推理将棋第54回解答(2)
[2012年4月27日最終更新]
推理将棋第54回出題の54-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第54回出題 推理将棋第54回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
54-2 中級 渡辺秀行さん作 一つの銀へのこだわり 10手
「昨日の将棋、君は一つの銀を沢山動かしたんだって?」
「うん、しかも4回目に動かした先は初期配置の位置なんだよ」
「そんなことやってるから10手で詰められるんだよ」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 10手で詰んだ
- 先手のある銀が4回目に動いた先は初期配置の位置であった。
出題のことば(担当 DD++)
事実上先手1手に後手5手。これで作れる詰み形は?
追加ヒント:
狙うべきは不動金。取った後に金の打ち場所が空いているのはどっち?
推理将棋54-2 解答 担当 DD++
▲6八銀 ▽3四歩 ▲7九銀 ▽7七角成
▲6八銀 ▽6七馬 ▲7九銀 ▽4九馬
▲6八玉 ▽6七金 まで10手。
推理将棋の知識として、詰めるには7手必要、というのがあります。これはもちろん通常の将棋のルール通り先後交互に着手しての最短が7手という意味でもあるのですが、実は手番を無視して好き勝手な順に着手しても「▲76歩▲66角▲93角成▲82馬▲71馬▲62飛▲61馬」のように7手必要になるという意味でもあるのです。
それを踏まえてこの問題を見ると、いかにも不詰のように思えます。先手銀は4回動いた結果初期位置に収まるのですからこれらはほとんど無駄な手。つまり先手の有効着手は事実上たった1手。これに後手の5手を加えても6手にしかならず、有効着手が1手足らないのですから。
しかしそれでも詰むのだとすればこの銀移動に何か意味を見出すしかありません。例えば何か駒を取って戻ってくるというのは1つの意味の見出し方ですが、攻め駒を取ってしまってうまくいくとは思えません。ならば別の考え方、移動合をして戻ってくる、というのはどうでしょう。
33角成に対して銀がタイミングよく移動合をしてくれることを期待してこの王手を放置することを許容すると「▲76歩▲33角成▲43馬▲61馬△42玉▲43金」「▲76歩△32飛▲33角成▲32馬▲42飛▲41馬」といった実質6手で詰む順が浮上してきます。この問題は10手問題なので先後を入れ替え、銀がタイミングよく移動合になってくれるのは、と考えると作意に行き着きます。
それではみなさんの短評をどうぞ。
渡辺(作者) 「推理将棋の最短は7手ということからすると、一手足りないようですが実は足りています。これは銀が王手を防いでいて全くの無駄手ではないのが効いているのだろう、と思っています。」
■まさしくその通りですね。非常にうまい問題でした。
中村雅哉 「手順前後が効かないことを考えれば5手目までは容易に推理できる。」
■78飛と振るのは銀合のタイミング合いませんものね。
NAO 「『玉が動くなら58』とか『銀以外の1手は9手目でない』との第一感がいずれも外れて、結局最後に解けました。」
■確かに玉が58に動いて57からトドメを指すのは有力筋。
はなさかしろう 「遊び手の限定のみの手数+1条件! シンプルで力強さを感じます。ところが解図で大苦戦。腰を据えて裏推理を使ってみると5手目まではほぼ必然、6手目もこうなるところですが、9手目の▲68玉が盲点になってフリーズしていました。ところで...『そんなこと』やっていても、9手目同玉なら先手が若干優勢な気が(笑)」
■本当だ、そんなことしてても先手優勢だ(笑)
斧間徳子 「この条件付けは絶品!」
■無駄なことしか言っていないのに限定する妙。
KG 「『ずっと銀を動かしていたかったんだけど王手がかかったから仕方なかったんだ』」
■「じゃあもう1回君が後手番で指し直そう、同じ銀の6回目の着手で初期位置に戻ってくれるなら9手目に駒を成って13手で詰ますから」。……今ひとつ手順が面白く無い上にちゃんと限定できているか怪しいですが。
諏訪冬葉 「途中で初期位置に戻ってもいいんですよね(確認)。」
■問題ありません。条件は4回目の移動先にしか言及していませんので。もしこれが「4手かけて初期位置に戻った」だったらグレーですけれど。
変寝夢 「7九銀が2回出てくるのが想定外でした。」
■77のあたりまで出張したりするかも、とか思ってしまうんですよね。
鈴木康夫 「どちらの銀かが限定されるので77角の王手を受ける左銀であることは判りましたが一手で詰む形を作るのに苦労しました。」
■この1手が王手から逃げる手というのはたしかにもったいないと思ってしまいそう。
平井康雄 「手順前後や成生非限定がないことを前提にすると、先手が歩をつく手はないし、後手77角成を同銀と取る手もないことになる。したがって、銀が7段目に上がることはないので、同じ箇所を行ったり来たりするしかないことが判明。これに、77角成、68銀をはめ込むと頭の5手が必然的に決まってしまう。さらに角成を限定するためには、馬が前後左右にいずれかに動くしかないので7手目までがほぼ確定。残り3手になってやっと詰形が見えてきました。初形から67歩と49金を取るだけで詰形になることにビックリ。完璧な無駄手で2往復もする手順が、簡単な条件設定で限定できてしまうことに感心するばかりです。ちなみに、単に『1つの銀が4回動いた』だけにして、『最後は初期配置であった』をはずすと、何か余詰があるのでしょうか?」
■私の解説よりも解説らしい感想をいただきました。これそのまま解説文に載せればよかったかなあ(笑)。最後のご質問ですが「58玉、52飛、68銀、54歩、79銀、55歩、68銀、56歩、59銀、57歩成」が成立しますね。
朱 「居玉で詰む形を考え苦戦しました。」
■まさかの唯一使える手が玉逃げ。
隅の老人B 「初手に王を動かして一苦労。解ければ。『なあ-んだ』、これが推理将棋の醍醐味です。」
■まさにまさに。
S.Kimura 「68の金を取ろうとしていたので,苦戦していました.」
■69ですかね。そっちを取ると47があいていないので金が打てません。残念。
占魚亭 「先手の着手は銀のみだと勘違いしていました。」
■そういう勘違いがないよう先手が1手使えるとコメントに書いたんですけどね(苦笑)
はらたっと 「2回目は79に戻ってもいいのか気になりました。」
■条件は4回目にしか言及していないので問題なし。
たくぼん 「先手のいきなりの4手で銀移動完了とは恐るべき順だ。」
■貴重な1手をどこに使うか悩んで悩んで最後まで持ち越します。
鈴川優希 「なぜかこの詰上りが浮かばず大苦戦。手順前後限定の条件がないことから裏読みをするも、49金を狙うことに気付かず、結局ヒント待ちとなりました。無駄手ばかりだと分かっているのに、泥沼に陥ってしまいました。」
■これ確実に手数足りなくない? というときにはたいていこの詰め上がりであるという裏読みも存在したり。
宮谷保可楽 「20日の夜まで散々苦労したあげく、やっと解けて『なんだこりゃ…』」
■この騙された感もまた推理将棋。
正解:20名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん KGさん 朱さん 鈴川優希さん
鈴木康夫さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん たくぼんさん
橘圭伍さん つつじさん NAOさん 中村雅哉さん はなさかしろうさん
はらたっとさん 平井康雄さん 変寝夢さん 宮谷保可楽さん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
「詰めるには7手必要」ってそういう意味もあったんですね……まだまだ知らないことが多いです。
追加問題の答えは解説内にある手順ですね。
ちなみに「一方が一つの銀のみを動かし続けた」という条件で(初期位置に戻る必要なし)の最短手数は11手でしょうか?
投稿: KG | 2012.04.28 19:55
10手以下で不可能なことは比較的簡単に示せますから11手が最短ですね。
71銀を5回動かして62銀に上がってもらうことで1手分の価値を作り、そこに先手の6手を加えて詰み形を作ればOK。
もちろん左右逆でも可ですが。
投稿: DD++ | 2012.04.29 03:45