大道棋よもやま話 第8回 大道棋改作の技術
[2012年9月23日最終更新]
詰将棋パラダイスで連載中の記事です。詰パラでスペースの関係で掲載できなかった資料全文なども補足していきます。
関連情報: 大道詰将棋よもやま話 ドキドキストリート (おもちゃ箱)
詰将棋パラダイス 2011年10月号掲載
大道棋よもやま話 第8回 大道棋改作の技術 加藤 徹
これまで、金問題を例にして、改作のテクニックをお話ししてきました。
技術1 簡素な原型を作る
誘い手に必要な駒を見極めて、できるだけ簡素な原型を作ります。原型は余詰があったり、不詰でもかまいません。例えば香歩問題なら、73金75桂・61桂63歩71玉96歩・香歩 が代表的な原型。不詰ですが、63桂、72歩、83桂の誘い手と逃れ手順は入っています。
技術2 原型を元に改作
改作のポイントは次の3つ。
- 好形を崩さない。
- 誘い手を消さず可能ならふやす。
- 読みにくい作意にする。
要は実戦価値を高く、ということ。作意以上に誘い手が重要です。
技術3 常識の裏をかく
金問題ならマニアには初手頭金から4手目飛の中合が常識。この裏をかいて金合にしたり、桂合や歩合にしたり。さらに裏をかいて初手から別の手段を用意したり、大道棋を知っている人に特に有効な技術です。
技術4 段、筋をずらしてみる
普通の金問題は95玉型か92玉型。盤の端や成生の関係で、ずらすことで新しい筋が生じることがあります。
大道棋7の元になったこの問題。
金問題を93玉型にしたらどうなるかと思って作ったもの。気持ちよく詰むので解いて見てください(33手)。
技術5 縦と横を逆にしてみる
これは今回のテーマ。上下や縦横を逆にすることで、印象も詰筋も変わり、新しい類型ができることがあります。
下図は金問題を横型にしたもの。本図と、11とを21とに変えた図の2作が創作型大道棋の募集に応えて投稿されました。残念ながら2作とも余詰があります。
今回の出題は、この問題の利波さんによる改作。客寄せ級なのでお気軽に。
◇大道棋8 利波偉
解答は10月末までに下記(省略)まで。最終手と手数だけでOKです。
正解者から抽選で1名に、加藤徹好形大道棋50番「ドキドキストリート」を贈呈。
◇大道棋7 加藤徹 正解
A82銀、83玉、73と、92玉、91銀成、同玉、82と、同玉、85香、84歩合、
同香、73玉、76香、イ74角合、同香、同玉、83角、75玉、78香、ロ77飛合、
76歩、同飛成、86馬、84玉、94角成、同玉、76馬、ハ93玉、95飛、82玉、
72と、同玉、B94馬、82玉、72馬迄35手。
イ他の合は72と、同玉、94馬以下
ロ76飛合は作意順で2手短い。77金合は76歩、同金、85馬以下
ハ84玉も同手数だが余詰多数。
A94銀は92玉、82と、同玉、85香、84銀合、72と、同玉、75香、74桂合、
同香、73桂合で逃れ。
B92飛成などいろいろな詰みあり。
常識的な94銀は、84銀合!から72と、同玉、75香に桂の二段合で逃れ。
正解は82銀で、金問題としては未知の領域にはいる。84歩中合、74角合と大道棋らしい受けが続き、圧巻は77飛中合。
76歩を同飛と取ったとき逆王手になることを狙った中合だ。
竹中健一「94銀から入るものだと思い込んでいて、相当苦労しました。」
★全短評をおもちゃ箱(詰将棋おもちゃ箱で検索)で掲載。
◇解答者 13名 正解11名
【正解者】 (省略)
【当選者】 (省略)
注1)上記の大道棋7の解説および全短評はこちら。
注2)上記の大道棋8の解答募集は終了しています。解説および全短評はこちら。
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