉腹を塞ぐ駒は角でなければなければいけないのです。
とすると最初に思いつくのは86歩を突いて玉移動4回で88角の奥へ玉を移動する方法。馬の単騎詰で一番オーソドックスな形なのですが、今回は条件上86歩を突けないので使えません。そこでもう一つの方法。79角と引いて69玉と添い、68銀58金59金と周りを固める方法。5枚の駒が1回ずつ動いて10手に間に合います。
では後手は何を指しましょう。最後に87馬を指したいので6手目歩を突いたところからの8手目角成は確定。2手目と4手目の条件として「2手目は7手目(角金銀玉のいずれか)と同じ」「どちらかは角の手」というのがあります。これを満たす最初の2手は31の銀を上がってから31角と引く手のみ。角は77へではなく97へ成るのが正解だったのですね。先手手順も7手目が銀になる順は1つしかなく、手順が全て確定します。
それではみなさんの短評をどうぞ。
はなさかしろう(作者) 「攻方3手+玉方5手の馬単騎。攻方の遊び手2手のために迂回ルートを用意しました。しかし『歩を突いたのは6手目の一度だけ』...この条件で作意は△97角成から馬単騎と透けて見えてしまいますね...辛口評の甘受賞、ということで何卒お許しください...。」
■私は「あれ、角を動かしちゃうと77に成れなくね?」とハマりかけました。97がすぐ見えなかった人は意外と少なくないようです。
中村雅哉 「歩を突いたのは6手目だけ、ですぐ浮ぶ基本手筋。」
■推理将棋歴が長い方には一瞬です。
渡辺 「角の着手が3回というのは面白い限定、これと2手目7手目が同種駒の条件が、協力して77角成からの順を防いでいます。」
■一見野暮ったいように見えて、深く検討すると実はかなりうまい限定なんですよね。
NAO 「きちんと片付けるよりも、散らかした方が勝ち。見慣れない『歩は6手目だけ』条件には『えっ?』と驚きました。後手の手順も巧く限定してますね。」
■推理将棋の感覚をわかっているほど一瞬戸惑う条件ですよね。
斧間徳子 「6手目に初めて歩突きとなると、有効な2手目と4手目は32銀~31角しかないので、詰め上り形さえ思い浮かべば簡単。『角の手が3回あった』は余詰め対策の条件と思いますが、これが省ければ簡潔なだけに惜しい。」
■それがないと2手目4手目に本当に無意味な手を指す手順がわんさか。
KG 「几帳面に玉を囲おうとした先手の負けですね。」
■しかし先手は何囲いを目指そうとしたのかが気になるところです。
諏訪冬葉 「角が攻め込むのは8手目→駒が足りない→単騎 なので合駒ができない舞台設定を作る。勝ったのは散らかっている方の人だろう。」
■でも実際離れていったのは角だけで、散らかるというほど駒は散らかってなかったりするんですよね。
鈴木康夫 「これは難しい。ヒントが無ければ手も足も出なかったです。6手目の歩で限定されているようにも思えますが、角の手3回は必要ですか?」
■例えば後手が72銀~62金~34歩~77角成~87馬と指すような順が生じます。後手の無駄手2手を迂回で消費させるための条件なのです。
平井康雄 「当初は、先後ともに自陣の中だけで動かす手順を限定できるはずがないと思ってしまったので途方に暮れるところでした。後手側が限定できるとすれば、32銀から31角くらいしかないことに気がついてやっと道が開けてきました。2手目と7手目の条件が巧妙で、たったこれだけで手順を限定できているのに驚嘆してしまいました。」
■本当にこの2手目7手目は絶妙の条件付けです。
朱 「歩を突く筋は3筋と思いきや、5筋から回りこむのが意外。手順の定め方は虫食い算を解くようでした。」
■難度の高い問題になればなるほど虫食い算っぽくなっていく面は確かにありますね。
隅の老人B 「ヒントを読んで詰上がり図は、これだ。あとは条件に合うように手順を探す。」
■詰め上がりが最初に見えると解きやすさがだいぶ変わりますよね。
S.Kimura 「馬で単騎詰と予想していましたが,実現方法が分からず,歩を突かないのに,2手目と4手目に有効な手はあるのか,と考えて,ようやく,97角成にたどり着きました.」
■ここであえて2手目4手目を無駄に使うという場合もあるのでお忘れなく。
占魚亭 「角を引いて使うのに気付くまで、大分時間がかかりました。」
■この出だしは案外盲点に入りやすかったり。
はらたっと 「31角ルートが新鮮ですね。」
■ありそうであんまりないんですよね。
たくぼん 「え~っ、こんなの詰むの?って思わせたら作者の勝ちですね。参りました。」
■不詰感で言えば確実にトップクラス。
鈴川優希 「これは有名な筋ですので、知っていれば一瞬で解けるしょう。3番目の条件は『7手目は銀』のほうがスッキリしていて良いと思いますが、余詰ありますか?」
■後手が12香から11角と引く順があります。2手目が香か銀、7手目が玉角金銀のいずれか、なのでまとめて限定するためにこんな条件になっているのですね。
宮谷保可楽「追加ヒントから感じ取った手順はこんなのだが、最終87馬は角の手ではないよね?」
■ええ、87馬は馬の手です。注釈をしておけばよかったですね。
正解:19名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん KGさん 朱さん 鈴川優希さん
鈴木康夫さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん たくぼんさん
橘圭伍さん つつじさん NAOさん 中村雅哉さん はなさかしろうさん
はらたっとさん 平井康雄さん 宮谷保可楽さん 渡辺さん
総評
中村雅哉 「看板に偽りなしの易しい問題揃いでした。」
■これくらいの難度の問題がたくさん投稿されれば普段からこれくらいにできるのですけどねえ。
渡辺 「今回は拙作も1問あり、他の二題も第一感でした。」
■渡辺さんが第一感を外すようなら、易問回としては失敗です。
NAO 「7日解答。出題当日に4名も解答されていて、そんなに簡単なの?と焦りました。成と不成の条件指定がない3題。解いてみると、いずれも角が成って馬で駒取りの自然限定でしたね。」
■成る手の方が感覚通りですから、易問題だとそうなりがちですね。
はなさかしろう 「54-3ありがとうございます。手がかりが多く解きやすいですが、レトロ感は否めませんね。使っていたPCがその後破損したため、今となっては作成当時に何を考えていたのかわからなくなってしまいましたが、この頃の条件付け技術の進歩を感じます。」
■レトロ感というのは裏を返せば王道ということでもありますけれど。
斧間徳子 「今月はたしかに易しめの選題でしたが、中級と上級は解後感が良く、好作と思います。」
■こういった問題は貴重な在庫なのですが今月は大放出。
KG 「10手で馬の単騎詰は他の手順もありますよね。以前の練習問題の時に考えたことがあります。」
■龍8手、飛馬桂10手、角香11手ですね。
橘圭伍 「条件数的にも難度的にも優しい作品群でした」
■新入生向けのつもりでしたが、実際に初解答者がたくさんでした。
変寝夢 「いやー、これで基本とはビックリです。今回も締め切り前ヒントがなければ坊主だったかも。こんな調子じゃあ創作なんて夢の夢ですね。」
■変寝夢さんなら少なくとも初級向けの問題は作れるでしょう。むしろ担当者はこういう方からの易問投稿をかなり期待しています。
鈴木康夫 「前回のはらたっとさんのコメントですが、私がおもちゃ箱専属の検討プログラマを引き受けても良いですよ。私は問題を解くことが出来なくなりますが、それは担当者も一緒で(機械で解ける問題なら)二人で検討が済むのは安い代償だと思います。」
■それでもやはり鈴木康夫さんにも解図を楽しんでいただきたいので、基本的に検討依頼はやめておきます。ただ、前回の上級のように手での検討がどうしようもない場合にはお願いさせていただくかもしれません。その時にはよろしくお願いします。
平井康雄 「1はさすがにすぐに分かりましたが、2と3は検討もつかず(今日のヒントが出る前でしたが・・・)たくぼんさんに重要なヒントをもらってやっと解けました。」
■むむっ、もっと簡単にするべきでしたでしょうか。
朱 「初めて推理将棋を解きました。ヒントに大いに助けられましたが、それでも悩みました。」
■それでも初挑戦全解答はお見事。次回以降も解答お待ちしています。
隅の老人B 「4月の中旬、桜吹雪の風が吹く。今年のお花見もこれにで終わり。さて、それでは久しぶりに推理将棋を考えよう。あれかこれかと半日ほどの楽しい材木運び、ようやく解けた気がします。こんな解答で如何でしょうか?」
■しまった、今年お花見していない!
はらたっと 「馬が活躍する作品を揃えたということですね?」
■それは偶然なのですが、見方を変えれば「易問題は馬を使うのがよい」ということなのかもしれません。
鈴川優希 「今月は易しいはずなのに、54-2の手順が盲点となり、先月と同じほどの苦労をしました。来月こそはヒントを見ずに解きたいですが……。」
■来月は……どうかなあ(笑)
宮谷保可楽 「身体も精神もボロボロですが、とりあえず3問とも回答を送信します。よろしくお願いいたします。」
■どうかご自愛ください。
推理将棋第54回出題全解答者: 22名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん かめぞうさん KGさん 朱さん
鈴川優希さん 鈴木康夫さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん
たくぼんさん 橘圭伍さん つつじさん NAOさん 中村雅哉さん
はなさかしろうさん はらたっとさん 平井康雄さん 変寝夢さん 星の平原さん
宮谷保可楽さん 渡辺さん
当選: 平井康雄さん
おめでとうございます。
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