« 詰将棋メモ(2012年10月27日) | トップページ | 詰将棋メモ(2012年10月28日) »

推理将棋第60回解答(2)

[2012年10月28日最終更新]
推理将棋第60回出題の60-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第60回出題  推理将棋第60回解答(1)  (2)  (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


60-2 中級 チャンプさん作    取る一手将棋!?(その2) 10手

豪「簡単に終わっちゃったね。もう一局同じルールでしようよ」
翼「了解、また君が先手だ、お願いします」

豪「おっ、今度は急戦か」
翼「ふふ、当然だよ」

豪「あ、しまった」
翼「よし、10手で詰まして勝ったぞ」

豪「いや~6手目の△47角が好手だったね」
翼「不成の手があったのも見逃せないね」

さて、どんな将棋だったのだろうか?

(条件)

  • 10手で詰んだ
  • お互いに、駒が取れる局面では必ず駒を取った
  • 6手目は△47角
  • 不成の手があった

出題のことば(担当 DD++)
  強欲推理将棋ならではの5手目と9手目がポイント。

追加ヒント:
  後手が最後に金を打てるように、先手は後手馬の利きにある駒をひたすらどけましょう。


推理将棋60-2 解答  担当 DD++ Suiri602

▲4六歩    ▽3四歩    ▲7六歩    ▽8八角不成
▲同 銀    ▽4七角    ▲4八玉    ▽6九角成
▲8六歩    ▽4七金    まで10手

これも難易度的には上級への踏み台という位置付けの問題です。ただし、気を抜くとうっかりミスをする罠がちょこっと。

条件付けとしては6手目△47角というのが大ヒントです。記譜上という但し書きがなくとも、この筋違い角は打つしかありません。つまり最初から角交換が発生することも明らかですね。

では「76歩、34歩、22角不成、同銀or同飛」で考えてみましょう。47角を打つためにはもちろん47地点が空いていなければいけないので「46歩、47角」と続きます。8手目に駒を取ってトドメに打つ以外には無さそう、と考えると69の金が狙い目ですね。7手目は69同玉が生じるのを避けるために「48玉」と先に上がります。8手目は銀に余計な取りをかけないように「69角不成」、9手目に「59角」と逃げ道を塞いで「47金」でピッタリ詰み!

……という誤答が2通寄せられました(お一人はその後再解答いただきましたが)。角を成らなかったことで銀に取りがかかっていないと安心したくなるところですが、よーく見るとこの角は87の歩にも取りをかけています。この取りがかかった状態のまま47金と打つのはもちろん条件違反。大変おしいのですがこの手順は不正解なのです。

しかし、47角と打っておいて69角or馬+47金+48玉の詰み形でないとも考えにくいもの。仕方がないのでなんとか86歩を突く算段をしましょう。先手の5手のうちなんとか外せそうなのはやはり59角でしょう。69の角を成れば59地点は塞げるのですから。しかしそうすると79銀にも取りがかかってしまって今度はこれを88に逃げる必要が。なんだか帳尻合わせがたらい回しにされていますが、ここで「88銀」を見て「ん?」と思った方はすぐに解けたのではないでしょうか。

思い出すべきは最初の角交換。「76歩、34歩、22角不成、同銀」をぐるっと180度ひっくり返すと「34歩、76歩、88角不成、同銀」とするとちょうどうまいこと銀が動いてくれるのです。初手から76歩を突くと3手目に角が飛び出すハメになるので、46歩を先に突いて76歩のタイミングをギリギリまで引っ張るのがポイント。これで自然に銀が79からいなくなるのでしわ寄せが解消されて作意解にたどり着きます。

それではみなさんの短評をどうぞ。

チャンプ(作者) 「中級の問題ということで簡単すぎず難しすぎず、如何に手順を魅せつつ条件を緩めるか。創作する上でこれが一番大変かと思っていました。しかし手順は上出来、条件も『6手目は△47角』という普段絶対にしない出血大サービスの条件付けを思いつき、即興で創作した割には上手く仕上がり満足しています。先手の3回の歩の着手のタイミングが謎を解くカギであり、この作品の味でもあります。」

■47角が大サービスだと思って油断すると87歩に引っかかるんですよね。私もうっかり「余詰では?」と送りそうになりましたし。

NAO 「強欲条件のポイントは、実は『いかに取る手を作らないか。駒が取れない局面に誘導する』禁欲状態にすることでした。9段目に成った馬が取る駒が1枚もないとは・・・」

■これにいかに早く気づくかが今月のミソでした。

妙高仙人 「パズルとしては易しいので、条件付の妙を味わう作品。初手や5手目など7手目など、間接限定が巧み。」

■47角が違う位置だともう1条件いるんですよね。うまいものです。

橘圭伍 「取れないように事前に逃げておく。これも気本筋。成りの方が実は限定しにくいルールで成るが良い」

■強欲で角を成るというのがすごいことだと、どれほど伝わったんでしょうかね。

はなさかしろう 「47角といえばこの形。筋違い角なので2~6,8,10手目が確定するのですが、先手の手順をうっかり間違えて強欲道を踏み外しそうになりました。」

■87歩ですね。これは罠すぎますよね。

渡辺 「駒打で詰めてもらうために逃げる。こちらの方が初級より論理的で簡単?」

■どんな簡単な問題でも論理で解くタイプの人にとっては確かにそうかも。

星の平原 「打てるように予め一枚と直後に一枚逃げる。なるほど。」

■強欲は馬を作ると大変。

変寝夢 「『初手から6手がほぼ限定なので助かりました。ちなみに4手目は限定ですか?』と書いてビックリ、そう、4七角に3八金以下で詰ましてました。こういうルール物は勘違いする癖があるのでいやになります(笑)」

■あぶないあぶない。

くるぼん 「47角が成立する可能性が分れば一目。」

■後手からの角交換まで一目とは素晴らしい。

平井康雄 「47金を打ってもらうために銀と歩をどけておく。そのためには後手方から角交換が必要なんですね。6手目47角でなくて14角だったらわかりにくかったかも・・・・。」

■しかし14角だと初手と7手目を入れ替えて余詰むという。

斧間徳子 「88同銀~86歩が独特の手順で面白い。」

■この条件でもなければまず発生しない手順でしょう。

たくぼん 「逃げるのが強欲特有の手筋とは一つの魅力ですね」

■強欲詰だとこういう逃げまくる手順は作りにくそうですが、推理将棋なら自由自在です。

隅の老人B 「9手目の86歩が好手、これで金が打てました。」

■推理将棋は玉方の手に妙手あり(2回目)。

占魚亭 「詰上りをすぐにイメージできて簡単でした。馬の利きから逃れるのがポイントですね。」

■馬を作らない、という方向に考えてしまうと失敗します。

S.Kimura 「駒を取らせないようにする88銀や86歩が好手になるとは・・」

■推理将棋は普通駒を取らせる方が好手ですしね。

諏訪冬葉 「初手▲76歩 として2日悩みました。」

■強力な駒を自由にしすぎると逆に手が進まないんです。

宮谷保可楽 「先手の指し手があまりにも逃げ腰。」

■普通の取る一手将棋なら87歩を取らせて同銀でおいしい状況なんですけどね。


正解:18名

  S.Kimuraさん  斧間徳子さん  くるぼんさん  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん
  諏訪冬葉さん  占魚亭さん  たくぼんさん  橘圭伍さん  チャンプさん
  NAOさん  はなさかしろうさん  平井康雄さん  変寝夢さん  星の平原さん
  宮谷保可楽さん  妙高仙人さん  渡辺さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

|

« 詰将棋メモ(2012年10月27日) | トップページ | 詰将棋メモ(2012年10月28日) »

推理将棋」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 推理将棋第60回解答(2):

« 詰将棋メモ(2012年10月27日) | トップページ | 詰将棋メモ(2012年10月28日) »