« 詰将棋メモ(2012年7月25日) | トップページ | 詰将棋メモ(2012年7月26日) »

推理将棋第57回解答(1)

[2012年7月26日最終更新]
推理将棋第57回出題の57-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第57回出題  推理将棋第57回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


推理将棋第57回解説  担当 DD++

今年に入って以降この推理将棋コーナーでは奇数月に余詰が出るという謎のジンクスがあるのですが、今月も残念ながらそれを踏襲してしまいました。申し訳ありません。


57-1 初級 鈴川優希さん作    5枚の焦点        9手

「隣の将棋、9手で詰んだって?」
「うん。5枚の後手駒が利いている地点に、先手が着手したのが印象的だったなあ」
「5枚の焦点だって?! 先手は詰将棋作家だったのかな」
「いや、7手目のあの馬の手は、将棋指しが好むような手だったよ」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 9手で詰んだ
  • 先手は5枚の後手駒の焦点に着手した
  • 7手目は馬の着手

※間に別の駒がある場合は利きがあるとはみなしません。例えば初形で84に利いている後手駒は83歩の1枚だけ。82飛はここでは84に利いている駒には数えません。


出題のことば(担当 DD++)
  後手が初形から最も簡単に5枚の利きを重ねる方法は?

追加ヒント:
  5手目に焦点へ打った角を6手目に取ってしまいます。角は横利きがないことを利用して退路封鎖に使いましょう。


推理将棋57-1 解答 Suiri571

▲7六歩    ▽3四歩    ▲2二角成  ▽5二金左
6二角    ▽同金寄    ▲3一    ▽5二角
▲4二銀    まで9手

先手が5枚の焦点に着手ということは、まず後手が5枚の焦点を作らねばいけません。さて初形を見ると4枚の焦点というのは42、52、62の3箇所に最初からあります。ここにもう1枚利きを重ねるには33角で42に5枚の焦点を作るか、52金左で62に焦点を作るか。間接的な利きも含めるなら52金右で42に焦点を作ることも考えなければいけませんが、今回は注意書きによりそれは除外されます。

それを踏まえて条件を見ると、7手目は馬の着手という条件が効いてきます。この7手目が5枚の焦点だとするとどのパターンでも王手。8手目は当然玉が逃げる手となり、これだけ後手駒が密集してる中あと1手で詰ますのは到底無理。つまり焦点着手は7手目ではありません。当然焦点着手で詰みなんてこともありえません。

つまり焦点着手は5手目に確定。それに加えてその時点で馬がある、というのを実現できるのは「76歩、34歩、22角成、52金左、62角」もしくは「76歩、54歩、44角、52金左、62角成(2手目4手目手順前後可)」のみ。

ここからあと4手で詰むのは前者だけ。31銀を奪って42へ打つ時に52地点がガラ空きになるのですが、詰みに不要な(むしろ邪魔な)先手が打った角を後手が奪い返してこれで52を埋めるのが推理将棋らしい妙手、これでぴったり詰みです。

なお今回の「利き」の定義に関する注釈ですが、コメントで渡辺さんからご指摘いただいたとおり、間接的な利きを含める場合と含めない場合があります。今回は作者からの指定がなく、またどちらを採用しても全く問題に影響はないため私の方で定義を指定しましたが、推理将棋界で同意を得られた決め事というわけではありません。利きを条件に使う場合はご注意ください。

それではみなさんの短評をどうぞ。

橘圭伍 「1手で5枚の焦点は出来るので考えやすい」

■2手で作る順もそれほど多くありませんし。

星の平原 「8手目が今貰ったばかりの駒を打つ手で一瞬盲点に。」

■この52角打ちは作例こそそこまで多くはないですが手筋と言っていいのかもしれません。

NAO 「居玉は銀で詰ませにくいが、金が寄った後に角打。」

■43か53に先手馬を置く形を除くと、52を後手がどうにか埋めてあげないといけませんからね。

朱 「焦点に打った角をあっさり取ってしまって退路塞ぎに打つのが好感触。5枚の焦点への着手という条件は簡潔で意外性があっていいですね。」

■玉方の駒打ちは推理将棋では総じて好感触。

斧間徳子 「6手目同金寄のように詰め方の大駒による王手を同○○と取るのが、推理将棋ではむしろ新鮮に感じます。」

■おもちゃ箱で出せるクラス、しかも初級だと確かに新鮮に感じるかもしれませんね。

諏訪冬葉 「銀だと横に逃げられる・・・と思ったら後手の手に角があった」

■実戦ではまず考えられない銀腹封鎖です。

はなさかしろう 「面白い焦点条件と盲点に入りやすい手順、引き締まった好作ですね。7手目条件が成生限定と6手目以降△41玉▲53角成等の余詰消しに働いて、技あり、でした。」

■この7手目条件、実はかなりたくさんの余詰をきわどく潰しています。

平井康雄 「42地点だとばかり思っていました。8手目もヒントがなければ気付きにくい。」

■ここに角の利きを重ねるのは残念ながら次の問題。

KG 「先手の角を5枚の焦点へ動かそうとすると失敗しますね。」

■そこで駒が取れないというのがけっこうキツいのです。

隅の老人B 「5枚の焦点は何処に?これを探して、あちこち彷徨、ああ暑い暑い、暑いなぁ。」

■候補地は全て歩の屋根の下、日陰なので少しは安心?

たくぼん 「52金左がまさにこの一手。52角も味がいい。」

■居玉の場合52は攻防の中心地ですから。

はらたっと 「3手目角とり、5手目角打ち、7手目馬ですからこの手順。」

■お見事。

みや 「横利きのない角で退路封鎖は最近見たばかりだったのでわりとすんなりと解けました。」

■そのための角のラリーが見えれば、あとは何も難しくなかったでしょう。

渡辺 「手なりで解けました。5枚の焦点に指すような詰将棋ってあるのでしょうか?」

■もちろん全ての駒配置に意味があるという条件でですよね。一体何枚焦点まで作れるんでしょうか。

宮谷保可楽 「62角のホウリコミから52角とダメを詰めさせて死形に持ちこむ。」

■むむ、まさかの推理碁ですか!? 九路盤ですら大変そう……。

S.Kimura 「6手目と8手目で逃げ道を塞いでしまうのがうまいですね.」

■41金をうまくどけている点にもご注目。

鈴木康夫 「玉飛金銀は当たり前でもう一枚は角かと思いました。」

■7手目が馬じゃなければ71角成から42銀と玉飛角金銀の焦点に打つ順があるんですけどね。

変寝夢 「同金寄~5二角が一連の好手。締め切り前ヒントはそれを上回る好ヒントです。」

■いえいえ、ヒントは作られた手順に乗っかっているだけですので。

かめぞう「これだけできました。符号の書き方に気をつけないと。」

■符号を多少間違えても、作意手順を書こうとしたのが明らかであれば正解とさせていただきますのでご安心を。


正解:20名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  かめぞうさん  KGさん  朱さん
  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん  たくぼんさん  橘圭伍さん
  テイエムガンバさん  NAOさん  はなさかしろうさん  はらたっとさん
  平井康雄さん  変寝夢さん  星の平原さん  みやさん  宮谷保可楽さん
  渡辺さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

|

« 詰将棋メモ(2012年7月25日) | トップページ | 詰将棋メモ(2012年7月26日) »

推理将棋」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 推理将棋第57回解答(1):

« 詰将棋メモ(2012年7月25日) | トップページ | 詰将棋メモ(2012年7月26日) »