[2012年9月30日最終更新]
推理将棋第59回出題の59-3の解答、第59回出題の当選者(諏訪冬葉さん)
を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第59回出題 推理将棋第59回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
59-3 上級 NAOさん作 2筋の決め手 9手
(条件)
- 9手で詰んだ
- 2手目は金
- 5手目は2筋に不成
- 7手目は歩
- 9手目は2筋
出題のことば(担当 DD++)
最終形が見えないとかなり手ごわい問題。
追加ヒント:
トドメは角打ちですが、その角は5手目に急いで取らず7手目に取るのです。
推理将棋59-3 解答 担当 DD++
▲7六歩 ▽6二金 ▲3三角不成▽5二玉
▲2四角不成▽6六角 ▲同 歩 ▽4四歩
▲2五角 まで9手。
かなり手強い問題です。条件はこうですね。
●??、?金、??、??、2X?不成、??、?歩、??、2X? まで
今回も一番のヒントは5手目の不成ですね。5手目に指せる2筋の不成は22角不成と24角不成だけ。さて、そうするとこの角と連携するもう1枚の攻め駒は?
答えは最終形がどうなるのか考えると見えてきます。不成を指した角は2筋にいるので同じ2筋に利きはありません。7手目歩も2筋の敵陣近くに歩打ちは不可能。つまりこの条件下では最後の2筋の手に紐が付けられず、最後は角を打って合い効かずにするしかないのです(飛と桂はそもそも取ることができません)。
さてここで推理将棋の一つの知識。単騎詰め含め角や馬で玉の上から合い効かずにする場合、角がある側の玉腹の塞ぎ方がポイントになります。例えば51玉を15方向から仕留める場合の41地点の塞ぎ方。後手の歩香銀金飛で塞ぐことはできません。42へと直進して合駒できてしまいます。桂も33へ跳ねて合駒もしくは角を取れるのでダメ。唯一後手の駒で玉腹塞ぎに使えるのは角ですが、この場合角は2枚とも先手のものなので品切れ。したがって今回は玉腹を先に存在する先手角で塞ぐ、つまり2筋角のお尻に角を打って詰める形しかありえないのです。
●??、?金、??、??、22角不成、??、?歩、??、23角 まで?
●76歩、?金、33角不成、??、24角不成、??、?歩、??、25角 まで?
上の場合、玉位置は41しか考えられません。42と52と51は全て後手が塞ぐしかないので、こんな手順になります。「76歩、52金左、33角不成、42銀、22角不成、41玉、14角、51金寄、23角不成 まで」。しかし、どう頑張っても7手目が歩という条件は満たせないので今回の解答としては成立しません。
ならば下の順ですが、こちらには大きな問題があります。すなわち「24角不成だと後手角を取れなくない?」という問題。これを解決できるかがこの上級の最大の関門です。これだけ2筋条件が重なっていますが、何も後手の角を取るのに22地点で取る必要はない、と気づけるかどうか。後手に1手消費して66角と出てきてもらって7手目の歩を使って取る発想の転換が必要なのでした。
●76歩、?金、33角不成、??、24角不成、66角、同歩、??、25角 まで
残りは後手の3手だけなので簡単ですね。詰ませてもらうのに必要な「62を塞ぐ」「玉を52へ上がる」「43の歩をどかす」の3手を条件に合うように当てはめて手順完成です。
それではみなさんの短評をどうぞ。
NAO 「条件文では表現を統一したかったが、手順を重視しました。7手目の難易度はどの程度でしょうか。」
■6手目とセットでいきなり着手がこっちへ飛ぶとは考えにくく、なかなかの難手かと。
渡辺 「これも知っている形なので第一感でした。」
■解きにくいとはいえ有名な形ですしね。
諏訪冬葉 「7手目の歩の意味と限定法を考えたら『駒を取る』という結論に落ち着いて解決しました。」
■初級のような中段玉に対して歩を突く場合もありますけどね。
斧間徳子 「この詰め筋は以前創作したことがあった(15角+16角でしたが)ので、すぐ解けましたが、確かにこの最終形を知らないと難問になりそう。『7手目が歩』が解図のキーとなる条件ですね。」
■無駄手だとすると限定できませんし、どういう意味を見出すかですね。
はらたっと 「24角生66角のやりとりが凄い。」
■実戦だったら見ている人全員唖然でしょうね。
星の平原 「7手目の『歩の手』の意味がつかめず、9手の過去問のデータベースのお世話になりました。8-3対向射線!? (橘圭伍さん作)の筋でしたね。『歩の手』が直接詰みに関わるのではなく角入手と六手目限定のためという間接手として使われるとはなるほどのミスディレクションでした。」
■こういう手を条件にされると本当に見えにくいです。
やまかん 「これは7手目の歩が最大のポイントでした。普通に考えると75歩くらいかなと思っていろいろやってましたがどうしても駄目で試行錯誤してるうちに6手目に角を捨てる手を閃いて解決。この瞬間が解図やってうれしいときですね。やはり慣れてないと66角なんかは見えにくいですね。」
■詰将棋では攻め方に駒を渡すためのタダ捨てはありませんからねえ。協力詰でも王手義務があるのでここまで露骨な手は見ませんし。
占魚亭 「2枚角の詰上りは分かっているのに、角の入手法が分からず苦労しました。角の自殺だったとは……。」
■1手損する気がして抵抗ありますよねえ。
宮谷保可楽 「5手目22角生だとばかり考えていたので、24角生~66角がなかなか見えなかった。詰上がりは2本の角ビーム。」
■最近気がついたのですが、この平行角の詰め上がりは意外とバリエーションが豊富なのです。オフレココメントについては、その通りです、とだけ。
隅の老人B 「7手目、どの歩を突くかで悩みます。解けて成る程、これが推理将棋の醍醐味ですね。」
■全くその通りですね。
平井康雄 「これは参った。最終ヒントがなければ絶対に解けません。5手目は22角生以外があるとは到底思えませんから・・。攻方歩の意味がさっぱりわかりませんでした。突然の詰上がりにもビックリ。」
■24角不成は25角までが見えていないとかなり指しづらい手であることは間違いありません。
たくぼん 「7手目歩に頭を捻る。26歩、27角を考えたが全然だめ。66角が上手いなあ。」
■72玉を詰ませる狙いですか。53歩を処理するのに手間がかかってしまって失敗ですね。
変寝夢 「調子に乗って手を出しましたが、ギブアップ。7手目までの先手の着手は大体決まりなのだが・・。」
■5手目7手目が正しく読めていたならあと1歩でした。
枡彰介 「締切前ヒントが出てもしばらく分からなかった。某会長が対コンピューター相手に研究していた2手目△62金の本が目に入った時に閃きました。」
■推理将棋だと62金や62銀はもはや手筋ですね。
はなさかしろう 「こちらも取らずに要所に引く24角不成がポイントでした。抵抗感があって面白いですね。7手目を桂、銀、飛にすると6手目の成生限定が必要なところを技ありの歩です。解図はこの歩の手からの裏推理。意地悪な味のある上級問題でした。」
■よほど経験がないとこれがすんなりは出てこないでしょう。
鈴木康夫 「9手で筋違い角の詰上がりがあるのは知っていましたがこのような角入手の方法があるのは知りませんでした。」
■8手でも▲66角△同角という手順ならありますね。角を取る手に別の意味が存在しないという点ではこちらの方が1つ上ですが。
S.Kimura 「24角不成や66角はヒントが出る前に気付いていたのですが,2手目に41の金を動かしていたので詰む形が見えませんでした.」
■なるほど。そこでハマりうるというのは想定していませんでした。
チャンプ 「7手目の歩???この条件に沈黙すること3分・・・。なるほどそういうことですか。『7手目に飛』なら悩まなかったのに!おっと、それだと条件が増えてしまいますね(笑)」
■飛は飛でどう敵陣で使うか悩みそう。
正解:19名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん 鈴木康夫さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん
占魚亭さん たくぼんさん 橘圭伍さん チャンプさん テイエムガンバさん
NAOさん はなさかしろうさん はらたっとさん 平井康雄さん 星の平原さん
枡彰介さん 宮谷保可楽さん やまかんさん 渡辺さん
総評
渡辺 「94問題はさすがに簡単ですね。1題は自作でしたが他の作品も自作の手順を思い出すのと変わらない時間で出来ました。」
■さすがは9手マイスター渡辺さん。
諏訪冬葉 「今回の回答は自己最速記録です」
■すばらしい。もう少し難しくてもよかったのかな?
はらたっと 「今回の94問題は何故だか相性抜群でした。たまたまだと思いますが。。。」
■いえいえ、きっとはらたっとさんの実力が向上したということ。
星の平原 「上級は出題時のコメントにあったとおり相当な難問でした。次は追加ヒントもデータベースの助けも借りずに完答したいと思います。今回過去問を相当数解いたので次に役に立つはず(と思いたいw)。」
■9手だとかなり基本手筋は網羅できますしね。
やまかん 「推理将棋初解答します。解答時間はそれぞれ3分、10分、45分くらいでした。推理将棋やら他のパズルまで手を出すと時間がいくらあっても足りないかと思い今まで全くスルーでしたがやってみるとそれなりに面白いですね。今後は解答募集された作品は(選ばれて良いものが多いと思うので)なるべく解いていこうと思います。」
■初解答で上級45分は素晴らしい。初級中級だけの解答をされる方も多いので、今後も解けたところまででもぜひご解答ください。
橘圭伍 「詰め形が想定可能なんで全題合わせて5分以内。軽い頭の体操でした」
■は、速い!?
宮谷保可楽 「今月はなぜか、追加ヒントなしで解けてしまいました。秋の椿事ですね。」
■9手詰なのでだいたいどこかで見た手順だから、というのもあるかもしれません。
隅の老人B 「夜、床に横たわって推理将棋を考える何処かで虫の音、ようやく秋の気配あり。3題が解けて、涼風来る、さあ寝るかな、です。」
■台風もたくさん来て秋の気候になったことを実感しますね。
平井康雄 「1、2は最初の日にわかりましたが、3は最終ヒントが出るまでさっぱりわかりませんでした。完全にお手上げでした。」
■2枚角の詰め上がりは頻出です、というか1筋2筋あたりからトドメを指す場合ほとんどがこれという話も。覚えておくといいかもしれません。
変寝夢 「同じ9手でもこんなに違うのかと再認識しました。」
■これでも「あー、なんか角を使う手順に偏ったなあ」と思っていたのですが(笑)
枡彰介 「約4年ぶりくらいに解答を出しました。機会があればまた挑戦したいです。」
■4年というとかなり初期の頃ですよね。担当がタラパパさんどころかミニベロさんだった時代でしょうか?
はなさかしろう 「9月4日の94問題ですね。練習問題も楽しかったです。ところで、94問題に限らず、9手以下で今どこまでの難問ができるのでしょうね。」
■現存する問題で一番難しいのは、渡辺さんの嘘つき問題じゃないでしょうかね。条件のうち1つが嘘である、というやつ。
鈴木康夫 「一般の汎用の推理将棋ソルバは難しいのですが、94問題専用なら汎用ソルバなら作れそうです。他の問題に忙しくてなかなか着手できないのですが余詰検討の役に立てる日が来ればよいのですが。」
■そういえば機械検討向きの条件付けですよね、この形式。
推理将棋第59回出題全解答者: 20名
S.Kimuraさん 斧間徳子さん 鈴木康夫さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん
占魚亭さん たくぼんさん 橘圭伍さん チャンプさん テイエムガンバさん
NAOさん はなさかしろうさん はらたっとさん 平井康雄さん 変寝夢さん
星の平原さん 枡彰介さん 宮谷保可楽さん やまかんさん 渡辺さん
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