推理将棋第57回解答(2)
[2012年7月28日最終更新]
推理将棋第57回出題の57-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第57回出題 推理将棋第57回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
57-2 中級 鈴川優希さん作 5枚の焦点II 10手
「隣の将棋、5枚の焦点に着手があったよ」
「それ、さっきも聞かなかったっけ」
「いや、別の将棋だよ。もっと詳しく説明すると、先手の玉、飛、角、金、銀が利いている地点に、後手が角を打ったんだ」
「なるほど。それで、どっちが勝ったの?」
「10手で先手玉が詰まされてた」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 10手で詰んだ
- 先手の玉、飛、角、金、銀の焦点に、後手は角を打った
出題のことば(担当 DD++)
後手が打つ角をさてどうやって入手しましょう。
追加ヒント:
後手が打った角は最初に22にいた方の角。トドメは桂馬です。
推理将棋57-2 解答 担当 DD++
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2二角不成▽3三桂
▲4五角 ▽同 桂 ▲7七角不成▽6八角
▲5八玉 ▽5七桂成 まで10手。
条件を見て考え始めたところで首を捻った方は多いでしょう。後手は角を打つので当然先手から角を奪うことになります。しかしその打ち場所が先手角の利きということは、もちろん先手角が残っていなければなりません。これをどうやって解決するかが当然ながらこの問題最大の課題です。
真っ先に考えつくのは角交換して先手が先に角を打つことでしょう。非限定はあるものの「76歩、34歩、22角不成、同銀」と進んで互いの角打ち。48地点と68地点に玉飛金銀の焦点があるので、続けて「77角、68角」という感じでしょうか。しかしここから後手が指せる手はあと2手。79角成と銀を取っても銀打ちまでの詰みはありません。自陣から駒を連れてくるにしても3手かかります。どうやらこれでは1手間に合わないようです。
そこで少し前に戻って3手目局面を考えてみましょう。「76歩、34歩、22角不成」のところでさっきは22の角を取りました。しかし、よくよく状況を見るとこの瞬間先手は角を2枚持っています。何も22の角を奪わなくても今先手の駒台にある方の角を入手する手もあるのです。
その場合先手から駒をさらにもう1枚奪うのは不可能。なので3手かけて自陣から駒を運ぶしかありません。パッと見えるのは34にいる歩ですが、37地点は桂が利いている上に48か68に打った角との連携する詰み形が作りづらい。じゃあ他に、と探すともう1枚、21桂が3段跳ねで57地点を攻める手がありました。
「76歩、34歩、22角不成、33桂」と進んだところで次の桂跳ねを見越して45へ角を打って渡すのが推理将棋ならではの好アシスト。同桂と2段目を跳ねたところで後手の角打ち条件をクリアするために先手が角を22から77へ引いて後手68角。ここまで来ればあとの2手はすぐに見つかりますね。
それではみなさんの短評をどうぞ。
橘圭伍 「77角型を作りながら自殺するには、と考えると手数の関係上一方が取るしかないですか。1条件で巧く仕上がった好例ですね」
■先手はかなり手が余ることに気づけるかどうか、ですね。
星の平原 「先手の角を7七に持って行くのに後手から△7七角と飛び込む手順や、先手から▲2二角△同○○で交換後▲7七角打を考えてしまい泥沼に。よく考えればどちらの手順も成と不成(後者は後手の応手も)が限定できないので本手でない。とこれは後の祭り。もう一度頭をクリアにして、詰め上がりが焦点の角を残しもう一つ別の駒との協力と考えて、△3四歩(絶対手)を活かした自陣桂の活用はどうだろうと思いついて試してみたらぴたりとはまりました。▲2二角不成からワンテンポ置いて▲7七角不成と戻るのが間に合わないようでぴったり間に合ってますね。気持ち良い手順です。」
■この気持ちいい順が1条件だというのですから言うことなし。
NAO 「後手が角を取る場所が22でも33でもなく45とは不思議な手順。1条件で限定できているのは素晴らしい。」
■あまり見ない駒取り場所ですよね。
朱 「はじめ単純な角交換を考えたが詰み形を作るには手数不足。どうしたものかと考えるうち、▲22角不成~▲77角不成に思い至る。あとは後手への角の渡し方だが、まさか21の桂が跳んでくるとは。」
■自陣から駒を持ってくる場合、歩や桂馬は意外と使われる駒なのです。
斧間徳子 「この巧みな10手が1条件で表現できるとは凄い! 傑作と思う。」
■同感。
諏訪冬葉 「22角が生還するとは思いませんでした。」
■実は初級でも生還している22角。与えられた役割は全然違いますが。
はなさかしろう 「初級で慣れた後だと解図はひと目ですが、▲45角がスピードアップの絶好打。一条件で駆け抜ける鮮やかな手順でした。7手からある詰み形なので10手に引っ張るのは大変かと思いきや、桂を条件に出さず『角を打った』で余詰をかわし切るところに技術を垣間見ました。」
■この桂限定は推理将棋を作ったことがある人の方がびっくりするでしょう。
平井康雄 「最終ヒントによって、3手目角取り、5手目角打、6手目角取り、7手目角引、8手目角打となるので4手目は33桂しかないという結論に。とどめの桂を持駒にする余裕はないので跳ねていくしかないですね。」
■9手や10手で片方が駒打ち2回はけっこうハードですからねえ。
KG 「初めは、成り不成の条件がないことから中段での角交換を考えて失敗。先手の角が不成のまま敵陣まで行って帰ってくると気づき、最後に5七の地点に行ける駒は?と考えて正解にたどり着きました。」
■裏読みは時にやり過ぎでドツボにはまります。
隅の老人B 「桂がピョンピョン、もう一つピョン、三段跳びでゴ-ルイン。」
■七段目のゴールテープに1つ異質なものが混ざっているのはご愛嬌。
たくぼん 「攻守替わって趣きも替わる。問題文に桂の文字がないのに桂の3段跳ねとは凄いね」
■しかも隠そうとした感じが全くないというのがなんとも。
はらたっと 「22角を無視して33桂が浮かびにくい手順です。」
■目の前にぶら下がった人参は毒入りでした。
みや 「同じ5枚の焦点でも先手と後手でだいぶ違うんですね。とどめの桂馬がなかなか読めず、苦労しました。」
■奥まったところにいますから忘れがち。
渡辺 「初形から先手77角の形で68角が最も労せずに条件を満す形であることを発見してからは、45に角を打って桂に取らせる手順は想像に難くないですが、それまでが、苦労しました。」
■これを渡辺さんが苦労されるとは意外でした。
宮谷保可楽 「追加ヒントが出たとたんの閃き…。45角で桂馬の3段跳び。」
■ヒントが役立ったようで何よりです。
テイエムガンバ 「『先手の玉、飛、角、金、銀が利いている地点に、後手が角を打った』=『角交換の後に▲7七角▽6八角』と考えていましたが、5手目▲4五角とは……。」
■交換ではなくラリーなんですね。推理将棋独特といえば独特の手筋。
S.Kimura 「33桂がなかなか思い浮かばずに苦労しました.41-1の解答でタラパパさんに『ほんとに?(笑)』と返されましたが,桂馬を使う筋を本当にうっかりしてしまいます.」
■攻方手順のブラックボックス度合が高い場合は動かし方の自由度が低い歩や桂が使われていることが多い、というのは参考にしてもいいのかも。
鈴木康夫 「これは凄い。全ての手が有機的に働いています。」
■実はよーく見ると77角不成は無駄手なんですが、他があまりに濃密すぎて全くそんな感じがしないんですよね。
変寝夢 「68角、67桂なんだろうけど見えず」
■68角57桂ですかね。この桂を奪おうとすると失敗です。
正解:18名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん KGさん 朱さん 鈴木康夫さん
隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん たくぼんさん 橘圭伍さん テイエムガンバさん
NAOさん はなさかしろうさん はらたっとさん 平井康雄さん 星の平原さん
みやさん 宮谷保可楽さん 渡辺さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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