[2012年7月31日最終更新]
推理将棋第57回出題の57-3の解答、第57回出題の当選者(朱さん)
を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第57回出題 推理将棋第57回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
57-3 上級 鈴川優希さん作 世界のナベアキ 15手
「昨日の竜王戦、すごかったな。手数が3の倍数の時に成る手が、5の倍数の時に同のつく手が指されたんだ」
「まるで、どこかのお笑い芸人だね」
「でも流石は竜王、15手で詰まして快勝だ。1段目に小駒打ちがあったり、8筋に小駒打ちがあったり、面白い内容だったよ」
「防衛目指して頑張ってください」
さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 15手で詰んだ
- 3、6、9、12、15手目は成る手
- 5、10、15手目は同のつく手
- 1段目に小駒打ちがあった
- 8筋に小駒打ちがあった
出題のことば(担当 DD++)
それぞれの駒打ちの内容をある程度決めてかかるのが肝要。
追加ヒント:
7手目に8筋へ銀打ち、8手目に一段目に香打ち、さらにもう一度13手目にもトドメで61へ成るための銀打ち。
推理将棋57-3 解答 担当 DD++
▲7六歩 ▽4二飛 ▲3三角成 ▽3二銀
▲同 馬 ▽9九角成 ▲8二銀 ▽3一香
▲7一銀成 ▽同 金 ▲4三馬 ▽3七香成
▲7二銀 ▽6一金 ▲同銀成 まで15手。
タイトルにあるナベアキはもちろん渡辺明竜王ですが、問題内容は世界のナベアツこと渡辺鐘さんの有名なお笑いネタのパロディ。3の倍数でアホになる代わりに、3の倍数でアホに成る条件です。ただし3のつく数字はこの問題では免除されています。
合計5枚の駒を成らなくてはいけませんが、これだけやること盛りだくさんの中で角以外の自駒を成るのは難しいと考えると、先手が2枚、後手が1枚は成るための駒を打ちたいところ。しかも9手目に成る駒は5手目に取った駒を7手目に打つしかなく、12手目に成る駒は6手目に取った駒を8手目に打つしかありません。
それができるのは「76歩、王手事前回避、33角成、32銀or42銀、同馬、99角成、銀打ち、香打ち」という形。さてこの2回の駒打ちで8筋と一段目の条件をさっさとクリアしたいところです。しかし7手目銀打ちを一段目、つまり31銀から9手目銀成では15手目に成る駒を取るのが困難。一応2手目42飛なら飛車を取れますがこれでは詰みません。ならば8手目の香の方を31へ打ちましょう。
一方銀はというと、9手目になった直後に取られるのでここで最終手用の駒を取りたいところ。後手駒の利きにあり、銀打ちで取りをかけることができ、打って成れる駒、というと馬の利きにある11香か金の利きにある71銀。ただしここで香を取りに行くとその香を8筋に打つことになりとても同香成で詰みません。ですからここは飛車がどいた後の82へ銀を打ち、71銀を奪ってみましょう。
それを踏まえて再度手順を整理すると、「76歩、42飛、33角成、32銀、同馬、99角成、82銀、31香、71銀成、同金、21or22or23or43馬、37香成、銀打ち、何か、同銀成まで」。これを見ると後手玉は居玉なので馬が2筋にいては使い物になりません。ですから11手目は43馬。52地点は飛金どちらかの利きが残るため、最後は72銀から61同銀成でしか詰みません。あとは条件に合わせるように14手目に金が61へ戻れば手順完成です。
条件は面白かったものの、しかし残念ながら最初の出題には余詰がありました。まずは朱さんからの余詰解。
▲7六歩 ▽5二玉 ▲3三角成 ▽3二銀
▲同 馬 ▽8八角成 ▲8四銀 ▽6二銀
▲8三銀成 ▽同 飛 ▲8八銀 ▽8七飛成
▲5一角 ▽4二金 ▲同角成
続いて諏訪冬葉さんからの余詰解。
▲7六歩 ▽4二飛 ▲3三角成 ▽3二銀
▲同 馬 ▽9九角成 ▲7二銀 ▽3一香
▲6一銀成 ▽同 玉 ▲4二馬 ▽3七香成
▲8二飛 ▽5二金 ▲同飛成
採用前の検討が不十分でした。大変申し訳ございませんでした。
それではみなさんの短評をどうぞ。
橘圭伍 「1手1手を埋める作業。成と同が連続する所を起点にすれば易しく限定できる。31香からの手順は自分好みです」
■この31香は非限定消しに一役どころか三役くらい買っています。
星の平原 「竜王戦というのが隠しヒントかなと思って、先手の飛車が成って詰む形を主に考えてしまいました。思い込みはよくないですね(笑)二手目△4二飛は何回か考えたのですが、何故かこの手順だけ抜けてました。▲4三馬が見えにくかったのかもしれないです。でも今考えれば思いつきそうなものですけどねえ(溜息」
■43馬や63馬は金や成小駒で居玉を詰めるのに最も有効なポジションです。
NAO 「3の倍数はアホな手ではなくて成る手。いろいろ手段がありそうな感触でしたが、意外に手が狭くさくっと解けました。手順前後を許さない後手の1段目香打がなかなかの手。」
■これが地味ながら上手い制限なんですよね。唸らされます。
朱(余詰解) 「手順がイメージしにくい条件で、一目難解。分る箇所だけ棋譜に書きだし、初手からありそうな手順を探る。一応条件に合う手順を見つけたと思うのですが、11手目に非限定(▲88銀に代えて▲88飛も可)があり、正解かどうか自信ありません。しかし成と同をネタに引っ掛けて手順の骨子を作る発想が秀逸。」
■作意とは別順でしたが、条件に合っていればもちろん文句なしの正解です。余詰解があったのはこちらの不手際、申し訳ありません。
斧間徳子 「普通は7手目31銀に目が行きますよね。これが際どく詰まないのが不思議。8筋に後手が香を打つとすると打ち場所を限定しにくいことに気づき、先手の82銀打かなと考えたらすぐ解けました。」
■この「後手8筋香打ちは非限定になりそうだ」に気付くと作意に一気に近づけます。
諏訪冬葉 「△31香 で12手目の成り位置と11手目・13手目の手順前後を消す順が捨てがたいのでそこから考え直しました。」
■作家的な考え方ですが、今回のような問題ではこれが意外と有用。
はなさかしろう 「条件の趣向を楽しむ問題ですが、13手目も成りたかった...15手では無理ですが(笑)8手目と11手目あたりの自由さがアヤシかったのですが、余詰筋もほぼぴったりの手順でこちらはコメントを見てもしばらく見つけられませんでした。難しい。」
■5の倍数を無視した場合でも、「3の倍数と3がつく手で成る」でちょうど15手詰は無理ですね。13手詰とか17手詰はできますが。
平井康雄 「ポイントは6手目、12手目の後手の成る手ですね。これこそ最終ヒントがなければわけがわかりませんでした。それにしても、どんな余詰だったのか、気になるところです。」
■こんな余詰でした。どちらもけっこうギリギリの順なので見つけるのは簡単ではありません……と私が言うとなんだか言い訳っぽくなってしまいますが。
KG 「銀と香を使うんだろうなとは思っていたのですが、8筋にいたままだと邪魔な飛車を動かすという発想が何故出てこなかったのか。己の頭の発想の無さを恥じるばかり…。」
■柔軟な人は81桂をどかして一度の駒打ちで両条件をクリアするところまで候補に入れていたかも。
隅の老人B 「最後の2条件に手順確定への作者の苦労が感じられます。暗算で解けるのは10手まで、そんな老人になりました。」
■これだけあちこちに手が飛ぶと暗算で解ける人もけっこう限られてきそうです。
たくぼん 「なかなか面白い条件付けですね。こういうのを考え付く頭の柔らかさが羨ましい。」
■私としてはフェアリールールにあれだけ対応してみせるたくぼんさんの柔軟さが羨ましいです。
はらたっと 「ヒントが出て31香から37香成が見えました。」
■32に馬がいるせいでちょっと躊躇する1手です。
みや 「これは難しい。締め切り前ヒントがなければ手も足も出ませんでした。ヒントがやさしかったおかげで前後の手がわかり、締め切り直前で解けました。この解後感はきもちいいです。」
■これだけ無茶苦茶やりながら、最後は余計な攻め駒も利きの重複もない綺麗な詰み方なんですよね。
渡辺 「これですね。角を取らないのが盲点でした。」
■私は逆に88で角(馬)を取るのが完全に盲点でした。31銀から22銀成同馬同馬と取る順は検討にあったのに……。
宮谷保可楽 「ウマいこと『成』も『同』も入ったなぁ…。」
■15手目に成と同時成立する条件として同を思いついた時点で発想の勝利。
S.Kimura 「2手目を62玉としていたので,ヒントがなければ解けませんでした.」
■42銀同馬なら31香が走りやすそうですもんね。私も62玉の順は散々読まされました。
正解:17名
双方解:KGさん、諏訪冬葉さん、はなさかしろうさん、星の平原さん、渡辺さん
S.Kimuraさん 斧間徳子さん KGさん 朱さん 隅の老人Bさん
諏訪冬葉さん たくぼんさん 橘圭伍さん テイエムガンバさん NAOさん
はなさかしろうさん はらたっとさん 平井康雄さん 星の平原さん みやさん
宮谷保可楽さん 渡辺さん
総評
橘圭伍 「総じて易しい作品でしたが巧く纏まっているので解後感良かったです。この位の難度だと肩も凝らないし気分転換になりますね」
■まとめ方がうまいというのは同感です。そのあたりのセンスを今後も期待したいところ。
星の平原 「上級の余詰めは残念でしたが、57-1と57-2の双子趣向は楽しませてもらいました。鈴川さんの今後の創作でのご活躍期待しております。」
■今後出題される鈴川さん作をお楽しみに。と、こっそり鈴川さんに作品投稿を要求してみたり。
NAO 「2の1条件といい、斬新な3番の条件といい、鈴川さんは只者ではない。今後のご活躍が楽しみです。」
■本当に今後が楽しみです。
斧間徳子 「今月の3題はどれも好作で、楽しめました。」
■だそうですよ、鈴川さん。
はなさかしろう 「5枚の焦点は解きやすく解いてからも楽しいシリーズでした。」
■難度も一捻りありつつしかし鍵を見つければあとはすんなりという理想の難度でした。
隅の老人B 「暑い暑い、解答意欲が減退。こんな時にはズルをしよう。ヒントが出るまで考えません。17日にヒントあり、一読、さあ、解こう、2時間ほどで楽々3問解決。3問(上級)目なんぞは、ヒントのように駒を動かしたら解けちゃった、です。最後に皆様へ、暑中お見舞い申し上げます。」
■ず、ずるい(笑)
隅の老人B 「前回の56-3、条件の『歩の着手と王手は丁度1回ずつ』の『1回ずつ』を,『先手後手の双方に1回ずつ』と読み違え?て解きました。これでは解ける筈がないですね。」
■半分にわけて返信。あー、なるほど。そういう読み間違いも発生しないように気をつけなければいけませんね。
はらたっと 「3問目、手数は長いですが3手、5手毎同○、○成という条件は意外に狭いですね。」
■意外に狭いと思った結果が余詰二解でした。
みや 「1~3まですべて解答できたのは久しぶりでした。暑い夏に頭を熱くさせて推理将棋を考えるのはしんどいですが、締め切り前にとけてよかったです。」
■けっこう緩めのヒントにしたのは正解だったかな?
渡辺 「今回は初級以外はかなり苦労しました。」
■こっちは渡辺さんの解答がないことに冷や汗ダラダラでした。
宮谷保可楽 「この世界にも次から次と新人が現れる…。頼もしい限りじゃのう…。」
■まったくです。
推理将棋第57回出題全解答者: 20名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん かめぞうさん KGさん 朱さん
鈴木康夫さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん たくぼんさん 橘圭伍さん
テイエムガンバさん NAOさん はなさかしろうさん はらたっとさん
平井康雄さん 変寝夢さん 星の平原さん みやさん 宮谷保可楽さん
渡辺さん
当選: 朱さん
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